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公開中の新作が話題の北野武監督のデビュー作。
唐突に噴出する乾いた笑いと、突発的に生起する不条理な暴力。この2つが分かちがたく結びつけられていることは、たけし演じる暴力刑事が終始にやついている事実からも明瞭だ。たけしの台詞回しはふざけているのかと思うほどだが、へらへら笑いながらごにょごにょと喋ることで、逆に底知れぬ凄味を生んでいると言えよう。得体の知れない存在感を醸し出す白竜の笑みも良い。
悪を憎む過剰な正義感を持つ刑事と、親分への過剰な忠誠心を持つ殺し屋。この2人には“際限”というものがない。殴る蹴るはもちろん、人を殺すことにさえ何の躊躇も感じない。その常軌を逸した徹底ぶりゆえに、周囲からは「きちがい」として疎外される。黒幕の仁藤や署長の吉成が「自分の立場」を強調するのとは対照的である。彼等のような保身に汲々とする俗物にとって、2人は恐るべき異邦人であり、理解不能な狂人でしかない。
結局、器用に立ち回ることなどできない両人は異端者同士、仲良く(?)激突するしかないのだ。死を全く恐れぬ虚無的な突進には、爽快感が一切ない。アウトローの美学が描かれることもない。興奮や熱気とは無縁な、どこまでも冷え冷えとした暴力の連鎖。ただただ絶望的で、狂気に満ちた結末。
薬莢の床に落ちる音が冷たく響き、不気味な静けさを印象づけている。
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