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私たちは凍てついた塩田平を歩きます。 約二キロ半を歩いてたどり着いたのは小山。 氷点下ながら汗をかきつつたどり着いたの所にははいくつかの建物。 「無言館」とあります。 重たい木の扉を押して入ったその先には、声なき人達の叫びが詰まっていました。 ここには、第二次世界大戦の中、戦地または国内で無くなった画学生、画家の絵が保存されています。 まだ絵を描きたかった。大事な人の姿を、ふるさとの風景をカンバスに残して行きたかった。 そうやって遠くに旅たち、帰って来なかった人たちの絵です。 感傷的だという人もいるでしょう。この画家たちも筆の代わりに銃を取った故に悪だと言い切る物事の一面しか見れない人もいるでしょう。 でもここにいるのは、自分ではどう仕様も無い大きな流れに飲み込まれ、命を失っていった人たちなのです。 弟を亡くした兄が書いています「君の無限の可能性が失われたことが残念」 寿命ではなく命を失うこと。それも本人の預かり知れぬ力で命を奪われること。これほど苦しい物はない。 失われて行った彼ら、いや世界中のどれほどたくさんの命が無限の可能性を持っていたのだろう。 もしかしたら画期的なエネルギーを発見していたかも知れない。 世界を救う聖人もいたかも知れない。 人の命を奪うことは、その人の未来だけではない。そのまた遠い人類の未来の可能性をも失っている他にならない。 無言館は二つの展示室からなっています。少し丘を降りるともうひとつの展示室が。 その前には大きな碑が立っています。 そこに塗り込められたものは遺された絵筆。 数十年前、この筆を握ってカンバスに向かった人たちがいた。 色々な思いを抱いて、やぶにらみは丘を後にする。 |
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