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創作BL小説を書いています。

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「いつもよりも更に素敵でした、よ。
 それに聡の我慢強さにも惚れ直しました。弾けるのを堪えるのは……正直無理かと思っていたので」
 未だ整っていない熱い息吹きを吐く唇に労わりめいた感じの接吻を交わした。
「私も……とても良かった。
 ただ、ああいう体勢の愛の交歓は……怪我が治ってからにして貰えると……有り難い」
 ばら撒いてしまいそうなのを必死で耐えた甘い拷問のような時間の長さを思い返すと、二度とああいう愛の責め苦は受けたくないような気がした。祐樹の与えてくれる愛の仕草を拒む積りは皆無だが、やはり怪我を悪化させたくないという配慮が先に来てしまう今は、ああいう無理なことはさせたくないし、したくもないのも本音だったので。
 祐樹の唇が魅惑的な笑みを形作った。
「承りました。怪我が治った時には心置きなくさせて戴きますね。
 『入浴介助』サービスの約束は未だ生きていますか?」
 え?と内心では驚いたものの、愛の交歓の時にクレームめいたことを言ったことがほとんどなくて、今の言葉は何となくそれに該当しそうな気がした。祐樹のする愛の仕草はどれも薔薇色の魅惑に満ちてこんなにも自分を満たしてくれているというのに。
「もちろん。具体的には何をすれば良いのだ?」
 お湯のないバスタブの中というのも何だか密着感と秘密めいた感じがして身体を繋げたまま抱き合っているだけで充分過ぎるほど幸せだったが、愛する祐樹のリクエストには応えなければならない。
「一度シャワーを浴びて来て戴けますか?ついでにボディソープの瓶も持って来て下さると助かります」
 このホテルはバスタブとシャワーブースが別々なので――といってもバスタブにもシャワーノズルは付いている――仕方のないことだった。
「花園の中は?洗い流した方が良いのか?」
 祐樹の指示通りにしようと一々聞くことにした。何しろ自分には「初めて」の入浴介助サービスを期待されているので。
「ご自分で洗い流すお姿も一度くらいは拝見したいのですが……それはまた後の愉しみとして取っておきます。
 汗の雫だけ流す程度で充分ですよ。どうせ直ぐにボディソープまみれになるのですから。
 繋がりを一旦解いて下さい」
 名残惜しいような気はしたものの「一旦」という言葉から、まだ愛の行為は続ける積もりなのだろう。
「分かった」
 身体をゆっくりと起こして、祐樹を迎え入れていた場所からも愛情と欲情の象徴を抜いた。
「んっ」
 祐樹の熱い真珠の迸りが太ももに幾筋もの真珠のせせらぎを作って滴り落ちていくのも細い泡のような悦楽の火種になってしまっていて、思わず声が漏れた。
「お互いの愛情ゆえでしょうが……たくさん零しましたからね。私の腹部も、ほら」
 祐樹の右手で掬い取られた大粒の真珠の雫を空中でかざされて居た堪れなくなってしまう。
「シャワーを浴びてくる」
 瞳を逸らしながら、祐樹のくれた真珠の迸りが大理石の床に零れ落ちないように苦心しながら歩みを進めた。
「聡」
 名前を呼ばれて身体ごと振り向いた。
「どうした?左手でも痛むのか?」
 その程度しか呼ばれる理由に心当たりはない。ただ、鎮痛剤の効果は未だ切れていないハズだったが。
「いえ、お呼びしたかっただけで、それ以上の意味は有りません。
 ただ、濃い紅色に染まった素肌とか、血よりも紅いルビーの尖りとか細い滝のようなチェーンと紅や白の翡翠とか、歩みを進める度ごとにチラリチラリと覗く真珠を載せた紅くて肌理の細かい素肌なども絶品だなあと思いまして」
 何も言えず、思わず佇んでしまった。ただシャンパンの泡のような細かい甘い疼きで胸がいっぱいになってしまっていたが。
「量子力学的な観点からもそうですけれども、聡の場合も『私の視点』で振る舞いではなくて、甘くて紅い素肌の色が異なりますよね。
 そういう精緻な甘さとか薔薇よりも綺麗な紅い素肌は誰にも見せないのだと思うと更に魅惑的ですよ。
 『見返り美人』も真っ青になるくらい魅惑的で目が離せませんが。今どこを拝見しているのか、目を瞑って当ててみて下さい。見事に正解なさったらご褒美を差し上げますよ。
 もちろん、モノではなくて、ね」
 量子力学は基礎しかかじったことはないものの、ある物体が同じ条件の閉じられた空間を移動する際に、誰の目もない場所では真っ直ぐに、誰かの視線が有ると異なった軌跡を辿るという現時点では仮説でしか説明不可能な現象のことを祐樹は言っているようだったが、恋人の愛のこもった視線を浴びて振る舞いが変わるのはそんなに変なことなのか自分には全く分からない。
 ただ目を閉じて祐樹の視線がどこに当たっているかを素肌の感触のみで判断するというのは、何だか親密な恋人同士の細やかな遊びとしては最適なような気がする。
 冴え冴えとした素肌のどこが一番熱いかを身体で感じれば良いだけの話だったので。
「右の胸の尖り……だろうか?」
 愛のご褒美は何が貰えるのだろうか?










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最後まで読んで下さって有難う御座います。
                            こうやま みか拝

この記事に

  • 幸せ色って、どんな色なのかなぁ。
    朝陽が降り注ぐサンライトイエローっぽい感じかも知れないし、黄昏時のサンライズレッドっぽい感じかも知れない。
    桜吹雪のベビーピンクや寄せては返す波のロイヤルブルーも幸せな色をしてる。
    でも、一番しっくりくるのは紅に染まった教授の色…それが私の幸せ色です。

    この物語が『夏』の後の出来事なんだって思うと、二人の愛の軌跡を感じて一層幸福感が募ります。
    二人の幸せが壊れてしまわなくて、本当に良かった(つд;*)

    [ ルナ ]

    2017/9/14(木) 午前 1:31

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