古今亭日用工夫集

最近はSNSに移行していますが…

世相

[ リスト ]

大前研一の「産業突然死」時代の人生論

東電賠償、政府の「めくらまし」のスキームを許すな――国民の納得できる「四原則」を提案する

2011年05月24日 


 東京電力・福島第一原子力発電所事故の損害賠償について、政府は5月13日、東電の補償を支援する枠組みを決定した。東電が上限なく補償の責任を負うことを基本に、新法で設立する「機構」が東電に資本注入して債務超過に陥らないようにする。機構には電力各社が「負担金」を納め、国も交付国債を拠出して支援財源とするという。


最終的には誰が負担し、どのくらいの額になるのか

 政府がこのようなスキームを作るときに注意しなくてはいけないのは、最終的な負担者が誰になるのかということ、すなわち「負担側を明らかにしていないこと」である。東電が上限なく負担できるわけもない。上限どころか、いまの財務諸表を見れば負担能力はほぼゼロである。

 したがって、電力料金の値上げか国債の発行しかない。つまり「国民負担」ということがいまから明らかなのだ。マスコミは「めくらまし」に過ぎないスキームを報道するのではなく、負担者が誰になり、その負担額がどのくらいになるのかをもっと追究しなくてはならない。

 またマスコミは、国が東電を相手に結んでいる原子力損害賠償補償契約(2011年度予算で2兆3000億円)を使えるのか、電源開発促進対策特別会計(電源特会)などを含むエネルギー対策特別会計(エネルギー特会)を崩すのか、などを明らかにすることが必要だ。特別会計や原賠契約などを使うことに関しては財務省が反対するだろうし、電力料金の値上げを認めれば原子力産業を推進してきた経済産業省のメンツは丸つぶれとなる。

 つまり、これを役所に任せておいてはにっちもさっちもいかなくなるので「政治の出番」ということになるが、政治家の発言を聞いていると、狙いの定まらないアドバルーンを上げているだけのように見える。


野田財務相の「国民負担の極小化」は正論だが……

(中略)

 その一方で、野田佳彦財務大臣は枝野発言に関連してこんなことを述べている。「(支援の枠組みは)国民負担の極小化を図るというのが基本原則」。可能な限り、税金や電気料金の値上げで賠償の財源を賄うべきではないというわけで、まったくの正論である。

 しかし、どうやってそれを達成しようとしているのか。隠れ財源である特会を預かる財務省の役人をぜひ説得してもらいたいものだ。財務省がその気になれば原子力、エネルギー、電源などの補償金や特会から5兆円程度は出てくるはずだからだ。それを念頭に入れての野田発言なら、何とも頼もしい。


国民の納得できる「四原則」を提案する

 いま国がやらなくてはいけないことは、「めくらまし」のスキームを作ることでも、あるいは大臣が担当省庁の利害代表としてアドバルーンを上げることでもない。通常の株式会社ならたどるであろう「破綻から再生までの過程」を念頭において、国民の納得できる「原理・原則」を打ち立てることである。

 原則の第一は、何が起っても停電を起こさないようオペレーションをする、ということである。いまのところ停止中の原子炉があっても東電管内では15%くらいの節電で夏のピーク需要を乗り越えられる見通しということであるから、それを確実に履行し、また国民も節電に協力することが肝心である。

 原則の第二は、東電の賠償原資としては東電の持つ資産の売却や国が非常事態や電源開発に備えて貯めてきた原子力賠償補償金やエネルギー関連の特別会計を、この際「非常時」と認定して、とりあえず全て吐き出すこと。すなわち、新たな国債発行や電力料金の値上げは絶対に避ける、という原則を打ち立てるべきである。

 第三は、福島第一原発の賠償責任は東電が負うと言っているが、実際には政府の発表の仕方や避難指示などの範囲がその賠償額を大きくしている事実に鑑み、可及的すみやかに避難解除、安全宣言ができるように政府は全力で取り組む、という原則である。おそらく半径5キロ以内の範囲は半永久的に住めない地域となるであろうが、その他の所は住民に線量計を着けさせるなどの方策を講じて、一刻も早く帰宅させるべきである。補償額は1カ月で1兆円くらいにはなると思われるので、これは重要な原則である。


菅首相は大原則を国民の前で約束すべきだ

 最後の第四の原則は、福島第一原発から得られた教訓を日本はもちろん世界中の原子炉に使えるように明文化し、原子炉を格段に安全なものとする作業にいまから取りかかることだ。それを東電にやらせるのではなく、国家が主体的に取り組むのである。

 首相や原子力安全委員会の班目春樹委員長が「言った」「言わない」の議論をしている場合ではない。震災5日後には「炉心溶融を認識していた」にもかかわらず、国民に対して何も言わなかった委員長など何の価値もない

 班目氏の「海水を入れたら再臨界の可能性はゼロではない」というくだりも超素人の発言である。このようないい加減な輩を原子力の安全に関する最後の砦としてきた政府も責任を取るべきだ。

 菅直人首相は、このような福島第一原発に関する国と東電の関与の仕方についての大原則を国民の前で打ち立て、約束すべきである。

(後略)




岸博幸のクリエイティブ国富論
【第140回】 2011年5月20日
岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]

菅政権の「発送電分離」発言は東電批判に迎合したリップサービスにしか聞こえない


発送電分離には政策的に3つの大きな意義がある

 日本の電力の供給体制の特徴を一言で言えば、発送電一体と地域独占になります。電力会社が発電と送電を一体的に運営し、かつ地域内(東京電力で言えば首都圏の1都8県)の電力供給を独占的に行なってきたのです。

 ちなみに、過去の規制緩和の流れの中で、海外と比較して高い電力料金の低廉化などを目的に、まず発電部門の自由化が、そして大口需要家に対する電力小売の自由化が行なわれました。その結果、今では電力量ベースで既存契約の63%が自由化の対象になっています。

 ただ、新規参入者も(発送電一体の)電力会社の電力供給網を使わないといけなく、かつ託送料(供給網の利用料)も電力会社が独自に設定できるなどの理由により、実際の電力販売に占める新規参入者のシェアは3%にも満たない状況になっていました。

 そうした状況の下で福島第一原発の事故が起き、被災者に対する損害賠償のスキームが決められる中で、発送電分離が声高に言われるようになりましたが、気になるのは、どうも「東電批判」「東電いじめ」の材料として官邸の政治家が発言しているように見えることです。

 しかし、発送電分離は政策的に3つの大きな意義があります。一つは、結果的に発送電分離につながる資産売却を通じて、損害賠償の減資を捻出することです。最近は官邸も東電に対して火力発電所の売却を打診したようですが、こうしたアプローチは非常に正しいと言えます。

 もう一つは、電力供給の安定化という観点です。必要な電力は一つの電力会社がいつでも安定的に供給するという体制は、福島原発のような大規模な事故が起きた場合に脆弱であることが明らかになりました。従って、供給の多様化や需要側の自助努力(自家発電など)が必要になりますが、そうした方向を促すには発送電分離が不可欠となります。

そして最後の一つは、原子力依存の低下です。原子力発電所は初期投資のコストが数千億円と膨大なため、そのコストは長期的にしか回収できません。つまり、電力の独占供給体制の下でこそ有効なエネルギー源なのです。発送電分離で電力産業の競争を促進することは、安全性をなおざりにしたまま国策で原子力を強引に推進してきた体制を見直すためにも、重要なのです。


(後略)





日本の原子力行政を徹底的に批判し、根本的かつ具体的な改革案を提示しているのは、ヒステリックな「反原発」論者ではなく、リベラル派が嫌う「構造改革派」(竹中平蔵、渡辺喜美、河野太郎etc.)である。

閉じる コメント(4)

顔アイコン

軽水炉は終わりました。
すぐさま熔融塩炉の開発を始めるべきです。

2011/6/1(水) 午後 8:12 [ ぬくぬく ]

顔アイコン

単純な「反原発」ではなく、次のステージへ向かう議論も進めたいところですが、現状では冷静な議論は難しいでしょうね・・・

2011/6/4(土) 午前 0:11 yjisan

顔アイコン

お久しぶりです。
博士号内定とのこと、おめでとうございます。
確定になりましたら、また記事にして頂けると嬉しいです。
約9カ月ぶりにブログを更新しましたので、また遊びに来てくださいね。

2011/6/4(土) 午後 3:58 [ tyu*ei*obu*hi*ika*suru*e*kyu ]

顔アイコン

こちらこそ、お久しぶりです。6月中には博士号が授与される見込みです。

2011/6/4(土) 午後 7:54 yjisan

開く トラックバック(1)


.
yjisan
yjisan
男性 / O型
人気度
Yahoo!ブログヘルプ - ブログ人気度について
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31

ブログバナー

検索 検索

よしもとブログランキング

もっと見る

プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事