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書庫コラム

2016.06.07
キリンカップサッカー2016決勝
     日     本 1−2 ボスニア・ヘルツェゴビナ

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|宇佐美、清武のコンビで先制もすぐに追いつかれる

 6月7日に行われたキリンカップサッカー2016決勝で、日本は28分に先制するも、ボスニア・ヘルツェゴビナに2点を奪われ、逆転負けを喫して優勝を逃した。

 ブルガリア戦からは4人が入れ替わった。1トップの岡崎慎司は変わらぬも、香川真司が負傷した2列目にはトップ下に清武弘嗣が入り、両サイドを宇佐美貴史と浅野拓磨の国内組が並んだ。中盤から後ろは、ボランチとCBに変更はないものの、右SBには酒井高徳が起用され、ゴールは西川周作が守った。

 開始直後の2分には、FKから198cmの長身FWミラン・ジュリッチに高い打点からヘディングを叩き付けられて肝を冷やしたが、その1分後にはオフサイドだったものの左クロスから代表初先発となる浅野が頭で狙う。

 清武を中心にパスを散らしていく日本は、15分にその清武が決定機を迎える。左サイドで宇佐美、長谷部と狭いスペースでパスをつなぐと、ゴール前でフリーになった清武に縦パスが通る。前を向いた清武は右足を振り抜いたがシュートはバーに当たり弾かれる。得点にはつながらなかったが、日本のパスワークが光ったシーンだった。

 ただし、ブルガリア戦のように大量得点というストーリーは描けなかった。なぜならボスニア・ヘルツェゴビナの守備が強固だったからだ。彼らは高い位置からプレスを掛け、日本の攻撃を限定。全体をコンパクトにすることで日本の中盤にスペースを与えなかった。

 それでも日本は25分に宇佐美のフワっとしたクロスに浅野が飛び込み、そのこぼれ球を柏木がシュートする。だが、これも身体を張ったDFに防がれた。

 均衡を破ったのは28分。日本の個と組織が融合したことによるゴールだった。左サイドでボールを持った宇佐美が個の力を発揮すると、得意のドリブルでエリア内に侵入していった。組織としては、長友が外側をオーバーラップすることで、宇佐美のスペースを作り出す。深い位置までボールを運んだ宇佐美は中に折り返すと、走り込んだ清武が左足で合わせてゴールをこじ開けた。

 ただし、この後がいけなかった。29分、ピッチ中央でボールを奪われると、DFの背後にロングボールを供給される。これにCBの2人が対応できず、アルミン・ホジッチにヘディングシュートを打たれた。これはGK西川が間一髪で弾いたが、詰めていたジュリッチに押し込まれ、同点に追いつかれてしまった。

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|新戦力は奮起できず、相手のエースの2発に沈む

 前半を1−1で終えると、ヴァヒド・ハリルホジッチ監督は、柏木に代えて遠藤航を投入する。ボランチにゲームメイクよりも守備力であり、強さを求める交代だった。この交代により、長谷部がやや高い位置を取り、攻撃的な役割を担うようになるが、それが奏功する。48分には長谷部がボールを奪取すると、素早く清武に展開。清武から浅野にスルーパスが通り、好機を迎えた。その2分後にも長谷部からDFの裏に走る宇佐美へスルーパスが出た。清武、長谷部の2人が、DFの裏に走るアタッカー陣にシンプルにパスを出すことでチャンスを作ったのだ。

 ただ、ボスニア・ヘルツェゴビナがしたたかだったのは、日本の意図を理解し、試合の中で対応したことだ。守備に厚みを持たせることで、背後を警戒したのである。これにより日本はDFの裏を狙えなくなり、攻撃は停滞した。

 そして敵将が動くと、これが的中してしまう。65分、FKの前にボスニア・ヘルツェゴビナは選手交代を行うと、代わって出場したミロスラフ・ステバノヴィッチが右サイドでボールを受ける。そこからドリブルで切り込むと、斜めに走り込んできたジュリッチにスルーパスを通す。吉田がマークについていたが、ジュリッチは素早く右足で流し込むと、逆転となるゴールを決めた。

 ハリルホジッチ監督は、70分にDF槙野智章、74分に小林祐希、79分には金崎夢生、88分に小林悠と、立て続けに交代を図って流れを変えようと試みたが、ゴールを割ることはできず、1−2で敗戦した。

 結果だけを見れば、敗戦だが、それでも得たものもあった。次々と選手交代が行われ、初先発となった浅野をはじめ、遠藤、小林祐ら次世代を担う選手たちがピッチに立った。結果的に、彼らは勝利に貢献するプレーをすることはできなかったが、その悔しさを痛感したことだろう。

 香川、本田圭佑のケガによりトップ下で出場した清武にしても、チームを勝利に導くことはできなかった。だからこそ試合後には「このままじゃだめだ」と、苦い言葉をこぼしたのだろう。何よりアディショナルタイムに突入した93分、DFの背後でパスを受けた浅野は、この決定的な場面でシュートではなく、より確実なパスを選択した。結果、相手DFにクリアされ、シュートにはつながらなかった。決定的な場面で、弱気な選択をしたことを実感していたからこそ、試合後には自分自身を責め、涙を流していた。

 決定機はどちらにもあった。むしろ日本のほうが多かったかもしれない。だが、相手のエースはそのチャンスを確実にゴールにむすびつけた。浅野も、小林祐も、遠藤も、その強さを肌で感じ、見せつけられたことだろう。体感したその悔しさこそが、大きな財産となる。

文:SOCCER PUSH UP! 編集部
写真:佐野美樹

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