東野圭吾

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最もよく読む作家、東野圭吾についてです。
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スキーの元日本代表・緋田には、同じくスキーヤーの娘・風美がいる。
母親の智代は、風美が2歳になる前に自殺していた。
緋田は、智代の遺品から流産の事実を知る。では、風美の出生は?
そんななか、緋田父子の遺伝子についてスポーツ医学的研究の要請が……。
さらに、風美の競技出場を妨害する脅迫状が届く。
複雑にもつれた殺意……。超人気作家の意欲作!

 相変わらず更新がままなりませんが、これまでスルーしていたら
本気で存在意義を問われてしまいます。

 昨年は『新参者』で再び一世を風靡していた(最近書店に並んでいる
「いまさら東野圭吾?!」の帯はなかなか斬新です^^)所に本書の
刊行でしたが、書店では『新参者』が売り切れ寸前、こちらはまだまだ
大量に平積みされていました・・・

 それにしても登場人物の造形を見ていると、「こいつは例によって映像化か」と
思わずにいられません。ここまで来るともうそのつもりで書いているんだろうなあ、
と思えてしまいます。別に否定的に捉えるつもりではないのですが、
今年が冬季オリンピックであることなどを考えると、
いい意味でも悪い意味でも「うまいなあ」と思えてしまいます。

 大筋は以前の作品で登場したネタも結構流用されていたりするように思えるのは、
ちょっと引っかかってしまいますが、あの頃だと先を行き過ぎていた感があったので
今また似たような主題を提示するのも一つの方法なのでしょう。

 ストーリーは非常にわかりやすい展開ですが、最後に二転三転させつつ、
過度でないドラマチックさで締めくくってくれるのはさすがといった印象です。
読書リハビリ中の私でも一気読みできてしまうあたりは、物語をつむぐ力の高さを
証明していると言っていいでしょう。

 特に「スポーツにおいて最も重要なものは才能か?」というのも、
スポーツをするものにとっては重いテーマですが、同時に「親と子のつながりとは」と
いう点を隠れた主題にしているのも絶妙だと感じられます。緋田父子の他にも
何組かの親子が登場しますが、それぞれのつながりにおいて、色々な事を
考えさせられます。

 それにしても、道尾秀介氏の最近の作品でも思ったのですが、東野圭吾もここ数年は随分
「家族」がテーマになる作品が多いような気がします。流行り??

新参者<★★★★★>

 立ちはだかるのは、人情という名の謎。
日本橋の片隅で発見された四十代女性の絞殺死体。
「なぜ、あんなにいい人が」と周囲は声を重ねる。
着任したばかりの刑事・加賀恭一郎は、未知の土地を歩き回る。

「この町のことを思い浮かべるだけで、忽ち様々な人間が動きだした。
そのうちの一人を描こうとすると、そばにいる人々の姿も描かざるをえなくなった。
まるでドミノ倒しのように、次々とドラマが繋がっていった。
同時に謎も。最後のドミノを倒した時の達成感は、
作家として初めて味わうものだった」――東野圭吾

 東野圭吾の最新刊、忙しくても外せない1冊です。
特に『赤い指』以来の加賀恭一郎ものと聞いては、
嫌が応にも期待が高まるというものでしょう。

 実の所、最初のうちはそれ程乗り切れないまま進んでいました。
「あれ、このシリーズ・作者にこういう作品は求めていないぞ」と
思わされる展開が続き、「これはちょっとどうだ?」とやや不安に
なっていました。上記紹介だと「人情という名の謎」「ドミノ倒し」の
部分がそれに当たります。正直その手の作品は色々あるし、もっと
東野圭吾らしい作品が読みたいなあ、と思いつつページを手繰っていました。

 読み進めていくうちに解けていく事件の糸と、そこに係わる加賀の意図が
少しずつ伝わってくるに従って、ようやくいつもの「らしさ」が見えて
きました。あるいは最初からそれは目の前にあって気付いていなかった
だけかもしれませんけれど。

 新境地開拓ではなく、今までと同じ世界のものを違った提示の仕方で
見せている、ということなのでしょう。私としては少なくとも、
『眠りの森』―『悪意』―(『嘘をもう一つだけ』)―『赤い指』という
流れを汲んでの加賀恭一郎を描いた作品であり、それによって生まれている
奥行きが、他の東野作品よりももう一層深い世界を描くことを可能に
しているのだろう、と感じました。

 東野ファンにはもちろんお勧めですし、加賀恭一郎ファンにはさらに
お勧めの作品です。もし余裕があるなら、上記4作をおさらいしてから
読んでみて欲しい作品です。

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 「世界が変われば善悪も変わる。人殺しが善になることもある。
これはそういうお話です」東野圭吾
運命の13秒。人々はどこへ消えたのか?
13時13分、突如、想像を絶する過酷な世界が出現した。
陥没する道路。炎を上げる車両。崩れ落ちるビルディング。
破壊されていく東京に残されたのはわずか13人。
なぜ彼らだけがここにいるのか。彼らを襲った“P-13 現象”とは何か。
生き延びていくために、今、この世界の数学的矛盾(パラドックス)を
読み解かなければならない!張りめぐらされた壮大なトリック。
論理と倫理の狭間でくり広げられる、究極の人間ドラマ。
“奇跡”のラストまで1秒も目が離せない、
東野圭吾エンターテインメントの最高傑作!

 この前新作を読んだばかりのような気もしていますが、
意外と半年振りの東野圭吾です。あの時は『ガリレオの苦悩』
『聖女の救済』と映画に合わせて2冊刊行というあざと・・・じゃなくて
嬉しい話でしたけれど、今作品も本日スタート『名探偵の掟』に合わせた
絶妙な時期のリリースです。

 珍しく東野圭吾らしからぬ設定が目立つ作品でした。今までは
あまりSF的な要素を取り入れることが多くなかったように思います
(サイエンス・フィクションという意味ではたくさんあるのかもしれませんけれど)
が、こちらは大胆に世界を変貌させてしまっています。
私はたまたま鈴木光司『エッジ』を読んだばかりだったので違和感は
全く無かったのですが、予備知識なしで読むと面食らうかもしれません。

 ただ、内容はやはりいつもの東野圭吾らしい重厚な人間ドラマを
軸としたエンターテイメントです。ここ数作でも感じていましたが、
ものすごく映像化を意識した作品でもあると思います。様々な問題提起を
していることも確かですが、スピード感を失わずにこれだけの分量と内容で
物語を作り上げられることに驚かされます。

 「P-13現象」の謎はあるものの、ミステリ色は非常に薄く、パニック・サバイバルの
部分が大きなウエイトを占めています。こういった話だと、東野圭吾の人間描写が
非常にリアルであり、利己的な人間も単純ならざる描かれ方をしているので、
読んでいて唸らされる場面が多かったです。

 例えば、「崩壊して13人しか生き残らなかった世界で、なお会社の地位に執着する男」に
対して、読んでいる側としてはどんな思いを抱くでしょうか?恐らく、嫌悪感や憤りを
覚える人がほとんどなのではないでしょうか。私もその1人なのですが、
この本ではそういった観念を揺るがされることが多いです。それもそれぞれに
納得のいく考え方が提起されるので、非常に新鮮な思いで考えさせられることが多かったです。

 こういったところで非常に理性的な見せ方を存分にした上で、それでも最後に
何よりも大切にすべきものを感じ取らせる終末は本当にお見事の一言です。
敢えて自分の答えはここに書きませんが、多くの人に読んで欲しい、考えて欲しい、
そして感じ取って欲しい作品だったと思います。

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 「これは完全犯罪だ」 男が自宅で毒殺されたとき、
離婚を切り出されていた妻には鉄壁のアリバイがあった。
草薙刑事は美貌の妻に魅かれ、毒物混入方法は不明のまま。
湯川が推理した真相は…虚数解。「ガリレオ」情念の長篇。

 ガリレオシリーズでは2作目の長編です。前作が
大のお気に入りとなった私としては、待ち望んでいた
1冊と言えるでしょう。ただ、こちらについても
『ガリレオの苦悩』で書いたのと同じ一縷の不安を
抱えながらにはなっていました。

 『容疑者Xの献身』は私の中では東野圭吾作品の
集大成と感じられるものだったので、あれを上回る作品には
今後なかなか出会えないだろうと思っていますし、
もし現れるとしても今後また作風に変化が訪れてからだろう、
と感じています。

 そしてそれは半ば当たり、半ば外れていたと思わされる作品でした。
こちらもドラマ化の流れに合わせ、内海薫刑事が登場しています。
時系列としてどこに収まるのかよくわかりませんが、
『ガリレオの苦悩』『聖女の救済』両方を読まれる方は、
『落下る』→『聖女の救済』→『操縦る』の順で読むべきなのかと
思われます。2冊とも入手して、なおかつそこまでこだわりがあればですが。

 話がそれましたが、その内海薫の役どころがこの物語と
ピッタリ当てはまっている話でした。草薙の見せ場が
大部分食われてしまうのではないかと思われていたのですが、
全くそんなことはありませんでした。むしろ湯川の方が
かなり食われています。

 そしてそれぞれがその個性を活かし、存分に活躍しているという意味では
非常に読み応えのある作品です。直観力に優れ、誰もが見落としていた
様々な手がかりを見つけ出す薫、気の遠くなるような作業を地道に
積み上げ、「事件の本質」にたどり着く草薙、犯人の行動を冷徹に
分析しつつも、刑事たちの、犯人の心情に思いを致している湯川。
キャラクターたちがそれぞれの動きをすることで物語を紡ぎあげる、
その点ですでにシリーズものとしてまとめ上げられています。
特に薫と草薙は、対立しつつも同じ座標に到着していき、
それらの軌跡を湯川がまとめ上げる、という進み方なので、
どちらかに目線を寄せて読んでも面白いのではないかと思いました。

 もちろんキャラクターだけでなく、ストーリーもトリックもかなり
強烈なインパクトを持っています。中盤まではかなり平々凡々といった
感もある事件なのですが、徐々に不可能犯罪であることが明らかになっていき、
犯人だろうと思われる人物の内面も掴みきれないまま進んでいきます。

 しかしそのトリックが、そして犯人の真意が明らかになるその瞬間は
圧巻でした。そこにタイトルの持つ意味が絡んできて、一つの世界を
築き上げています。『容疑者Xの献身』を「集大成」と表現しましたが、
この作品もそれに近いだけのものを持っていると思います。
どちらもトリックをそのまま使ったらバカミスすれすれになってしまいそうですが、
そのトリックを仕掛ける必然性やその動機の描写に解決が集約され、
完成されていく様はやはり絶妙といえます。

 シリーズとして短編の色、長編の色がよりはっきりしてきたように感じられます。
どちらもらしさを持っているのですが、テンポのよさと仕掛けのうまさで
短編を取るか、完成された世界観と真相の驚きで長編を取るか、と
いったところでしょうか。両方読めばいいんですけれど。

 湯川にも、草薙にも当初より少しずつ変化の感じられる作品なので、
ニューフェース・内海薫との関係性や事件を経て以前とは違った言動が
見え始めてくるあたりなど、シリーズものとしての楽しみも感じられます。
ドラマ化作品ならではの遊びもあったりして、なかなか目の離せない
シリーズになっていくと思っています。この路線で『容疑者Xの献身』を
超える傑作を描けるのか、不安でもありますが楽しみの方を強くしてくれる
作品だったと思います。

「悪魔の手」と名乗る者から、警察と湯川に挑戦状が届く。
事故に見せかけて殺人を犯しているという彼に、
天才科学者・湯川が立ち向かう。

 待望のガリレオシリーズ最新作はなんと2作同時刊行。
ファンサービス精神旺盛と言うべきなのか、この商売上手!と
言うべきなのか・・・未だ『容疑者Xの献身』は映画を見にいけて
いないのですが、書店でも話題にしている人がちらほら見られ、
ブームであることを感じさせられます。

 正直言うと、ドラマ化を前提に構成されているという
この本には大いなる危惧を抱いていました。TV用のキャラを
配したりしていることも含め、一般ウケをメインにドラマを意識した
作品になっていき、私の好みとは外れていくのではないかと。
「東野圭吾に限ってそんなことはない」とは全く思えないのがまた
微妙なところ。むしろノリノリでドラマを意識しそうだな、とすら
思っていました。

 ところが、いざ読んでみると当初思っていたよりも違和感が
感じられず、むしろ内海薫の登場などは作品にアクセントを効かせて
くれていて、今までにない見所が増えたように思われます。

 『落下る(おちる)』
 色々な意味で意外な展開を見せてくれます。やはりドラマを
思わせるようなやりとりもあるのですが、意外な結末に驚きもありました。
たとえドラマを見ていなくても、あっという間に登場人物たちの個性や
立ち位置が伝わってくるあたりはさすがというところでしょう 

 『操縦る(あやつる)』
 恩師や同窓生の目の前で起こった事件に湯川が挑む作品です。
このシリーズを最も端的に表しているのはこの『操縦る』では
ないでしょうか。『容疑者Xの献身』を思わせるようなこの
シチュエーションはやはりスリリングです。中でもやはり
かつて師事した事のある『メタルの魔術師』友永幸正と湯川とのやり取りは
非常に読み応えがありました。

 『密室る(とじる)』
 またまた同窓生登場で、しばらくこのパターンで行くのかと思ってしまいます。
タイトルもストレートですが、仕掛けも物語も非常にストレートです。
ただ、その仕掛け方がやはりこのシリーズらしく、一歩間違えば危うい作品を
面白いものにしています。

 『指標す(しめす)』
 これも非常に面白い作品です。ダウジングに対しての湯川のコメントが
このキャラクターをさらに個性的にしているところではないでしょうか。
それほど強烈なインパクトはありませんが、ラストの内海とのやり取りは
印象的です。

 『撹乱す(みだす)』
 これはドラマ化がなかったら発想されないんじゃないか、と思わせる、
このシリーズにはかなり珍しい劇場型犯罪を扱っています。
そのまま映画にできそうなシチュエーション(時間が持たないけど)。
シリーズの中では異色作かもしれませんが、こちらではラストの草薙とのやり取りが
印象に残ります。

 『探偵ガリレオ』の、『予知夢』の、そしてドラマのいいところが
それぞれ生かされている好短編集だと思います。このシリーズのうちの
どれかが好きな方ならば、迷わず読むべきでしょう。

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