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新生銀行(8303)に着目してみる

久しぶりにブログを書いてみました。

新生銀行。
現在の株価は,1700円ほど。
公的資金を2100億円つぎ込まれ,大手行の中で唯一,その返済の目処が立っていないとされる銀行です。

他方で,新生銀行の決算をみると,昨年の決算は,営業収益が約3800億円に対して,当期純利益が約500億円,今年も現在のところ,そんなに変わらない決算予想をしているので,一定の収益性はあるといえそうです。

ちなみに1株純資産は3160円ほど,1株純利益は200円ほどなので,他の銀行株と比べてもそんなに悪い水準のようには思えません。
株価を見る限り,割高感はあまり感じないところですが,この新生銀行が,公的資金を返済できる状況にはないということでとても苦しんでいます。

でも,なぜ2100億円の公的資金が返済できないのでしょうか。新生銀行の純資産は8200億円ほどありますから,いきなりは無理でも,少しずつ返していくこともできそうな気もします。純利益500億円全部を返済に充てれば,4年ほどで返せます。でも,少しずつ返していく気配もありません。

詳しく見ていくと,返したくても返せないジレンマというのが見えてきます。

まず,新生銀行につぎ込まれた2100億円ですが,これは貸金ではありません。もともとは優先株として出資されていたようですが,普通株に転換されており,現在では,政府が預金保険機構や整理回収機構を通じて,4700万株ほどの普通株(発行済み株式の約17パーセント)を持っているという構造にあります。

また,つぎ込まれた額は,2100億円ですが,政府としては,返してもらう以上,ある程度の利益を上乗せで返してもらうことを想定しており,政府の想定額は3500億円とされています。
ちなみにこれを政府が保有する株式数で割ると,1株あたり7450円ほどということになるようです。

くせ者なのは,この公的資金が貸金でもなく,優先株でもなく,普通株になっているということです。普通株である以上,新生銀行が政府のみから,この株式を7450円で買い取るということは不可能であり,他の株主にも平等な形で買い取る機会を与えなければなりません。株式会社である以上,当然のことです。

自社株買いをするとしても,市場での買付等が必要ですが,株価が2000円を下回っているような今の状況では,仮に7450円で買い取るようなことをすれば,一般株主が殺到し,政府保有株のみを買い取るなど不可能です。

一部報道では,政府保有株を優先株に戻すことも検討というのを見たことがありますが,特定の株式だけ優先株にするというのは,やはり株主平等の原則に違反し,認められないでしょう。しかも,その目的が最終的に政府保有株だけ高く買い取ることにあるとなれば,なおさらです。また,技術的には,新たに新株を優先株で発行して,政府保有株を買い取ることになるでしょうが,前者については,その発行の必要性について説得力ある形で説明することはできないでしょうし,後者については,やはり特定の株式のみを買い取るのですから,問題は同じといえます。

結局,何が悪いのかというと,こんなスキームで公的資金を注入してしまったという当時の判断の甘さと,株価が上がらないという2点に尽きるように思います。

さて,このような形がある以上,新生銀行の公的資金の返済は,制度の壁に阻まれて,事実上不可能に思います。

方法としては,株価を上げることでしょうが,株価が上がれば,政府保有株が市場を通じて売りに出されるとの思惑を招くと思われます。また,株価が上がれば,大株主も売りに回るかもしれません。そのあたりの思惑もあるので,株価も上がらないという悪循環に陥っているように思います。

もっとも,物事は考えようで,ここまでの事態になれば開き直ってもいいかもしれません。
いくら公的資金といっても,普通の株主と立場は変わりません。しかも,保有株はたった17パーセントほどです。
それでいて,損失を出すわけにはいかないので,安い価格で売却もすることができません。この点は,同じ政府保有だけど,取得価格がよく分からない郵政やJTと根本的に違うところです。政府としては,株主として経営に介入するとしても,ますます株価を下げるような失敗は許されません。

ひょっとして,政府が損失覚悟で市場で株式を売却する可能性もありますが,そうなったらそうなったで,短期的には下げても,長期的には公的資金という重しがなくなるので,株価は上がるのではないでしょうか。

たった17パーセントのいわば少数株主でしかない政府にとって,公的資金の返済は必須でしょうが,できることはさしてないという現状を考えれば,公的資金をそんなに恐れなくてもいいように思います。

かえって,新生銀行経営陣も政府も株価が上がることについては共通の利害を有しているはずであり,継続的に株価を上げるための施策を考えていかなければならないという点は,株主の立場から見れば,かえってプラスのようにも思います。

現時点で,新生銀行は,配当を10円に抑える一方で,株主還元策として,自社株買いをしているようですが,現在のように株価が1株純資産を大きく下回っている状況からすると,長期的には自社株買いの方が株価を上げる上では効率的でしょう。

株価としては割安で,下値不安も大きくないことを考えると,新生銀行や政府の努力がどこかで実り,ある程度の保有を続けることによって,リターンを得る可能性もあるかもしれません。

公的資金を返済していない金融機関というと,半人前でリハビリ状態のような感じもあり,株価的には良くないでしょうが,こう割り切って考えて,投資してくれる人が増えてくれることを願って,少しばかり手を出してみようかなとも思います。


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