私的な考古学

丹沢山麓で考古学を学ぶ学生諸君との対話

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今年の網取遺跡調査でも、出土した貝殻をヤドカリに盗まれるといった「事件」がありました。

現場はI地区のI7トレンチ。第3層の上面で検出されたチョウセンサザエを翌日写真撮影しようとしたところ、翌朝には別の小型巻貝に置き換わっていたのです。

今回は後日談があって、その小型巻貝の貝殻も翌々日にはさらに小型の巻貝に置き換えられていました。写真はトレンチの脇で翌々日分の貝殻を手にする2年のI崎さんです。先島先史時代の貝塚(F地区)で2005年度に初めて経験して以来の久しぶりの出来事でした。

網取遺跡に住むオオナキナキオカヤドカリにとっては、廃村を迎えたために住民が貝殻を新たに持ちこまなくなって40年が経ちますので、既に新規の「入居宅」は枯渇してしまい、熾烈な居宅争奪戦の局面を迎えています。ここまでヤドカリのサイズを大きくしたのも、じつは人間であって、定住民が食糧残滓として供給する新たな貝殻に依拠してきた彼らヤドカリたちは、私たち人間が新たな「入居宅」を提供しない限り生存の危機(サイズの大型化の限界)に直面しているというわけです。

このような事態を迎えている現在、ヤドカリの生態調査を続けてこられた水谷さんや河野先生は、新たな貝殻の提供をすべきか否かの判断に迷っていらっしゃるようです。

関連する『西表島研究』掲載の研究論文を下記からご参照ください。

http://www.orrc.u-tokai.ac.jp/images/Publication/PDF-publication%20study%20review/2011/Study%20Review%20Iriomote-2011-Mizutani%20&%20Kohno.pdf#search='ナキオカオカヤドカリ';

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9月14日(日)
朝は快晴。ただし雲の多い天気となりました。9時には北海道キャンパスからの研修生に向けて私たちの調査の概要を説明しました。

昨日出土したマルタニシを河野裕美先生や水谷さんにもご覧いただき、意見交換をおこないました。河野先生からマルタニシの出土状況写真・遺物写真を早急に送るように要請がありました。折から展開し始めた研究テーマでもあり、今年度の生物学会誌に発表するとのことでした。遺跡からのバックアップができて嬉しく思います。

その後は各所で写真撮影をこない、本日夕刻までにおおむね全写真撮影を完了しました。残るは各所の図面作成です。各所で手分けして図面の作成に取り掛かってもらいました。

本日の掘削作業はI9拡張区とI6トレンチのみ。このトレンチについては南半部を第3スピットまで掘り下げ、第3層上面が現れたところで停止し、来年度以降の課題とすることにしました。この面での写真撮影を夕刻に実施。遺構らしき掘り込みが3基程度みつかりました。

今年は雨での休日もなく、思い返すと6日に休暇を取った以降は、明日の埋め戻しまで9日間連続無休での発掘調査となります。昼休みの様子をみると皆に疲労が蓄積されつつあることがわかります。あと1日の辛抱だからよろしく、と夜のミーティングでお願いしました。

9月15日(月)
朝は一時雨でしたが、その後急速に天候は回復し蒸し暑くなりました。北海道キャンパスからの研修生の次の班に向けて現地で説明を行いました。

G15から出土した少し興味深い貝類の埋納状況を河野先生にご覧いただきました。シャコガイの貝殻のなかに各種の貝が整然と並べられた状態で、その中には2個体のマルタニシが含まれていました。まるで子供のオママゴトの痕跡であるかのようですが、もう少し「送り」に近い性格の資料かもしれません。いずれにしても、偶然ではありえないと判断できる出土状態です。

実測作業を終えたI地区から埋め戻しを始め、午前中にはI9・I7の埋め戻しを終えました。G地区ではG15・G14の埋め戻しから始め、結局午後3時半には全地区の埋め戻しを完了。めでたしです。その後は機材の後片付けを進め、夕方にはそれも終わりました。

なお私は6日のシュノーケリングに参加できなかった1年のM本さんをカヌーに乗せてリーフエッジまで向かい、そこでのシュノーケリング。K森にも冨山大学のO君を連れていってもらうことにして同じくリーフエッジでのシュノーケリングをおこないました。幸い、M本さんにはウミガメを見せることができました。

夕食後には全員で出土遺物と器材類の梱包をおこない、それも11時前には完了。なによりです。これで2014年度の網取遺跡での現地調査は終了です。参加くださった皆さん、真にお疲れ様でした。

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9月12日(金)
朝、水の運搬を2艇でおこなってくださいました。浜で記念撮影後、前の記事で書いたとおり石井君は9時に網取を離脱しました。
G地区では第3層上面の検出に向けて掘り下げ(G16)と清掃(G15)を実施しました。本日はI地区からN崎さんをG地区に派遣し、フルイがけとG16の掘削をやってもらいました。昼前にはG15の写真撮影に漕ぎ着けました。その後G15では貝類出土状態の実測に向けた準備を進め、本日はトータルステーション「座標杭打ちモード」で基準点を落としました(担当はS藤・I浪君)。

G14は第3スピットまでの掘り下げとし、掘削を継続中です。なお井戸脇に設け、石垣の付設と井戸の設置との前後関係を把握する目的で設定したG17については、検出した礫の実測作業を丸一日1日実施しました(S崎さんの担当)。

I地区のI7トレンチでは昨日から作業を開始した西側半分のサブトレンチをさらに掘り下げる作業を実施し、本日夕方には暫定3層まで到達しました。そうすると南端では軽石とチョウセンサザエの集積が検出され、中央部ではパナリ焼の口縁部片が出土しました。なお3層上面に到達すると、とたんにマイマイの検出量が増加するとの所見をK島さんから聞きました。この面は一時期地表面であったことを示す痕跡なのかもしれません。

I9トレンチでも東半部のサブトレンチを暫定3層まで掘り下げ。磁器とパナリ焼片を検出。ただし遺構の確認はありませんでした。

9月13日(土)
朝、水の運搬(2艇)がありました。ただしスコールはなく明日以降の水不足が問題になっています。

本日はK森君に依頼して、来年度には再度開けたいと思うGトレンチ(2002年度春)の位置(ナカヌウダチから12m・南の区画から4mの位置を中心とする2×2mのトレンチ)を再確認したところ、現在大型水槽(アルミ製)を放置している場所に該当することが判明しました。報告書の記述を見直してみると、敷石遺構は表土下40cmの深さで検出され、直下は砂丘堆となっている。今回の?鶚層に該当しそうな位置になります。

G16では遺物出土状況写真撮影を昼前に実施し、午後から平面実測のための釘打ちに入りました。G15は本日朝から平面実測を始めています。G17は午前中に平面実測とレベル落としを終え、午後から礫の取り外し作業に取りかかりました。G14は北半部を第3スピットまで掘り下げて、午後写真撮影の予定。

I7のサブトレンチでは暫定3層の掘り下げを実施しました。パナリ焼片や貝類が出土しています。

ところで夕方、水谷さんのご指摘によりG16トンレンチ第?鵺層からマルタニシがまとまって出土していることが判明しました。「水田漁業」ないし「水田養殖」の一端を今回の調査では奇しくも証明したことになります。現場ミーティング後に貝集積の現地に残されたマルタニシを探したところ、2点を発見しました。その出土状況詳細は明日撮影することにしました。次回の科研費申請のテーマになりそうです。

網取での宴会料理

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9月11日の夕方、6日から参加してくれた石井龍太君の網取最終日ということで、日中には他の初参加の諸君への案内も兼ねて、メブシの墓ほか旧網取村をとりまく諸施設の見学会をおこないました。

最上段の写真はメブシ裏の丘陵からみた網取一帯の景観です。画面中央が集落域で、白い建物は昨年の台風で屋根の飛んだ屋外倉庫です。手前が水田域ですが、既に鬱そうとした灌木で覆われ、山際にはアダンが蔓延っています。2段目の写真がアダンの林の中でのショットです。

さて、本題は夕刻に行われた送別会の料理です。折から夕方には崎原さんがミジュンを差し入れてくださり、その量は18名全員が満足できるだけの充分なものでしたので、皆で刺身と唐揚げに舌鼓を打ちました。またオオタニワタリの新芽については作業の合間に皆で摘んで唐揚げに仕立て上げました。どちらも網取産の海と山の幸。真に美味です。

当の石井君は翌朝浦内のセンターで河野裕美先生に研究の現状と展望を報告することになっていました。ですから宴会で盛り上がる私たち他の調査団の面々を尻目に、当の主賓はプレゼンの準備と思考の整理に余念がなかったようです。要するに酔えなかったというところです。その意味は愛媛の田崎さんや北海道のN谷君なら重々ご承知のはず。

明けて12日朝9時、石井君は池田さんの用船で白浜に向かいました。集合写真は水汲み場と桟橋にて。水の運搬要員として男子学生は朝8時30分から出払っていましたので、そこで、ということになりました。アップするのは桟橋でのショット。彼はG地区(アルシケーヤ地区)を担当して学生たちを指導してくれましたので、G地区担当の面々との集合写真です。船が出る際には海洋学部生の真似をして、1年のI浪君が桟橋から飛び込んでくれました。石井君お疲れ様でした。

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