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名作と誉れ高かったので、見ました、『ペイパームーン』。
1930年代前半が舞台の映画で、モノクロです。
もちろん1930年代に作られたからモノクロというわけではなくて、製作は1973年。
だから、意図的なモノクロです。
この意図的なモノクロがいい仕事している。
はっきりいって、まったく古びてないのだ。
カラー作品ならその色使いに時代が出ることが多いけど、モノクロで製作されたことによってまさに時代を超えた作品に仕上がっている。
ある男とある少女のロードムービーなんだけど、まあ、心理描写とか実によくできている。
特に、この少女の描写と子役の演技、絶品ですね。
実にひねた子供なんだけど、ほんとの子供ってこんなかんじだろうなあ。
大人が勝手に「天使だー」とか言ってるだけで。
子供も内心、「あー、自分が子供だからチヤホヤされているなあ」って気づいているはずだし。
でも、ところどころ、大人への憧れや一人でいることへの不安や、そういった子供らしさもあって。
こどもって、そんなもんじゃないのかな。
そのへんの描写がうまい。
でも、少しこの少女賢すぎでは。
生活力が強いと、こうなるものなのかな。
ただ、訳がやっぱりイマイチだ。
こないだ見た『独裁者』は実に字幕がうまかったのに。
この作品の見所とも言える、男と少女のウィットに富んだ会話のニュアンスが、翻訳過程でだいぶ消されてしまっていると思う。
そこがおしいなあ。
僕もリスニングで完全に聞き取れているわけではないけど、あきらかに字幕と喋っている内容がうまく噛み合ってないときとかある。
しかも、会話劇のシーンとかでそういうことがあると、実にもったいない。
「こどもだから云々」と大人は言いたがるけど、子供は子供でいろんなことに気づいている。
それを大人には黙っているのだと思う。
この少女は大人びて見えるけど、でも、この少女は、ただ黙っていないだけだと思う。
もちろん、育った環境によるけど。
まあ、あまりこどもを美化してもしょうがないなってことです。
ラストシーン。
評価高いだろうけど、僕は微妙なところだ。
あのラストでもよかったのだけどさー、別のラストを僕は途中から頭の中で描いていたから。
「あー、そっちかあ」って感じもした。
でも、確かにあのラストのほうがまさに「ペイパームーン」(紙の月でも、信じればそれは本物さ♪)という感じですね。
紙の月を、信じて歩みだすようなラストです。
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