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最近出た本ではなくて最近読んだ本です。だからちょっと古いものも混じります。
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最大瞬間風速32メートル。十勝平野が十年ぶりの
超大型爆弾低気圧に覆われた日の午後、
帯広近郊の小さな町・志茂別ではいくつかの悪意が蠢いていた。
暴力団組長宅襲撃犯、不倫の清算を決意した人妻、
冴えない人生の終着点で職場の金を持ち出すサラリーマン…。
それぞれの事情を隠した逃亡者たちが辿りついた
ペンション・グリーンルーフで、恐怖の一夜の幕が開く。
すべての交通が遮断された町に、
警察官は川久保篤巡査部長のほかいない―。
超弩級の警察小説。

 『制服捜査』シリーズの第2弾は長編の力作です。
この本は周りで読んだという人が全然いないので、
発売されたこと自体あまり認知されていないのでは?
という噂が立っていました。

 単純に警察小説、あるいはサスペンス小説として
読んだ場合、このすごく面白い作品であることは
間違いありません。決して斬新なシチュエーションではない
この物語でこれだけひきつけられるのは、やはりその
描写力ならではと言えるでしょう。

 特に荒れ狂っていく雪の描写は、まるでその場に自分も
居合わせているかのような錯覚すら覚えます。実際読むのを
中断して本から顔を上げると、なんだか急に季節を飛び越えたような
気持ちにすらさせられました、

 またその描写が、同じように荒れ狂っていく登場人物たちの
心理を表しているようで恐ろしさすら感じさせられます。
やはり他にはない世界観を表現している作品だと改めて思いました。

 実の所、書いている途中まで「別にこのシリーズでなくても良かったのでは?」
という疑念がありました。舞台が北海道というだけなら、川久保という
キャラクターを使う必然性はありませんし、何よりその川久保に
あまり見せ場がないので、どうしてもそう感じてしまっていました。

 ただ、風景の描写が印象的であり、そこに登場人物たちの心理を
重ね合わせた時、荒れ狂う吹雪の中ただ1人その場に変わらず
立ち続けている川久保の姿が浮かんでくるようで、ここでようやく
「ああ、なるほど」と思わされました。
 
 一気に読んでしまえるし一気に読んでしまいたい作品だと思いますが、
ぜひじっくり味わって欲しい内容の作品だと思います。自分ももっと
じっくり読む環境を作らないと、本の面白さを損なってしまうと
危機意識を感じさせられました。

 道州制による分権のもと、監視カメラのネットワークによって
国民に絶えず順位を付ける制度(RANK)が施行される近未来の日本・関東州。
(RANK)低位者の拘束を業とする公務員「執行官」の中には、
任務に疑問を抱く春日と、歪んだ正義感のもと暴走していく佐伯がいた。
抑圧された人々の蠢きによって、自らに危機が迫っていることも知らず…
第三回ポプラ社小説大賞特別賞受賞作。

 読んでいないのですが、『庵堂三兄弟の聖職』という作品は
結構話題になっていたのではないかと記憶しています。
新規作家に手を広げる環境ではなかったはずなのですが、
このあらすじは明らかに自分好みだろう、と思い
読むことにした作品です。

 結論から言うと期待通りとは行きませんでした。大外れとはいかず
なかなか面白く読めたものの、何と言うかかゆい所を1cmずらして
かかれているようなもどかしさを感じずにいられない作品です。
似たような設定の作品と思える曽根圭介『暴落』よりも、
その感覚はより一層強いものでした。

 登場人物たちの理不尽な暴れ方やその他大勢の行状をくどく描くあたりは
私の好みでもありましたが、設定にこだわりを作りすぎてカタストロフィが
伝わってこないのが残念なところでもありました。もっともっと、
理不尽な世界をとことん描ききってくれたら最高に気に入っただろうになあ、
と思います。

 そうしてしまうとどうオチをつけるんだ、という大問題が発生するとは思いますが、
さらにその問題をクリアするくらいの結末を準備していて欲しかったと思わずには
いられません。物語が進むにつれどんどん「一番悪いやつ探し」に向かっていったのが
物足りなく感じる原因なのかと思います。そう進めるならそう進めるで、
やっぱり結末にもっと衝撃を求めたくなってしまいますし。

 その部分を差し引いて考えなくてはなりませんが、それでも今の私が
考えられないくらいのペース(ほぼ1日)で読みきったことを考えると、
やはり強い力を秘めた作品であることも間違いないと言えます。
この作者は、きっといずれもっと大きなヒット作を生み出すのではないかと
いう予感がします。そしてその作品は私好みではないんだろうなあ、とも・・・
あくまで予感です。

キャリアながら息子の不祥事で
大森署署長に左遷された竜崎伸也。
異例の任命で、米大統領訪日の
方面警備本部長になった彼のもとに
飛び込んできたのは、
大統領専用機の到着する羽田空港でのテロ情報だ―。

 今野さんの「隠蔽捜査」シリーズは1作目から
かなりお気に入りのシリーズとなっています。
主人公・竜崎のキャラクターが抜群なのと、
その設定を上手く生かしたストーリー展開で
今までにない面白さを供給してくれるシリーズです。

 今回は、その竜崎に意外な心境の変化が訪れる、
ということで期待半分不安半分だったのですが・・・
ある意味どちらも的中していたようです。

 仕事が手につかなくなり夜も眠れなくなる
(中学生かよ!)竜崎の姿は微笑ましくもあり
イライラもさせられますが、このあたりの気持ちは
わからなくもありません。ただ、テロの捜査と
並行している分、何となくどちらも中途半端な
印象を受けてしまったのも確かです。

 1作目に衝撃を受けたのは、事件そっちのけで保身と
体面を考えるキャリアの姿やその中で自分のとるべき行動に
煩悶する竜崎を描くという斬新さに対してでした。
それに比べるとこの作品では、事件も悩みも解決に対して
少々説得力に欠ける印象を受けてしまったと
いうのが正直な感想です。

 しかし、相変わらず周囲のキャラクターは
きっちり脇を固めてくれているので、その点では
やはり好印象です。ラスト間際の冴子さんの言葉は
相変わらずぞくりとさせられますよね。
SPで登場したハックマンとのやり取りも印象的でした。

 1作目がピーク、というのはシリーズものの宿命ですが、
このシリーズは今後どうなっていくのか、やはり期待半分不安半分です。

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女王蜂<★★★★☆>

 絶世の美女、源頼朝の後裔と称する大道寺智子が
伊豆沖の小島・月琴島から、東京の父のもとに
ひきとられた十八歳の誕生日以来、男達が次々と殺される! 
開かずの間の秘密とは…?

 再三繰り返してきましたが、横溝作品で最も触れる機会の多かった
『女王蜂』です。小説を読むのは一体何年ぶりなのだろう・・・?
そして久しぶりに読んでも、展開や結末がわかっていてもやはり面白い。

 閉鎖された空間でも旧家のしがらみがまとわりつく寒村でもないのに、
やはりこの独特の雰囲気は健在です。怪しげな登場人物たち、
いわくありげな一族、暗躍する怪人物などなど、ならではと言える
世界が広がっています。

  「そんなのありか」と思わせるものから「うまいなあ」と思わせるものまで、
トリックも様々仕掛けられています。展開も結末も、決して意外性に富んだものでは
ありません。それでもなお、最後まで夢中になって読めてしまいました。
やはり横溝作品にすっかり魅せられているのでしょう。

 ただ、かつての印象と食い違っていたのはヒロイン・大道寺智子の印象について。
タイトルに冠されるような雰囲気はあまり感じず、むしろ一昔前の正統派ヒロインと
いった印象の方が強く残りました。こんな感じだったけ・・・?いや、もちろん
加筆修正されていたりするわけないのですが、何となく違和感が残りました。

黄昏時の博物館――「僕」と「彼女」は手を繋ぎ
過酷な時の旅へと出発する!!
いま、極秘実験(トワイライト・ミュージアム)が動き出す!
新感覚タイムトラベルミステリ!!
天涯孤独な少年・勇介は、急逝した大伯父・如月教授が遺してくれた
博物館で秘密裏に行われているあるプロジェクトの存在を知る。
それは――脳死患者と時間旅行を研究する極秘実験(トワイライト・ミュージアム)。
過去を彷徨う魂を救うため、勇介は学芸員・枇杷(びわ)とともに、
過酷な時の旅へと出発する!注目の著者が放つ新感覚タイムトラベル・ミステリ!

 すっかり即読み(というほど早くもないですが)作家として
定着してきつつある初野晴さんの新作です。例によって、と言って
言いのかわかりませんが、強烈に唐突なSF作品です。この人の作品を
面白いと思えるかどうかは、実はここに
ついてこられるかどうかという問題も存在するように思えます・・・

 タイムトラベルネタは基本的に好きなので、そのあたりからは
のめり込んで読んでいました。中世ヨーロッパにそれ程
詳しいわけではありませんが、それでも興味のある時代、
そして興味のある話題が続いていたので、そのあたりも
面白く読めた理由かと思います。

 後半ミステリ仕立てな部分があるのがちょっと意外でしたが、
なかなか仕掛けに凝っていることにさらに驚かされました。
しかし『水の時計』でもそう思ったのですが、普通これはわからないよ。

 そしてラストの展開。心動かされるところもありましたが、
何となくキャラに入り込みきる前にクライマックスを迎えてしまった
感もありました。スケールが壮大なのに読み易過ぎるので、あっという間に
終わってしまう印象があります。他の作品にも言えることなのですけれど。
かと言って読みにくくして欲しいわけでもないし、このあたりは
大いなるジレンマだと感じられました。

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