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政局LIVEアナリティクス 上久保誠人

上久保誠人(大学講師)

【第24回】 2009年05月26日

世襲自体よりも当選回数による人事システムこそが問題だ

 自民党は「世襲制限」を掲げる方針の民主党に対抗し、国会議員の世襲制限について、次期衆院選から国会議員の親族が同一選挙区から連続して立候補することを禁止する方向で調整に入った。正式決定されると、小泉純一郎元首相の次男進次郎氏などが自民党公認では立候補できなくなる。

 しかし、この世襲制限案は自民系世襲候補が無所属で立候補した際、党県連が支援できるなど抜け道が多い。自民党は別のやり方で民主党の世襲制限に対抗すべきではないだろうか。そこで、前回に引き続いて、「政治家の世襲問題」について論じたい。特に、自民党の人事システムである「年功序列(当選回数至上主義)」と「世襲問題」を関連付けて考えてみる。


世襲議員の問題は政界の「入口」だけではない

 現在の「政治家の世襲問題」に対する批判は、主に政界への新規参入のハードルが高くなり、外部にいる優秀な人材が政界に参入しづらくなるというものだ。ただ私は、世襲問題の本質はここにはないと考えている。

 世襲議員は自民党国会議員の約4割弱である。確かに他の民主主義国家と比べて世襲議員比率は圧倒的に高いが、それでも約6割強は世襲なしで国会議員となっている。外部から絶対に政界に参入できないわけでもない。むしろ、麻生内閣の閣僚の6割(18人中11人)を世襲議員が占めているように、世襲議員のほうが政界でより指導的立場になりやすいことが問題ではないかと考える。

 前回指摘したことだが、80年代以前の首相はほとんどが世襲議員ではなく、逆に90年代以降は首相のほとんどが世襲議員である。これは単に世襲議員の数が増えたためではなく、自民党の年功序列システム(当選回数至上主義)の完成と関係がある。

 当選回数至上主義とは、国会議員の当選回数に応じて、閣僚、副大臣、国会の委員会、党の役員といった、さまざまなポストを割り振っていく人事システムである。自民党議員は当選5−6回で初入閣までは横並びで出世し、その後は能力や実績に応じて閣僚・党役員を歴任していく。これは、約300人もいる自民党の国会議員の全員が納得できるように党の役職を割り振るのは簡単ではないため、「当選回数」というわかりやすい基準を設けたということだ。このシステムは自民党政権の長期化に伴って固定化し、「当選回数」が国会議員を評価する絶対的な基準となった。

 このシステムでは、若くして国会議員に当選すると、それだけ党内での出世に有利となる。そして、強固な選挙区(地盤)、政治資金(かばん)、知名度(看板)を引き継ぐ世襲議員の初当選年齢は若い。例えば、小泉純一郎氏・30歳、橋本龍太郎氏・26歳、羽田孜氏・34歳、小渕恵三氏・26歳である。ちなみに、史上最年少・自民党幹事長だった小沢一郎氏は27歳初当選だ。

これに対して、官界やビジネス界で成功した後や、知事などを経験した後に40−50代で政界入りした場合、この人事システムではその経験や実績はほとんど考慮されない。例えば、小泉内閣で首相秘書官を務めた小野次郎氏(52歳で初当選)、財務省主計官だった片山さつき氏(46歳で初当選)はただの1 回生議員扱いである。そして、このシステムでは40−50代で政界入りすると、初入閣するのは 50代後半か60代前半となる。その時彼らと同年代の世襲議員は、既に主要閣僚・党幹部を歴任したリーダーとなっている。

 ちなみに、近年はこのシステムを逸脱する抜擢人事もしばしば行われている。しかし、抜擢されるのは麻生内閣の小渕優子少子化担当相、小泉内閣の安倍晋三幹事長、石原伸晃国土交通相など世襲議員である。抜擢人事では若手が起用されることが多く、若くして国会議員となれるのは世襲議員が多いからだ。


世襲+年功序列による「逆・学歴社会」

 一方、かつて歴代首相の初当選年齢とキャリアは、池田勇人・50歳(1期目に蔵相就任)、佐藤栄作・48歳(当選前に官房長官、1期目に自由党幹事長、郵政相)、岸信介・57歳(戦前・商工相、1期目に自民党幹事長)、福田赳夫・47歳(4期目に政調会長、幹事長)、大平正芳・42歳(5期目に官房長官)であった。当選回数至上主義が確立する前の自民党は、財界や官界で出世した人物が40代以降に初当選し、即幹部に抜擢される実力主義だった。

 前回、私は日本ではかつて「東大→キャリア官僚→(閨閥入り)→政治家」というルートが政治家への道として確立していたが、民主主義の進展で生き方・価値観が多様化し、優秀な人材が必ずしも官僚となり政治家を目指すとは限らなくなったと書いた。しかし、これは逆に言えば、多様な生き方・価値観がある中で、「政界入り」が必ずしも魅力的なものではないから、優秀な人材が政界進出を選ばなくなったということだ。

 現在の政界は、成蹊、成城、学習院などを出たお坊ちゃま・お嬢さまを、一生懸命勉強して東大・早稲田・慶応などを卒業した人材が支えているという構図になっている。いわば政界には「世襲」+「年功序列」=「逆・学歴社会」が出来上がってきている。これでは、優秀な人材はバカバカしくなって政界に興味を持たない。これが「政治家の世襲問題」の本質なのではないだろうか。


私が自民党の選挙対策を考えるならば

 私が自民党の菅義偉選挙対策副委員長ならば、民主党の「世襲制限」に「世襲制限」で対抗するようなことはしない。「世襲制限」は職業選択の自由や被選挙権という憲法の規定を制限するもので、政策としての筋が悪い。大衆迎合的でもある。それに対して小泉ジュニアを公認はしないが対立候補を擁立もしないようなことをしても国民はごまかせない。

 それよりは、世襲議員が出世しやすい「当選回数至上主義」の人事システム廃止を党の公約としたらどうか。これは単純な世襲批判よりもわかりにくいかもしれない。しかし国民に対して誠実に訴えていけば、民主党の公約がいかに大衆迎合的であるかを浮き彫りにできる。心ある国民からは必ず理解されるはずである。
(引用終わり)




なお、アメリカのオバマ大統領は周知のようにハーバード大学ロースクールを卒業したエリート弁護士出身、イギリスのブラウン首相は名門エディンバラ大学卒、フランスのサルコジ大統領は弁護士出身、ドイツのメルケル首相は名門ライプツィヒ大学卒、ロシアのプーチン首相は名門レニングラード大学卒である。

麻生景気対策の問題点

http://diamond.jp/series/kamikubo/10022/
上久保誠人(大学講師)

【第22回】 2009年04月28日
財政悪化を気にしない麻生景気対策の根底にある「ほどこし」の感覚

 麻生首相は予算総額15.4兆円の補正予算案を提示した、3月末に成立した今年度予算88兆円と合わせると、史上最高の103.4兆円にも達する大規模予算である。まさに「歴史的予算」と言えるが、今回はこの予算を遂に作り上げた麻生首相の「こだわり」について考えてみたい。


自称「経済通」麻生首相を支える
JC人脈からの「生の声」

 今回の補正予算の内容を精査してみると、低燃費車買い替え促進のための助成制度や、太陽光発電や省エネ家電購入の補助制度、住宅取得のための時限的な贈与税の軽減などが並ぶ。特に、贈与税の軽減については、既に史上最大規模の住宅ローン減税を実施した上での実施である。これは、「年越し派遣村」の方々のような、住む住宅がないような失業者のための対策ではない。むしろ、ある程度以上お金を持っている人々への支援策だ。ここに麻生首相の「こだわり」があるように思う。

 この連載の第8回に取り上げたように、麻生首相は景気や金融危機を自分の手で解決したいと考えてきた。それは、麻生首相は自らを「自民党随一の経済通」だと信じているからだ。その根拠は、政界では数少ない実業家としての経験で得た経済感覚に対する自負である。

 麻生首相の経済感覚を支えているのが、日本青年会議所(JC)の人脈だ。麻生首相は政治家になる前、1978年度にJCの会頭を務めた。麻生首相はJCメンバーから地方の経済情勢など生きた情報を収集し、それを経済政策立案に生かせている。それが他の政治家と自らの違いだとしている。

 JCとは、20歳から40歳の青年経済人で構成されている組織である。経団連など他の経済人組織と違うJCの最大の特徴は、「年齢制限」である。JCでは、満40才に達した翌年には退会しなければならない。ただ、JCには「世襲経営者のサロンクラブ」だという批判がある。JCの主要なメンバーは二代目・三代目の世襲経営者である。

 そしてJCから経済政策などに画期的な政策提言というようなものが出てきて、大きな話題となったことはほとんどない。しかし今回、麻生首相は相当な「こだわり」を持ってJCからの生の声を景気対策に取り入れた。それがお金を持っている「世襲経営者」を救うような支援策の数々なのだろう。
(後略)



モリタクさんも、
 ただ問題なのは、その対象となっているクルマや家電を低所得層が買えるのかという点だ。中所得層はそれなりに金を使うようになるかもしれないが、低所得層はすでにクルマ自体が買えず、大型の薄型テレビも買えない状態だ。
いくらポイントがついても、先立つものがなければ意味がない。本当に需要を喚起したければ、同時に大規模な減税なり給付金なりを実施すべきだったのではないか。

と指摘していますね。

阿比留瑠比さんの国を憂い、われとわが身を甘やかすの記
http://abirur.iza.ne.jp/blog

百地日大教授「鳩山発言はバカバカしい子供の議論」

2009/04/21 11:47




 今朝の産経は、数日遅れとはなりましたが、民主党の鳩山由紀夫幹事長がインターネットの動画サイト「ニコニコ動画」で、永住外国人への地方参政権付与に関連して「日本列島は日本人だけの所有物じゃない」と発言したことを小さく取り上げています。ここ数日、ネット上では非常に大きな話題となっていた問題ですね。



 まあ、もともと鳩山氏は「永住外国人への地方参政権付与は民主党の結党以来の悲願」としてきた人です。また、民主党は小沢一郎代表も菅直人代表代行も輿石東参院議員会長も岡田克也副代表も前原誠司副代表も、執行部はみんな外国人参政権付与賛成派ですし、鳩山氏がその推進にこだわることは不思議ではありません。ただ、「日本人だけの所有物ではない」という言葉の真意というか、つまりは何のことを言っているのかが私には理解できませんでした。そこで、まず関連部分のテキスト起こしを読んでみました。



《Q (視聴者から)永住外国人地方参政権付与問題、日本人にどういうメリットがあるのか



鳩山氏 私は日本人が自信を失っていると。自信を失うと、他の国の血が入ってくることをなかなか認めないという社会になりつつあるなと。それが非常に怖いと思っている。むしろ、定住外国人の話などは、税金を彼らが納めてるわけですよね。地域に根が生えて一生懸命頑張ってる人たちがたくさんいるわけです。度量の広さをね、日本人として持つべきではないかと。

私は何か、今まで普通の人と逆みたいな言い方をするかもしれませんけども、自信があれば、もっと門戸を開いていいじゃないかと。いずれにしてもこの国はですね、出生率1・32とか低いところにあるわけですから、この出生率の問題だけ考えても、もっと海外に心を開くことを行わないと、世界に向けても尊敬される日本にならないし、また日本の国土を守ることもできなくなってくると。そう思っていますから。私は、定住外国人の参政権ぐらい、当然付与されるべきだと。そう思っています。ただ、民主党のなかにも結構根強い反対論があります。



Q 少し整理しないといけないのは、地方参政権と国政参政権は違うということですよね?



鳩山氏 一応、違うと考えて…当然、地域に根ざして頑張ってる。彼らが地域の行政、参政をする、参画をする必要があるのではないか。ただ、国政になると、まさに国益の議論をもっと深刻に議論しなければいけないときがあると思うので、そこまでいま広げる必要はないと。そう思ってます。



Q 責任取れないことを軽々しく言うな、という書き込みもある。



鳩山氏 もっと日本人として自信を持たないとダメですね。



Q つまり、日本人としての自信があれば…



鳩山氏 アメリカなんかそうでしょ? アメリカの良さはそういう度量の広さ、色の白黒の問題もありますけども…そういった方々を全部乗り越えてね…



Q 「自信のあるなしの問題ではない」との書き込みも…



鳩山氏 だから、みんなそういう風に言っちゃうんですよ。でも、自信のあるなしの問題なんですよ。自信があれば、もっと度量を広く持てば、日本列島は日本人だけの所有物じゃないんですから。もっと多くの方がたに参加してもらえるような、喜んでもらえるような、そんな土壌にしないとダメですよ。



Q 門戸を開放することを脅えてるのが自信がないからと?



鳩山氏 そうですそうです。



Q それぐらいの余裕が必要だと?



鳩山氏 当然です。私は友愛という言葉を使いましたが、自立と共生、一人ひとりがもっと自立していけば、他者と考え方が違っても、それを認められる。自分に自信がないと、自立してないと、他者を認められないという世の中になっちゃう。もっと私は、自分自身をそれこそ成長させながら、その中で他者を、違うことをむしろ喜び合う、という世の中にしていかないと、世界はまったく平和は維持できませんよ。



Q でも、ユーザー内では反対論が多いようだ。



鳩山氏 だから、いつかは私は分かってくれると思いますよ。



Q 何がかみ合わないのか。ユーザーは何が聞きたいですか?書き込みいただければ。…「分かりあいたくもない」と…



鳩山氏 だからね、そういうふうに排他的に考えちゃうんだよね。もっと心を開かないとね。うん。



Q この形のなかで居心地がいいということではいけないと?



鳩山氏 今の日本で、ほんとに居心地がいいんでしょうかね? 私は必ずしもそう思わない。日本人がアメリカに何か憧れたりするわけでしょ? 私は例えばオバマ大統領を生んだアメリカってのはすごいと思いますよ。絶対にそのようなことは日本では起こりえないですよ、今のような発想では。もっともっと心を広く持たないと。仏教の心をね、日本人が世界でもっとも持っているはずなのに、なんで他国の人たちが、地方の参政権一つを持つことが許せないのかと。少なくとも、韓国はもう認めているわけですよね。彼らが認めていて、我々が認めないというのは非常に恥ずかしいと思う。



Q 鳩山さんは日本を愛していないのか、という書き込みがある



鳩山氏 それはまったく逆じゃないですか? 日本人であることに誇りを持てば、受け入れられるんですよ。日本人であることに誇りを持たないと、逆に主張できない



Q まあちょっと…質問もないようなので…ご意見はあるようだが。質問ないようなので次の問題に…(了)》



 …やっぱりよく理解できません。まず、税金を納めていることと、参政権は別の話ですね。在日韓国人の人だってさまざまな地域の行政サービスその他の恩恵は受けているわけで、税金を払う対価は得ています。また、突然「度量の広さ」を示せと言い出すことにも飛躍を感じます。そしていきなり「アメリカなんてそうでしょ」と述べていますが、文脈がつながりません。これは米国では外国人に参政権を与えていると言いたいのかどうか。



 さらに、出生率の話もどうつながるのか。在日韓国人に地方参政権を付与すれば、どうして日本人の出生率が上がるのか。いつのまにか、話が移民受け入れの話とこんがらがっているように受け取れます。その上、これまた何を指すのか分からない仏教の心まで持ち出されると、こちらの頭も混乱してしまいます。これは寛容さとか慈悲のことを言っているのでしょうか。だとすると、鳩山氏は在日韓国人に参政権を与えることは慈善行為か奉仕の類だと考えているのか。わけがわかりません。



 そこで本日は、外国人参政権問題に詳しい日大の百地章教授に、鳩山発言についてどう思うかミニ・インタビューを試みました。以下がそのやりとりです。



 《私 鳩山氏の「日本列島は日本人だけの所有物じゃない」発言を聞いてどう感じたか



 百地氏 何という稚拙な議論だろうかと思った。近代国家、領土、主権の意味が何も分かっていないのではないか。現在、無主の地を除けばすべての土地は各国の領土として主権が及んでいる。日本列島はまさに日本国のものだ。それを無視して外国や外国人が勝手に利用することなどありえない。そもそも、鳩山氏のいう「所有物」とはどういうことなのか。日本列島を所有するという議論はそもそも成り立たないし、何を言っているのか意味不明だ。「みんな仲良くしましょうね」というだけのバカバカしいノーテンキな子供の議論だというしかない。



 私 鳩山氏は、日本人の自信の問題だとも言っている



 百地氏 どうも、外国人もどうぞ日本においでください、ご自由にどうぞという議論のようだが、そこには主権という概念が全くない。外国人が自由に出入りできるような国はないし、ましてや選挙権を自由に認めている国家なんてない。鳩山氏の言う通りにすれば、日本人は日本人としての自覚を失い、ますます自信を喪失するのではないか



 私 大事な点として、韓国の国会で成立し、現在大統領の決裁待ちの公選法、国民投票法などの改正案の存在がある。これは在日韓国人を含む在外居住の国民に国会議員(全国区比例代表)の投票権を与えるというもので、これが実現し、なおかつ日本でも地方参政権を持つとなると、二重に投票権を行使できることになる



 百地氏 二重選挙権なんて世界の国々では基本的にありえない。それを認めようという話なんてありえないことで、バカバカしすぎる。情けないの一言だ。例えば、EUのような特殊な地域を見ても、フランス人がドイツ国内で地方参政権を行使する場合はフランスでは選挙権を行使しないのが原則だ。韓国で法案が通れば、永住外国人の地方参政権はますます認める必要はない



 私 鳩山氏は米国のあり方をほめてもいる



 百地氏 鳩山氏が米国に行って、自分にも選挙権を与えて自由に行使させろと主張するのであればともかく…。》



 百地氏はひたすら呆れてまともに論じるに値しないという感じでしたが、それでも私の電話インタビューに応じてくれました。百地氏の結論は、「鳩山氏は、たまにいいことも言うけれど、バカバカしいことを言い過ぎる」というものでした。まあ、それでも、鳩山氏もポスト小沢候補の一人であり、つまりは次期首相候補の一人でもあるわけですからねえ。なんだかなあ。





アメリカは在米外国人の地方参政権を認めていないので、鳩山氏の論法に従った場合、アメリカは「オバマ大統領を生んだアメリカってのはすごい」どころか「自信がなく、度量が狭い」ということになってしまうはずですが・・・(オバマ氏はれっきとしたアメリカ国民です)
日本でも帰化すれば選挙権どころか被選挙権も得られるわけで、十分に門戸を開いてると思うのですが。

山崎元のマルチスコープ

山崎 元(経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員)

【第76回】 2009年04月15日
「お金持ちの気持ちが分かる総理大臣」が考えた追加経済対策


(前略)


お金の使い道を限定した
「エコ贔屓」の財政支出

 政府がお金を使うことはやはり非効率的なのではないかと思わせる例は、教育対策に見られる。たとえば、追加経済対策には、パソコンを使って教材の内容を映し出せる電子黒板を公立校に配備したり、教員が使えるパソコンを増やしたりする「学校ICT(情報通信技術)化」事業に約4000億円を充てること、加えて小学生5〜6年を対象に4月から始まった英語授業に対して約10億円の予算を組み、2万3000人の小学校教員に英語研修を実施することなどが書き込まれた。

 だが、いうまでもなく教育は内容が大切であり、足りないのは優秀な教師であり、教育の内容ではないのか。電子黒板ではあるまい。具体的には、教師のレベルアップや増員など、教育内容をグレードアップするために本来はもっと予算が使われるべきではないか。英語研修に10億円、対して学校ICTの機材購入には4000億円。この対比は何とも象徴的だ。経済対策が名目になると、機材購入でお金を使うことに重心が偏るのだろう。

 また、学校の屋根への太陽光発電施設の導入や校庭の芝生化に1000億円を計上、学校施設の耐震化事業にも約2000億円を充てるという。耐震化は確かに欠かせないが、学校の屋根に太陽光発電施設は本当に必要で効率的なのか。太陽光発電や芝生化に、教育内容を改善する積極的な意味があるわけではないだろう。ここでも機材の購入に支出が偏っている。主に公立校に対する投資だから、この部分に限って言えば、メリットは割合均等に行き渡り、貧しい人に対してより手厚くという意味合いはあるだろうが、総合的なおカネの使い方がまずいのではないか。また、高校生や私大生への授業料の減免措置や奨学金の拡充といっているが、たとえば、どういう私大に対して、どんな奨学金を出すのかよほどよく考えないと、悪く言えば、暇つぶしに補助金を出すことになる可能性があるのではないか。教育への支出は全体として評価できない。本来は、教師の増員、質の向上、さらに特に公立の中学・高校のカリキュラムの充実が必要ではないだろうか。



また、日経新聞に追加対策の目玉のひとつとして挙げられている環境負荷の小さい低燃費車や省エネ型家電製品の普及策も、優れた対策だとは思えない。たとえば、新車登録から13年超たったクルマを廃棄し、2010年度の燃費基準を満たす新車(全体の9割が該当)に買い替える場合、普通自動車で25万円を助成する(ハイブリッド車や低燃費車対象の減税措置と合わせると、200万円のハイブリッド車に乗り換える場合、負担は40万円程度減る)というが、本来はガソリンならガソリンの環境に対する汚染効果があるとすれば、その効果をきちんと評価・算定して税金などでコストを乗せてハイブリッド車購入のインセンティブを高める施策がとられるべきだろう。

 環境にターゲットを絞っているという意味では、多少の公共性を認めることはできるが、配分のフェアネスから言っても、今この不景気の時に、車を買おうという人を後押しするのだから、これは明らかに余裕のある人に対してお金をつける政策だ。かつては輸出主導の景気回復のけん引役として頼られ、円安介入で側面支援してもらい、外需が崩れると今度は補助金で買い替えを国に促進してもらうとは、「自動車産業はそんなに偉いのか」と皮肉の一つも言いたくなる。こと環境に対しては、不必要な自動車が減るのが一番良い。

 似たことが、家電にも言える。同じく日経新聞11日の報道を引用すると、「家電分野ではテレビ、冷蔵庫、エアコンの3品目を対象に、省エネ性能を示す“省エネラベル”で4つ星以上の家電を購入すれば、販売価格の5%分のエコポイントを付与。ポイントは省エネ商品の購入などに使える」という。しかも、「制度には地デジ放送の普及策も取り込み、地デジ対応の薄型テレビ購入にはエコポイントが5%上乗せされる。旧型テレビをリサイクルすればさらに3%つけ、最大13%の補助が受けられる」。ご丁寧に、ポイントの上限まで設けられている(3万9000円分)。家電量販店のポイント以上に複雑で分かりにくい。

 そもそもお金さえあれば、家電や自動車に限らず、何に振り向けるかは個人が考えるべきものだ。借金を返済したい人もいれば、教育投資に使いたい人もいるだろうし、旅行をしたい人もいるだろう。はっきり言って、同額程度の定額給付金ないしは減税に劣る施策ではないか。お金の使い道を選別した、まさに “エコ贔屓”とでも呼ぶべきものだ。こういう財政支出は「くだらない」。



 視点を変えてみよう。非常に不評だった定額給付金にこの15兆円をまるまる使ったとすればどうなるのか。日本の人口約1億2700万人(平成17年の国勢調査)で割ると、1人あたり11万7000円となる。丸めて12万円とすれば、4人家族で48万円だ。普通の勤労者世帯の平均所得は年間400万円台だから、48万円は1割強に達する。その額をそっくりそのままもらったほうが、学校の電子黒板などにいろいろお金を使われるよりもよっぽどいいと思われる人は多いのではないか。総合的に見ると、今回の追加経済対策は、国民に対してお金の使途を強制するお節介の色彩が濃い。所得の再配分効果も、上から下を目指しているのか(the rich → the poor、これが普通)、下から上を目指しているのか定かでない。
(後略)



野口悠紀雄(早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授)

【第16回】 2009年04月04日
「景気対策の三段ロケット=75兆円」のお寒い実態

 「75兆円の三段ロケット」には、環境対策車を購入した人に対する減税措置が含まれている。

 しかし、これには問題がある。

 第一に、「環境対策車」なるものは、環境条件を向上させるかどうかが明らかでない。車が直接に排出するガスが減少することは明らかだが、ハイブリッド車などを製造、運行するためのすべての条件を考慮した場合に環境条件を総体的に向上させているかどうかは明らかでない。また、環境対策は税でもできる。すなわち、環境非対策車に対して高率の課税を行なっても、同じ効果が実現できる。

 第二に、特定の産業または企業のみを補助することにより、資源配分を攪乱する危険が大だ。相対価格を変える政策は、総需要喚起策ではない。国内の雇用や生産を守るためにこうした補助措置を行なうことは、まったく正当化されない。

 高速道路の料金引き下げにいたっては、そもそも何が目的なのかも明らかでない。自動車を使わせることだけが目的で、環境配慮からは矛盾している。

 私は、有効需要拡大のための財政支出が同時に遅れた都市基盤整備となることを期待したが、所詮、日本の現状では無理なことなのかもしれない。ケインズ政策は、政治が適切に機能することを大前提にしたものである。その条件が確保されていない日本では、もともとケインズ政策は考えるべきではないのかもしれない。

 経済政策に名を借りて、さまざまの産業保護策や企業救済策が便乗している。環境対応車もそうだが、この機会にできるだけの補助策を獲得しようという考えが強い。こうしたことが続けば、製造業は財政補助に依存する体質になり、そして衰退するだろう。それは、これまで日本の農業が辿ってきた道だ。

 また、ここには納税者の視点がない。日本には、こうした政策にチェックをかける政治的な勢力がない。その負担は、真面目に働いている者の肩にかかってくる。この面からも、日本を長期的に衰退させる力が働くことになるだろう。




とっと減税した方が、景気対策には絶対有効だと思うのだが、財務省は決して己の権限を縮小しようとはしない・・・

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この馬鹿の実名晒せ

対局中の羽生名人に記者がサイン求める 厳重注意

4月10日21時26分配信 産経新聞

 将棋の羽生善治名人(38)に郷田真隆九段(38)が挑戦する「第67期名人戦」(朝日新聞社など主催)で10日、朝日新聞の委託を受けて観戦記者として立ち会っていたフリー記者(75)が、対局中の羽生名人にサインを求めるトラブルがあった。同社は記者に口頭で厳重注意するとともに、対局終了を待って羽生、郷田両氏や共催の毎日新聞社など関係者に陳謝する。


 同社によると、トラブルがあったのは名人戦第1局2日目の10日午前9時45分ごろ、羽生名人が自らの手番で44手目を考慮中、記録係と並んでいた記者が白い扇子とペンを取り出し、羽生名人にサインをするよう求めた。

 羽生名人は対局を中断する形でサインに応じ、頭をかく仕草をしながら盤面に目を戻した。この間、郷田9段は水を飲むなどして様子を見守った。

 この様子はNHKが中継しており、実況担当者が「今、何か書いているようですけれども…」と当惑しながらその様子を伝えた。

 問題の記者は昭和51年から平成11年まで、朝日新聞社の嘱託記者として取材活動を行い、この日は同社の委託を受けて取材にあたっていた。

 休憩時間に担当者が、問題の記者に「対局中に声をかけるような行動は慎んでほしい」と注意したところ「郷田さんの手番だと思っていた。うかつだった」と釈明したという。朝日新聞社は「両対局者はもちろんのこと、主催する名人戦実行委員会のほか、関係者にご迷惑をおかけしたことを深くお詫びします」とコメントしている。





郷田の手番でもダメだろ。それにしてもサインに応じた羽生はいい人だな。それとも押し問答を続けるよりも、さっさと書いてしまった方が早い、という判断なのだろうか?


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