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「令和」の「令」は、「命令」の令ではなくて、「令月」の令。「令月」という言葉は、日本や中国の古典ではよく使う語である。雅楽のファンなら、朗詠「嘉辰令月(かしんれいげつ)」を連想するだろう。


新元号「令和」を「脱中国」と評する向きもあるが、歴史的に見ると、日本の元号のコンセプトは、最初の「大化」からずっと「脱中国」である。独自の元号を立てるのは、中国と対等の独立国であることを宣言することに等しいからだ。中国の周辺国で独自の元号を立てられなかった国は、多い。

(続き)時代は変わり、元号を使い続けているのが日本だけになって久しい。元号を使う意味付けは変わった。新元号「令和」の出典は日本の古典『万葉集』だが、漢文の部分は中国人も意味を理解して共感できる。この意味で、「令和」は一部の日本人が思うほど「脱中国」ではない

(続き)「令和」の出典である『万葉集』の漢文の序文を最後まで読んでほしい。「漢詩にも落梅を詠んだ作品がある。昔の中国人も今の日本人も同じ人間だ。ぜひ、私たちの国の言葉で、この庭の梅を題材に、感動を詠んでみようじゃないか」という万葉人(まんようびと)の心は、おおらかだ。

(続き)「令和」の出典『万葉集』の漢文の序文の主旨は、偏狭なナショナリズムとも、軽薄な外国崇拝とも全然違う。もっと健康的で、おおらかな感じがする。いにしえの万葉人も、今の私たちも、同じ人間だ。せっかく「令和」という元号を使うなら、ご先祖様のおおらかな心も共有したい

「令和」の出典である漢文について、世の『万葉集』訳注本は「珮後」云々を精確に訳せていないものが多い。「梅披鏡前之粉」は、寒い季節に先駆けて咲く清楚な梅の花を、鏡の前で化粧する(未来への準備の比喩)女性にたとえる。 対句の後半の「蘭薫珮後之香」の意味は対照的である。(続く)

(続き)「珮」は官人や貴人が帯びる「おびだま」で、歩くとシャラシャラと優雅に鳴る。梅のような美女はパッと見て美しいとわかる。蘭のような人の徳は音やにおいと同様、目に見えない。彼ないし彼女(女官)とすれちがったあと、ふと「ああいい香りがする」と気づき、ふりかえりたくなる。(続く)

(続き)梅は輝くように魅力的な人だが、今は鏡の前で世に出る準備している(静、視覚的、将来性)。蘭は匂うように魅力的な人だが、すでに世に出ている(動、聴覚的・嗅覚的、ベテラン)。多彩な花や人が活躍できる季節が「初春令月 」であり、「気淑風和」なのだ。(続く)

(続き)なお「珮」(おびだま)がどんな形をしているのか、気になる人は、ネットの画像検索で「玉珮」とか「玉佩」を調べましょう。ネット通販でも買えます。



梅花歌卅二首[并序]  天平二年正月十三日

 萃于帥老之宅、申宴會也
 于時初春令月、氣淑風和

梅披鏡前之粉、
蘭薫珮後之香

 加以
曙嶺移雲 松掛羅而傾盖
夕岫結霧 鳥封縠而迷林

庭舞新蝶
空歸故鴈

 於是
盖天坐地
<促>膝飛觴
忘言一室之裏
開衿煙霞之外
淡然自放
快然自足

若非翰苑、何以攄情?
詩紀落梅之篇、古今夫何異矣?
宜賦園梅、
聊成短詠。

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四川省成都からコメントしています。知るを楽しむの番組を見てとても面白くて知的な教授だなと思い検索してここにたどり着きました。中国に来て11年になりますが、日中関係は一進一退、教授の書く文章に深く共感します。

2019/4/10(水) 午後 2:37 [ 国際結婚日本人妻 ] 返信する

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