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以前書いたのは,日本の食料自給率が他の先進国に比べて低い,という問題でした。 その後,話は意外と複雑であることが見えてきました。(ものごとを単純にとらえるのは,初めは必要なことですが,それがすべてであると勘違いしてしまうと,思わぬ落とし穴に…) 例えば,次のような統計を見せられたとき,どういう感想を持つでしょうか? 一般的な印象として, 「日本は他の先進国に比べて,食料自給率が非常に低い!これは問題だ!」 という感想が多いものです。私もその一人でした。 ところが,このグラフの裏に存在する事実がわかると,このグラフだけで日本の農業政策にダメ出しをするのは早計かもしれません。 まず第一に,このグラフは「カロリーベース」での自給率であること。カロリー,つまりエネルギー量によって自給率を計算するので,野菜や果物などは,いくらたくさん作っていても自給率向上にはなかなかつながらないわけです。同じ重さでも,肉や魚などを輸入すれば大きく自給率を下げてしまうわけです。 また,この自給率計算では,家畜に与える飼料のうち国内産がどれぐらいの割合か,ということも計算に含めるため,畜産分野での自給率は,飼育している頭数に比べて非常に低く算出されます。 さらに,EU諸国やアメリカなどは,自国の農業保護のために,非常に高額の補助金を出しています。具体的には,日本の稲作農家では,農業所得のうち補助金が占める割合は20%に達することはないようですが,フランスではおよそ80%もあるのです。例えば日本の農家が,農産物の売り上げで80万円の所得を得た場合,どんなに多くてもあと20万円の補助金を加えてどうにか100万円に達するのに対して,フランスの農家は20万円の売り上げでも80万円ほどの補助金が手に入り,100万円の所得に達するというわけだ。この二つの国の農業を同列に扱ってよいとはとても言えない。 何が何でも食料自給率を上げるべし!というスローガンに,何の熟慮もなくのっかるのは,甚だ愚かだということです。
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