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アンディ・ラウ、トニー・レオンの香港二大スターが競演した犯罪映画の傑作。
警察に潜入した香港マフィアのラウと、香港マフィアに潜入した警察官のヤンが、己の素性を隠しつつ相手側スパイの正体を暴くべく熾烈な知能戦を繰り広げる。
何よりアイディアの勝利と言える。
麻薬取引と麻薬捜査が同時に進行する冒頭の騙し合いは、巧みなカット割りもあって、緊迫感に溢れていて面白い。
(まあ、あそこまで大胆にリークするのは危険な気がするが・・・)
ラウとヤンのどちらが相手を出し抜くかという展開を予想していたが、映画後半からは二転三転のどんでん返しで、画面に釘付け。良くできた脚本だと思う。
お目当てのトニー・レオンはさすがの好演。犯罪組織への長期潜入に嫌気がさし、早く警察に戻りたくて仕方がないのだが、マフィアの「仲間」たちにも情が移ってきてしまっている。その辺りの複雑な心情の機微を繊細な演技で表現していた。非情になりきれない優しさが印象的。
だが圧巻は、アンディ・ラウだろう。冷徹非道に見える彼だが、警察で昇進を遂げ婚約者も得たことで、「普通の生活」に憧れ始める。しかし、そのためには組織を裏切らなくてはいけない。鉄面皮の底で感情がさざ波を立てる。苦悩と葛藤の滲み出し方が絶妙であった。
組織を抜けて「善人」になることを希求するラウは、それがゆえに己の手を血で染めていく。マフィアとしての過去を抹消するために罪を重ねるその姿は矛盾に満ちており、「善人」になろうと足掻けば足掻くほど墜ちていく。まさに原題通り「無間道」(無間地獄)である。
ヤンの上司やマフィアのボス、ヤンの兄弟分など脇役も味わい深い。
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