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【星の瞬き】近いうちに必ず☆

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        まるで化粧品売り場のような鼻を突く香水やら化粧品の匂い。度肝を抜かれそうな女の

       子たちのトークバトル。超ハイテンションな熱風。色鮮やかなフェロモン爆弾。まさにイ

       ンタープロは破裂寸前の風船のようだった。

        俺は性格のいい?女子高生3人娘をスカウトして事務所に戻って来た。

        飾り扉の隅っこに追いやられた中島は、開き直ったように床で胡座をかいて天津丼に食

       らいついている。

       「なあジュン!これじゃ女子大生の合コン会場といっしょだぜ」
 
        中島は渋面で俺に視線を投げかけるなり、そう呟いた。塩気の強い梅干を頬張った年寄

       りのようにその口許は皺だらけで縦縞模様になっている。

       「本当に物凄いパワーですよね。まじで女子大生軍団に占領された事務所って感じ」
 
        俺だってそう皮肉を込めて言いたくなる。 
 
        新入りの元チーマーコンビが大勢の女子大生を一度に連れて来たそうだ。スカウトとい

       うより集団ナンパといったほうが分かりやすいだろう。さすがに今日ばかりは百戦錬磨の

       甘い知将、あの石井専務でさえ圧倒されるしかないらしく、アマゾネス軍団にたったひと

       りで立ち向かい、悪戦苦闘でデジカメを操作する石井専務の横顔が苦悶に喘いで見えた。

       「お疲れさまっス。ジュンさんも女の子連れて来たんスカ?とりあえずウチらは挨拶がわ

       りに20人ばかし連れてきました」
 
        高橋は俺に歩み寄るなり、得意げに挑発的な言い方をした。

       「スカウトしたのはいいが、みんな遊び気分じゃないだろうな。彼女たちにはきちんと仕

       事をしてもらわないと困るんだぞ」
 
        俺はそう言って負けずに高橋を睨みつけた。

        この分だと俺が連れてきた女の子の面接がいつになるのか不安だった。すでに登録用紙

       を書き終えた彼女たちがひどく退屈そうにしている。俺は機転を利かせてふたりの面接を

       始めることにした。やはり登録料のことを切り出すタイミングが難しかったが……。

       「うちの事務所はモデル専門のプロダクションとは違うんだ。仕事内容の8割はテレビと

       映画の仕事。初めはエキストラからやってもらうけど、ふたりのキャラならきっといい役

       柄も廻ってくると思う。ただ、そのためには正式な登録手続きをして、うちの専属タレン

       トにならないとだめなんだ。7千円の登録料はかかるけど、きみたちには間違いなく新し

       い世界が開けるはずだよ」

       「街中はまだすごい残暑だろう?よかったら冷たい飲み物でもどうぞ」
 
        いつの間に用意してきたのか、中島は気味悪いほど優しい眼差しで彼女たちを見回しな

       がら、いつも自分が飲んでいるインスタントアイス珈琲を4人分運んできた。

        真剣な面持ちで俺の話を聞いていた性格のいい女子高生3人娘の瞳が少しだけ輝いた。

       「中島さん、ありがとうございます。じゃあ早速いただきます」
 
        とにかく俺は喉が渇いていた。いつものまずさでも決して文句は言うまいと心に誓う。

       え!どうして?ところが一口飲んで驚嘆した。すごく美味しかった。粉っぽさがまるでな

       い。しかもインスタントとは思えない深いコクがあるのだ。

        俺が狐につままれたような顔で見やると、中島は右頬でニコリとだけ笑い返して飾り扉

       から灼熱の残暑の世界へと消えていった。




        すでに解け出した氷のせいで、ランチセットのアイスミルクティーは2層のドレッシン

       グ状態になっていた。グラスの海底深くに沈んだ紅茶のエキスをストローで攪拌すると、

       俺の心の混沌が水面まで舞い上がってくるような気がした。
 
        通行人しか見当たらないテラス席と違って店内のテーブル席は賑わっていた。オープン

       テラスのあるこのレストランは午後4時までがランチタイムらしい。周辺の他店よりゆ

       ったりした時間設定は、フレックスタイムの会社員にとっても強い味方なのだろう。

        2時40分を過ぎても綾美は現われなかった。俺は彼女に呼び出されていた。この前約束

       したように、取りあえず5人の友達を紹介してくれるというのだ。
 
        ケイタイが鳴った。

       「もしもし、ジュンちゃん?アヤミまだ学校なんだ。ちょっとやばい事件があってさ、と

       ても行けそうにないよ!どうしようー」
 
        パニクッた様子でオロオロする綾美の姿が思い浮かんだ。どうやら彼女の言うやばい事

       件とやらには関わらない方が良さそうだ。

       「分かったよ。ほかの日にしよう。いつだったら逢える?」

       「あした!あしたの夕方なら絶対に行けるよ!約束を守るのがアヤミのモットーなんだ」

       「オッケイ!明日の5時に渋谷南口にしよう」

                                          ーつづくー

閉じる コメント(10)

おおー!!
更新お疲れ!!
今回も面白いね♪+。
★3つ!!笑

2008/1/9(水) 午後 6:11 [ .\渚/. ]

渚さんありがとうー☆

2008/1/9(水) 午後 7:13 yos*i8*94

遅れてごめん;;
いっつも面白いよww

傑作v

2008/1/10(木) 午後 7:08 [ *** ]

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尊敬しますよー
すごーい!!

2008/1/10(木) 午後 7:36 AYU

さくらありがとうー☆
いつでもいいんだよっ

2008/1/10(木) 午後 8:47 yos*i8*94

あゆみ、いつもありがとねー☆

2008/1/10(木) 午後 8:47 yos*i8*94

読みに来たよ♬
傑作しちゃぅ♡

2008/1/11(金) 午後 8:56 ぅちぃ

ぅちぃ傑作ありがとー☆

2008/1/11(金) 午後 9:04 yos*i8*94

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慌てて読んだんで細かい所まで理解しきれてないですが(汗
やっぱ凄いです、よしゆきサンは!
ラスト傑作押します!

2008/1/16(水) 午後 7:07 瑞祈@メッセ返せません

ゴロリさん、サンキュー☆
よかったらまた読みに来てねっ

2008/1/16(水) 午後 7:29 yos*i8*94


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