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打者イチロー ⇔ 投手ウォシュバーン

ウォシュバーンと契約間近の噂が流れて以来、シアトルは阿鼻叫喚の嵐。代表的な反応は

   「何故こんなカスピッチャーと契約???バベーシをクビにしろ」
   「バベーシをクビにしろ」
   「バベーシをクビにしろ」

カス呼ばわりの主な論拠は

   「今年の防御率3.20は単にラッキーだっただけ。FIP4.39がその証拠」

確かに今年のウォシュバーンが幸運に恵まれたのは事実だと思います。
ただし、FIPDIPSだけで投手を完全に評価することは不可能・FIPでは測れない部分(DER,HldR)に
強みがある投手もいる、とは前に反論したとおり。

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付け加えると、BIPA(DER)は運と守備の質の差だけとするには実際の分布は説明が付きませんし、
DIPSの生みの親Voros McCrackenも後にその点を認めたはず(確かBaseballThinkFactoryで?)。
$HldRは試合中に起こるイベント全てがその数値に影響を与えますから、投手の能力がある程度
関係するのは当然の帰結です。

ポイントとなるのがFIPやDIPSに限らないセイバーメトリック生来の欠点。
セイバーメトリック究極の目標は「周りの状況や運に左右されない選手の真の能力を測る」
そのため下図のグレーゾーン部分の能力を不必要に過小評価してしまう結果を招きがち。
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FIP/DIPSによる査定の代表的な犠牲者グラビン・ジト・ウォシュバーンについては既に書きましたが、
上の図は[投手]をそのまま[打者]に置き換えて見ることも出来ます(除PO)。
BB/PAAB/HR(≒XBH/AB,IsoP)が優れている打者がセイバーメトリック的に好まれるのは、
相手守備や運が絡む要素が極めて低いためで、レッズのA.ダンがその典型例。
その反対に打者版の低評価の犠牲者代表がイチローです。

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ダンの価値(グラフのEqA)は概ねXBH/ABとリンクしているのに対し、イチローの打者としての価値は
ほとんど完全にBIPAに依存しているため、セイバーメトリック的な評価では差が発生。
代表的なアンチ・イチローのDayn Perryが、イチローを「パワーがない、四球を選ばない」と
鸚鵡返しに批判するのは以上の理由に基づいてのものです。

では、イチローは「打者」として無価値・・・?

ここは説明不要。もちろんプホルスやA-Rod・ラミレス・ゲレーロのクラス(HOFer)ではありませんが、
オンの年(2001,2004)はそのクラスの末席にはランクインしますし、通算ではオールスター級。

話を問題のウォシュバーンに戻すと、ウォシュバーン批判派が陥っているのは正にPerryと同じ穴。
選手としての格は違うものの、FIPやDIPSだけに注目してウォシュバーンを評価することは、
イチローをHRや四球だけに基づいて評価するのと同じ。2004年の.372は幸運にも恵まれた結果でも、
通算.332にはそれだけの理由があるはずです。
同様なことが、ウォシュバーンの今年の防御率3.20と通算防御率3.93にも当てはまるのでは?
ウォシュバーンとの契約で真に問題なのは、来年32になる(衰えていく危険大)故障がちな投手に
4年契約を提示したことで、ウォシュバーンが「カス」だからではないと考えていますが・・・



    HldR =1-(ER-HR)/(H+HB+BB-HR)

  と計算しましたが、上の式だとランナーがどの塁にいるかによる差が全く結果に表れないため
  RCと同様の得点推計式、XR(eXtrapolated Runs)を使って少し変更しました。

    $HldR=(ER-HR)/[1B*0.5+2B*0.72+3B*1.04+(BB+HBP)*0.34-Outs*0.98]

  XR本来の式は =1B*0.5+2B*0.72+3B*1.04+HR*1.44+(BB+HBP)*0.34-Outs*0.98。
  アウトカウントは全く考慮されていませんが多少は正確さが上がったと言うことで・・・

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