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先日まで読んでいた、デヴィット・ハーヴェイ『新自由主義』を読み終えた。
その中で特に関心を持って読んだのは、今、私が暮らす中国に関する部分で、
第5章 「中国的特色ある」新自由主義
だった。
日本にいる時、あるゼミの先生が、
『皆さん、わかっていると思うけど、今の中国はいわゆる共産主義国とは明らかに違うのですよ。』
という発言があった。
確かに政治的には共産党がリードし、一方で、経済的には改革開放以来、大きな規制緩和が実施された。
結果的に、経済的な発展の仕方は共産主義国では絶対にありえない様相をみせている。
それは急激な経済成長を生むと同時に、大きな社会格差(地域格差ともいえよう)も生んだ。
特に上海をはじめとした沿岸地域(特に経済特区)は目覚ましい経済発展を続けている。
一方で、内陸の地域になると、それとは対照的なところが多い。
私も、資料調査で上海には度々足を運ぶが、今、暮らしている安徽省阜陽とはあまりにも違う。
街の様子も、人の雰囲気も、物のあふれ方も、、生活リズムも、そして経済的な豊かさも・・・
何もかも・・・
上海は明らかに共産主義国の「におい」を感じることが少なかった。
そこにはむき出しの競争があり、確実に新自由主義の波が及んでいた。
縁あって出会った上海で起業したある中国人が、
『上海はストレスが多い、疲れますよ。』
と言っていたのが印象に残った。
そうした上海からのんびりした空気の阜陽へ戻ると、大きなカルチャーショックのようなものを感じる。
それは阜陽に対して心地よく安心した気持ちと、ここは本当に同じ中国なのだろうか、という複雑な思いである。
数年前、ゼミで聞いた、
『皆さん、わかっていると思うけど、今の中国はいわゆる共産主義国とは明らかに違うのですよ。』
という言葉は、今、強い実感となって僕の中に自然に入り込んでくる。
デヴィット・ハーヴェイは中国の新自由主義化の様相を以下のように書いていた。
「中国は明らかに新自由主義化と階級権力の再構築の方向に向かって進んできた。たしかに、そこには「はっきりとした中国的特色」が見られる。しかしながら、中国で権威主義体制が強化され、ナショナリズムへの訴えが頻繁になされ、帝国主義的傾向が一定復活していることから、中国がまったくの違った方向からではあるが、(中略)新保守主義的潮流との合流に向かいつつあるのではないか、と。これは未来にとってあまり良い兆しではない。」
中国の新自由主義化は確かに「中国的特色」があるとしつつも、それは全体的に見れば「あまり良い兆し」ではないという。
確かに、そういう見方が妥当なのかもしれない。
政治的リーダーたる共産党が、いかに現在の中国(新自由主義化が進む中国)でヘゲモニーを握り続けるのか。
そのために、いかに今、新自由主義化によって生じている社会的な諸問題を片づけていくのか。
これは、今日、中国では大きな問題になっているといえよう。
その振舞い方が今後は何より重要であり、多くがそれに注目している。
もちろん、私もそのひとりである。
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