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経済ジャーナリスト 町田徹の“眼”

町田徹(ジャーナリスト)【第100回】 2009年11月13日


JAL支援はまさに泥沼化の様相 1月にも再び「つなぎ融資」か?

 日本航空(JAL)に対する公的な支援・救済が、10日に発表された今回の分にとどまらず、来年1月以降にも再び繰り返されるという「泥沼化」の懸念が出てきた。

 政府が10日、再建支援か、破たん処理かなどの確固とした方針のないまま、当面の破たんを回避するための「つなぎ融資」に踏み切ったことが、その最大の原因だ。

 現状は、政府の「企業再生支援機構」が支援できるかどうかを判定する「資産査定」を行っている段階。この査定には、少なくとも、来年1月半ばぐらいまでかかる見通しだ。問題は、支援機構が設立法によって与えられている支援のスキームが、金融機関からの任意の債権買い取りなど私的整理に限定されており、実際の支援が可能なのかどうなのかが不明な点にある。

 もし、万が一、支援機構が「JAL再生タスクフォース」(チーム前原)に続き、再建の支援に失敗するようだと、政府は再び、機構以外の新たな再建支援の担い手や再建手法を求めて、時間と公的資金の無駄遣いを繰り返さざるを得ない事態に陥る。

 仮に再建を断念して破たん処理に進む場合、その準備の間の「つなぎ融資」が避けられない恐れは残るし、支援機構が再生支援を可能と判断しても、本格的な資本注入のための公的資金の投入が避けられない。こうしたもたつきと負担の増大は、鳩山由紀夫政権の発足から100日間程度のマスメディアとの蜜月(ハネ―ム―ン)期間の終了時期と重なり、政権の航空行政に対する批判を本格化させるリスクもありそうだ。


政府が一民間企業を救う根拠が示されていない再建方策

 管直人内閣府特命担当大臣、藤井裕久財務大臣、長妻明厚生労働大臣、前原誠司国土交通大臣、平野博文内閣官房長官の閣僚5名は10日夜、「日本航空(JAL)の再建のための方策について」と題する文書に連名で署名した。そして直後に、この文書に基づいて、JALに対して当面の資金繰りをつけるため「つなぎ融資」を行うと発表した。

 同社の資金繰りが、数日以内に破たんしても不思議はない状態、と懸念されていたうえ、13日には中間決算発表があり、監査法人が同社の存続可能性のリスクを指摘するのではないかとの観測が出ていたからだ。信用不安の抑制には、政府によるつなぎ融資が避けられないと判断した。

 この「日本航空の再建のための方策について」は3項目で構成されている。
 第一項では、「我が国の航空ネットワークを経営する上で重要な役割を果たしている日本航空の再建を、国民目線に立って確実に進める」との基本方針を打ち出した。ところが、JALのどの部分が国民生活に不可欠なサービスであり、公的支援が必要なのかという点については、具体的な検証や議論がまったくなされていない。つまり、何故、一民間企業に過ぎないJALの再建を、政府が進める必要があるのか、その根拠が何も示されていないのだ。これでは、政府による支援・救済策として乱暴と言わざるを得ない。

(中略)

公的資金を年金支給に充てないという保証はない

 話を進めよう。「日本航空の再建のための方策について」の第2項は、月額40万円を超える例もあるとされるJALの退職者年金の支給額削減問題に言及した。「公的資金が年金支払いに充てられる形とならないよう、企業年金の削減に関して、法的措置を含む方策について引き続き検討を進める」と明記したのだ。

(中略)

 しかし、実際に、特別立法で年金支給額を強制的に削減するという行為は、あまりにも稚拙な戦術だ。一般的に、年金は、労働債権に準じる優先債権であり、憲法で保障された財産権を侵害しかねない特別立法は、訴訟と差し止めの対象になりかねないからだ。裁判所に差し止めを命じられ、本訴が10年も続くような事態になり、その間、破たん防止のためのつなぎ融資を公的につけざるを得ないことになれば、国民の負担の大きさは計り知れない。そんなリスクの大きい愚かな戦術を政府が採用するのは明らかな間違いだ。

 こう考えると、今回の文書の表現は、従来のように特別立法を本気で指向するのではなく、脅し文句に使う戦術に切り替えたものと理解した方がよいだろう。これは悪くない判断だと筆者は考えている。

 だからと言って、JALの年金受給者たちは、「特別立法は単なる脅しに過ぎない」と甘く考えない方がよい。世間常識から見て、JALの年金支給額は事実上の経営破たん企業の退職者が享受できる水準ではない。米国では、あれだけ揉めても、最後は米ゼネラル・モーターズ(GM)の退職者たちが年金や医療保険の待遇悪化を受け入れざるを得なかった例もある。JALのOBたちは、いつまでも、これまで並みの待遇に拘っていると、世間を敵に回して、「公的支援によるJALの再生を阻んだのは、強欲で会社への愛情を持たない退職者たちだった」との歴史的評価が下ることを覚悟すべきだろう。


融資金額を明示できず焦げ付き懸念も否定しない政府

 そして、「日本航空の再建のための方策について」の第3項が、つなぎ融資の規定だ。「再建期間中における日本航空の安全で安定的な運航の継続を確保するため、必要となる資金について関係金融機関により確実に融資が実行されるよう、以下のような対応を行う」としたうえで、「(1)日本航空から、資金繰り等の事情により航空機の運航に支障を生じる事態があり得る旨の申出を受けた場合、国土交通大臣は、関係大臣と協議のうえ、当該事態が発生した場合には利用者の利便及び企業の活動に影響を与えるおそれがある旨の認定を行う」「(2)認定を受けた日本航空に対する関係金融機関による融資について、適切な信用補完に関する予算及び法的措置を含む方策について検討する」と書き込んである。
(中略)
 やや脱線するが、今回、政投銀が1000億円を融資するという顛末は、改めて、9月の前原大臣の白紙決定の意味を問う面がある。当時、撤回されたのが、最大8割の債務保証も含む1000億円のつなぎ融資枠の撤廃だったからである。これは麻生太郎内閣の与謝野馨財務大臣らが設定した融資枠だが、前原大臣は 2ヵ月近く大騒ぎした後、同じような資金提供をする羽目になったのだ。混乱だけ招き、政府が再建そのものへのコミットを強める事態を招いた政治責任はやはり大きい。
(後略)



辻広雅文 プリズム+one

辻広雅文(ダイヤモンド社論説委員)【第89回】 2009年11月25日

日航問題処理を「日本経済停滞の解決モデル」にできなかった民主党政権の限界


 企業再生の要諦は、損失の分担である。思惑入り乱れる数多くの債権者と株主に、再生計画が信頼に足るものだと説得し、応分の損失負担を受け入れさせなければならない。冷徹な論理を貫徹し、時には腕力を振るってでも――。

 日航問題において、その難しい役どころに民主党政権は徹しきれないでいる。債権放棄に加えて新規融資にまで応じれば貸し手責任を問われかねないと、政策投資銀行とその背後にいる財務省は、受け入れを拒否した。深い行政責任を負うはずの国交省は、表舞台から逃避した。当事者意識を欠く霞ヶ関の行動様式を制御できないままに、前原・国交省は解決を先送りした。

 最大の難関となった企業年金の削減問題では、厚い法的保護の壁を特別立法でこじ開けようとしている。強行突破は、年金という財産権の保護を巡って、世論を二分するだろう。民主党政権は日航問題の位置づけに苦心し、揺れ動く。

 斉藤誠・一橋大学教授は、「民主党政権は、日航問題の処理スキームが日本経済停滞の解決モデルになりうることに気がついていない」と指摘する。「企業年金問題も世代間の再配分モデルを提示できれば、社会問題に援用できる」と強調し、「砂上の楼閣にしかなりえない成長戦略を描くより、よほど重要だ」と言う。

“成長戦略なき鳩山政権”という批判が定着しつつある。

(中略)

 だが、政治に求められる最も重要な機能は、時代によって変わる。

(中略)

 現在の日本社会にとって、経済のパイを拡大させることが、民主党政権が最優先に掲げるべき政策なのだろうか。
(中略)
 振り返ってみれば、技術革新を大掛かりな経済成長に結びつける物語は、日本のみならず先進諸国それぞれで語られてきた。新しいサムシングを生み出し、多くの投資機会が生まれ、資金が投下され、画期的な製品が誕生し、社会は飛躍的な生産性向上を遂げる――。

 だが、この10年、そのサクセスストーリーは実現しなかった。
(中略)
 あまりに陳腐な表現だが、先進諸国の経済は、巨大化かつ成熟したのだ。もはや、新規投資の機会は失われた。伸び代は使い果たされた。市場が有望産業、成長企業を必死で探しても、果たせないでいる。巨額の財政赤字に陥っている現在の日本で、国債発行が順調に消化されているのは、その明白な証左であろう。国債を買うしか、投資先がないのだ。

 この現実を無視して、政府に成長戦略を強要すれば、強引な手段で実現しようとするだろう。政治が有望産業、成長企業を、直接的に生み出すことはできないのだから、マクロ経済政策に負荷をかけ、輸出を拡大し、設備投資を増大させる道に再び進み、生産性の低い設備を過剰に積み上げ、その処理に苦しむ ――つまり、バブル崩壊という愚を再現することになりかねない。

 では、経済が停滞し、所得が下がり、失業者が増え、閉塞感が強まる状況に、いかに対処すべきか。今、民主党政権が果たすべき役割は、経済成長という幻想をふりまくことではなく、苛烈な利害調整を引き受けることである。拡大は難しいものの、いまだ世界2位の規模にある経済のパイを切り分け直すことである。既得権益を切り崩し、引き剥がすことである。

 私はこのコラムでたびたび、日本経済の最も本質的な課題は労働市場改革にあると指摘してきた。詳しい説明は避けるが、正規雇用と非正規雇用の差別的な処遇は、所得のみならず生きる希望の格差を広げ、中高年の雇用維持政策が若年層の就労機会を奪い、社会全体の生産性を下げ、劣化、荒廃させている。労働市場が固定化することで、非正規社員、若年層が割を食っているのである。

 社会問題と化したこのいびつな構造を、技術革新による経済のパイの拡大によって解決できると信じるものは、もはやいないだろう。必要なのはイノベーションのもう一つの意味――法制度、慣習に挑む社会変革の実行である。労働法制を変え、年金制度を組みなおし、一部の世代、階層の逃げ切りを許さず、既得権を放置せず、パイを切り分け直し、さまざまな世代間格差、機会格差を是正することである。そうして、若年層、貧困予備軍に希望を与えることが、日本経済に求められている。

 これは政治にとって、最も過酷な利害調整であろう。これまでの労働法制、労使秩序に関わり、保護し、保護されてきた政治家、官僚、経営者、組合、学者のすべてが反発する。既得権を侵される世代、階層は猛烈に抵抗する。それを突破するには、理念と覚悟と戦略と巧みで粘り強い説得によって、コンセンサスを形成する能力が求められる。その時、具体モデルを用意することは有効だろう。それが、日航問題である。(後略)

財部誠一の「ビジネス立体思考」
八ツ場ダムとJAL「政官業癒着」の構造は同じだ

2009年9月25日

 連日、就任早々の前原国交相を悩ませる「八ツ場」と「JAL」。一見するとなんの脈絡もないバラバラの政策課題に見えるが、実はこれらの問題はまるで同根に思える。


政官業の強欲な癒着構造。

 これこそが八ツ場の悲劇やJALの自力再生を阻んできた元凶である。治水、利水が本来ダム建設の大義名分。だが、政官業の癒着構造が維持してきたのはダム建設によってもたらされる巨大利権だ。族議員と官僚とゼネコンを中心とした既得権者の利益が最優先され、本当に必要なのかという議論がないがしろにされたまま、札束で地元対策が行われてきたのが八ツ場ダムの歴史だろう。

 国の支援をいくら受けても自力再生できぬJALの甘えた経営は、形を変えた八ツ場ダムである。JALという官営航空会社は株式を公開して民間企業となった後も、政府が一定の株式を保有し続け、歴代社長の多くは旧運輸官僚の天下りだ。

 航空行政は政官業癒着の構造そのものだ。採算がとれるとはとうてい思えぬ地方空港建設は、ダム建設にも負けない蜜の味である。空港さえできれば経済が活性化するのではないかという地元住民の勘違いも見過ごせないが、いずれにしても日本中で採算度外視の地方空港建設に歯止めがかけられなかった。その最大の背景は政官業の強欲癒着構造に尽きる。

 民主党の目指すべき「脱官僚」とはこの癒着構造をぶち壊すことにほかならない。

予算編成の膠着を打破せよ

 民主党政権誕生に込められた国民感情は、将来への絶望感や目の前の閉塞状況を打ち破って欲しいという切実な願いであった。地方経済が壊滅しても、失業が急増しても、所得が激減しても、国民の心のひだに手が届く政策を打ち出せなかった自民党への怒りと言ってもいい。

 ではそうした絶望感や閉塞感のよってきたるゆえんはどこにあったのだろうか。

 私は予算編成の膠着化に尽きると考えている。時代の変化に合わせて、必要な予算を適時、適切に配分することが政治の使命である。だが自民党はこれを完全に放棄してきた。族議員が官僚や業者と一体となって既得権を造り上げ、そのしがらみを延々と積み重ねてきた結果、日本の予算編成は絶望的に膠着した。省庁別の予算配分どころか、同じ省庁内部の割り振りさえも、長年の政官業の癒着のために固定化してしまった。

 農水省のある次官OBは「農地の流動化を図ろうというプランを示したとたんに、土地改良事業を担当する課長が公然と反旗を翻してきた」と現役時代を振り返る。

「一般的に農水省にかかわる族議員のことを農林族などと呼びますが、あまり正確な表現ではありません。一番ひどいのは農地族と言うべき政治家たちです。農地という利権を担当する部局と農地族が一体となり、固定化した既得権には一切触らせないという構造ができあがっているのです」

天下り禁止だけでは構造が変わらない

 官僚の天下り問題の本質は、政官業癒着の象徴でしかない。単に天下りを禁止すればそれで終わるしろものでもない。政官業が癒着して税金をネコババする構造を破壊できるか、どうか。それこそがいま問われているし、民主党政権が目指す頂もそこにあるといっていいのではないか。

 八ツ場ダムとJAL。これらはその癒着構造の象徴である。ダム建設を禁止すれば多くの住民が苦汁をなめる。JAL再生にもっとも現実的な判断である法的処理(破たん処理)を選択すれば、多くの従業員、株主、取引先など多くの人々が苦痛を感じる。だがそれは政官業癒着打破のまさに試金石となる。血が流れるからできないとなれば、自民党政権と何も変わらぬという話になってしまう。

 八ツ場とJAL。

 前原国交相が突き付けられた難問は、国交省の問題に止まらない。民主党政権の今後の政権運営そのものが今、問われている。政官業癒着構造の完全打破を狙うのか。現実的な妥協案に堕してしまうのか。政権発足早々、民主党はその真価を試されている。



いまどきのオトナ、いまどきの子ども
八ッ場ダム建設中止をめぐる不思議と勘違い

2009年9月30日

建設継続の「心の叫びを聞いてほしい」では共感を呼ばない

 なるほど「政権交代」である。とりわけ、八ッ場ダムをめぐる動きには、つくづく「変われば変わるもの」を実感させれてしまう。

 なんといっても真逆なのだ。これまでのダム建設などでは、国や行政が建設推進で、反対するのは住民という構図がほとんどだった。ところが、八ッ場ダムでは、国が「作らない」であり、対して住民が「作りつづけて」である。「政権交代」がなかったら、ありえない図式といえるかもしれない。

 マスコミの報道だけを見ていると、「途中で止められたら困る」という声に、同情が集まるような気もする。まず「建設中止」と聞くと、どうしても「受注していた仕事が社長交代で中止」を連想してしまう。だから、テレビなどで住民がいう「地元はどうなる」的な訴えに、やはり感情が動かされてしまうのは、これまでなら自然である。

 ところが、八ッ場ダムは違う。まわりに聞いてみても、「建設継続」が少数なのは理解できるとしても、意外なくらい「地元は気の毒」という声が少ない。代わりに「もうダム頼りは止めるべき」や「ダムでうるおうのは地元の一部」という意見も目立つ。

 その背景には、自然破壊への問題意識が少なからず存在している。大々的なエコキャンペーンの影響もあるが、この数年で気候変動を実感しているだけに、「自然を壊しつづけて大丈夫なのか」という漠然とした不安が、ダム建設や大規模公共工事にはつきまとう。

 しかも、これまでの大規模公共工事には怪しさが多すぎる。多くのダム建設が「電力確保のため」から「治水、利水が目的」になった根拠も、不透明さがぬぐえない。また「環境へは万全の配慮」としながら、その成果の公開はあまりにも少すぎるようである。なによりも、公共工事にまつわる談合や天下りへの不信も解消はされていない。

 それらすべてが、八ッ場ダムに当てはまるとはしない。しかし、自然破壊への不安や大規模公共工事への不信は、八ッ場ダムにも投影する。まして、建設続行には税金の投入が避けられない。もしかすると「受注していた仕事(八ッ場ダム)」は、結果的に「中止でよかった」となるのでは──そんな疑問が、「気の毒」といいきれない理由だろう。

 たしかに「地元の気持ちも考えろ」という批判は成りたつ。しかし、つかわれる税金の一部は都市の住民も納めている。自然破壊や大規模公共工事の問題が払拭できないダム建設に、「これ以上、税金をつかう必要があるのか」という疑問には、「心の叫びを聞いてほしい(参照:八ッ場住民側、国交相との対話をボイコット YOMIURI ONLINE 9月24日)」だけでは回答にならない。

 そう考えると、マスコミが描く「国vs地元住民」が的はずれに見えてくる。これから大規模公共工事を「どのように進めるのか(撤退するのか)」のモデルケースが八ッ場ダムであり、そこでの相違だけに焦点をあてるのは、けっして建設的とはいえない。


特定の怪しすぎる「地元住民」の主張しか伝わってこない

 八ッ場ダムをめぐる報道で使われる「地元住民」という表現は厄介である。「建設の継続を訴える住民の代表(YOMIURI ONLINE 9月24日)」と書かれていたり、テレビで放送される住民の声が「中止しないで」ばかりとなると、つい「地元住民」は建設続行のように思ってしまう。

 それが正しいのか間違っているのかの判断が、実のところ苦しむ。テレビのインタビューについては、ネットで伝えられている情報によれば、登場したのが建設継続の議員サンだったという。個人の見解ならば賛否は別として「そんな意見もありかな」にはなれなくもない。ただし、それを「地元住民」の意見とするのは無理がある。

 あるいは「握手を交わす地元住民代表(同上 写真キャプション)」にしても、困ってしまう。握手をしているのは「八ッ場ダム推進吾妻住民協議会」の会長で、代表と呼ぶのは間違いではない。しかし、その代表は、八ッ場ダムの代替地分譲基準連合交渉委員会の委員長を務め、八ッ場ダム水没関係5地区連合対策委員会委員長であり、かみつけ信用組合の理事長という要職にあった方である(ホームページからのリンクは切れてますがpdfは残ってました)。さらに「(住民協議会には)顧問として小渕優子少子化担当相ら地元選出の自民党国会議員や県議、関係町村の首長が名前を連ね(毎日jp 9月10日)」となれば、はたして「地元住民代表」というには怪しすぎる。

 もしかするとマスコミの使う「地元住民」には、その現場で働き暮らしているオジチャンやオバチャンは含まれてないのかもしれない。だから、新政権発足の7日前に結成された団体の会長を、正しく住民の公選がなされたとも思えないにもかかわらず、「地元住民代表」とするのだろう。

 しかも、マスコミ的尺度の「地元住民」あるいは「代表」の声が、紙面や画面から伝えられることが多い。たとえば「八ッ場ダムは70%は完成している」とか「中止した方が高くつく」などである。

 しかし、違った事実認識や見解があることは、ほとんど紹介されない。70%とは全体の事業費の70%を費やしてしまったということで、工事の進捗は遅れ完成までは程遠いという事実認識もある。また、この段階で70%も事業費をつかったのだから、完成までには膨大な税金が必要になり、いま中止したほうが安くつくという見解もある(参照:八ッ場ダムについて流されている情報の誤りについて 八ッ場あしたの会)。

 これらの情報は、マスコミ的尺度の「地元住民」には支持されていないのだろう。だからといって、見向きもしないまま「国vs地元住民」にしがみついていては、これからの大規模公共工事のモデルケースに、汚点を残すことになりかねない。


(後略)


沖縄米軍基地反対デモは「一部のプロ市民が騒いでいるだけ」と言うのに(まあ、そういう側面もあるとは思いますが)、八ツ場ダム中止に反対する地元民は「利害関係のない一般地元民」であり、地元民全てが反対していると信じ込めるネット右翼たちに脱帽。

『佐藤優の地球を斬る』より抜粋


筆者の古巣である外務省に関して言うならば、新政権が次のことをすれば、外務官僚は政治家の意向を尊重するようになる。外務省が提示する次の外務事務次官人事を政治のイニシアチブで拒否するのだ。いわゆる「できレース」で、外務官僚に「一回目の人事はけるので、本命候補を出さない方がいいよ」と耳打ちしておいてもよい。政治主導によって外務事務次官人事が左右されるという事実をつくることが重要だ。それによって外務官僚の唯我独尊体質が確実に崩れる。




 ■「直訴状」で病理把握

政治家が官僚とうまく折り合いをつけて、霞が関官僚を国民のために効率的に活用するという方策を考えるべきだ。そのためには現在の官僚機構の中にどのような問題があるかを正確に把握することが重要だ。小泉純一郎政権の時代に興味深い事例がある。2002年2月、川口順子外務大臣(当時、現参議院議員、自民党)が、外務省員全員にA4判の用紙1枚に、外務省が現在かかえている問題について率直に記した書類を提出せよという職務命令を出した。各課長、大使や総領事に、「部下全員から必ず提出させよ」と言明した。すべて官職指名を記し、密封した上で提出され、外務大臣自身が封を切って読むことにした。外務省は約5000人の小世帯なので、2〜3日もあれば、この書類を全部読むことができる。その手法をとれば、省内のスキャンダル、仕事のトラブル、政官の癒着、セクハラ・パワハラなどが表にでてくる。いくら隠そうとしても「直訴状」という形ならば、問題の痕跡がかならずでてくる。コンプライアンス(法令遵守)を省内で行うということだ。あとは痕跡をきちんと追いかければよい。そうなると病巣が見える。



 ■事務次官人事がカギ

 もっとも川口氏の場合、当時、外務省に対して強い影響力をもち、外務官僚の恥部を熟知していた鈴木宗男衆議院議員を放逐するために、省員から直接入手した情報を活用したため、外務省を改革するという目的は達成されなかった。あのとき、重要書類が正式に登録されず「闇文書」となっていたこと、報償費(機密費)の不適切な使用、外交秘密文書の隠滅などについて、川口氏は端緒情報をつかんでいたと筆者は推定している。しかし、鈴木氏を放逐するという内政的思惑が先行し、本来取り組まなければならない病巣には触れなかった。それが現在の日本外交のていたらくをもたらしたのだと思う。

 8月30日の総選挙によって生まれる新内閣の大臣が、川口氏が行った手法を踏襲し、それぞれの省庁で省内コンプライアンスを行うと、時間とカネをかけずに各省庁がかかえている病理が見えてくる。それを集約して総理官邸にあげる。そして総理が霞が関がかかえている病理を正確に把握する。その上で、官僚の人事を行うのだ。

 ポイントは事務次官人事だ。官僚の職業的良心は出世することである。官僚組織の長である事務次官人事を政治家が統制する(実際、小泉時代には飯島勲総理秘書官によって外務事務次官の人事が外務官僚の思惑通りに進めることができなかったという)ことで、政治の官僚に対する優位が確保される。
(引用終わり)



政局LIVEアナリティクス 

上久保誠人(早稲田大学グローバルCOEプログラム客員助教)

【第33回】 2009年09月29日


官僚排除を唱えながらも、現実的でしたたかな鳩山人事

 鳩山内閣が閣僚・党役員人事を行った。公約通り「脱・官僚支配」の姿勢を明確に打ち出した人事である。新閣僚が大胆な政策転換を次々と明言することにも注目が集まっている。

 しかし、これまで民主党のことをよく調べもしないで、「国会を麻痺させている」と一方的に批判してきた方々(第4回)が鳩山内閣の解説をしていることには違和感がある。今回は、それらと一線を画し、野党時代の民主党「ネクストキャビネット(次の内閣)」との「継続性」に留意しながら、鳩山内閣について考えたい。

「鳩山人事」にはこれまで野党として官僚組織と対峙してきた経験がよく反映されている。例えば、菅直人国家戦略相の経済財政相兼務である。国家戦略局のスタッフ機能をどう確保するかは重要な課題だが、菅国家戦略相が経済財政相と兼務し、これまで経済財政諮問会議などの事務局を務めてきた内閣府・経済財政部局の官僚約300人を傘下に収めることで現実的な解決を図った。

 鳩山内閣は、官僚排除と諮問会議廃止を訴えながら、その諮問会議が構築してきた事務局機能をそのまま頂こうというのだから、なかなかしたたかである。

 民主党のしたたかさは、閣僚・副大臣・政務官の配置の随所に見られる。まず、藤井裕久財務大臣。15年ぶりの復帰であり、55年体制以後の非自民政権の財務相(蔵相)は藤井氏だけという「絶対的な存在」である。しかし、一度は政界引退を表明して第一線から退いていた方である。民主党には中堅の金融財政通が育ち(第9回)、政策立案の面では人材難ではない。しかし、藤井氏は大蔵省出身かつ非自民政権唯一の蔵相経験者で財務官僚の信頼も厚い。「リーダー」として「絶対的な存在」なのだ。

 鳩山内閣では、岡田克也外相、赤松広隆農水相、直嶋正行経産相、川端達夫文科相、そして亀井静香金融・郵政担当相と福島みずほ消費者・少子化担当相と、代表、副代表、幹事長、政調会長などの要職を歴任し、官僚組織とも人脈がある「リーダー」が閣僚に配置された。閣内最年少の前原誠司国交相にしても民主党代表経験者なのだ。

 鳩山人事の特徴は、口では官僚排除を唱えながら、現実的にはベテランの「リーダー」の起用で官僚組織の人心掌握を狙っていることだ。その中で、元々官僚にも人望が厚いベテラン仙谷由人氏が予定されていた厚労相が、長妻昭氏に変更されたことは、長妻氏自身の強い希望と彼に対する国民的期待が反映された例外ではないだろうか。

 副大臣・政務官人事は、完全な当選回数至上主義だった自民党政権では政局的な意味はなかった。しかし、鳩山内閣では副大臣・政務官が「脱官僚支配」の中核を担うことになり、これまで国会論戦の前線で体を張って活躍してきた中堅・若手が多く入った。

 古川元久・大塚公平内閣府副大臣、野田佳彦・峰崎直樹財務副大臣、鈴木寛文科副大臣、馬渕澄夫国土交通副大臣らは「ネクストキャビネット」の閣僚級だった。山井和則(厚生労働)、長島昭久(防衛)ら政務官にも閣僚級の人材がいる。ここから、閣僚が官僚組織の人心を掌握し、副大臣・政務官は実務を仕切るという構図が見えてくる。


副大臣・政務官は膨大な業務をこなせるか

 民主党の構想では、各省庁内で副大臣・政務官が精査した法案を、事務次官会議を廃止した代わりの「閣僚委員会」が審議して国会に提出する。しかし、副大臣・政務官3−4人で、すべての法案を精査することが可能だろうか。

 各省庁の政策立案は審議会から始まる。ここから上がってくる政策が官僚寄りのものばかりになった時、副大臣・政務官がそれを1つ1つ突き返せるのだろうか。特に、政治的に重要な法案を抱えたら、他の膨大な数の法案が精査できないのではないか。

 審議会については、藤井財務相が財務省の意向が反映されやすい有識者による現行の政府税調は廃止し、峰崎財務副大臣を中心として、業界団体の要望を各省政務官が取りまとめる新しい税調を立ち上げる考えを示している。しかし現実的に、財務副大臣と政務官だけでやるにはあまりにも業務が膨大である。そして、他の省庁については、審議会をどうするか方向性すら見えてこない。「脱・官僚支配」実現に最も重要な部分(第20回)が手つかずではないだろうか。


国会の委員会を「脱官僚支配」の最後の砦とせよ

 おそらく、副大臣・政務官を支援するのが、小沢一郎民主党幹事長が提唱する「各省政策会議」なのだろう。しかし、これがどう機能するかは不明だ。それよりも、民主党は野党時代との継続性を重視してはどうだろうか。

 野党時代、民主党の「ネクストキャビネット」の閣僚は、国会の常任委員会の委員長が務めていた。民主党は、国会の委員会を主戦場として政府追及を行い、「日銀総裁人事」「年金問題」「薬害肝炎」「防衛省問題」「ガソリン税暫定税率」など、これまで国会論戦で素通りされてきた深刻な問題点を国民の前に明らかしてきたのだ(第17回)。

 今後も、委員会での政府追及の経験を生かすべきではないか。常任委員会の委員長も、鹿野道彦(予算)、田中慶秋(内閣)、近藤昭一(総務)、鈴木宗男(外務)、田中真紀子(文部科学)、筒井信隆(農水)など実力派、個性派ぞろいである。彼らが与党としての権力を行使しながら追及すれば、相当なことができる。いわゆる「権力の二重構造」批判を避けるために、これまで委員会を舞台として積み上げてきた経験とノウハウを使わないのはもったいない。

 そして、委員長には「国会を止めるのを躊躇うな」と主張したい。委員会は「脱・官僚支配」の最後の砦だ。民主党は「野党的アプローチ」から国会運営をスタートし、国会を止めて徹底した「情報公開」を行い、半世紀にわたる自民党支配の下で長年明らかにされてこなかった資料や密約を白日に曝し、澱のようにたまった制度疲労や行政の惰性、腐敗や癒着を一掃すべきだ。

 与党が国会を止めることは常識的ではないが、「情報公開」の徹底はこれまでと違う「新しい政治文化」(第25回)を日本に根付かせることである。腰を据えて取り組んでほしい。
(引用終わり)

猪瀬直樹の「眼からウロコ」
「小選挙区制の罠」に陥ることを避けよ
(前略)
ポピュリズム政治の前途に不安を感じる

 明治維新以来、日本は「曲がり角」に弱い。列強に追いつくために国が一丸となった時代には成功したが、日露戦争勝利で「一等国」になったと安堵すると、閉塞感とともに自滅への道を歩み始めた。敗戦後の経済復興も同じである。アメリカに追いつくためにガムシャラに働いて高度成長を遂げた。「経済大国」になったと安心したとたん、国民は目標を失い、バブル経済の到来に浮かれ、バブル崩壊で茫然自失となった。

 列強やアメリカという先行モデルがあるときには、「直線コース」で順調に進むのだが、「坂の上の雲」に追いつくと、進むべき道を見失って立ちすくんでしまう。だからこそ、いまの日本にはビジョンを示せるリーダーが必要なのである。

 小選挙区制による二大政党時代の本格的な幕開けは、民主党と自民党によるポピュリズム政治を見ているかぎり、その前途に大きな不安を感じざるをえない。このままでは、小選挙区制という制度に政治が振り回されて、国がおかしな方向に導かれてしまう。

 戦前にも、制度が一人歩きして、国を危うくした事実があった。

 昭和11年(1936年)に起きた2・26事件を受けて成立した廣田弘毅内閣は、事件の再発を防ぐために、大正デモクラシーで廃止されていた軍部大臣現役武官制を復活させた。2.26事件は陸軍幹部がウラで画策していたため、そういう大将を退役させた。彼らがゾンビのように蘇ってきては困るので、封じ込めるため、陸軍(海軍)大臣は現役でなければならない、としたのである。

 ところがその後、皮肉にも軍部大臣現役武官制が軍部伸長のきっかけとなる。首相が現役武官を指名して、かりに政策が合致しないとなれば、大臣を出さない、とゴネる。すると内閣は瓦解してしまう。軍部にとって都合のよい候補が指名され、首相はそれに従うだけになった。また、軍部大臣が決まらなければ組閣ができなかったから、首相自身も軍部の意を汲んだ人物が選ばれるようになる。

 それが文民のなかで唯一、A級戦犯として絞首刑となった廣田弘毅の“罪”であった。2・26事件の封じ込めのために取った手段が、別のかたちで内閣の首を締めることになった。




↑のように、未だに「中選挙区制に戻せ」という主張は根強いですが、国対政治や牛歩戦術が横行した五十五年体制に戻すことで、変化の早い現代の国際社会に対応できると本当に思っているんですかね?




政局LIVEアナリティクス 上久保誠人

上久保誠人(大学講師)

【第31回】 2009年09月01日


かつて自民党が目指した「政権交代のある民主主義」が実現した

 民主党が総選挙で300議席以上を獲得するという地滑り的大勝利を収めた。遂に民主党への「政権交代」が実現する。

 しかし、政府・与党首脳は「政権交代はトレンド」「ばくち」などと発言するなど、国民が熱病にでも取りつかれたかのような言い方をしてきた。しかし、今回の総選挙で、民主党に対する熱狂的な「風」が吹いたわけではない。むしろ、約20年前の「政治改革」以来目指されてきた、「政権交代のある民主主義」の実現という大きな潮流の中で起こったことである。そこで今回は、「政権交代」の原点である、約20年前の「政治改革」で何が目指され、何を現在実現してきたのかを考え、「政権交代」の意義を明らかにしたい。

自民党「政治改革大綱」が目指したもの

 1989年、消費税導入やリクルート事件によって自民党への批判が高まり、その対応として、自民党は政治改革推進本部を設置し「政治改革大綱」を発表した。そこでは、自民党政治の問題点を(1)政治家個々人の倫理性の欠如、(2)多額の政治資金とその不透明さ、(3)不合理な議員定数および選挙制度、(4)わかりにくく非能率的な国会審議、(5)派閥偏重など硬直した党運営、の5つにまとめ、その解決策を提示した。

 ここで重要なのは、自民党政治の問題の多くが「中選挙区制度」の弊害に起因しているとの主張であった。具体的には、中選挙区制によって、1つの選挙区に自民党が複数の候補者を擁立するため、政党本位でなく個人中心の選挙となること。それが政策よりも利益誘導を重視する政治を生み、それが高じて政治腐敗の素地を招いたと指摘したことだ。また、中選挙区制下で与野党の勢力が永年固定化し、政権交代が極めて起こりにくくなり、政治の緊張感が失われ、党内では派閥の公然化と派閥資金の肥大化、議会では政策論議の不在と運営の硬直化を招いたと、厳しく批判していた。

 そして、「政治改革大綱」は、その解決策として小選挙区制の導入を基本とした選挙制度の抜本改革を中心とした「政治改革」を断行し、国民本位、政策本位の政党政治を実現する必要があると訴えていた。

「政治改革大綱」が目指した小選挙区制の導入による「政治改革」とは、(1)多数決原理の導入と政策本位の議会、(2)政権交代のある民主主義、(3)派閥解消、脱・族議員、(4)当選回数主義の改善と能力主義の導入、(5)候補者決定の新しいルールの導入、の5つであった。

 1994年、この内容を反映させた「政治改革関連法案」が成立して小選挙区比例代表並立制が導入された。あれから15年が経過し、政権交代が実現した今、政治にはどのような変化が起こったのだろうか。

「小選挙区比例代表並立制」導入後の政治の変化

 端的な変化は、政党制に起こっている。例えば、1993年の細川政権誕生時には、連立与党(新生党、さきがけ、日本新党、公明党、民社党、社会党、社民連、民主改革連合)に自民党と共産党など、約10の政党が存在した。しかし、「小選挙区比例代表並立制」導入後、ほとんどの中小政党が小選挙区制下で二大政党間に埋没することを恐れた結果、さまざまな政党の離合集散が起こり、現在、自民党・民主党の二大政党制がほぼ完成した。

 また、「小選挙区比例代表並立制」導入は「公認権」「人事権」「解散権」という首相の権限を強化し、派閥の求心力は失われた。これは、第28回に書いた通りであり、ここでは繰り返さない。

 そして、「政策本位の政治」の実現である。意外かもしれないが、「郵政民営化」への賛否が最大の争点だった2005年総選挙は、「政策選択」選挙だった。また、小泉首相(当時)の「刺客」「踏み絵」戦略とは、「政党の政策に賛成する候補者を公認した」ことであり、これも「政策本位」の選挙が行われたことを示している。

 今回の総選挙は、いわゆる「マニフェスト選挙」と呼ばれ、経済財政、福祉、外交安全保障などの政策分野について、それぞれの政党が政権公約を提示して競い合った。公約の実現性、選挙目的のバラマキが目立つなどまだ課題は多い。しかし、小選挙区制によって「政策本位」の選挙は確実に前進し、当選するために地元へ利益誘導することはほとんど無意味となった。

 最後に、「当選回数至上主義」「候補者選定ルール」だ。この解決は道半ばではあるが、日本政治に「政権交代」のある民主主義が定着すれば、自然に改善されていくだろう。政権交代が常態化すると、政界の「世代交代」が促進されるからだ。総選挙に敗れた政党は、次回総選挙の勝利を期して、国民にアピールする必要からフレッシュな執行部を作るために若手を抜擢する。そして政権交代が続くことで、各政党の世代交代が繰り返されれば、政党内の当選回数至上主義は自然に崩壊していくのだ。

 また、政権交代の常態化は、各地の政治家個人の後援会組織の弱体化を招く。地元への利益誘導は与党でないとできないからである。与党と野党が頻繁に交代すれば、議員は継続的な利益誘導ができなくなり、後援会に対する業者や団体の求心力が弱まっていく。また、後援会への政治献金も減少していく。後援会と支持者の深い関係は自然に消滅していくことになる。更に、後援会はこれまでのような、後援会内部の結束を維持するための「世襲候補」よりも、後援会外部にいる敵に勝つための、能力が高く魅力的な「勝てる候補者」を探さざるを得なくなるだろう。

「政権交代」のある民主主義は、政界の世代交代を促進し、長期政権を前提とした強固な個人後援会や当選回数至上主義を崩す。そして、優秀な若者を政界入りさせるように「候補者選定ルール」も変えていくのである。

 約20年前に自民党が「政治改革大綱」で目指した「政治改革」は、皮肉なことに自民党が下野するという形で、実現することになった。自民党は「トレンド」などと総選挙を総括すべきではない。「政権交代のある民主主義」は、かつて自民党が、自らの身を削る覚悟で実現を目指したものだったことを思い出してほしい。それが党再生の第一歩である。

<OECD>日本GDP上方修正 G7も「回復時期早まる」

9月3日20時52分配信 毎日新聞
 【ロンドン藤好陽太郎】経済協力開発機構(OECD)は3日、日米欧の経済見通しについて、「数カ月前の予想よりも回復時期が早まる」として、前回6月の見通しを上方修正した。各国の異例の景気刺激策や中国を中心とする新興国の高成長が要因。

 日本の09年の実質国内総生産(GDP)成長率の予想はマイナス5.6%で、前回から1.2ポイント上方修正した。ただ、景気刺激策の効果が薄れるため、10〜12月期(第4四半期)に年率換算で0.9%減のマイナス成長に陥るとした。また「日本以外の地域ではデフレが続くリスクは小さい」として、日本が当面、デフレから脱却できないとの見通しを示した。

 先進7カ国(G7)の見通しは、前回より0.4ポイント上方修正し、マイナス3.7%とした。また米国は前回と同じマイナス2.8%。ユーロ圏は前回より0.9ポイント上方修正し、マイナス3.9%とした。英国だけが下方修正(0.4ポイント)され、マイナス4.7%となった。

 先進国の回復ペースは今後も緩やかと指摘。各国の超低金利政策は「10年かそれ以降」も続くとした。

 また、財政刺激策も当面、必要と指摘。財政・金融などの例外的な政策を元に戻す「出口戦略」については「実行は先であっても、準備することが望ましい」と早期の策定を求めた。



麻生政権の「史上最大規模の補正予算」の効果もこの程度のものなんですよね・・・
結局「官僚丸投げ」じゃダメなんですよ。






山崎元のマルチスコープ

山崎 元(経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員)
【第95回】 2009年09月02日

民主党政権に望みたい
「小さな政府、大きな福祉」

(前略)
民主党は「小さな政府、大きな福祉」を目指せ

 言葉の上では政府の大きさの定義の問題だが、所得の再分配的な財政支出と、政府関連組織の経費や公共事業の経費などをまとめて「大きな政府」「小さな政府」を対置する議論があり、これは不正確だと思う。

 民主党は既存の政府支出のムダを削ることを重要公約として掲げており、これは「小さな政府」の価値観だ。一方、子供手当や最低保障年金のような給付金は政府の支出ではあるが、これに介在する官僚組織を小さく保つなら、主な効果は所得の再配分であり、お金の使い道は民間(個々の国民)が自由に考えるわけだから、行政コスト上も資源配分への影響上も「小さな政府」を保つことが出来る。

 一方、所得の再分配を大きくするなら、福祉の効果としては大きいということになるだろう。経済的弱者が政府のより大きなサポートを求めるのは当然だが、現在必ずしも困窮していない人でも、現状よりももう少し大きなセーフティーネットがあった方が好ましいという、弱者に対して人道的であると同時に、自分にも関わる問題として保険的なニーズを感じている国民は多いのではないだろうか。

 仮に、「霞ヶ関のムダづかい」を削減することができて、この支出を経済的弱者への減税や給付金に振り替えることができれば、「より小さな政府」「より大きな福祉」が少しずつ実現することになり、官僚以外に誰も反対しないだろう。

 所得の再配分としての福祉のサイズがどのくらいであるべきかは今後重要な検討課題だが、「ムダづかい」を「福祉」に切り替える置き換えには反対は少ないはずだし、非効率とされる政府の支出を民間の需要に振り替えるのだから、長期的には「成長戦略」的な効果があるかもしれない。


 鳩山由紀夫民主党代表には、概念的で曖昧な意味を具体化しようとすると経済的な非合理に陥りやすい「グローバリズム」や「市場原理主義」を敵視する姿勢は止めて、より具体的な「小さな政府、大きな福祉」を基本方針とすることをお勧めしたい。


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