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10月11日、出雲駅伝からスタート!
2010年も学生駅伝の季節がやってきた。10月11日の出雲駅伝(島根)、10月16日の箱根駅伝予選会(立川)、11月7日の全日本大学駅伝(愛知・三重)とレースの距離や特徴はさまざま。各大学ともそれぞれの思惑をもってレースに挑むはずだ。まずは前半の2戦と箱根予選会をここで展望しよう。
■スピードレースの出雲 エース対決は実力伯仲
出雲駅伝(10月11日)は6区間、計44.5キロで争われ、2時間弱で決着がつくスピードレースだ。このレース最大の山場は、最終6区(10.2キロ)だ。全コースの4分の1近くを一人の選手が走ることになるため、ここに配されたエースの力が勝負の鍵を握る。昨年はこの区間で日大のギタウ・ダニエル(現・富士通)が41秒差をひっくり返して優勝を果たした。過去21回の大会のうち、11回がこの最終区で逆転し優勝が決まっていることから“逆転の出雲”とも呼ばれている。
出場選手の中で5000メートル今季トップタイムを持つのは鎧坂哲哉(明大)で13分39秒31。それに続くのは矢澤曜(早大)で13分43秒84と日本人2名が上位を占め、留学生のガンドゥ・ベンジャミン(日大、13分51秒19)、オンディバ・コスマス(山梨学院大、13分55秒30)を抑える。昨年まではダニエルの強さが際立っていたが、エースの戦いという点では今年、日本人選手の健闘も期待できそうだ。
そうなると、大学の総合力が例年以上に大きな意味を持ってくる。トラックレースの実力が、駅伝にそのまま直結するわけではないが、5000メートルの持ちタイムで見ると13分台の選手数で駒大が6人、早大が5人、東洋大、日体大が4人、日大、明大が3人。優勝候補として名が挙がるのは、この中で駒大、早大、東洋大、日体大と見るのが妥当だろう。しかし、日大はこの出雲の5日後に箱根駅伝予選会を控えているために、ベストメンバーを組んでくるかが微妙なところ。仮にベンジャミンが不出場ということになれば、優勝戦線へ残ることは難しくなる。
長い駅伝シーズンを考慮し、この出雲の直前まで各大学とも長距離を走り込む合宿を組んでいる。そのためスピードが求められる出雲への対応が難しくなる場合も多い。経験を積ませるために主力以外の選手を起用するケースも多く、そうした逸材を見つけることも出雲の魅力のひとつだ。
■箱根予選会 学生界のエースが出場
過去2年連続して関東学連選抜が本大会で10位以内に入り、予選会からの出場枠がひとつ増えていたが、前回大会は16位に終わり、今年の予選会通過枠は9。
トップ通過を有力視されるのは昨年、1年生ながらこのレース個人1位に入った村澤明伸擁する東海大。ほかにも早川翼ら有力選手が多数そろい、頭ひとつ抜け出た感がある。また、5000メートルで村澤と全く同じ今季学生最高タイム(13分38秒68)を出した藤本拓のいる国士大も通過の有力候補。こちらは昨年の本戦出場を逃しているだけに、今年の予選会にかける思いも特別だろう。
個人で言えば現時点の学生選手の中で10000メートル最速タイム(28分13秒92、2009年日本10位)を持つ長谷川裕介(上武大)に注目だ。今季前半はケガに泣かされていたが、その脚力とスピードは学生界では群を抜く。状態さえ良ければ、村澤らとの好勝負が見られるはずだ。
日大、帝京大、専大らも予選会通過の候補に挙げられるが、注目すべきは拓大。06年に亜大を箱根優勝に導いた岡田正裕氏が今季監督に就任した。その名将の下、ケニアからの留学生2名も入学した。指導の根幹である徹底した走り込みを夏合宿で実施し、チームは大変革の真っただ中にある。この大会でも台風の目になる可能性は高い。
■総力戦の全日本 地方勢の健闘に期待
全日本大学駅伝(11月7日)は出雲同様、最終8区が19.7キロと最長区間となっている。しかし3区9.5キロ以外はすべて10キロを超える区間。各大学の総合力が試される“箱根の前哨戦”といった意味合いが強い。
今大会の優勝候補を挙げるとすれば、昨年2位になったメンバーを全員残す東洋大、さらに新戦力の台頭著しい早大あたりか。
東洋大の強さはロードで発揮される安定した強さ。いまや学生長距離界で知らぬ者はいない柏原竜二だけでなく、前回の箱根駅伝でエース区間である2区を走った大津翔吾、さらに主要区間で安定した力を見せる高見諒ら、ロードへの適性が高い戦力がそろう。また1年生からも設楽啓太らがメンバー争いに加わっており、学年ごとに穴がないのも特徴だ。箱根駅伝2連覇を成し遂げ、少々の出遅れがあっても動揺しない精神的な強さを持っていることも大きな武器だろう。自滅する可能性は少ない。
一方の早大は今季1万メートルを28分台で走った選手が4名おり、これは出場チーム中トップ。平賀翔太、佐々木寛文の2年生に加え、1年生の大迫傑、志方文典と新戦力が充実している。そこに矢澤や、復調の兆しが見える09年箱根7区区間2位の八木勇樹らが力を発揮すれば、この大会14年ぶりの優勝も見えてくる。
この2校に、戦力の充実度で続く駒大、日体大がどう絡むか。飛び抜けたエースこそいない両大学だが、各区間安定した力を発揮し、虎視眈々(たんたん)と上位を狙っている。
地方大学で言えば日本インカレ5000メートルを制した三岡大樹擁する京都産業大、関東勢以外でトップを常に争う第一工業大の奮闘も期待される。個人のレベルで言えば、三岡以外にも関西学生選手権で1500メートル、5000メートルを制した今崎俊樹(立命大)ら関東勢のエース格に肩を並べる実力者は隠れている。彼らの走りにも注目したいところだ。
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