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今でこそ社会科専門の講師になってはいるが,高校に入って数学で挫折するまでは,科学者になるのが夢だった。
(無論趣味もあるのだが)仕事柄,歴史・社会・国際関係などの本を読むことが多かったのだが,先日ふと目に留まったこの本が,思っていた以上に興味深かった。
ガリレオはピサの斜塔から重さの違う二つの球を落とす実験を本当にやったのか,とか,影の長さを使って地球の大きさを計算するか,など,学校の理科の授業などで紹介されるものがいくつかとりあげられているが,一見シンプルな結論を証明しているだけにしか思えない,それらの実験の「どういう部分」が,「どのような意味で」美しいかを語った本だ。
数学などではよく「美しい証明」などという表現を使うが,科学実験にも「美しさ」がありうるということを初めて知った。この本を読んでいくと,現代の中・高生には,ややもすれば「なぁんだ,そんなの“知ってる”し」と言われてしまうような実験に,実は途方も無い背景が広がっていることを知ることができる。
筆者のせいなのか訳者のせいなのか,やや感傷的な表現が多い気はするが,それほど高度な科学分野の知識を要求されることも無く,わりとすんなりと読み進めることができる本だ。
「世界でもっとも美しい10の科学実験」
ロバート・P.クリース/著 青木薫/訳
日経BP社
<目次>
1 世界を測る―エラトステネスによる地球の外周の長さの測定
2 球を落とす―斜塔の伝説
3 アルファ実験―ガリレオと斜面
4 決定実験―ニュートンによるプリズムを使った太陽光の分解
5 地球の重さを量る―キャヴェンディッシュの切り詰めた実験
6 光という波―ヤングの明快なアナロジー
7 地球の自転を見る―フーコーの崇高な振り子
8 電子を見る―ミリカンの油滴実験
9 わかりはじめることの美しさ―ラザフォードによる原子核の発見
10 唯一の謎―一個の電子の量子干渉
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