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創作BL小説を書いています。

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「手術の時とは比べ物になりませんが、怜悧で理知的な感じでPGに向かっていらっしゃるお顔と、愛の交歓の余韻に甘く薫る肢体を引き立てるお召し物との落差がとても素敵です。
 メールを読む斉藤病院長は、当然聡がそんな艶っぽい肢体とか、目的地が自分の行きたい場所の時の遠足に浮足立つような喜びに溢れた笑顔とかは全然気付かないのだと思うと、そしてこういう格好は私だけが独占して拝見出来る悦びに浸っていました」
 ホテルのスタッフから手渡されたのは、祐樹が自宅マンションで使っている久米先生だかから厚意で――PCを買い替えたので余ったとか――譲って貰ったノートPCと同じA4サイズだったので、当然自分の身体よりも小さくて、そして喜びの余り自分が今どんな身なりなのかすっかり忘れていたが、祐樹の温度すら感じるような喜びと称賛の色を宿して熱く輝く眼差しに当てられた胸の尖りが甘く疼いて繊細で華奢な紗をさらに押し上げてしまった。
「遠足に行く小学生――私はただの義務感で参加していただけなのだが――の喜びは同じだと思うが……こんな風にはならないと思う」
 メールを送信し終わって祐樹の傍へと歩みを進めた。ついつい弾んでしまう足取りにつられて胸のチェーンが胸の尖りを擦っていくのも甘くて嬉しい愛の余韻だったが。
 ボタンを外して胸の尖りを祐樹に見せようとした時も、何だか普段の愛の交歓の時の切羽詰まった愛情の発露ではなくて、背が伸びたとか成績が上がった時に子供が親御さんに報告するような無邪気な喜びの方が勝っている。
「屈託なく笑う聡のお顔もとても素敵ですが、ルビーの煌めきを放つ場所もいつもよりも無垢な艶やかさに満ちていて……、とても綺麗です。何だかルビーの妖艶な色と表現するよりも、ダイアモンドの無垢な煌めきも混ざっているような……。
 胸の尖りだけでなくて、聡のしなやかな肢体全体が遠足などを楽しみに待つ無邪気な子供のような雰囲気を纏っているからかもしれませんね。
 生涯のパートナーだと私が決めた聡が、私よりも医学界に通暁している――当たり前と言えば当たり前ですが――のも幸いでした。
 これが柏木先生のご家庭だったら一から説明しなければ喜びを分かち合えないでしょう?奥さんは――聡に比べれば格段に劣るものの――美人ではありますが、学会にただ参加するのと、今回の件の違いから説明しなければ分からないのですから、即座に喜びを分かち合えませんよね?
 そういう意味でも私は幸せ者です」
 胸の両の尖りの輪郭を確かめるように微かになぞられて、甘酸っぱい痺れが身体中に広がっていく。
 柏木先生の今の奥さんは手術室の敏腕ナースだし、家庭も上手く行っている――職階は異なってしまったが柏木先生とは元同級生だったので、時折プライベートにも呑みに行く相手なのでその程度のことは聞いて知っていた―――が、確かに旧姓藤宮看護師に祐樹が名指しで招待された学会の重要性などは即座に理解しろと言う方が無理だった。
 顎に指を掛けられて上を向くように優しく誘導される。
 何度目だか、記憶力にかなり自信のある自分でも分からないほどキスを交わしてきたが、こんなにお互いの目が弾けるように笑いの色に包まれたキスをしたのは初めてだった。
「お祝いをしなければいけないな……。祐樹の学会招待を記念して。
 家族というものは何か有ればお祝いをするものなのだろう?ちなみに柏木先生の大学合格のお祝いはヨーロッパ旅行だったそうだが……」
 そういえばNHKのカメラが回っていたことだけは知らないだろうが、祐樹の神憑り手技を称賛の眼差しで見詰めていた――そもそもそのユニットは柏木先生担当だったので――彼は、祐樹の手技の素晴らしさを野戦病院のような今は無理でも病院が通常の状態に戻った時には医局でも当然話すだろうし、医局内でも祐樹のお祝いを企画しても良いかも知れない。病院というシフトがてんでバラバラの職場だけにそれほど呑み会を開けるわけにもいかないが、慰安旅行の時ですら皆が楽しそうだったし、その後医局を挙げて――後に祐樹に聞いてから知ったことだが――自分の身を守ろうと皆が一丸となって頑張ってくれていたので。
「医局全体でもこの祐樹が主賓のお祝いを企画しようと思うのだが。皆も喜んで集まってくれると思うし、さぞかし場が盛り上がることだろう」
 祐樹の意外にも柔らかい唇を堪能してから喜びに輝く眼差しを見詰める。
「そうですね。医局の呑み会は開かなくてはならないなと思いつつもなかなかチャンスがなかったので……。
 ただ、個人的には最愛の聡と一番先にお祝いをしたいですね。医局は二番目です。
 ヨーロッパ旅行は時間的にも無理ですが……、お祝いに予約していた中華レストランでフルコースディナーを食べに行きますか?」
 そんなモノで良いのだろうかと内心は怪訝に思ったが、祐樹が良いと言うのならそれでいいのだろう。
「フレンチなら、誕生日のお祝いをスタッフがケーキを灯してサービスしてくれるようだが?」
 このホテルのレストランのことだけは良く知っている。お祝いというコンセプトならイマイチ地味な中華よりもフレンチの方が向いているような気がする。
 祐樹の輝くような笑顔が更に笑みを深くして自分だけを見詰めている、ただそれだけで胸が薔薇色に満たされて笑い声を零した。












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季節の変わり目のせいか、体調が思わしくなくて更新がままならないことをお許し下さい。
一日一話は(多分)更新出来そうですが、二話は難しそうです。「夏」更新後二時間を目途に更新が無ければ「力尽きたな」と判断下されば嬉しいです。
他の話を楽しみにして下さっている方には誠に申し訳ないのですが、その点ご容赦下さいませ。



最後まで読んで下さって有難う御座います。
                 こうやま みか拝
   

この記事に

  • 『夏』がとても辛かったので『震災編』の幸せ色の空間で暫し癒されていました…。
    あの『夏』を乗り越えて今があるのだなって思うと、今の幸せが奇跡のように貴重なものに思えます。
    魂が融け合うくらいの愛を与え合い、受け合っている強い絆で繋がれた二人ですが、プライベートだけでなく仕事面でもお互いを高め合うパートナーで居られるのって、至福の関係ですよね!
    もう心に羽が生えて浮かれて飛んでいっちゃいそうです(〃∇〃)

    [ ルナ ]

    2017/9/28(木) 午前 8:28

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