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いつもワーグナーの騎士物語を観たくて行くのに
ああ〜今回も書き換えで
それでも、福井さんの白鳥の騎士に期待して行ったのに
ああ〜 ルートヴィヒ2世老王の役になった福井さんはおじいさん役
そして、おじいさんのまま騎士の歌を歌う。
テンション下がって、がっくり。
主役なのに、そこまでイメージ落とす?
美しい歌も美しい音楽も、全く耳に入らない。
S席 前から4番目の席。
1幕が終わった時点で本気でもう帰ろうかなと思った。
でも、3幕目に入って、黄金のキラキラ衣装でルイ14世に扮するルードヴィヒ2世の
頭の羽飾りがふんだんについている帽子を観て
なんだか、全てが腑に落ちた。
ああ、(これは事前に知ってはいたけれど、)ルートヴィヒの妄想なんだと。
だから、福井さん一人が生き生きとしているけれど
他の人は想像の中の住人のようによそよそしく無表情で
エルザの救出に都合よく現れたのも、
会ってすぐに両想いになったのも、妄想だからなんだなと合点した。
3幕目の福井さんは見かけは、ロマンス・グレーの風貌だけど
すっかりローエングリーンになりきっているので
王子っぽくて素敵でした。
3幕めでそれまでの失望感が引っくり返って面白く観ることができました。
でも、2回目の公演は、舞台を観ないで音楽のみ聴くようにしました。
いかに、いつも視覚情報ばかりに偏って、音楽を聴いていなかったか。
こんなに音楽をきちんと聴けたのは、初めてのような気がする。
福井さんのローエングリンは
匂いたつような気品と輝き、強さ、育ちの良い伸びやかさがあり
春先の清らかな空気の中で暖かい陽の光を浴びているかのような気持ち良さがある。
その声には一点の曇りもなく、善い人以外は想像できない。
英雄だ。
英雄ってこういう声だとわかる。
舞台の群衆と一緒になって、期待と嬉しさで胸がいっぱいになる。
エルザ、名前も出自もわからなくても、この声を聴けば
この人ほど信頼できる人はいないということがわかるのに。
などと思いながら、自分の想像の演出で音楽を聴いていました。
お蔭で、その後は、いつものようにワーグナーの音楽が
ぐるぐる体中を駆け巡り、ワーグナーの音楽を聴かないとイライラする
ワーグナーぐるぐる病。大変重症です。
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福井敬さんのオペラ記
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バッティストーニ指揮者の音楽を聴いた。
猛スピードで走り出した音楽を追って行ったら
急転回して思いもよらない方向へジャンプされたような
熱くて面白くてワクワクした。
良い音楽って、想像もつかない新しい世界に触れさせてくれる。
今回、私は初めて、オペラのオーケストラの音楽を聴いた。
正確に言うと今までだって生のオペラを観に行っていたのだから
聴いていたはずだが、聴く能力がなかったせいもあるし
オペラは情報が多すぎて、どうしても聴覚よりは視覚情報を
優先していた。
それが、今回は演奏会形式のオペラ
前日に観ることができたリハーサルでは、字幕もなかったので
オケと歌のみに集中できた。
今まで、私の頭の中では、「道化師」は演劇だった。
歌はセリフに変換されていた。
それが、
わあ!なに!この音楽の美しさは!!
初めて音楽が素晴らしいことに気づいた。
道化師の一座が村にやって来た時のこのウキウキ感はなんだろう!
劇中の村人と同じテンションになって
福井さんのカニオの高い歌声にうっとりして
何にでも驚いて、細かいことに大騒ぎして
一緒に太鼓の音に耳を塞ぎたくなった。
暗い太鼓の音が鳴る。
浮気を発見したカニオの怒りの表情に思わず身が固くなる。
「衣装をつけろ」でのカニオの抑えられない辛い感情に触れて
心の中で右往左往する。
不安でいっぱいの心に軽快な音楽が響く。
暗さと明るさが鮮明で
救われた気持ちで一息ついた。
最後の劇中劇のシーン。
与儀 巧さんのアレッキーノの真摯な歌に
歌を聴く喜びが湧いてくる。
そして、演劇と現実が錯綜していくカニオに
怖さを感じながらも
カニオのネッダに対する想いが心の底に響いて
ぐっと泣きたい気持ちになった。
と思うまもなく、繰り広げられる惨劇。
かあっと気持ちが高揚したところで
カニオの激情と同じ激情がオケで鳴り響いた。
歌手のエネルギーとオケのエネルギーがぴったりと合うと
感動は何倍にも膨れ上がるのだということに
初めて気づいた。
なぜ、今まで、オーケストラの音楽が耳に入ってこなかったんだろう。
きっと、今回の演奏が、私にとって最高だったからに違いない。
ロッシーニ 歌劇「ウィリアム・テル」序曲
ベルリオーズ 序曲「ローマの謝肉祭」作品9
レオンカヴァッロ 歌劇「道化師」〈演奏会形式〉
指揮:アンドレア バッティストーニ
カニオ(テノール) :福井 敬
ネッダ(ソプラノ) :嘉目真木子
トニオ(バリトン) :桝 貴志
シルビオ(バリトン):塩入功司
ペッペ(テノール) :与儀 巧
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以前、二期会で「オテロ」を観たときは
福井さんは、誰にでも信頼され好感度がある英雄オテロだった。
(福井さんの素の部分に似ていました)
そして、嫉妬により人格が崩壊していく様を凄まじい演技で表されていた。
今回、私は前から2番目の真ん中の席。
表情もばっちり見える位置。
舞台には、私の知っている福井さんはどこにもいなかった。
オテロという別人格の人物が最初から立っていた。
煮詰まったどす暗い感情を持つ人物。
実力はあるけれど、散々不当な扱いを受け、傷つけられ耐えてきた過去が
滲みでてしまう男。
対して砂川涼子さんのデズナモナは 清らかで美しく、まるで天使のよう。
愛情に包まれて何一つ不自由なく育ち、苦労した経験も一切ないに違いない。
あまりにも対照的で、オテロのこれまでの生い立ちの過酷さが
より際立って辛くなる。
オテロは天使のような声に癒されて、初めて幸福を感じたのだなと
なんだか、1幕目の二重唱を聴きながら涙がこみ上げてしまった。
もうすっかり深いドラマを感じてしまったので
1幕で帰っても大満足だなと思った。
2幕目以降もオテロとデズデモナのやりとりの場面に
なると泣けてきた。
なんでだろう?
醜い感情を持たないデズデモナのあまりの清らかさに泣けてくる。
対するオテロの嫉妬の感情と共に吹き出す過去の
積み重なった怒りや憎しみの感情の大きさが気の毒で泣けてくる。
黒田博さんのイアーゴはハンサムでクールで
見た目が少しでも胡散臭かったら、なぜ、騙されているのに
気づかないのだろうと思うけれど
こんなに素敵でまともに見える人を絶対に疑うことなんてできない。
怖いと思った。
清水徹太郎さんのカッシオもぴったり。
若々しい声、陽気で溌剌として軽い感じ。
このチャラい感じがますますオテロのカンに触るのがよくわかる。
3幕目はずっと緊張状態で
オテロの心が潰れて行く様を観る。
嫉妬と押さえ込んでいた闇の感情が暴走し
自分で自分を抑えきれないオテロの様子が、リアルに迫ってきて
息を飲んで体を固くして舞台を見つめる。
本当のクライマックスはこの場面ではないだろうか。
とうとうオテロが倒れこんだ時
思わず「うわっ」と心の中で叫んで、一緒にその場に倒れこみたくなった。
デズデモナは可哀想だけど、辛さでいえばオテロの方が何倍も。
「柳の歌」を聴いて、オテロに感情移入していた心が許された気持ちになった。
その後に、目の前で繰り広げられた惨劇に、ただただ呆然。
感情というものが麻痺してしまった。
キャストが全員文句なく適任で全員好調だと、
突っ込みを入れる理由もなく、ドラマに没頭し過ぎて
虚構の世界が、超現実の世界になる。
福井さんの凄いのはいつものことだけど今回の凄さは段違いだった。
一体どこまで凄い人になるのだろう。
他のキャストの方や舞台装置や衣装や音楽や
これほどなにもかも完璧に完成度が高い舞台を観たのは初めてかもしれない。
公演後、友人たちと楽しくお食事をしていたのに
帰宅した途端、へたりこんで動けなくなった。
ハッとしてなんとか寝床に入ったけれど、悪夢にうなされた。
どろどろした心理ドラマの完成度が高すぎると
大変恐ろしい。
3日経ってやっと冷静にものを考えられるようになって
デズデモナは、オテロの闇を救いたくて一緒になったのに
自分が殺されても救いたかったのに、
結局死によってしかオテロは闇から逃れることはできなかったのだなあと思った。
イタリア語上演・日本語字幕付
会場:神奈川県民大ホール
指揮:沼尻竜典
演出:粟國 淳
出演:
オテロ 福井 敬
デズデモナ 砂川涼子
イアーゴ 黒田 博
エミーリア 小林由佳
カッシオ 清水徹太郎
ロデリーゴ 二塚直紀
ロドヴィーコ 斉木健詞
モンターノ 松森 治
合唱:びわ湖ホール声楽アンサンブル、二期会合唱団
管弦楽:神奈川フィルハーモニー管弦楽団
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あまりにも圧巻過ぎて
福井敬さんのステージを聴きに来たのだったっけと
ふと思ってしまったほど。
宮廷の女性に囲まれて
脇では貴族たちが華麗にダンスを踊り
テンション高く美声を放つマントヴァ公爵の福井敬さん 輝く声で舞台全体が金色に輝いているかのようにゴージャス。
舞台装置は簡素で、
ドア付きの縦長の小部屋のような箱が舞台に並んでいて、
そのドアの中に公爵が女性を連れ込んだり、出てきたり。
衣装は凝っていて
女性は中世時代の色とりどりのドレス姿だし
マントヴァ公爵と廷臣たちはちょうちんブルマー
デザインが現代的でブルマーやタイツの色が暗い色だったので
違和感なく素敵でしたが、マントヴァ公爵の色狂いが衣装で少し強調された
気がしました。
幸田浩子さんの天使のような清純な姿も歌もジルダの役柄にぴったりで
守ってあげたいし、これから、辛い目にあうのなんてとても耐えられない。
公爵とジルダとの二重唱は
マントヴァ公爵が階段を昇って、高い位置でのステージの始まり始まり〜!
情熱的な歌にワクワクする。
伸び伸びと、どこまでも響く声の爽快さに胸がすかっとする。
ジルダともぴったり合って、聴いている私が天国に行ってしまいそうな
幸福な二重唱でした。
ところで、
名曲中の名曲の「女心の歌」
オペラを観ていて、ジルダやリゴレットにすっかり同情したところで歌われる
「女心の歌」はよくもまあ、こんなに神経を逆撫でするものだと
腹がたつのですが
このオペラで福井さんの「女心の歌」を聴いて、
その後、普通のコンサートで聴くたびにオペラを思い出して、
不愉快な気分になったら困るなと心配していました。
が、
福井さんが歌い始めた途端
物語も登場人物もすべて吹き飛んでしまった。
あまりの素晴らしさに
ただ、ただ、聞き惚れてしまった。
初めて聴いた歌みたいに。
この間だけ、世界は「女心の歌」と私だけ。
あ〜なんて幸せ!!
体中晴れ晴れする。
毒がすべて体から抜けだしたみたい。
もうね、ジルダが犠牲になっても、リゴレットが気の毒でも仕方がないという心境。
オペラの時はいつも、どちらかというと歌よりもお芝居の世界に
巻き込まれてしまうのに、今回はあまりにマントヴァ公爵の歌が明るくて
リゴレットが暗いので、とてもリゴレットの歌が頭に入ってこなかった。
数年前に堀内さんのリゴレットを観たときは、とても感動したし、
今回だって素晴らしい歌唱なのに。
ジルダに同情もしなかったし、公爵は悪人にどうしてもみえなかった。
どういうことなのだろう?
後になって気づいたことは、
最初から福井マントヴァ公爵の会場中を照らし出す
太陽のような魅力にだまされて
自分がジルダやマッダレーナの心境になりきっていたということ。
そうか、魅力ある女たらしは、女たらしであることを重々承知していても
どうしてもその魅力で悪人に思えないのか。
そして、父親の愛情が心に入ってこない。
そうでなければ、自分の命をさしだすなんてことできない。
初めて、ジルダの心境を理解してしまった。
恐るべし。
自分は分別があって、女たらしには絶対にだまされないと思っていたけれど
だまされる可能性はあったんだなあ。
それにしても、これが福井さんの初めてのマントヴァ公爵役だなんて
どうして!?
福井さんが歌うと主役になってしまうからかな。
パヴァロッティのマントヴァ公爵みたいに。
ああ、この素晴らしさを多くの人が聴いていないなんてもったいない。
スーパーテノールの歌う「女心の歌」は、
いつもリサイタルの時に会場中に驚きと感動の嵐を巻き起こすけれど、
「女心の歌」だけでなく「リゴレット」の歌全てにおいても、
やっぱり感動の嵐を巻き起こしました。
10/11(土)14:00 会場:びわ湖ホール
指揮:沼尻竜典(びわ湖ホール芸術監督)
演出:田尾下 哲 管弦楽:日本センチュリー交響楽団 出演: リゴレット 堀内康雄 ジルダ 幸田浩子 マントヴァ公爵 福井 敬 スパラフチーレ 斉木健詞 マッダレーナ 谷口睦美 モンテローネ伯爵 片桐直樹 ジョヴァンナ 小林久美子※ マルッロ 清水良一 マッテオ・ボルサ 二塚直紀※ チェプラーノ伯爵 津國直樹※ チェプラーノ伯爵夫人 澤村翔子(両日) マントヴァ公爵夫人の小姓 鈴木愛美(両日) ※ びわ湖ホール声楽アンサンブル・ソロ登録メンバー 合 唱:藤原歌劇団合唱部
管弦楽:日本センチュリー交響楽団 |
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2014年2月22日(土)開演13:00 東京文化ホール
東京二期会オペラ劇場
ヴェルディ《ドン・カルロ》』(イタリア語・5幕版) <日本語字幕付原語上演> 指揮:ガブリエーレ・フェッロ/演出:デイヴィッド・マクヴィカー
【19日・22日】 フィリッポ二世:伊藤純 ドン・カルロ:福井敬 ロドリーゴ:成田博之 宗教裁判長:斉木健詞 エリザベッタ:横山恵子 エボリ公女:谷口睦美 テバルド:加賀ひとみ 修道士:三戸大久 レルマ伯爵:大槻孝志 天よりの声:湯浅桃子 オペラの予習に
某有名歌手出演のDVD「ドン・カルロ」を観て
ロドリーゴ、すっごくかっこいい!
でも、いつまでもめそめそしている頼りないへなちょこ王子に命をかけて
犬死だと思わないのかなあとかなり疑問に思った。
オペラ当日、開幕して
福井さんのドン・カルロを見た途端
あ、本当に王子だなと思った。
声もオーラも強くて、とても一般人に見えない。
姿勢がびしっと決まっていて身のこなしも美しいので何をしても品格が滲み出る。
神に護られているという形容がぴったり。
情熱がほとばしっていて、この人ならば必ずなにかをやってくれるに違いない
という確信を持てる。
ただ、その情熱が、別な方向に今は暴走しているだけで・・
だから、ロドリーゴがドン・カルロに期待するのも
民衆に人気があるのも心から納得してしまった。
ドン・カルロのところだけ、いつも照明に陰影がついていて
レンブラントの絵を思わせた。
照明だけでなく、やさぐれたカルロの眼の暗い輝きにドキドキドキ きっといつもは何でも有能にできて、強いであろう王子が
エリザベッタのことを思い、弱弱しくしている態度にもドキドキドキ
ドン・カルロとロドリーゴの二重唱は男臭くて
あまりにかっこ良くて、うお〜全身に血が駆けまくってしまった。
ロドリーゴの成田さんこんなに素敵でしたっけ?
歌に包容力と優しさを感じられて、それでいて強さも感じられて!
ドン・カルロとエリザベッタのシーンはいつもキュウっと
胸を締め付けられる思い。
辛い、辛すぎる
でも、きちんとカルロを拒絶するエリザベッタの強さが好き。
今回は衣装がゴージャスで、時代に即していて
絵画でしか見たことがない襞がたくさんついた円盤のような襟をつけて
(オペラのパンフレットによればフレーズ(ラフ)というらしい)
宮廷の廷臣がポーズをきめている姿に
鈍い光を放つ甲冑をつけている兵士の姿に
気持ちが高揚した。
歌も音楽も衣装も装置も演出も何もかも
豪華絢爛さを堪能できて、大満足のオペラでした。
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