あらすじ
ところはドイツのウェストファリア、領主ツンダー・テン・トロンクの城館に、領主の甥にあたるカンディードという若者がいた。家庭教師パングロスによる「この最善の可能世界においては、一切の事柄は善である」というライプニッツの楽天主義を信じて幸福に育ったキャンディードであったが、領主の娘クネゴンデと接吻を交わしたために、生まれ育った城から追放の憂き目に遭う。
騙されてブルガリア連隊に編入させられたキャンディードは、脱走を試みて捕まり、連隊中の兵士から鞭打ちの刑罰を喰らう。アバリアとの合戦の際、戦闘の混乱に紛れて再び逃げ出したカンディードは、戦場の至る所で、両軍の兵士により虐殺された市民の死体を目にする。
オランダで仕事にありついたカンディードは、梅毒病みの乞食となった旧師パングロスと再会する。ツンダー・テン・トロンクの城を襲ったブルガリア兵により、クネゴンデを含む一族郎党が皆殺しにされたことを知らされ、カンディードは悲嘆に暮れる。梅毒から回復したパングロスと共に、キャンディードは主人の供でリスボンへ向かう。
リスボンへ向かう途中で嵐に遭った船は沈没し、カンディードとパングロス、人でなしの水夫だけが生き残る。リスボンでは大地震に巻き込まれる。異端審問に掛けられたカンディードとパングロスは火炙りの刑に処される。火炙りにされる寸前でカンディードは赦免される。カンディードを救ったのは、ブルガリア兵の暴行を生き延び、今はユダヤ人と異端審問官の共同の囲い者となっているクネゴンデであった。老婆に導かれ、キャンディードはクネゴンデと再会する。クネゴンデの話を聞いて激昂したキャンディードは、ユダヤ人と異端審問官を殺してしまう。
キャンディードとクネゴンデは老婆の過去を聞く。老婆は元は教皇の美しい娘で、ふとしたことから母と共に海賊に捕まり、母は殺され、自身は犯され、モロッコからアレクサンドリア、イスタンブール、アゾフ、モスクワ、リガ、ハーグなど時には売られ、時には篭城に巻き込まれ、時には逃げ出し、年を重ね、ついにはユダヤ人の元で働いていたということを語る。
キャンディードとクネゴンデは、供の老婆を連れて南アメリカ大陸まで落ち延びるが、ブエノスアイレスで追っ手に追いつかれ、やむなくキャンディードは従僕カカンボだけを連れて逃れ去る。
逃避行の途中で二人は黄金郷エルドラドーに迷い込む。エルドラドーは、黄金や宝石が石ころのように道端に転がっており、争いも災厄もないユートピアであった。この国に止まるよう説得するエルドラドーの王を振り切って、クネゴンデの事を忘れられぬキャンディードは、黄金と宝石を羊に積み込んでエルドラドーを離れる。
持ち出した黄金や宝石のほとんどは、災厄により失われてしまう。そして旅路の途中で虐待された瀕死の黒人奴隷を目にする事により、ついにキャンディードは楽天主義と訣別せざるを得ないことを自覚する。「楽天主義とは、どんな悲惨な目に遭おうとも、この世の全ては善であると、気の触れたように言い張ることなのだ!」
クネゴンデの捜索に送り出したカカンボは、行方知れずになってしまう。待ちきれなくなったキャンディードはヴェネツィアまでやってくるが、航海の途中で出会った詐欺や泥棒により、残りの黄金のほとんども失われる。世間に愛想を尽かしたキャンディードは、「この国で最も不幸な人間」を自分の同行者として公募する。厭世主義の貧乏学者マルチンが同行者として選ばれる。
マルチンと果てしのない議論を繰り返しながら、イタリアやフランス、イギリスといったヨーロッパ諸国を歴訪し、遂にコンスタンチノーブルで、キャンディードはクネゴンデやカカンボ、パングロスと再会する。見る影もなく醜く成り果てたクネゴンデに、キャンディードは百年の恋も覚めてしまうが、約束を守るためにクネゴンデとの結婚を決意する。
エルドラドーから持ち帰った残り少ない黄金でキャンディードは地所を購入する。小さな農家で悠々自適の生活を送る老人との会話をきっかけにして、キャンディードは労働こそ人生を耐え得るものにする唯一の方法であることに思い至り、日々の仕事とその成果の中に、ささやかな幸福を見出すようになる。
今でも時おりパングロスは、「もし君がツンダー・テン・トロンクの城を放逐されず、数々の不幸や災厄に見舞われなければ、今の幸福もなかったのだから、やはりこの世のすべてが最善である事は認めざるを得ないだろう」と議論を持ちかけるのだが、カンディードはただこう答えるのだった。「お説ごもっとも。けれども、わたしたちの畑は耕さなければなりません」
ウィキペディア参照
バーンスタインのオペレッタ「キャンディード」のなかには、
クネゴンドの有名なコロラトウーラ・ソプラノのアリアがあります。
演奏がすばらしかったので載せてみました。