古今亭日用工夫集

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久々に再読。



終戦間際の昭和20年8月1日に旧制松本高等学校に入学した作者は、敗戦直後の混乱した社会を、高校生として体験した。やがて作者は動物学者への夢を父・斉藤茂吉に語るが、医者でもある茂吉の強硬な反対に遭い、やむなく東北大学医学部に進む。だが作者は精神医学の勉強をしつつも文学にのめり込んでいく…… そうした青春時代の思い出をユーモラスに語るマンボウ・シリーズの傑作。

軍国色が一掃された松高では、学生自治が高揚し、複雑怪奇な授業が展開した。特に作者の属する思誠寮西寮は、奇人変人の巣窟であり、自由奔放で狂熱的な寮生活が繰り広げられた。


今とは比較にならないほど貧しい戦後日本で送った青春時代。衣食住、全てにおいて最悪の高校生活、寮生活。にもかかわらず、その日々は輝いており、実に楽しそうである。「ノスタルジーによる美化」の一言では片づけられない活力が、そこにはある。だいぶ昔に書かれた作品だが、モノで溢れかえりつつも閉塞感が漂う現代においてこそ、読み返されるべき名著である。


アメリカ国立第二公文書館に眠っていた機密文書「CIA文書正力松太郎ファイル」。その資料を発見した著者は驚嘆した。
そこには著者が長年探し求めていた「正力松太郎による日本へのテレビ導入に隠された真相」が全て記されていたのである・・・! つまり、CIAが極秘に正力を支援する作戦の全容が記録されていた。正力は、CIAから“PODAM”というコードネームを与えられた協力者だったのだ!!


本書の扇情的な題名から、安手のスパイ小説のようなおどろおどろしい話を想起する人も少なくないだろうが、本書の視野はもっと遠大なものである。日本テレビこそが、戦後日本を作り今なお日本と日本人を呪縛している「アメリカ対日心理戦」の核心であり、ゆえに日本テレビ創業の裏側を明らかにすることで「日本の戦後」の実相が浮かび上がってくる、と著者は説くのである。

したがって本書は、日本テレビ(いわゆる日テレ)の創業者であり「テレビ放送の父」と賞賛されてきた正力松太郎の実像への接近を通じて、アメリカの反共戦略の中に戦後日本が知らず知らずの内に組み込まれていった過程を詳細に描き出した力作と言えよう。


CIA の後押しを受けて正力松太郎が当初ぶちあげた計画は、実は「テレビを含む国際通信のためのユニテル・リレー網計画」であった。すなわち、テレビに留まらず、地域ラジオ、軍事ファクシミリ・テレタイプ、天気図をはじめとするデータ放送、警察無線、列車通信、航空・防空管制など、主に軍事的目的に利用されるマイクロ波通信網の建設だったのである。日本を極東における「反共の砦」として機能させようというアメリカの冷厳な世界戦略に乗る形で、正力の日本テレビ創業計画は進められていった。
正力はアメリカにとって“駒”でしかなかった。日本テレビの設立は、正力やその懐刀の柴田秀利が生前に語ったような、夢と理想に満ちた成功物語ではなかったのである。

だが後世の人間である我々にとって周知のように、正力が実現したのは日本テレビの創業に留まった。「ユニテル・リレー網計画」という正力の、またアメリカの壮大な構想はなぜ挫折したのか? それには日本の政治情勢が密接に絡んでいた・・・・・・




正力の背後に見え隠れする「黒幕」たち=ジャパン・ロビー(米政界内の反共親日派)の広範な人脈を丹念に炙り出していく前半は、説得的ではあるが、やや単調。いかにも研究者が書いた、という感じ。
しかし日本テレビ開局をめぐって、正力をはじめ、吉田茂(当時の総理大臣)、犬養健(法務大臣)、佐藤栄作(郵政・電気通信大臣)、池田勇人(通産大臣)、緒方竹虎(副総理)、鳩山一郎(吉田の最大の政敵)、重光葵(改進党総裁)、梶井剛(電電公社総裁)など政界・官界の大物、更にNHKや毎日新聞・朝日新聞など競合マスコミの思惑が交錯し、彼らが権謀術数の限りを尽くして熾烈な権力闘争を繰り広げる様を活写する後半は非常にスリリング。


ただ、それも所詮は「コップの中の嵐」で、アメリカの掌の上で踊らされていたのかと思うと、少し虚しい。「ユニテル・リレー網計画」は失敗に終わったが、開設された日本テレビは「対日心理戦」の要としてアメリカの予想以上に機能した。かつて「鬼畜」と罵った旧敵国アメリカを、東京大空襲や原爆投下などの無差別虐殺を行ったアメリカを、日本人は敬愛するようになっていった。GHQという「占領軍」がいなくなった後も、日本人の心はアメリカに「占領」され続けたのである。

日本の政治家とマスコミ、そして日本国民が、「親米」という名の対米従属のメンタリティーから脱却できる日は来るのだろうか?

黒木亮『アジアの隼』


アジア通貨危機と長銀破綻を素材に、1990年代後半の激動のアジア経済を活写した国際経済小説。

本書の主人公は、日本長期債券銀行(長債銀、長銀がモデル)に勤める真理戸潤だ。ドイモイ政策で外国からの投資に沸くベトナムに赴任した真理戸の目を通して、賄賂が横行するアジアのエマージング(新興国)の政治風土と、ディールを獲得するためには手段を選ばない米系投資銀行の企業文化がリアルに描かれる。



バリアでの巨大発電プロジェクトをめぐって繰り広げられる大手米銀ハノーバー・トラスト(バンカーズ・トラストがモデル)の香港現地法人の松本賢治ことヴー・スアン・シン(ベトナム系日本人)との死闘は手に汗握るものだが、もう1人の主人公である、香港の地場証券会社「ペレグリン(隼)」の債権部長である韓国系アメリカ人のアンドレ・サクジン・リーと真理戸との絡みが全くないのが残念。

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エンロンは、1985年7月、天然ガス輸送パイプライン会社インターノースと天然ガス輸送パイプライン会社ヒューストン・ナチュラルガスの合併によって誕生した。本社は後者の本拠地であったヒューストンに置かれ、なおかつ後者のCEOであったケネス・レイが合併会社のCEOに就任した。設立当初のエンロンはテキサス州周辺の中小ガス生産業者から天然ガスを買い上げ、それをパイプラインで輸送するという、堅実ではあるが利鞘は薄い商売をやっていた。創業当時の株価は僅か6ドル前後だった。

しかしレーガノミクスによる規制緩和に伴い、エンロンは野心的な事業拡大策に乗り出していく。1989年にジェフリー・スキリングが「ガス銀行」のアイディアを創案し、天然ガスのトレーディングを北米と欧州で開始したのを境に株価は上昇に転じ、1992年には10ドルを突破。アメリカのITバブルの波に乗る形で発展を続け、1999年には37ドルに達した。同年11月にはエンロンオンラインが稼働、12月には『フォーチュン』誌で「働くのに最高の百社」の第24位(エネルギー業界では1位)に選ばれた。2000年1月21日には71ドル63セントまで上昇、同年2月には『フォーチュン』誌で5年連続で「米国で最も革新的な会社」に選ばれた。アナリストは、エンロン株は最高の買い銘柄で、株価は97ドルまで行くと予想した。

2001年2月にも『フォーチュン』誌により「米国で最も革新的な会社」に選ばれ、2000年度の売り上げベースで全米第7位に躍進し、アメリカを代表する大企業にまで成長した(6位はシティバンク、8位はIBM)。だが一方でエンロンの株価はITバブル崩壊のあおりを受けて55ドルまで下がった。株価は低迷を続け、2001年8月には、2000年12月に就任したばかりのスキリングがCEOを辞任する。株価は一気に下落した。それでもウォール街は相変わらずエンロンを絶賛していた。2001年10月16日に発表された第三四半期報告では初めて赤字が発表された。

2001年10月17日、ウォールストリート・ジャーナルがエンロンの不正会計疑惑を報じた。株価はこの日から急落する。証券取引委員会(SEC)の調査も始まった。10月24日には16ドル41セントにまで売り込まれた。11月28日には最後の頼みの綱であったダイナジーとの合併交渉が決裂した。その結果、12月2日にエンロンは連邦倒産法第11章適用を申請し、事実上倒産した。


アメリカの1地方ガス会社にすぎなかったエンロンは、如何にして世界にエネルギー革命をもたらしたのか。そして何故、突如破綻したのか? エンロンの栄光と転落の軌跡を克明に描き出した迫真のノンフィクション。


スキリングが「ガス銀行」と名付けたガス・トレーディングは、エネルギー売買に金融工学の手法を取り入れた画期的なビジネスで、エンロン飛躍のきっかけとなった。またアンドリュー・ファストウが考案したSPE(特別目的事業体)による資金調達方法(オフバランス)にしても、もともとは純粋なビジネス・ニーズから生まれた健全な取引だった。エンロン・オンラインはエンロン破綻後も高く評価されている。



しかしエンロンの極端な利益至上主義、「昇進かクビか」と言われた過剰な成果主義は、エンロンを資産型ビジネスから非資産型ビジネス、特にエンロンオンラインを中心としたエネルギー・トレーディングへと傾斜させた。更にはスキリングやファストウといった高級幹部を筆頭に多くの社員たちを不正に走らせ、事実上、組織ぐるみの不正へと突き進んだ。個人レベルでの帳簿操作・「mark to market」会計(時価主義会計)を利用した水増し計上、SPEへの損失の「飛ばし」(いわゆる簿外債務)、エンロンとSPEとの間での架空取引、エンロンオンラインを利用したインサイダー取引、カリフォルニア電力危機における不正取引……



より大きな問題は、エンロンから多額の援助を受けていたブッシュ政権が、「規制緩和」「電力自由化」の名の下にエンロンの横暴を容認していた点にある。エンロンが既存の電力会社を駆逐して電力事業に進出できたのもブッシュ政権の後押しがあったからだ。そして金融市場においてならインサイダー取引として指弾されるような行為も、エンロンが新たに創造したエネルギー・トレーディングの分野では容認され、エンロンはデリバティブで巨額の利益を得た。


また全米有数の会計事務所であったアーサー・アンダーセンも、エンロンからの巨額の監査報酬・コンサルト報酬に目が眩み、エンロンの不正な会計操作を黙認、幇助した。投資銀行のアナリストたちも、エンロンがどうやって収益を上げているか分からず「ブラックボックス」とすら呼んでいたにもかかわらず(粉飾決算によって利益が上がっているように見せかけていただけなので、当然と言えば当然なのだが)、エンロンから投資銀行に流れる巨額の引受手数料やM&A報酬のために、「ストロング・バイ」(絶対に買い)推奨をし続けた。



今またサブプライム問題という「偽装」に揺れる世界経済にとって、「エンロン問題」は決して過去の出来事ではない。

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バブル経済、バブル崩壊、金融危機、金融ビックバン……日本と世界の経済が劇的に転変した激動の20年を、外資系投資銀行で活躍した日本人インベストメント・バンカーたちの目を通して圧倒的なリアリティで描く経済小説。史実に基づく企業買収劇や経済犯罪事件の全容は圧巻で、金儲けのためには手段を選ばない「狩猟民族」たるインベストメント・バンカーたちの闘争心が浮かび上がる。日系以上に上司が絶対でゴマすりが横行、手柄の横取り、部門間の激しい対立など、外資系投資銀行の企業文化も垣間見えて興味深い。


ソロモンの敏腕トレーダー、ソルトこと竜神宗一(シュガーこと明神茂がモデル)はバブル崩壊を見越して、金融工学を駆使した大規模なアービトラージ(裁定取引)を敢行、巨額の儲けを出し、ついにはソロモンの副会長にまで上り詰める。

ソロモンの藤崎清治はバブルに踊り財テクにのめり込む無知な日系企業にデリバティブ(金融派生商品)を売りつけてボロ儲けしていたが、バブル崩壊後、大幅な赤字となった日系企業につけ込む損失先送りビジネスに嫌気がさして、独立する。

桂木英一は旧態依然とした日本の都市銀行にあいそをつかして退職し、ウォール街の巨大投資銀行モルガン・スペンサー(モルガン・スタンレーがモデル)に転職した。「結果が全て」である外資流のビジネスに翻弄されながらも、巨額のM&Aや証券引受で勝機をつかみ、昇進を重ねていく。やがて、その運命は日本の金融再生と劇的に絡み合い、桂木は外資での高収入を捨てて、今まで培った手腕を邦銀再生のために捧げようと決意する(日本興業銀行取締役→りそな会長、という形で貢献することになる)。実際、世界を股にかける国際派ビジネスマンは、実は愛国心が強いらしく、意外なような納得できるような。



外資系の凄まじい攻勢とは対照的に、日系企業は無知無責任で、日本人としては歯がゆいというか情けないというか。「バブル崩壊はアメリカの陰謀」という話は良く聞くが、大蔵省・日銀・日系企業の無能ぶりをここまで見せつけられると「負けるべくして負けた」としか思えない。もっとも現在は金融工学の知識が日本にも浸透したため日系企業が一方的に食い物にされることは少なくなったようで、また金融市場のルールが厳格化したことで昔のような犯罪まがいのムチャクチャな儲け方はできなくなったらしい。

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