古今亭日用工夫集

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日常生活

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6月末に、ポンペイ展を見学した。
(昨年、東京でやっていた時には見逃した)
横浜美術館を訪れるのは久しぶりであった。



(公式サイトより引用)
2000年前の人々の鼓動を今に伝える、「ポンペイ展 世界遺産 古代ローマ文明の奇跡」 を開催いたします。
西暦79年8月24日。イタリア南部、カンパニア地方にそびえるヴェスヴィオ山が大噴火しました。ポンペイやエルコラーノなど周辺の街々は、一昼夜にして 火山灰の下に埋没し、当時の姿を残したまま、およそ1700年の眠りにつきます。


18世紀 半ばになると発掘作業が本格化し始め、この一帯に再び光が当たることになりました。ローマ帝国が最盛期を迎えつつあった時代の、人々の生活の 様子をまざまざと伝える ポンペイは、後世の人々にとってまさに、古代ローマ人の息吹を 感じさせる「奇跡の街」となったのです。

本展覧会では、ナポリ国立考古学博物館の全面的な協力のもと、ポンペイからの出土品を中心に、日本初公開を含む壁画、彫刻、工芸品、日用品など約 250点を紹介します。家々を飾った色鮮やかなフレスコ画をはじめとして、イタリア国外へは初出品となる約60点の銀食器群、ポンペイの郊外にある別荘から出土した浴槽および給湯システム、その床面を飾っていたモザイク画の展示は、本展 の見どころのひとつ です。豪華な宝飾品、 凝った意匠の家具や調度などからは、当時の富裕者たちの生活水準の高さがうかがえ、生きることを楽しむ古代ローマ人の姿が浮かび上がります。

また、1993年から、京都の古代学研究所(当時)によるポンペイ発掘調査が行われました。本展では、同調査隊が発掘した噴火犠牲者の型取りや遺品を併せて展示し、日本のポンペイ調査チームの成果を紹介します。


古代ローマ社会の姿をとどめたまま突然終末を迎えたポンペイの人々の暮らしぶりを、私たちはその出土品を通じてうかがい知ることができます。本展の展示品の選択にあたっては、当時の住まいはどのように飾られていたのか、どのような調度品があったのか、普段の食卓にはどのような食器が用いられ、特別な祝宴の席ではどのような準備がなされたのか、というようなことがイメージできるよう心がけました。食事の風景を描いた絵画。客を迎え入れるための大きな部屋や寝室の壁面から切り出された神話画。銀製の杯、彩色ガラスや水晶製品。客間に置かれていた青銅や大理石の彫刻。こうした展示品の中には、高価な材料で作られ、所有者の富を表わす指標となったり、手に入れた豊かな生活を誇示したいという欲望の象徴となっているものもあります。しかし、「贅沢」の追求には、美しいもの、稀少なものを誇示するだけではなく、当時のテクノロジーが提供しうる「快適さ」を求めるという側面もありました。今回、日本で初の展示となる浴槽とタンク、配管を含めた温水装置などがそれです。この装置は、ローマ世界で入浴によるボディケアがいかに重要視されていたかの証しでもあります。

本展ではまた、宝飾品、彫像、剣闘士の武具などを通じ初期帝政時代ローマの日常生活のさまざまな断面が再現されます。そうした生活の様子は、すでに18世紀にポンペイを訪れた最初の観光客が目にしていました。彼らは新たに発掘された遺跡を、単なる好奇心からだけでなく強い興味と関心をもって見つめ、ヴェスヴィオ山の火山灰が守り抜いたものに感銘を受けたのです。遺跡を目にした者の一人は、古代人も食器を使っていたことが明らかになったと書き記したほどでした。実際、古代の遺物を展示する博物館が来館者を惹きつける大きな理由は、先人たちと自分たちとの違いのありかたを探ろうとする好奇心と、結局のところはそれほどの違いはないと知って得られる安心感とにあるのです。自分を取り巻く環境をより暮らしやすく、快適にしたいと考える人間の思いは、どれだけ年月が経とうとも変わることはありません。今回の展覧会が、2000年以上も前の地中海沿岸で発達した文明を身近に感じる糸口となり、それとは全く異なる文化圏の人々が理解を深めることにつながれば幸いです。


(引用終わり)




繁栄を極めた町が一昼夜にして消滅してしまうことは世界史上でも珍しい。
まして消滅した年月日が正確に判明する事例は稀であろう。
更に、屋敷や道路、上下水道を含め、都市が丸ごと、
滅亡当時の姿のままで保存されたとあっては、
これはもう奇跡という他無い。

亡くなられた当時のポンペイの人々は誠にお気の毒だが、
ローマ帝国時代の暮らしを活き活きと今に伝えるポンペイ遺跡は人類の宝でもある。
ゲーテはポンペイの悲劇を「人類の歴史において、後世の人々に最も歓迎された災厄」と評したという。



プロローグでは発掘調査で見つかった噴火犠牲者の石膏型どりが展示されていた。
膝を突いて倒れている姿は生々しい。

第1章「ポンペイ人の肖像」では優れた肖像彫刻が多数展示されていた。執政官の彫刻なんかは、いかにも古代ローマな雰囲気がある。それにしても胸像の下のヘルマ柱のところに男根が付いているのは何故・・・??

第2章「信仰」では、ポセイドンやディオニュソス、ヘラクレスなど、ギリシア彫刻を規範とする神々の彫像が展示されていた。「ポンペイのビーナス」と名高いウェヌス像は美しかった。

第3章「娯楽」では、ポンペイ人の娯楽に関わる絵画や道具を展示。特にローマの娯楽を代表する剣闘技関係の展示が面白かった。剣闘士が身につけていた兜や脛当、短剣は美術的にもかなり凝ったものである。なおポンペイにあったコロシアム(遺跡として現存)の収容人数はポンペイの人口より多かったそうで、近隣の市民も観戦に来ていたことが想定される。まさに「パンとサーカス」だな。

第4章「装身具」では金の首飾りが凄かった。


第5章「壁画」は圧巻。長く伝えていくことが困難な壁画が、火山灰で町全体が埋め尽くされた結果、2000年の時空を超えて、ひとつの都市にまるごと保存されていたため、数世紀にわたる時間軸で様式の変遷をたどり、また建築物や部屋の機能に即して空間軸で壁画の意味をさぐることもできるので、美術史的に非常に貴重とのこと。
まあ壁画部分だけ剥がし取って額装する例も結構あったみたいだが。
主題も静物、風景、風俗、神話と多岐にわたっているため、当時の人々の生活感情や美意識、思想を知る上でも重要な資料らしい。
今回の展示では特にクピド(キューピッド)が目立ったが、ポンペイの守護神がビーナス(アプロディーテー)であることと関係しているのか?

フレスコ画は背景が赤色のものが多い。2000年前のものとは思えない鮮やかな赤で「ポンペイ・レッド」と呼ばれている。


第6章「祭壇の神々」では家の祭壇に飾られる小さなブロンズ製の神像を展示している。来館者が多かったので、あまり良く見られず・・・・・・


第7章「家具調度」では、本企画展の目玉の1つ、実際の遺物を基に再現された浴室が公開されている。非常に合理的な給湯システムに驚く。浴室の床を飾ったモザイク画なんてのもあった。イルカを描いたものらしいのだが、全くイルカに見えない。


第8章「生産活動」は歴史家にとっては最も興味深いコーナーか。ポンペイは当時ぶどうの産地でワインの醸造が主要産業であった。ここまでは有名だが、魚の塩漬けを発酵させてつくるガルム(魚醤)という調味料の生産も盛んだったという。ガルムは壺売りだったようで、ガルム壺の実物だけでなくガルム壺の絵も発掘されている。ガルム壺が壁に描かれている屋敷は、ガルムの商売で財を成した商人が住んでいたんだそうだ。


第9章「饗宴の場」には、快楽の町・ポンペイを象徴するような品々が展示されている。饗宴の情景が描かれた壁画のみならず、ポンペイの富裕層の住宅から出土した、銀で作られた華やかな食器も鑑賞できる。銀食器の表面にはバラやツタなどの草花、鳥や動物が彫られており、古代ローマの高い技術を垣間見ることができる。


第10章「憩いの庭園」は、庭園を飾る水盤や噴水彫刻などを展示するコーナー。しかし古代ローマの彫像は果物を持っているパターンが結構多いようなのだが、何か象徴的な意味合いがあるのだろうか??



会期終了間際に行ったので、かなり混んでいて鑑賞しづらい部分もあったが、展示そのものは非常に充実していて、たいへん見応えがあった。


とっくに終わった展覧会ですが、感想を書き忘れていたのでアップ。


日本人に人気のルノワールということで、会期半ばの平日にもかかわらず、結構な数の来館者がいましたが、スペースにゆとりのある国立新美術館での開催ということもあり、混雑のせいで鑑賞が苦痛になることはありませんでした。


風景画や身近な人をモデルにした肖像画が中心の第1章、裸婦画主体の第2章、静物画と装飾画を集めた第3章、注文制作の肖像画をはじめとする絵画の中に登場するファッションに光を当てた第4章と、テーマ別の構成。各章においては時系列に沿って絵を並べ、筆触分割を駆使した光り輝く印象派から、明確な輪郭線と豊かな量感を表現するアングル様式への傾倒を経て、晩年の人物と風景が渾然一体となった画風、といったルノワールの試行錯誤を示しています。

最後まで創意工夫を続けた進取の気性に感銘を受ける一方で、画風の変化にもかかわらずルノワールの絵画に共通する魅力としての親しみやすさも強く感じました。鮮やかな色彩が乱舞する印象主義時代の作品であっても、画面全体の色遣いにはまとまりが見られますし、印象派から離れて以降の作品においても柔らかな光の効果は常に追究されています。華やかにして穏やか。「絵は好ましく、楽しく、きれいなものでなくてはならない」と語ったルノワールの面目躍如です。


装飾芸術に注目した第3章、当時の流行最先端の帽子などルノワール作品に特徴的な女性の衣装に焦点を絞った第4章は、切り口としては非常に面白かったのですが、結果的に時系列が行きつ戻りつすることになり、画風の時期的変遷という意味ではやや分かりにくくなった憾みもあります。いかんせん総花的になってしまい、テーマが集約されていないように感じました。

たとえば、ルノワールは女性のファッションに深い関心を寄せていましたから、東京都美術館の「芸術都市パリの100年展」のように、(画風の変遷を追うといったオーソドックスなアプローチは捨てて)風俗史的なコンセプトで一貫させることもできたはずです。逆に「ともかく集められるだけルノワール作品を集めてみよう」的な発想なら、単純に時期で区切った方が分かりやすかったのではないでしょうか。
ただ、特設コーナーで紹介されていた、ポーラ美術館が行った、最新の光学調査に基づくルノワールの絵画技法の解明という試みは面白かったですね。人体と背景とのシルバーホワイト(鉛白)の使用量の違いや、画風の変化に対応したエメラルドグリーンからヴィリジャンへの移行など、絵の具の使用法に基づく興味深い指摘が多く見られました。


個々の作品は非常に素晴らしかったです。「シャトゥーのセーヌ河」「ジュリー・マネの肖像」「闘牛士姿のアンブロワーズ・ヴォラール」「泉による女」などは「ルノワール+ルノワール」など他の展覧会で鑑賞した記憶があります。
「帽子の娘」は所蔵館である損保ジャパン東郷青児美術館で鑑賞しました。「ルノワールはすべてをバラ色に見る」とはモーパッサンの言葉だそうですが、言い得て妙ですね。実際、〈薔薇の花と女性〉という組み合わせはルノワールが最も好んだモチーフで、本展示でも「帽子の娘」の他、「花飾りの女」などが出品されています。

「団扇を持つ若い女」はジャポニズム全開の作品で、日本人としては外せないですね。

「ブージヴァルのダンス」は踊っている女性(ヴァラドン、ユトリロの母)のどこか恥じらうような様子が可愛らしいですね。男性の顔が隠れているのも何やらいやらしい(笑)
形態・描線を重視する古典主義の影響を受けつつも、背景の色が人々の肌や髪や服装にも加えられており、全体の調和が図られています。配色のバランス感覚にこそルノワールの真骨頂があります。
代表作「ムーラン・ド・ラ・ギャレット」もそうですが、やはりルノワールは人々が集う祝祭空間を描くのが非常に上手いです。風景画も肖像画も得意としたルノワールならではでしょうね。

一方で日常風景も好んで描いたルノワール。「縫い物をする若い女」は全体的に青みがかった色調でまとめられているにもかかわらず、冷たい印象を受けず、落ち着いた美しさを見せています。ルノワールは花を描いた静物画について、それは裸婦の肌の表現のための実験であり、花の実験を通して得られた色彩表現の成果を裸婦画に応用する、と語っており、花を女性美の象徴として描いていたようです。花と若い女性を対置させた本作はルノワールの美の志向性を示すものであり、エネルギッシュで非日常的な裸婦画とは違った味わいがあります。当時の人々の生活風景を知る上でも貴重な資料と言えるでしょう。



「ド・ボニエール夫人の肖像」は、上流階級の女性からの受注生産のため、注文主の意向が強く反映されており、典型的なルノワール作品とは雰囲気がだいぶ異なります。当時の上流階級ではスレンダーで肌が青白い女性が美しいと見られており、夫人も肌を白く見せようと、描かれる直前に冷水に手を浸していたそうです。そうした努力のかいもあってか、夫人の手の甲には青い静脈が浮き出ており、青いドレスと相俟って(更に言えば背景の赤とのコントラストによって)痩身が強調されています。なお、前髪を下げ、髪を頭頂部に丸くまとめて結い上げる髪型や、ウエストをコルセットできつく締めて砂時計のようなシルエットを作るドレスはこの時代のファッションのモードであり、同時期の作品「髪飾り」(本企画展に出品されています)でも同じスタイルの女性が描かれています。

しかし、ふくよかで血色の良い肌の女性が好みだったルノワールは健康的なイメージから程遠い彼女を描くのが苦痛で、親しい人たちに不満を洩らしていたそうです。





図録は2000円。この内容なら安いと言えるでしょう。薄利多売方式ですかね。それにしても国立新美術館、今年の企画展はポスト印象派にゴッホですか・・・あまりに売れ線狙いですね。

国立新美術館は収蔵品(コレクション)を持たず、(余所から美術品を借りてきての)企画展や公募団体への展示スペース貸与に特化した施設ですから、企画展の観客動員数によって存在意義をアピールせざるを得ないのは分かるのですが、あけすけすぎますね。ハード面の充実に比してマンパワーが弱いのが現状ですから、学芸員さんたちが悪いわけではないのですが、テレビ局や新聞社とタイアップした派手で大規模だけれども中味が空虚な企画を連発していると、「自ら資料を収集し保存することがない施設が美術館を名乗って良いのか」という、発足当初から存在する批判が一層高まるのではないでしょうか・・・・・・

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(公式サイトより引用)

星新一展
2010年4月29日(木・祝)〜6月27日(日)
開館時間:10:00〜18:00
(ミュージアムショップは17時まで。展覧会入場は17時30分まで。)
休館日:毎週月曜日(ただし、5月3日は開館)
観覧料
一般700円(560円)
高大生500円(400円)
65歳以上・障害者350円(280円)
※中学生以下は無料
※()内は20名以上の団体料金
※5月22日(土)は無料
主催
(財)せたがや文化財団 世田谷文学館
特別協力
星香代子 最相葉月
協力
星ライブラリ 新潮社
日本SF作家クラブ
後援
日本推理作家協会 エヌ氏の会
世田谷区 世田谷区教育委員会



「ボッコちゃん」「おーい でてこーい」など、かつて子どもだった〈あなた〉が、心躍らせて読みふけった星新一の本。そして、おとなになった〈あなた〉から、未来へと手渡されていく星新一の本。幾世代にも愛され、読み継がれている作家、星新一とは、いったいどんなひとなのでしょうか。


東京大学大学院(農学部)在学中、父の急逝により会社を受け継ぐものの、悪化していた経営状況により会社を手ばなしました。その後、執筆活動を本格的に開始し、日本SF文学の旗手として脚光を浴びることになります。

SF作家として意欲的に作品を書き続けた星新一は、「ショートショート」という、時代・風俗を特定せず、エッセンスを凝縮して読者の想像力を喚起させる独自のスタイルを確立し、前人未踏の1001話を達成します。


また星新一は、私たちが迎えている現代の社会を、まるで預言者のように鋭く描いている作家でもあります。現在のネット社会を予見するような過剰なまでの情報化社会、ヒトとロボットが共存する生活…。私たちが今、星新一を読むということは、現在を深く知り、その先の未来を想像しながら、五感をフルにはたらかせて作品と向き合うことではないでしょうか。

星新一とは、歴史と現在を見据え、未来をともに生き続けていく作家なのです。

本展は、没後10年以上を経てなおゆるぎない人気の星新一、初の展覧会です。自筆原稿や創作メモ、愛用品など約300点で、作家・星新一の素顔と、その作品世界を紹介します。星新一作品から発する大きなエネルギーを存分に受け取り、〈あなた〉の未来を描く力にしていただきたいと思います。

(引用終わり)



先月末に行ってきた。

没後10年以上経っているのに初の展覧会であることに驚かされた。
やはり知名度の割に文学的評価の低い作家なのだろうか。

そんな星新一の展覧会が今頃になって開催されることになったのは、
最相葉月氏の『星新一 1001話を作った人』のインパクトによるものだろう。

今回の企画展にも最相氏が「特別協力」として関わっている。
そのため、企画展の内容も『星新一 1001話をつくった人』の影響を強く受けている。
というより、依拠しすぎで、独自の視点があまりないような気がする。
たとえば、今回の企画展で紹介されている、
星の小学生時代の作文、鍵の付いた帽子、父・星一の波乱の生涯、唯一の弟子・江坂遊との交流などは、最相氏が着目した要素である。
まあ、あの本の理解を助ける実物資料の展示と考えれば良いのかもしれないが。


有名な、切り抜かれた創作メモや、一紙にびっしりと細かい字で書かれた下書きの実物を見たのは当然ながら初めてで、興味深く拝見した(写真は最相氏監修の『星新一 空想工房へようこそ』で見たことがあったが)。
星の几帳面な性格は生来のものらしく、子供の頃に新聞などの切り抜きを貼ったスクラップブックも展示されていた。スクラップブックには目次まで付いており、良く整理されている。
星のデビュー作「セキストラ」は、セキストラという名の(架空の)電気的性欲処理機に関する新聞記事の集積という変わった体裁を取るショートショートであるが、その原点は案外、少年時代のスクラップ体験にあるのかもしれない。


『進化した猿たち』へと結実する、星が蒐集した海外一コマ漫画のコレクションも展示されていた。ショートショートの第一人者だけに「究極のショートショート」と言える一コマ漫画を集めるのが好きだったというのは如何にもである。
もう1つ「星新一らしい」趣味と言えば、根付の蒐集であるが、根付の蒐集は祖父・小金井良精の影響で始めたもので、祖父の形見を元に星が買い足すという形でスタートしたらしい。星のSF作品の根底には、根付や落語に象徴されるような「江戸っ子の粋」が潜んでいるが、それも元を辿れば祖父の影響ということになろうか。


真鍋博・和田誠による星作品の挿絵も展示されており、モノクロになりがちな文学作品紹介に彩りを添えている(最近、別のイラストレーターの手で星の文庫作品の表紙が一新されたことを、今回の展示で初めて知った)。



ところで本企画展は、星新一の家族関係などを詳細に解説する割に、星の作家人生に関する説明が意外と少なかった。
星製薬の経営不振、日本空飛ぶ円盤研究会への参加、「セキストラ」「ボッコちゃん」の発表など、デビュー前後の状況については詳しく紹介しているが(初期作の下書きに使われている用紙が星製薬のものであるのには苦笑)、あとは日本SF作家クラブ会長就任にショートショート1001話達成、そしてショートショートコンテストについて触れる程度である。
科学ブーム、SFブームの1960年代には、星は時代の寵児であったのだが、その全盛期の星に関する記述が存外に乏しいのは、奇妙である。


星が、時代の変化に左右されない、普遍的な人間性を主題とした「現代の寓話作家」であったことを強調したいからであろうか?
晩年の星は「見事なオチ」やSF色を排し民話・童話的な作品を書くようになったわけだが、もしかすると、その晩年の作風を完成型と捉えて、あえて全盛期の紹介を省いたのだろうか??

しかし、小説家の作風の変化を指摘するのは、作家論の王道だと思うのだが・・・・・・


ともあれ、全体としては面白い展示であった。今回特に感銘を受けたのは、星新一の物持ちの良さ。家が広いということもあるのかもしれないが、普通こんなもの捨てちゃうんじゃないか?という物まできちんと残している(だからこそ最相氏は星新一の子供時代を叙述する資料に事欠かなかったのだ)。それにしても星製薬の元社員から来た『人民は弱し官吏は強し』の感想の手紙。これを読んだ星新一はきっと泣いただろうね。あの感想文が来ただけでも、書いた甲斐があった、と思えるほどに。

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(公式サイトより引用)
【特別展】
モーリス・ユトリロ展 −パリを愛した孤独な画家−
 

モーリス・ユトリロ(1883〜1955年)は、ルノワールら著名な画家のモデルをつとめ、自身も画家として活躍したスュザンヌ・ヴァラドン(1865〜1938年)の私生児としてフランスのパリで生まれました。本展はアルコール依存症の治療のために絵画制作をはじめた「モンマニーの時代」から「白の時代」、「色彩の時代」まで、90余点でユトリロ絵画の画業の変遷を具体的にご紹介します。
なお、本展の出品作品はすべて日本初公開の作品としてお楽しみいただきます。
   
開催概要
 
会   期 2010年4月17日(土)〜7月4日(日)
月曜定休 ただし5月3日は開館
会   場 損保ジャパン東郷青児美術館
〒160-8338新宿区西新宿1-26-1損保ジャパン本社ビル42階
開館時間 午前10時から午後6時まで、金曜日は午後8時まで
*入場は閉館の30分前まで
料   金 一般1000(800)円
大学・高校生600(500)円
シルバー〈65歳以上〉800円
中学生以下無料
※( )内は前売りおよび20名以上の団体料金
※前売り券はチケットぴあ、ローソン等でお求め下さい(4月3日発売)
主   催 損保ジャパン東郷青児美術館、日本経済新聞社
協   賛 損保ジャパン、みずほ銀行
協   力 日本貨物航空、カトーレック
企画協力 イズアート

(引用終わり)


招待券が手に入ったので、先日行ってきました。
個人的には印象派ならシスレー、エコール・ド・パリならユトリロが好きです。
……と言いつつ、ユトリロに関しては「白の時代」の作品ぐらいしか鑑賞したことがなかったので、ユトリロの画業の変遷をたっぷりと見せてくれるこの企画展は願ってもないものでした。


自然よりも人工構造物、しかも漆喰の壁や舗装された道路を描くのを好んだユトリロは異色の画家と言えましょう。彼はアルコール依存症のために入退院を繰り返し、家でも一室に閉じこめられました。生涯を通じて監禁されたとさえ言えるこの画家は、鉄格子のはめられた窓から、路地裏の風景を描き続けました。キャンバスに表現されたのは、「華の都」パリの裏の顔でした。

いわゆる「白の時代」においては、アルコール依存症に苦しめられたユトリロの陰鬱が絵に反映され、重苦しい雰囲気になっています。しかし、にもかかわらず、単に暗いのではなく、詩情を感じさせるところに、この画家の「白」の美質があるわけです(ユトリロは漆喰の白壁を表現するために石灰や鳩の糞、朝食に食べた卵の殻を絵の具に混ぜたそうです)。
ありふれた街角のはずなのに、画面の奥へと進むと、異世界に迷い込んでしまいそうな感覚。退廃的な生活を送り精神を病んでいたにもかかわらず、いや、精神がギリギリまで追い込まれているからこそ、研ぎ澄まされた繊細な美しさを生み出すことができたのでしょう。



しかし「色彩の時代」の作品群はやっぱりイマイチですね。硬く明快な輪郭線と輝く豊かな色彩によって、危険な香りというか、尖ったところが無くなってしまったんですね。
今回の企画展では1914年と1923年にほぼ同じ構図で描かれたラパン・モジル(モンマルトルにあった酒場)の絵が展示されていましたが、前者の方が断然優れています。

画家として成功して経済的に安定したからか、母や義父の管理により酒量が減ったからか、絵画の量産が顕著になったからか、私には理由は良く分かりませんが・・・・・・


晩年のユトリロは強い輪郭線と強い色彩をやめ、一見すると「白の時代」に回帰したかのようにも見えます。しかし緊張感の無いタッチや雑な仕上げ、無味乾燥な色調は「白の時代」と似て非なるものです。画業の衰えをこうもあからさまに見せつけられると、悲しい気持ちになります。

結局ユトリロは、彼を「金蔓」とみなす周囲の人間に食い物にされたことで、画家としての輝きを失ってしまった、ということなのでしょうか。彼は愛を求め続けていたのに、彼を真の意味で理解し、愛してくれる人がいなかったところに、ユトリロの悲劇があります。
あまりに傷つきやすかった天才画家の寂しすぎる人生に合掌。

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2月7日から“半分解消”…石神井公園駅周辺の開かずの踏切

1月30日22時46分配信 レスポンス

東京都・練馬区・西武鉄道は1月30日、連続立体交差事業の高架化工事が行なわれている西武池袋線石神井公園駅の一部を一般に公開した。来場者は、2月7日から稼動する同駅上り電車の高架ホームや線路上を歩き、真新しい軌道や資料パネルに目を向けていた。


一般公開現場から離れ、同駅の両端にある踏切へ行くと、クルマと人の長い列ができていた。

平日の朝7時から9時にかけて、同駅を通過・停車する上下列車の合計数は毎時50本弱で、約1分20秒に1本の割合で電車が往来することになる。同駅西側にある富士街道の石神井公園第1号踏切も、いわゆる“開かずの踏切”だ。

練馬区在住の男性ドライバーは、「この場所で踏切につかまっちゃうと、運が悪いときは10分以上も足止めをくらう。上り電車の矢印が消えて踏切が開くと思ったら、今度は下りの矢印が点いて、とね」という。

この富士街道の石神井公園第1号踏切を通る路線バスもある。吉祥寺駅と成増町を結ぶ吉60系統の西武バスだ。同社は「踏切手前の渋滞を見込んだダイヤを設定しているが、それでもラッシュ時などは大幅に到着が遅れる」と話す。

前出のドライバーは「これで立ち往生する確率が半分減ってくれればいい」と期待するが、いっぽうで「上下が高架化されないと、あまり変化は見られないのでは」という住民の声も。

踏切の長さは約半分短くなるのは確か。上り線が高架化されたあと、富士街道・石神井公園第1号踏切の長さは現状の13mから7mに短縮される。

この石神井公園駅周辺の「池袋線連続立体交差事業・複々線化事業(1期工事区間)」は2011年度末の完了を目指し、現在も整備が進められている。
(引用終わり)



というわけで、
長年、地元住民の念願であった高架化が2月7日に半分だけ実現しました。
すなわち上り線だけ高架。下り線も高架になるのは2011年度末ということですから、
工事の完了はまだまだ先。
しかもそれはあくまで1期工事区間のみの話です。
すなわち1期で高架になるのは、
石神井保険相談所前の踏切(第3号踏切)までです。
最終的には大泉学園駅の手前(第8号踏切)まで高架になり、そこから大泉学園駅へと下っていきます。

ともあれ、ようやく高架複々線工事の成果が目に見える形で現れたことは感慨深いですね。
高架化の計画は十年以上前からあったのですが、現実化するまでに随分と長い時間がかかりました。
1月30日の地元説明会にはたくさんの住民が参加し(用意していた配付資料があっという間になくなる)、地元の期待感の高さを改めて感じました。


何しろ、あの「開かずの踏切」は本当にひどいんですよね。上の記事では「10分以上足止めを食う」とありますが、20分近く待たされることも珍しくありません。上りの高架で待ち時間が少しでも短くなることを願っています。


上りホームは見晴らしが良いだけでなく、従来よりも広くなり、しかもエスカレーター・エレベーター、冷暖房完備の待合室も完備されています。


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