ここから本文です
創作BL小説を書いています。

書庫全体表示

イメージ 1

「『ローマの休日』ごっこはとても楽しかったし、一生の宝物がもう一つ増えた気持ちでいるが、最後の自転車の時に、その……恥ずかしい状態になってしまったのは確かだが……ただ……そのう……蕾は刺激されていなかった……」
 愛の交歓の時にどう感じているのか具体的に口に出すと祐樹がとても歓んでくれることが分かった時以降は努めて快楽を拙いながらも言葉に変換して伝えてきた積もりだったが、英語で表現するところの「ピロートーク」は――もしかしたら英語で言えば簡単だったかも知れないが――祐樹ほど語彙力を持っているわけでも表現力が豊かなわけでもない上に実際に口にするとかなり恥ずかしい。
「ああ、その件ですか?二つほど仮説が立てられます。これは論文には載っていない類のものですが……。
 聡だってご自分のお身体を研究対象にした論文を、しかもどう考えても同性のカップルの行為だと分かるものを書かれたくはないでしょうし……」
 途方に暮れて祐樹のやや上気した顔を見上げてしまう。病院に居た時は縦の首の動きだったが、今回はやや横にずらした角度なのが異なってはいたものの、気分はほぼ同じで「当惑」だった。自分も医者の端くれなので身体の他の部分なら――協力要請があればという前提付きだが――研究対象にされるくらいのことは平気なものの、そういうごくごくプライベートな部分は出来れば遠慮したい気分だった。
「……それを……祐樹の名前で?」
 論文には当然ながら執筆者の署名が必須なので、恐る恐る聞いてみた。自信に満ちて「そうです」と言われたらどうしようかと思いつつ。
 祐樹は心の底から可笑しそうに、そして愛おしそうに自分の顔を眺めている。
 久米先生のゲームに「イタズラ」をした――ただ、岡田看護師は清楚な感じの美人さんなことに間違いはないだろうが、年齢相応の落ち着き――と言ってもまだ新人看護師としての初々しさは充分持ち合わせている――だし、胸の大きさは暗記している日本人の標準
よりはやや大きめといった感じで、夜のバラエティ番組などに出てくるようなタレントさんの卵のように格別に大きいわけではない。
 自分はゲームそのものにも、ついでに言うとバラエティ番組の無駄な騒々しさが苦手なのでザッピングをした時にチラリと観る程度なのでタレントさんの卵だろう、多分、の顔と名前も一致していなかったが。
 自分がそういうゲームをすること自体考えられないが、万が一するとして「恋人役」にはなるべく祐樹に似た人を選ぶような気がするが、久米先生は異なるのだろうか?
 ただ、先程祐樹が言ったように「恋人設定を『大人の美女』に変えた」というのは、病院内で祐樹が故意に振り撒いているウワサの「年上の情熱的な恋人」を模してくれているのなら――具体的なことは全く分からないが、男性向き恋愛ゲームだったら恋愛対象は女性限定だろう、常識的に考えて。
 そういう「悪戯っ子」めいた点も含めて祐樹のことは大好きだから困ってしまう。
「まさか、そんなことをこの私がするとでも?それに私はあくまでも心臓外科医ですので論文のテーマもそれに合わせて書いてきたのは聡が一番良くご存知でしょう?
 それに『お堅い』ウチの病院でそんなマイノリティのセックス事情の論文を書いたらそれこそ斉藤病院長に私と聡の両名が呼び出されて叱責を食らうハメになります」
 医局員が書いた論文は全て教授の押印が必要だし――出来が悪ければ理由を添えて書き直しを命じることもある――そもそも、手技に特化した科だと病院内では暗黙の了解があるので論文の数が少なくても文句は言われない自信は有った。ただ、手技の腕はイマイチなものの研究論文が好きな医局員も居るのでそういう人たちの論文は一応目を通して出来の良いものは然るべき処置を取っていたが。
「そうか……。いや、祐樹はしないだろうな……と信頼はしていたが……。念のためというか……」
 専門分野が全く異なるという指摘は今考えるとまさにその通りなのだが、生粋の大学病院育ちではない自分にはピンと来ない話で、むしろアメリカでは論文そのものよりも手技重視なだけに日本の大学病院では当たり前のように提出される論文を一本たりとも書いていない「世界的権威の外科医」など両手の指で数えきれないほどなのが現状だった。
 自分は論文こそ書かない代わりに手術の映像は大学病院や閲覧を望む病院などに全て提出済みだが、いわゆるフリーランスの「世界的権威」の外科医は手術そのものが公開されないことのほうこそ主流だったので、祐樹の認識と自分の認識のズレがこういう時に出てしまっている。
 ただ、自分の経歴の方が異色なのも承知の上だったので祐樹を咎める積もりも全くなかったし、NHKのカメラマンの撮った神憑り的な手技をアメリカの医学界に送ると祐樹も広い世界からのオファーが来るようになるので今説明する必要もなかった。
「まずは胸の尖りをね、こうすると……」
 二つの尖りを、チェーンを絡ませた祐樹の指が強く上下に弾かれた。指の柔らかさとチェーンの硬さで身体がシーツから浮き上がるほどの紅い電流が背筋を奔りぬけた。
「あっ……。それっ…気持ちがっ……悦いっ」
 胸の尖りの感度は祐樹が褒めてくれるものの一つだが、今日はよりいっそう冴え冴えとしてしまっていて縋るように祐樹の腰に足を回してしまった。
「分かりませんか?」
 祐樹が満足そうに弛めた唇に深い笑いを刻んでいるのもとても印象的だったが、何が「分からない」のかは未だ不明だった。繋がった部分から湿った淫らな協奏曲が密かに奏でられていることくらいしか。











どのバナーが効くかも分からないのですが(泣)貼っておきます。気が向いたらポチッとお願いします!!


 
★★★
本日更新分は、気力と体力が続けば「震災編」も目論んでいますが、途中で力尽きてしまったら生暖かい目で見守って下されば嬉しいです。。。


最後まで読んで下さって有難う御座います。
                            こうやま みか拝

この記事に

  • おはようございます。
    コメ入れようとしてたら、いつの間にか朝になっていました(汗)
    今日も一日、幸せで始まります…。

    論文…教授の淫らな肢体の研究論文なんて、書けるわけないじゃないですか(笑)
    いや、書くのは可能でしょうが、職場でもある大学に提出出来るわけないでしょう。
    なのに、真剣に聞いちゃう教授は可愛すぎです(〃∇〃)
    ある意味、久米先生以上のボケっぷりなのに、久米先生ならハリセンでツッコミたくなるのに教授だと可愛すぎでデレデレになってしまう私。
    これは差別と言われてしまう感情ですか?(笑)

    [ ルナ ]

    2017/9/9(土) 午前 8:04

    返信する

顔アイコン

顔アイコン・表示画像の選択

絵文字
×
  • オリジナル
  • SoftBank1
  • SoftBank2
  • SoftBank3
  • SoftBank4
  • docomo1
  • docomo2
  • au1
  • au2
  • au3
  • au4
  • 名前
  • パスワード
  • ブログ

開くトラックバック(0)

本文はここまでですこのページの先頭へ
みんなの更新記事