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表記のシンポジウムが一昨日の6月1日、横浜市埋蔵文化財センターを会場に開催されました。
この集まり、来年の2月に開催される予定の本番に備えた準備会だったはずが、67名を越える方々が各地から集まって、真に盛況でした。というのも、神奈川県域における弥生後期から終末期までの標準資料が一同に集められて展示されることになったからです。土器・石器・鉄器・青銅器・ガラス製品類が1階と2階に分けてところ狭しと並べられ、まさしく圧巻でした。
最初は横浜市埋蔵文化財センターが保管している関連資料を展示することで、古屋紀之さんが構築された編年案を現物と照らしながら点検しよう、との目論みだったようですが、せっかくの機会だから県内各地の関連資料も持ち寄ってみたらどうか、との西川修一さんの一声でこうなったようです。
午前10時から始まって午後5時まで、じっくりと資料を見ることができましたし、石製品や青銅製品の主だったものについては、その場で簡易実測をさせて頂くこともできました。私の隣をふと見ると、明治大学の石川さんも同じ行為におよんでいらっしゃり、二人で同じ穴のムジナぶりを演じてしまいました。
そこここで型式学談義、地域性談義が繰り広げられていて、耳学問だけでも充分に楽しめました。私の知っている方だけでも福島県の青山さん、石川県の田嶋さん、長野県の青木さん、山梨県の中山さん、愛知県の石黒さん、静岡県の鈴木さんや篠原さんなど蒼々たるメンバーが参加しており、いかに注目度が高いテーマであったのかを印象づけるものとなりました。もちろん東京・神奈川在住の弥生文化研究者はほとんどの方々が参集されたという高い求心力。はたして本番のシンポジウムはどうなるのか、興味(楽しみ)がつきません。
午後からはプレシンポジウムということで、予備報告を古屋さん(南武蔵地域)、斎藤あやさん(玉類の流通について)、杉山和徳君(鉄器の流通)の3名の若手研究者がそれぞれのテーマで発表を行ってくれました。上記のような中年オヤジたちが居並ぶなかでのプレ報告でしたから、それはやりにくかったことでしょう。とはいえ、今後の弥生時代・古墳時代研究を担ってくれる世代ですので、是非とも頑張っていただきたく思います。
ちなみに夜の懇親会にも47名が参加。当初予定していた会場では30名しか入れない、とのことで急遽会場を変更して行われました。この懇親会の趣旨も、本来は宮城県への派遣から戻られた伊丹さんのご苦労さん会と、7月から東北へ派遣される土屋君の送別会を兼ねた、西相模考古の第一世代の方々(岡本会長や曽根さんら)への慰労を行うというものでした。東北派遣へのお二人への挨拶にたったのが文化庁の禰宜田さん、というのも象徴的というかなんというか。ともかく異様な盛り上がりをみせた懇親会でもありました。
こうした異様な盛り上がりについて、石黒さんの次の言葉が印象的でした。すなわち「我々の世代には『九阪』があり『三県シンポ』があり、そこへ出かけてゆくことで世代や所属を越えた考古学談義が可能だった。さらにそういった環境のもとで育てられたために、地元でも盛んに『土器持ち寄り会』を行って議論を活性化させたのに、その雰囲気が失われて久しい昨今、今回のような集会には、俺も皆も、じつは飢えていたんだ。」とのこと。まったくそのとおりなのでしょう。
そういえば私も30代の頃は、車の荷台にコンテナを積んで香川まで往復したことや、各地の研究者を徳島までお呼びして、武家屋敷出土遺物の見学会を開催したことなどを思い出します。私の車が今もステーションワゴン型なのは、考えてみれば、こうした30代の頃の日常性の名残なのかもしれません。
80年代から90年代にかけては、確かにそのような雰囲気がありました。やはり肝心なことは、現物を目の前にしての談義がいかに重要であり、不可欠であるかを、次世代の研究者にいかにして継承していただくか、に尽きると思います。要するに今回の西川さんの企画は、そのような趣旨のもとにあったと理解されるのです。
われわれ中年オヤジ世代が今後ともこうした集会を楽しめるか否か、それは若い世代の研究者や、今後研究者を目指す学生諸君のエネルギーにかかっている、といっても過言ではないようです。
西川さんを始め、会場の手配を行ってくれた古屋さん、それに各地の遺跡出土品を持ち寄ってくださったそれぞれの遺跡の担当者の方々、真にお疲れ様でした。そしてありがとうございました。
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会場は熱気が満ちていましたね。
さて、行きのバスの中でお話しした沖縄の貝輪の文献についてリンクを貼っておきます。
琉球大学考古学研究集録創刊号の
神田涼1999「南海産貝輪製作工程の復元」です。
h ttp://www.lib.u-ryukyu.ac.jp/kiyou/kouko/contents.html
完成品や完成品手前まで作っていることに言及しています。
2013/6/4(火) 午前 7:32 [ 土屋 ]
土屋君、貴重な情報をどうもありがとう。神田さんの論文をじっくりと拝読することにします。
2013/6/4(火) 午後 1:18 [ flyingman ]
先日、「九州古式土師器研究会」という実物検討会をやったら、総勢80人も集まったのも同じ背景でしょうね。
2013/6/5(水) 午後 6:48 [ kusumi ]
そういえば、そのとおりかもしれませんね。実物を目の前にしての談義って確かに面白いし、解説する方も熱が入るようですから。いわば調査現場での所見談義に次ぐ2番目のライブ感覚なのかもしれないと思い始めています。だからその意味では、研究会への求心力ではなく、ライブ感覚への期待値に吸い寄せられるのかもしれませんね。
2013/6/5(水) 午後 9:09 [ flyingman ]