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|仙台に変化の予兆を感じた首位との一戦

 ベガルタ仙台が変わりつつある。予兆を感じたのは、DF渡部博文の言葉を聞いたからだ。

 5月4日に行われたJ1リーグ1stステージ第10節の川崎フロンターレ戦後だった。当時も首位を走っていた川崎を相手に仙台は善戦する。結果こそ1−1だったが、シュート数でも川崎を上回り、主導権すら握る時間帯もあった。試合後、ミックスゾーンに現れた渡部に声を掛けると、長身のCBは力強くこう語った。

「この試合からチームとしての戦い方を変えたんですよね。後方からもつないで、ゲームを組み立てようとトライしているんです」

 事実、仙台はパスワークに長ける川崎を相手に守備ブロックを敷くのではなく、前線からボールを奪いに行った。コースを限定すると、ボランチとCBでボールを刈り取る。奪っても、闇雲に縦へとロングフィードを狙うのではなく、ゆっくりと攻めるときは後方でパスをつなぎ、速く攻めるときは素早くサイドに展開するサッカーを見せた。指揮官である渡邉晋監督も「なるべく高い位置でプレッシャーを掛けて、ボールを奪いに行った方が、我々にとって利益が出るというゲームプランがあった」と振り返った。

 試合は70分に先制するも、その3分後に追いつかれて引き分けに終わったが、得点力のある川崎を相手に1失点。渡部の「手応えはありましたね」という言葉に、確かな復調の兆しを見た。

 その後、仙台は第11節でアビスパ福岡に2−0で勝利。第12節では大宮アルディージャに0−1で敗れたが、第10節の川崎戦までは3失点することも多かったチームは、明らかに堅守をも取り戻した。

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|近い将来、チャンピオンに辿り着くためへの模索

 だからこそ、仙台の変化を確かめるべく、5月21日に行われた第13節の湘南ベルマーレ戦へと足を運んだ。最下位に沈む湘南が相手とはいえ、アウェイゲームに臨んだ仙台は、アグレッシブに来る湘南に対して、特に前半はかなり優位に試合を進めた。

 ただし、川崎戦と違ったのは、後方からゲームを組み立てるのではなく、ボールを奪ったら素早く縦に攻撃を繰り出したことだった。これは渡邉監督も「湘南の前から来る圧力を考えれば、それをうまいこといなすよりも、(相手が)来てくれる分、シンプルに背中を取ろうというところで割り切ってゲームをすることが大事だと(選手たちを)送り出した」と認めた。

 押し気味で試合を進めた前半こそ得点を奪えなかったが、仙台は76分に狙いどおりのカウンターから途中出場したMF奧埜博亮が決めて1−0で勝利する。気がつけば、一時は17位に沈んでいた順位も13位まで上昇した。

 湘南戦では従来の堅守速攻をスタイルに戦ったが、それでも仙台には目指す未来がはっきりと映っている。渡邉監督がその変化について明言した。

「昨シーズンからですが、仙台は守備が堅く、堅守からカウンターに行くチームだということが、おそらく一般的な受け取られ方だという風に私も認識していました。でも、それだけでは近い将来、チャンピオンには辿りつけないだろうということも頭の中ではありました。じゃあ、それを覆すためには何が必要かというと、我々がボールを保持する時間を少しでも長くしなければいけない。現代サッカーを見れば、ポゼッション率が高いからといって勝利につながらないということは重々承知しているのですが、仙台というチームがこの先大きなチャレンジをするためには、そこにトライしなければいけない時期だと思っています」

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|確固たるスタイルを築くための新たなる挑戦

 試合後、ミックスゾーンにて再び渡部をつかまえると、指揮官と同じく、新たなるスタイルを構築しようとする、挑戦について話してくれた。

「正直、まだ、うちのスタイルって何かって聞かれたら、みんな、答えられないと思うんですよ。前線の高い位置から守備をするのも持ち味だし、トライしている後ろでボールを握って時間を作るというのも、スタイルを作る上では必要なことでもある。どんどん現代のサッカーに近づいていかないと。自分たちも今のままの順位では満足できないですし、前線を助けるためにも、ボールを握る時間をもう少し作れたらなと。そうしたら、もっともっと自分たちのスタイルというものが、この先、見えてくるのかなと」

 仙台は今、生みの苦しみを味わっている。すべては上に行くためである。渡部が続ける。

「間違いなく手応えは感じています。コンパクトって言葉で言うのは簡単なんですけど、なるべくFWの選手は前にいたいだろうし、後ろが重たくなってしまえば、それにFWも引っ張られて、後ろ向きでディフェンスすることになってしまう。だからこそ、オレとか、ヒラさん(平岡康裕)とか、カズキ(大岩一貫)で押し上げられたら、ボランチに近い位置にもいられるし、チーム全体の距離感がよくなる。純粋にもうちょっと『オレら(DF陣)でがんばってあげようよ』という話なんですよね」

 指揮官や渡部が言うように、すでに堅守速攻というベースはできている。今はまだ相手によって戦い方を選択せざるを得ない状況ではある。それでも彼らは上を目指すために、自分たちがボールを保持するサッカーに着手している。

 ミッドウィークにはナビスコカップで川崎と再戦する。新たなる戦い方にて手応えを感じた相手に対して、リーグ戦以上の結果を手にすることができるのか。生みの苦しみを抜けた先に未来はある——。

文:原田大輔
写真:佐野美樹


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