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その隙に俺はクラッシュアイスの浮かんだ水を一気に飲んだ。まるでイオン飲料のよう
に水分が枯渇した体内に染み渡るような気がした。
たしかにプロデューサーが言った話も分かる。それでも俺は否定したかった。こんなに
輝いている女の子にタレント性がないわけはないと思ったから。しかし、こればかりは何
の根拠がないのも事実だった。最後にアイドルを決めるのは俺ではないのだ。
「きっと大丈夫だよ!ドラマや映画だっていろんな役柄があるんだから」
「でもそれって!脇役とかエキストラのことじゃん」
急に綾美はシビアな眼差しで俺を見つめる。
いきなりエキストラのことを持ち出すとは、さすがに綾美はよく知っているようだ。俺
はへたに気を回さず単刀直入に話そうと決めた。
「綾美ちゃんには何もかもお見通しなんだね。いまインタープロではね、モデルや女優か
らエキストラまで、300人を集めるキャンペーンを展開中なんだ」
「まじ?やっぱそっかー」
そう言った綾美の声がやがてため息に変わった。
「そんなにがっかりしないで。きみだけに教えてあげるよ。本当は大物プロデューサーの
楽曲でメジャーデビューさせる、5人組ユニットのメンバーを発掘するのが目的なのさ」
「そうーアイドルかーチビなあたしなんかじゃぜったいムリだよ」
綾美の切ない捨て台詞がテーブルの上を転がるようだった。
そんな事はない!きみの可愛いフェイスは本物だよ!俺はすぐにでも綾美の悲痛な心境
をフォローしてやりたいと思い、とっておきの優しい言葉を考え巡らしてみた。
ジュー!ジュー!ジュ!ジュー!ジュ!ジュー!すると美味しそうな効果音が背後から
迫ってきた。振り返った俺に女性店員が微笑む。盆にのせた鉄板の上では焼きたてのハン
バーグステーキが小刻みに踊っていた
「いっただきまーす!」
ついさっきまでの重苦しいナーバスな雰囲気がいっぺんに吹き飛んだように、綾美は幸
せいっぱいの笑みを浮かべた。スープの入ったカップを両手で抱え込むように口許へ運ん
だあと、そっと小指の先でカップの縁を拭った。
幸せそうな綾美の表情を見ているうちに俺にも食欲が湧いてきた。
「これは旨そうだね」
俺はさっそくフォークを手に取りハンバーグを切り分けた。
「ねえ、ジュンちゃんって呼んでいい?」
「え?うん、構わないよ」
「じゃあジュンちゃんって何歳?」
「あっおれ?いま22だけど」
「へえー、まじでいいかも……」
「それがどうかしたの?」
そのときの俺は目の前のごちそうに目を奪われていたと思う。綾美の気持ちを読むこと
もなく熱々のハンバーグの塊を頬張った。
「ううん、なんでもないよ。それよりアヤミ、ジュンちゃんの力になれるかも。いまラン
チのお礼を考えてたんだ。さっきの話のことだけど、エキストラやりたいってゆう友だち
を50人以上集めてあげる☆」
「何だって!」
驚いた俺は頬張ったばかりの塊をゴックンと飲み込んでいた。喉が焼けるように熱い。
俺のぶざまな恰好をまじ顔で観察している綾美。そのつぶらなロリータ瞳は満開の花々
が咲き乱れる春の草原のように光り輝いていた。まるで万華鏡に閉じこめた光の結晶の
ような美しさに俺は息を呑んだ。
最後までペースを乱され続けた俺と可愛いフェイスとの偶然の出逢いは、夏休みラスト
デーということも重なり、何か運命めいたものさえ感じてしまう。俺のような新人スカウ
トマンにとっては、芸能界という大海原から引き揚げたばかりの宝箱のようなものだっ
た。
「高橋晃司です。ガンガン!スカウトやりますのでよろしくお願いします」
「ぼくは山田秀雄です。よろしく」
渋谷系イケメン大学生コンビがインタープロにやって来た。
9月に突入したことで、スカウトキャンペーンのペースアップを図るために、石井専務
が新人スカウトマンを採用したのだ。彼らのギャラは歩合制で、1名登録されるごとに登
録料の15%がマージンとして支給されるらしい。すでに死語になった自称チーマー上がり
という大学生は茶髪にロン毛、耳ピアス、鼻ピアスといういかにも典型的な風貌である。
何より相手を見下すような視線は強い自信の現われか?もっとも彼らにしてみればスカ
ウトという仕事そのものが、クラブでナンパするより容易い、ゲームのようなものなのだ
ろう。
「石井さん。ひとつだけ訊いてもいいっスカ?」
190センチをゆうに越える大柄な高橋が石井専務を見下ろす。
「何かな」
目力だったら、彼らに少しも引けを取らない石井専務が高橋を真っ正面に見据える。
「スカウトして女の子に脈がなさそうだったら、ナンパに切り替えてもいいっスよね」
高橋はそう言うなり横目で山田をニヤリ見た。
「うちに迷惑をかけなければお前の自由だが、初めからナンパ目的で名刺を使うことは絶
対に禁止だ。それと登録した女の子にはぜったい手を出すなよ。山田!お前も分かってい
るな」
石井専務は顔を紅潮させて強く言い放った。
「もちろんですよ。そんな下心は初めからありませんよ」
山田はそう言って鼻で笑ってみせた。
高橋と比べるとイケメン度では見劣りする山田だが、渋谷系の凛々しい顔立ちからは確
かなプライドが垣間見えてくる。このふたり、中島が卒業した大学の後輩らしいが、マフ
ィアのボスはよくもこんな連中を雇ったものだと、俺はすっかり感心してしまった。
「まあいいだろう。とにかく高橋と山田には女子大生をメインに大勢頼んだぞ」
「まかせてください!」
元チーマーコンビはジャックナイフのように鋭利な目線をギラつかせた。
ーつづくー
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ぐはぐはだね(・∀・){は
さすがよしゆきww うちも最近書いてないから頑張ろう;;
2007/12/20(木) 午後 6:35 [ kir*ri*186 ]
さくらありがとうー☆
頑張れっ
2007/12/20(木) 午後 7:33
続き楽しみっ♪
話に引き込まれるかも!!
2007/12/20(木) 午後 8:23 [ .\渚/. ]
渚さん、ありがとうっ
どんどん引き込まれちゃって?下さいねー☆
2007/12/20(木) 午後 8:50
来たよw☆ぃゃぁ〜今回もすごぃね!!
よしゆきゎ本とか出さないの〜??
出したら、即買うしっっ!!笑
ってなことをふと思った^^
2007/12/21(金) 午後 3:38
ぅちぃありがとう☆
本?出したいよねー
2007/12/21(金) 午後 7:09
続きが楽しみ☆★
なんだかすごい日と見つけちゃいましたね。
2007/12/22(土) 午後 3:11
紀希さんありがとう☆
そう、とにかくすごいんです☆
2007/12/22(土) 午後 11:07
遅くなった・・・ごめんね^^::
もうすごい!!気になる〜〜!
うちぃさんの言う通り!!本出しなよ♪
絶対買うよ^^
2007/12/23(日) 午後 2:07
ありがとー☆
頑張るよっ
2007/12/26(水) 午後 3:06
気付いたら すごく進んでる!!
キャラ募集のお礼ポチ(残り3ポチ)は小説に押してきます^^
2008/1/16(水) 午後 7:01
ゴロリさん、ありがとうー☆
一応マイペースでやっていますよっ
2008/1/16(水) 午後 7:27