私的な考古学

丹沢山麓で考古学を学ぶ学生諸君との対話

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網取の夕暮れ時

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9月9日と10日は満潮が朝と夕刻になり、そのタイミングを見計らってセンターのスタッフ崎原さんと水谷さんが水を運搬してくれました。満潮時限定というのは、水落の滝まで船を着けるタイミングが満潮に限られているからです。

9日は朝夕併せて4回(2艇で2往復)、10日も朝夕併せて4回の運搬をおこなってくださいました。1回の運搬量は700リットルから800リットルあり、4回ですから1日で3トン程度あります。すべて私たちの生活用水ですから、真に申し訳なく思います。

網取は、やはり例年になく渇水です。3日前までは一時的なスコールもありましたが、ここ3日間はスコールもなく乾き気味です。もちろん洗濯は手洗いで脱水のみ洗濯機使用、トイレは汲み水での洗浄、食器洗いは濯ぎのみ水道利用、シャワーは女性限定でしかも1日おきの交代制、男性は青空シャワーか溜め水を流しかけ。超節水モードです。

桟橋では夕暮れ時の飛び込み、作業着の洗濯、談笑、といった光景が展開していました。石井君はチームの面面に竹べらをプレゼントすべく、竹の加工に余念がありません。

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9月7日
朝は雲が多く曇天になるかと期待したものの、結局作業開始時には晴れました。
アルシケーヤ(G)地区では黄褐色硬化面の検出作業を実施しました。本日から11日まで、この地区は石井君に指導してもらうことになりました。

作業の終盤になってG16トレンチでは当初硬化面と認定していた部分の暗褐色粘性砂質土はごく最近の農学部による撹乱以降の堆積であることが判明。夕方までに検出状況写真撮影を目標に掘り下げと清掃作業を進めてもらうことに。この撮影については夕方の現場ミーティング後に達成されました。

なお石井君と協議の結果、層序については昨年度の試掘調査トレンチに準じてI・?鵺・?鶚層とすることに。土層堆積の所見が整理できるのは明日でしょうか。もう少しだけ時間がかかりそうです。

カイメーヤ地区では冨山大学2人組で新たにI6トレンチを開け始めてもらいました。このトレンチは全土壌をふるいがけするために、表層の腐植土層から10cm単位で機械的に掘り下げてもらうことにしました。本日I6トレンチは表土剥ぎを終え、第1スピットの掘削中で作業を完了しました。I7トレンチでは全体の清掃と遺構検出作業を実施。撹乱土坑を含む近・現代の硬化面の輪郭出しを行い、写真撮影を実施しました。

I9トレンチでは一昨日の所見にもとづき、サブトレンチ以外の全範囲でサンゴ礫の堆積を検出させるべく掘りさげ作業を実施しました。しかし意外にもサンゴ礫の広がりはサブトレンチの西には及んでおらず、ほぼ終焉する状況であることが判明。全面を掘り下げるべく作業を継続中です。

I7トレンチでは地表面から15cm程度掘り下げたところで硬化面を検出。東海大学がこの土地を借り受ける前の(撹乱前の)地表面かと推測されました。

いっぽうI9トレンチでは、サンゴ礫の堆積が西に広がるかどうかを追求してもらいましたが、なぜか西側には広がらず、サブトレンチの範囲で収まってしまうようです。その原因は現時点では不明。こちらについても、全体の様相が把握できるまでにはもう少し時間がかかりそうです。

9月8日(月)
朝は雲が多い晴れ。朝、網取水源地での水の供給状況を確認してもらうために、院生のM田君、S袋さん、I崎さんの3名に出向いてもらいました。その結果、水源地には水が流れており、取水口からもパイプには流入しているものの、ソジカの上流100mほどの地点で漏水していることがわかりました。急遽男子学生4名で応急的な復旧を実施。漏水を止めることはできたものの、残念ながら旧パネルへの流入にはいたりませんでした。崎原さんによれば、やはり水圧が低いのだどうとのことでした。

調査ですが、まずアルシケーヤ地区では、暗黄褐色硬化面(?鵺層)の除去作業を実施しました。多量の貝殻類や陶磁器片が出土。全域で同時進行的に掘り下げをおこなっているものの、本日の作業完了時点では、まだ全面を掘り切れてはいません。本日G16トレンチでは塩ビ管の埋設を確認。北半部は現代の撹乱であることが判明。ただし土壌の色調や質は?鵺層と識別できず、撹乱の堀方は確認できていません。

カイメーヤ地区では各トレンチで掘り下げを継続中です。本日の作業終了時点で新たな発見はなし。なお現場ミーティングの最中に石井君からサンゴ礫が柱の土台固めではないかとの指摘を受けました。一昨年度のヤンデーヤ地区の状況に酷似しているからです。実際のところ、その可能性は非常に濃厚で、要するにサブトレンチを設定した場所が、偶然建物の壁面に沿っていたということになりそうです。

9月6日(土)の休日

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本日は完全オフ。といっても網取でのオフは海遊びを意味しますので、午前10時30分にシュノーケル班とカヤック班はそれぞれスタート。シュノーケル班は水谷さんの船で水路(網取桟橋への船の侵入路)より北のリーフエッジに向かい、エッジ沿いに網取桟橋までシュノーケリングをおこなうというルート。カヤック班は水路より南の湾奥側のリーフエッジに向かい、船をアンカー留めしてシュノーケルをおこなう、というルートでした。

私はアンカーなしの一人乗り艇で出かけ、他の2艇にシュノーケルポイントまで誘導するという役回りでした。幸いJ野君に教えておいてもらったウミガメポイントでは2匹のウミガメを観察することができました。

午後は船浮湾奥の「水落ちの滝」まで水を汲みに出かけるついでに皆を連れてっていただくということで、私を含む希望者10名は2時半過ぎに出航しました。なお男子学生の4名は網取での汲み上げ作業要員として網取で待機。彼らだけは完全オフとはいきません。

さらに公用艇の故障のために私たちは船浮で一時下船。船浮散策をおこなったのちに、崎原さんの船と水谷さんの船に分乗して水落の滝に打たれる、という所期の目的を無事達成できました。なお公用船の修理には時間がかかるようです。

本日夕方には城西大学の石井龍太君、冨山大学院のM田君、O君の3名が到着しました。さっそく歓迎の宴会を開催。J野君の魚を酒の肴に皆で休日の最終幕を楽しみました。

センターのスタッフのおかげで本日は非常に充実した休日となりました。もちろん私にとってもメタボ対策にはうってつけの1日となりました(体重の減量に期待です)。

なお本日の写真はすべてK島さんに提供していただいたものです。

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9月4日(木)
朝は快晴。10時までにカイメーヤ地区の杭打ちを終え、本地区のトレンチ設定をおこないました。この調査区はK島(4年)、W邊・U花・M井(3年)、T居・I崎(2年)の6名で担当することになりました。

西からI6・I7・(I8)・I9トレンチを設定。I6・I7は共に1m×6mと長大なサイズとなりました。排土置き場までの距離があるため、一輪車がもう2台は欲しいところです。なお1台は今朝フレームが錆び付いていて完全なお釈迦となり、現在は調査団全体で1台しかない状況に陥りました。

ところで11時半頃には一天にわかにかき曇り、初のスコールに見舞われることに。恵みの雨の第1弾となり、思いがけず皆の口から歓声が上がりました。

さてI7トレンチ(K島・W邊・I崎)では表層の10cmを南半分の範囲で掘削したところ、硬化面らしき広がりを検出。この広がりを検出する方向にシフトしました。ただし生きている層位か撹乱層かは不明です。

I 9トレンチ(U花・M井・T居担当)では表層の10cmを掘削したところ、褐色の硬化面を検出しましたが、広がりは不明。なおサンゴ礫の堆積が北端で検出され、その広がりを追求することにしました。

なお午前中に農学部の実習生39名と、観光学部の実習生15名がそれぞれ網取入り。農学部の椛田先生と懇談。阿蘇教学課の二子石さんともご挨拶。二子石さんは日本史専攻の卒業生だとのことでした。

午後は1時30分にスタート。天候は曇天で、しかも意外に涼しく感じられました。カイメーヤ地区の掘り下げを急ぐため、ダイスコでの掘り下げを指示しました。

アルシケーヤ地区は第2スピットにさしかかりかという状況。S崎・S袋・S藤(3年)・N崎・N條・U宮(2年)、I浪(1年)の7名構成です。少しペースを上げる必要ありか、とは思いましたが、こちらでは慎重に、と指示しました。G14トレンチ(S崎とN崎)は第2スピットを掘削中。G15トレンチ(S藤・I浪)では第1スピット掘削中に昨年のトレンチを検出しましたので、埋土を除去することに。G16トレンチ(S袋・N條)は第2スピット目の途中でした。
 
9月5日(金)
朝は快晴。9時過ぎに到着した観光学部の実習生(2日目)に向けて私は網取遺跡の調査概要を解説しました。河野裕美先生も同行されました。

調査は昨日に引きつづきカイメーヤ地区・アルシケーヤ地区の各トレンチの掘り下げ作業をおこないました。G14トレンチ(S崎・U宮)では午後になって硬化面を検出。G15トレンチ(S藤・I浪)では2013年度の試掘トレンチの清掃を実施。土層観察を兼ねた線引きの訓練を指示しました。

なお昼前と午後3時過ぎにはスコールに見舞われるも、予定した作業全体をほぼ終了できました。G16トレンチ(S袋・N條)では昨日検出された硬化面の広がりを追求。本日では作業を完了せず、やや遅れ気味。

カイメーヤ地区では、本日からI9トレンチの東壁面沿いに幅50cmのサブトレンチを掘削(U花・T居・N崎)。ここでは昨日検出されていた暗褐色粘性砂質土層の直下からサンゴ礫を敷いた面を検出しました。意外な堆積に直面して戸惑いつつも掘削を継続。

途中、昼前にスコールに見舞われたものの、午後3時前にはサンゴ礫の除去におおむね目途がたちました。さたにサンゴ礫堆の直下は3層(砂丘堆の直上で貝塚のベース面)に酷似した土層であることに驚かされました。

要するに本トレンチ内は撹乱の範囲外であることが判明したばかりか、勝負すべき層位が地表面から非常に浅いところにあることが判明したわけです。

I7トレンチ(K島・M井・W邊・I崎)では昨日眼高1.46までとしていた掘削深度を1.52前後まで下げることとして掘り下げを実施しましたが、この深さのところで先の3層に酷似した堆積と対面することに。全面を同深度で揃えるべく皆に奮闘してもらいました。午後3時過ぎのスコールを経て、作業は八割程度終了です。

なお明日6日は完全オフの予定。皆疲れが出始める時期ですから、センターの水谷さんに船を出していただき、女子学生は網取湾でシュノーケリング。男子学生は私の指導でカヤック乗りと自力シュノーケリングとなる予定です。

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9月2日(火)
快晴。本日は朝から全員でカイメーヤ地区(I地区)の伐採に入りました。蒸し暑い環境下でのかなり広い範囲の伐採となり、予想以上に皆の疲労となった可能性がありました。

ただし午後には無事伐採を終え、調査前の写真撮影に漕ぎ着けました。その後はひきつづきアルシケーヤ地区(G地区)の清掃と伐採に入りました。こちらも夕方までにはほぼ終了し、明日には調査間風景の写真撮影の見込みとなりました。

そのいっぽうで男子学生諸君は昼前からスタッフの補佐役として水の補給に従事し、力仕事にいそしんでもらいました。淡水は船浮湾の奥にある「水落の滝」からはるばる運んできたものです。船に1トン用の貯水槽を積んで滝まで出向き、落水を直接受けたのちはサバ崎を越えて網取迄運搬するというのですから、崎原さんと水谷さんのご苦労には本当に頭が下がります。

なお網取到着後の水の運搬は、本日からナカヌウダチの浜側前面まで船で輸送し、そこからポンプアップして1回の中継で旧パネルの貯水タンクまで入れることとなりました。この方法が現時点ではベストの解決策であることが判明したからです。本日は「水落の滝」まで4往復をこなしたようです。

ところで私は1日の仕事を終えたらフラフラの状態になり、夕食はほとんど手つかず。ミーティングもそこそこにして寝入ってしまいました。二日酔いが原因かと思ったら、じつは軽い熱中症だったようです。歳でしょうかね。情けない限りです。

9月3日(水)
真に快晴。本日から2地点の水準点移動と基準杭の設定に入りました。水準点移動については2年生の5名(U宮・N條・T井・I崎・N崎)が2組となって担当し、午前中に2地点ともに作業を完了しました。それぞれの組が水準点とB.Mを往復したところ、誤差は1ミリ。カイメーヤ地区だけ2往復の結果が3ミリの誤差となり、これについては中央値を採用。優秀な成績です。

いっぽう杭打ちは3年のS袋とW邊が担当。午前中はアルシケーヤ地区で杭打ちを実施し、12時過ぎに本地区のグリッド杭打ちを完了。午後からはヤンデーヤ地区の杭打ちに入りました。午後は距離が長いこともあって苦労し、夕方にかけて7本の杭打ちを終えたようです。明日の午前中(10時まで)に杭打ちも完了する見込み。

午後、アルシケーヤ地区では調査区の設定に入りました。フールの正面および南側の縁に沿ってトレンチを配置し、本日はフールの正面に向かって左から(南から)G14・G15・G16のトレンチを設定しました。このうちG15とG16は2.5m四方、G14は1×3.5mとなり、撹乱層の範囲を避けてL字状に設定した格好となりました。

午後3時以降は、アルシケーヤ地区の掘削を開始しました。G14は第2スピット以下の土壌について全量ふるいがけとするものの、他の2トレンチについてはふるいがけをせずに掘り下げることとしました。
 昼前から男子学生のうちT居・N條・I浪の3名はセンターのスタッフとともに「水落の滝」まで水汲みに向かってもらいました。本日は3往復。そのかいあって夕方、本日限定でシャワー使用の許可が降りました。

私については、本日体調が回復し、快適な一日となりました。例年どおり夕方のビールを堪能。現金なものです。


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