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ちぃさな命to山。。BLOG ("´-`") 。
元気にしています…。

書庫恋しい時(小説)。


ブログを始めて、文章を書き出して、色々なブログを拝見して、突然小説を書きたくなりました。それも心が苦しくなるような恋の話を、始めての試みなので、途中で書けなくなるかもしれませんが、とにかく書き始めます。予定では、ちょっこっとミステリーにしようと思っています(どうなるかその時の気分で書いているので解らないですけど)。色々アドバイス頂けたら有難いです。下手だなぁっと言うコメントでも結構です。
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[1]

卓也とエリ。

 その日は雪がチラチラ風に舞った日だった。

 寒いのが超苦手なエリは、白いダウンパーカーを着込み。首には、真っ赤な毛糸のマフラーをぐるぐる巻きにしていた。

 そして、亀の子みたい首をしっかりと、マフラーの中に、うずもれさせていた。
 やけに、ぴったりと張り付いた、Gパンは、ひどく寒くって、コールテンのパンツをはいてくればよかったと、後悔しつつ、エリは、卓也が来てくれるのを待った。

「ま〜いいわぁ〜、卓也が車で迎にきてくれるから、そうよね。そうしたらきっと、車の中はヌクヌクだもの」

 なんて、つぶやきながら、エリは卓也を待った。

 ほどなくして、前方の交差点の右側で、信号待ちしてる、卓也の車が見えた。
 エリの顔がわずかにほころぶ、その顔はこう言っていた。

「卓也、大好き…」

 もうエリにとって、卓也がなくてはならない存在になった。

 信号が変わり、卓也の車が、エリの側に滑り込んで来た。
 エリの大好きなガタピシャした車だ。

「どうぞお姫様」

 そう言って、卓也は内の方から車扉を開けてくれた。

「あ〜寒かった」

 そう言って車に乗り込んできたエリを見て、卓也は、愉快そうに笑いながら。

「今日のエリって、日の丸みたいだね」

 って、言った。

「日の丸?どうして?」

 と、言いながら、エリは直ぐその意味に気がづいた。

「だって、手近にあったマフラーはこの色しかなかったから」

 卓也はエリのダウンとマフラーのコントラストが日の丸のような色調だと言いたかったのだ。

「そんなにおかしい?」

「ねえ〜」

 と、気にしながら、矢継ぎ早に話すエリの唇は、しばらくすると、静かになった。

 自分のものでない、冷た唇の感触、あまく切ない感触。
 卓也の唇が、エリの唇に重ねられていた。


「卓也…」

 交差点に掛かる、大きな歩道橋の下、喧騒の中で、エリはそっと、卓也の肩に手を回した。

    

 
  
                _____つづく

 

光の空間へと。

             (メニューから入るとBGMが流れてきます)
(4)

 卓也といっしょにいる時間が長くなればなるほど、私の周りの空間が色を持ち始めた。
 周りの空気も、より透明度を増して、きらきらと輝いて見える。

 見慣れたキャンパスを卓也といしょに歩く。
 食べ飽きた杉田屋のドーナツを卓也と一緒にパクつく。

 そんなありふれた事柄が、卓也と一緒にいるだけで、特別なものへと彩られていく。
 キャンパスは輝いて見え、杉田屋のドーナツだって数倍おいしくなる。
 二人でいること!それだけでこんなに楽しいナンテ。


 私はどんどん卓也の方へと傾斜して行く。


 モノクロームの閉ざされた空間が、眩く透明な光に満たされ、やがて鮮やかな色彩を放ちだす。
 そのことが、私をひどく混乱させたことは言うまでもない。
 私は小さな子供のようにおびえた。


__神様、私のような女がこんなに幸福でいいんでしょうか?



 父と母、姉と私。あの幸福な家庭をなくしてしまったのは、紛れもないこの私なのに…。


>>>>>>


「ねぇ絵里」
 と卓也は私に呼びかけた。

 いつの間にか卓也は私のことを「佐々木さん」から「絵里」と呼ぶようになっていた。
 そして私も、彼のことを「小田くん」から「卓也」と呼ぶようになっていた。

「絵里は好きなスポーツってある?」
「スポーツ?」
「うん、観戦じゃなくてさ、自分でするって意味でさ。」

 私は暫く考えて答えた。

「好きなのはないワ。」
「じゃァ今までしたことあるスポーツはどんなの」
「そんなのないワ」

 私はそっけなく答えた。
 今までスポーツなんて、私とはまったく別のところにあったのだ。
 私は、高校の体育の授業でさえ、急に頭痛がして、保健室に駆け込んでしまうような女なのだ。

__おかしなことに、ほんとに、頭痛がするんだから…。

「それなら、僕といしょに何かスポーツしようか」
「えっ!」
「体を動かすって事は楽しいよ」

 と卓也は柔らかな目をして言った。
  
 今までの私なら、卓也に言う答えは決まっていた。

「NO」

 絶対的に、

「NO」
 
 であった。

 なのに卓也は私に魔法をかけてしまった。


__それもありかも…。


 と思ってしまったのだ。
 スポーツマンだった卓也は、私の前に色々なスポーツを差し出してくれた。
 私の世界はそれによって、またもやどんどん広がりをもっていった。
 友達を作らなかった私に、スポーツを通じて、沢山の友達が現れた。
 

 私はおそるおそる、この光に満たされた空間へと足を踏み入れて行った。  

卓也との出会い。

(3)

卓也と初めて出会ったのは、雪がちらちら舞う冬の日だった。

 その頃私は、神戸の大学に通っていた。
 そこは、日本の大学には珍しく、豊かな芝生が印象的な大学だった。
 
 私の故郷からは随分遠くに来てしまったけれど、私はあの忌まわしい記憶が残る故郷から少しでも、
遠くの地に行きたかったのだ。

 そうして見つけたのがここだった。

 初めてここに下見に来たとき、私はキャンパスの片隅にひっそりと建っている小さなチャペルを見つけた。そのチャペルの扉を開けた瞬間、私は、鼻腔をくすぐるわずかな風を感じた。
 その風の中には、少し赤茶けたかびた匂いと、そして、うまく言えないけれど、どう言えばいいか解らないけれど、なんだかとても懐かしい匂いがしたのだ。
 吸い込まれるように、チャペルの中に足を踏み入れると、祭壇の中央には、このチャペルには似つかわしくないぐらい大きく立派なパイプオルガンが据え付けられていた。(後でわかったけれど、このパイプオルガンは関西一なのだ)

__ここには小さなオルガンが絶対似合うのに…。

 と私は、そんなことを考えた。
 その不似合いなアンバランスさは、妙に痛々しくて、不思議なことだけれど、私はスッカリここを、
この小さなチャペルを気に入ってしまったのだ。

 後にこのチャペルは、大学生活4年の間、いいえそれ以上に、私の駆け込み寺(チャペルなのに)となってしまった。

>>>>>>

 その日、私はいつものように、階段教室の一番後の席で座って心理学の講義を聴いていた。
 心理学の教授は、度のきついめがねを掛けた、腺病質そうなやせ細った男だった。
 皆から「ゆうれい」なんて呼ばれ、決して人気のある教授ではなかったけれど、私は「ゆうれい」のことを、結構気に入っていたのだ。

 学生に媚びない、淡々とした講義がかえって私には心地よかったのだ。

「ゆうれい」が壇上で黒板に向かって大きな字で、「Carl Gustaw Jungの分析心理学」と書いている時、私の隣の席にそっと人が座る気配がしたので、目を向けてみると、やわらかそうなモスグリーンのセーターを着込んで真っ黒に陽に焼けた男と目があった。

 とても人懐っこそうな目。外連味のない目。ようするに好感のもてる目!なのだ。

 不意のことに私は、その目の主がにっこり微笑んでくれたのに「ぷいっ」と顔を背けてしまった。
 本当のところ、心はどうしょうもないぐらいにどきどきしていたというのに。 

__私の心臓の音、聞こえなければいいのに。
__はやく、講義終わらないかな。

 せっかくの「ゆうれい」の講義、しかも「Eugen bleuler」のさわりも…。
 
__講義なんてまったく頭にはいらなかった…。
__しかも私、ノートも取ってない。

 講義が終わり慌てて帰ろうと私はした。こう言うとき、人間は、どんくさいことをしでかすものだ。
 私は教科書もペンケースも、ようするに、机の上においていたものを全て、かばんに入れようとして、
床の上にぶちまけてしまったのだ。

 隣の男は、それを私よりも速い速度で拾ってくれた。
 そして、私にそれを差し出したとき、こう言ったのだ。

「君みたいなかわいい子、この大学にいたんだ」

 その男が卓也だった。

 今思い返すと、笑ってしまうようなナンパな台詞。

 でも不思議と卓也のあの目で話しかけられると、どんなナンパな台詞もたちどころに素敵な言葉に変わってしまった(笑)。

 卓也と出会うまで、私は大学の中には(いや外にも!)友達なんていなかった。友達はほしくもなかったし、作ろうともしなかった。
 私の心の中に潜む小さな女の子がずうっとそれを拒否してきたのだ。それは私の幼い頃の悲しい記憶に起因した。いつか時が来たら、このお話も出来る時がくるだろう。今はただ、友達はほしくはなかったのだ。

 そんな私の気持ちを無視して、それ以来、卓也はどんどん私の内側に入り込んできた。

 やがて、さまざまな講義で卓也と出会うようになった。
「やぁ、またいっしょの講義だね」
 そう言って、卓也は私の横の席に腰掛けた。

__まるで、待ち合わせしてるみたいだ…。

「今日は暖かい日だね」
「今日は雨が降ってうっとうしい日だね」

 どうってことない会話が会話らしい形を取り始めた頃、卓也はドライブに誘ってくれた。

「今日車で来たんだ。お姫様の家までドライブするって言うのはどうかな」

 私の家まで30分。
 そんな時間が、やがて休日の長距離ドライブになるにはそう時間が掛からなかった。

 卓也の車はガタピシャしていた。

「こいつ、ずいぶん古いんだ。姉貴の旦那のお古。廃車にするって言うから貰い受けたんだ。それから自分でメンテして…。僕の大切な相棒なんだ。」

 そう言って卓也は、古いおんぼろ車のハンドルを愛おしそうになでた。
 その指先がわずかに、車のオイルをすったように黒く滲んでいた。

 その時だったと思う。

 私が恋に落ちたのは。 

卓也の死。

  (2)                             (書庫メニューから入ってね。BGMが流れてきます。)


 卓也の死の知らせが入ったのは、とても寒い朝だった。

 スキー場に行ったまま、消息が不明になっていた卓也が、冷たい骸となって帰ってきたのだ。
 スキー場の北側にあるチャンピオンコースから少し反れたところの崖下から見つかったのだ。

 春になる前に見つかったのは幸運としかいいようがなかった。

 送電線チェックに行ったスキー場の職員が、スキー板の先端がわずかに出ているのを発見して、卓也は冷たい雪の中から掘り出されたのだ。

 端正な卓也の顔はひどい凍傷にもかかわらず、ギリシャ彫刻のように美しかった。


 私の愛した卓也が、私の元にまた帰ってきてくれた。

 

 卓也のお葬式の日。
 
 葬儀場の外は、どんよりと鉛色した空が広がっていた。
 雨を一杯はらんだような重そうな雲が、ゆっくりと東の空から西の空へと風に流されて行く。

__雨、卓也のお葬式が終わるまで降らなければいいのに…。

 私はぼんやりとそんなことを思った。

 其処此処から嗚咽が聞こえた。ボロボロと涙しているものもいた。
 余りにも若すぎる突然の死が、人々の深い悲しみを誘い、葬儀場の中も鉛を飲み込んだように重苦しい。

 なのに私は、ただぼんやりと、つまらぬことを考えていた。

   
 卓也のお母さんの髪乱れている。
 黒い服だって、プレス利いてないや。
 あのおじさんへんてこな禿げ方してる。

 目に映るさまざまな光景が、無声映画の映像のように私の目に飛び込んでくる。

 白い花に囲まれた遺影の中の卓也はさわやかそうに笑っている。

「卓也…」

 唇が乾いて、卓也とつぶやく声がかすれた。

「卓也…」

 もう一度つぶやく。今度はうまく声がでた。

 でも、卓也が愛した、私の鼻に掛かったような甘い声はでない。
 まるで老女のようなしゃがれた声。

 私は真っ白な思いで、その遺影を眺めていた。

 その時、遺影のふちに飾られていた花から、花びらが一片こぼれ落ちた。

__風もないのになぜ…。

 此処から祭壇までは少し離れているにも関わらず、その花びらのわずかに青みを持った色合いや、少しそったようにカーブした形状までみてとれた。

 目に映る全ての映像が細密画のようでいて、無機質で味気なかった。
 機械のような目で私はその一つ一つを眺めていた。

 
 涙はでてこない。涙はでてこない。

 
 私はただ呆けたように機械の目をしたまま座っていた。

>>>>


 卓也とよく似た端正な顔立ちの紳士が喪主として挨拶に立った。
__卓也のお父さん…。
 卓也の顔を少し膨らまして、細かな陰影をつけるとそっくりな顔になる。卓也が私に「僕とはんこの顔をしたおやじ」と言って、紹介してくれた人。
 やっぱりなんて似てるんだろうか。
 年を重ねた卓也がそこにいた。
 私はその遺伝子の神秘をぼんやりと思う。

 卓也のお父さんの喪主の挨拶がはじまった。  

「二十三歳と言うまだ若い息子を亡くし、親として悲しみに耐えられません。しかしながら、息子が特に好んだスキーでの事故であったと言うのが、せめてもの救いでした。息子の魂は、息子の愛したあの信州の空の下で安らかに眠ってくれるものと思います。親より先に旅立った息子ですが、私は息子に私の息子として生まれてきてくれたことに感謝したい…」

 胸に染み入るような挨拶だった。

 葬儀場の全てが悲嘆にくれていた。

 その中で私だけがまだ泣けずにいた。

 あの雨を一杯はらんだ雲みたいな心を抱いて、まだ泣けずにいた。


                             __つづく。

恋しい時ーprologue.

  (1)                   (書庫メニューから入るとBGMが流れます。それを聞きながら読んでね)


 卓也と出会って恋することを覚えた。

 卓也と二人して歩いた時は、私の記憶の中に、幾層にも折り重なって、それがいつか、輝かしい未来へと続いて行くものと思っていた。

 だけど結局はその記憶は、ただ悲しい時を埋める作業でしかなかったのだ。

 幾重にも折り重なったあの日々は、

 私の記憶の中に、深く静かに澱み、やがっては朽ち果てて行く運命にあった。

 今思うと、私に向けられた彼の笑顔、彼の優しさ、彼の愛情、そんな全てが私に向けられていたものだったのだろうか。

 あの鮮やかな記憶の中に埋もれた卓也と私。

 私の宝物の思い出たち、

 私はそれを記憶の奥底に沈めたまんま

 歩いていこうとする。

 一歩踏み出し、また一歩、

 卓也、恋しい。

 恋しいよ卓也。

                     ___卓也、あなたを永遠に葬った私を許してくれますか?

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