私的な考古学

丹沢山麓で考古学を学ぶ学生諸君との対話

過去の投稿日別表示

[ リスト | 詳細 ]

全1ページ

[1]

イメージ 1

イメージ 2

イメージ 3

イメージ 4

イメージ 5

昨日夜に奈良へ帰り着きました。瀬戸内から北陸にかけての資料調査の旅でした。

3月10日の午前中には東広島市埋蔵文化財センターにお邪魔して弥生後期の箱式石棺墓から出土したイモガイ製の貝輪を見せていただき、岡山にとって返して午後は岡山市埋蔵文化財センターにて南方遺跡の貝製品と九州の土器を閲覧。こちらは弥生中期中葉の時期のものですが、なんとゴホウラガイを素材としたペンダント類が出土していることで注目される資料です。

東広島のものは胴体の長い横割りタイプで弥生前期の事例が多いのですが、後期にまで引き継がれていたことに驚かされました。類例は東シナ海から日本海沿岸に認められるので、安芸まではこのルートでの貝輪の流入があったと認めてよいのかもしれません。

いっぽう岡山のものは、出土土器からみても九州の東海岸を北上したものとみてよく、鹿児島・南宮崎の集団との交流がゴホウラ素材の流入の背景にあったことは間違いないものと思われます。

問題は有明海沿岸勢力との関係ですね。弥生中期の末から後期に照準を絞りたいのですが、まだ確証はつかめていません。

その日の夜は扇崎由さんと東口の正福で語り合いました。

翌12日にはレンタカーで楯築弥生墳丘墓と吉備津彦神社をまわり、岡山県古代吉備文化財センターにお邪魔して、写真資料の提供依頼をしてきました。東広島にも岡山にも、友人・知人が多いものですから、こうした急な資料調査依頼にも快く、またアポなしの突然の訪問にも、なかば呆れ顔ながらも対応していただき、助かりました。ご対応いただいた方々に深く感謝します。

その足で福井に向かったのですが、到着は午後6時になってしまったので、県立博物館と市立博物館の訪問は断念しました。アポをとっておかなくて良かったと胸をなで下ろしました。

翌13日には石川県片山津遺跡の石製品を再調査させていただきました。私の石製品研究の原点ともなった遺跡の資料です。考えてみれば25年も前にみた資料ですので、材質に対する感触をアップデートさせる必要性を感じたのと、年代観について新しいヒントがないかどうかを確かめたかった、というのが主目的でした。

幸い、加賀市教育委員会の若い職員である戸根さんは、この遺跡の資料を含む玉研究への関与を目的のひとつとしてこの教育委員会に奉職されたというだけあって、すでに石製品関係の遺物を出土遺構べつに収納し直してくださっていました。ですから今回は大いに助かりました。収蔵庫に一日籠もらせていただき、石材をじっくり観察できました。

やはり材質の変化や制作される器種の変化は年代差を反映している可能性が濃厚で、前期後半の腕輪形石製品類の素材となる、軟質で風化しやすい淡灰緑色凝灰岩(私がいう材質2)は、片山津遺跡でも前期の後半にならないと登場しない、とみてよいものと思われました。

さらに翌14日には金沢市埋蔵文化財センターにお邪魔して、金沢市内で最近増えている古墳時代前期(後半)の石製品類・未製品類をみせていただきました。途中から石川県立歴史博物館の三浦俊明君が加わり、午後2時過ぎには石川県埋蔵文化財センターの伊藤雅文さんも石製品資料の現物を持ってお越し下さいました。

ですから伊藤さんのご到着後には、いきなり「石製品関連遺物持ち寄り会」の様相となりました。センターの皆さんも、それぞれに調査を担当なさった遺跡の資料をお持ち下さり、さまざまな様相を直接確認することができました。ですからこうした会をもっていただけたことには多いに助かりました。

伊藤さんは腕輪形石製品のなかには内孔の穿孔にロクロをもちいない事例がかなりあることと、そういった資料の材質は軟質で硅化作用のみられない凝灰岩が多いことに注目されています。さらに同一の遺跡から、ロクロをもちいた穿孔が存在したことの証明ともなる刳り貫き円盤と、打割によって内孔を穿孔しようとして失敗した未製品とが共伴し、両者ともに軟質の石材であることがほとんどであることも同時に確認できるものですから、そうした奇妙な様相をどう理解すべきかについて深い関心をお持ちでした。

この点については私の関心ともまさしく一致し、このような臨時持ち寄り会が実現することになりました。お持ちいただいた資料も、ピンポイントでそこを突く資料ばかりでしたので大いに助かりました。夕方前には超ミニシンポの様相となり、今後の研究や議論の進め方についてまことに有意義な機会となりました。ご対応くださった金沢市教育委員会の皆様には心から感謝申し上げます。

夜は三浦君がセットしてくれた飲み会となり、伊藤さんと河村好光さんと語り合うことができました。昨年度に出した同成社の論文では、私は河村さんを「川村」と誤変換しており、そのことのお詫びと、今後の研究へのご支援をお願いしたところです。

さらに昨日14日には、午前中に石川県立博物館にて紡錘車形石製品を実測させていただき、三浦君の車で県のセンターへ。前日の持ち寄り会でお見せいただいた資料の実測と写真撮影をおこないました。

なおその場では西田さんという若手の調査担当者による新たな試みをご紹介いただきました。問題の材質2の原産地を確認し、材質の様相を実験にて確かめようというものです。最下段の写真は、西田さんご自身が作成された材質2の管玉で、鉄錐穿孔です。西田さんは旧石器がご専門だということもあって、管玉の荒割行程に鉄器をもちいた剥離があることを追求なさっています。故吉留秀敏さんによる管玉製作論を思い出して、着実に研究が進展していることを再確認させられました。

こうしてサバティカルを利用した瀬戸内と北陸の旅を終えました。持参した方眼紙は、今回もほぼ一冊を消耗しました。三浦君と伊藤さんには返す返すも感謝です。

着実に近眼と老眼は進んでいるので、実測をつづけられるのはいつまでかわかりません。しかし現物を実際に手にとって舐め回すかのように見つめ図化を進めるという作業は、私自身の存在証明のようなもので、楽しいものです。

全1ページ

[1]


.
flyingman
flyingman
男性 / O型
人気度
Yahoo!ブログヘルプ - ブログ人気度について
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31

過去の記事一覧

スマートフォンで見る

モバイル版Yahoo!ブログにアクセス!

スマートフォン版Yahoo!ブログにアクセス!

よしもとブログランキング

もっと見る

[PR]お得情報

ふるさと納税サイト≪さとふる≫
実質2000円で好きなお礼品を選べる
毎日人気ランキング更新中!
数量限定!イオンおまとめ企画
「無料お試しクーポン」か
「値引きクーポン」が必ず当たる!

その他のキャンペーン


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事