アバラの骨〜がりがり役者の日々のあれこれ〜

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冬の小鳥

 
きのう早稲田松竹で「冬の小鳥」を観た。
 
ウニー・ルコント監督の韓国映画。
 
すんごく良かった。(以下、ネタバレを気にする方は読まない方がいいです。ぜひ、観に行ってください、映画館に。)
 
 
 イメージ 1
 
 
 
ファーストカット、自転車の前の席に乗せられ、心から楽しそうな少女の顔から映画は始まる。
 
口を大きく開け、入ってくる風を受けてニコニコしている。
 
大好きなお父さんに自転車に乗せてもらって彼女はとてもうれしいのだ。
 
彼女の名はジニ。街を歩き、食事をし、父のために歌を歌い、終始しあわせそうなジニ。
 
だが、なぜか父親は遠景だったり、背中だったり、手だけだったりで、その顔は映らない。
 
家に帰って眠るとき、彼女は父の背中にそっと寄り添う。
 
どうやら、母はいないらしい。
 
翌日、彼女は父とともにケーキ屋に行き、さんざん迷ったあげく大きなケーキを買い、父とともにバスに乗る。
 
途中、バスを降りて田んぼで用を足し、バスに戻ろうとするところでぬかるみに足を取られるジニ。
 
そのジニの足を、父は丁寧に洗い流してやる。
 
愛に満ちた手つきで。
 
このとき一瞬だけ父の顔が映るがこれも遠景でぼんやりとしか映らない。
 
やがてたどりついた先には大きな鉄格子の門。門の向こうには数人の子供たちの姿。こちらをじっとうかがっている。そのほかには修道女の格好をした女性が数人。建物の屋根には粗末な十字架。
 
父に手を引かれ、門の中へ入って行くジニ。
 
やさしげな眼鏡の中年男性に父と二人であいさつし、「中を案内してあげよう」と言われてジニだけ修道女に手を取られ、子供たちのいる食堂へと向かう。
 
何かを感じ取り、不安げな表情で父のほうを振り返るジニ。
 
そのとき初めて父の顔が映る。はっきりと。
 
困ったような、笑顔のような、泣き顔のような表情。
 
食堂で他の子供たちにあいさつするよう言われたジニは、ハッとして叫ぶ。
 
「ケーキを忘れた!」
 
叫ぶと同時に、さっきまでいた部屋に向かって走り出したジニが見たのは、閉まりかける鉄格子の大門と、その向こうに歩いて行く父の後ろ姿だった。
 
 
 
 
ここまでの展開で、もう僕の心は鷲掴み。目には不覚にもうっすら涙を浮かべて見入ってました。
 
ただ誤解しないでもらいたいのは、泣いてスッキリ、涙の感動大作!というような薄っぺらなものではけしてないということ。子供をダシに涙と金を絞り取る卑怯な作品でもないということ。
 
事実、このあと空腹に耐えかねて食堂に忍び込み、釜の底に残されたご飯粒をこそげ落として食べながら涙を流すジニの姿に、僕はついにたまらなくなって涙をダーッと流しはしたのだけれど、それでカタルシスを得てスッキリということではなく、涙は、もっともっと深いところへといざなわれて行くその第一歩でしかなかった。
 
カトリックの孤児院に預けられたジニは、その現実を受け入れるのを拒み、反抗し、脱出を試みるのだが、それを含めたこの後の展開は是非、映画を見てください。
 
子供から見た世界をきちんとフィルムに焼きつけている。
 
ローアングルが印象的だが、単なるスタイルの模倣ではなく、子供の目の高さから見た世界ということと結びついているから表現としての強度が違う。
 
ジニ役の女の子がとにかく可愛い。
 
ジニが最初に心を開くスッキ役の女の子もとても可愛い。他の子供たちも本当に可愛い。
 
胸に突き刺さる、すばらしい映画だった。オススメ。

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よっくん
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