|
シード2校が勝ち名乗りを上げ、4強が出そろった。第92回全国高校野球選手権愛媛大会は第12日の25日、坊っちゃんスタジアムで準々決勝2試合があった。第3シードの済美と第4シードの西条が4強入りを果たした。今治北は昨年と同じく準々決勝で敗退。27年ぶりに8強入りした北宇和も済美の強力打線の前に涙をのんだ。
休養日の26日をはさみ、27日に準決勝2試合が同スタジアムである。
◇
(西条4―0今治北)
■気迫前面 戻った勢い 今治北・曽我部投手
6回表。2点を加点されて0―3。なお2死一塁。今治北のマウンドに背番号1の曽我部誠が上る。
「おりゃあ」
一球ごとに叫ぶ。気迫を前面に出し、後続を押さえ6回のピンチを切り抜ける。「ここで負けるわけにはいかない。おれの投球で逆転の流れをつくる」
昨年の準々決勝。曽我部は同じ坊っちゃんスタジアムのマウンドで1回と3分の2を投げたが、2安打と四球で3失点。チームは3―6で敗れた。試合後のロッカールームで、泣いていた先輩からは「いいボールやったぞ」「ようやったよ」と声をかけられた。引退する先輩らの優しさがかえってつらかった。「おれがエースになって来年は絶対先輩たちを越えてやる」。曽我部は固く心に誓った。
朝は誰よりも早く来て走り込みやタイヤ引きをして体力づくり。練習が終わって家に帰ってからもシャドーピッチングを繰り返した。だが、結果はともなわなかった。フォームは崩れ、先発しても試合をつくれないこともしばしばあった。
5月には、外野手だった3年生の正岡知也が投手の練習を始めた。「おれがしっかりしないからや」。そう思うと、自分のふがいなさに腹が立った。
投手を始めたばかりの正岡は、堂々と思い切って投げていた。そんな正岡の姿を見て、曽我部は監督の木村匠からいつもかけられていた言葉を思い出した。「フォームのことばっかり気にせんで、もっと気持ちで投げろ」
「おれはなんでフォームばかり考えてたんだ。最近は全然気持ちを前にだせてなかった」。夏を前にようやく曽我部のボールの勢いも戻った。
この日、曽我部は気迫で相手に向かっていった。7回も無失点で切り抜ける。
8回、1アウトをとったあとに内野安打とライト前ヒットで一、三塁。内野陣が集まり、ベンチからの伝令は、「三振をとってこい」。曽我部はいったん帽子をとって汗をぬぐう。「よし、気持ちで向かっていく」。渾身(こんしん)のストレートを投げる。だが、甘く入った初球はセンター前にはじき返され、0―4。そこで、マウンドを降りた。曽我部はベンチで逆転を祈ったが、チームは逆転することはなかった。
試合後、曽我部は「みんなにずっと迷惑ばかりかけてきたけど、悩んでいる時も支えてくれた監督たちに感謝したい」。そう言葉を振り絞るのが精いっぱいだった。
|