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第87回東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)の往路が2日、大手町・読売新聞社前〜箱根・芦ノ湖で開催され、東洋大が5時間29分49秒で3年連続の往路優勝を果たした。27秒差の2位に早大、3位には東海大が入った。
東洋大と早大の“2強”はともに、第79回大会で山梨学院大が樹立した5時間31分6秒を上回る往路新記録だった。
東洋大は、1区8位と出遅れたが、徐々に順位を上げ、首位の早大と2分54秒差の3位で5区の柏原竜二(3年)にたすきリレー。柏原は7キロ手前で東海大を抜き、16キロ過ぎには早大をとらえてトップに浮上。自ら持つ区間記録には及ばなかったものの、1時間17分53秒の好記録で、東洋大を3年連続3度目の往路優勝に導いた。
一方、大学駅伝3冠を目指す早大は、1区でルーキーの大迫傑が区間賞と好走し、4区まで首位をキープ。5区の猪俣英希(4年)は柏原に抜かれたものの、最後まで粘り、27秒差の2位で復路につなげた。
スポーツナビでは元東洋大の監督である川嶋伸次氏に、往路の総括とともに、復路の展望について聞いた。
■柏原は本来の走りと全然違った
東洋大、早大ともに往路新記録を出しました。過去の大会では向かい風のことも多かったのですが、今回は全体的に追い風気味で、非常に気候条件がよかったためだと思います。
実際、2区では1時間7分台までに入る選手が5人、5区では1時間20分台までの選手が8人も出ました。前回大会は、2区区間賞の選手が7分台、5区2位の選手が1時間21分台でしたので、今回がいかに好条件だったか分かります。
そんな中、5区を走った東洋大の柏原は1時間17分台後半のタイムでしたから、あまり調子がよくなかったと考えられます。そもそも下りが苦手と言われていますが、それ以前に上りで疲れ切ってしまい、下りでは体力がかなり消耗しているように見受けられました。本来の走りと全然違いましたね。
また、1区では早大の大迫が序盤に先頭集団から抜け出して、それに日大の堂本尚寛(3年)がついていく展開でした。堂本より力のある選手が大勢いましたから、変なけん制をせず、川上遼平(3年)も思い切ってあの先頭グループについていけば、(往路で)もっと貯金が作れたように思います。
■猪俣の粘りで、総合Vへ望みをつないだ早大
一方、早大は佐々木寛文(2年)と志方文典(1年)のけがによって、チーム全体が非常に集中したというか、一つになった感じがしました。
5区の猪俣は初めての箱根駅伝にもかかわらず、1時間21分14秒(区間9位)とそこそこのタイムで山上りができましたから、(5区が有力視されていた)佐々木の次の候補者だったのかもしれませんね。
もし、佐々木が5区で起用されていたら、柏原も追いつけなかったかもしれません。しかし、猪俣も残り7キロで柏原に追いつかれましたが、その後の下りで粘りの走りを見せ、開いた差を27秒にまで詰めました。これは、復路の選手たちに精神的にいい影響を与えたので、がぜん早大が総合優勝する可能性も出てきたと思います。
あすの復路を考えると、東洋大は9、10区を走れる大津翔吾(4年)が7区に回っており、9区、10区と手薄な印象を受けます。一方で、早大も7区候補の佐々木、補欠の志方の欠場があるかもしれない。“2強”とも、もたもたしたレースをしていると、駒大などが首位争いに加わってくるかもしれません。
■駒大は復路に充実、優勝争いは混戦必至か
3位で往路を終えた東海大は、2区を走ったエースの村沢明伸(2年)が17人抜きで3位にまで順位を上げ、チームの流れを作りました。村沢の状態がよかったのもあると思いますし、(最下位でたすきを受けたために)たまたま追いかける目標があったので、彼にとっては非常に運がよかったのだと思います。しかし、復路のメンバーを見ると、東海大のシード権争いは若干厳しいかなという気がしています。
そのほかの注目校では、明大が4位、駒大が5位、日体大が10位でしたが、差はあってないようなもので、各チームともに横一線です。
明大は駒が足りないと言われながらも、5区の大江啓貴(2年)が(区間2位と)きちっとまとめてきているので、上位チームが崩れてきたら3番手くらいに入ってくる可能性もあるでしょう。
さらに駒大は前回大会、逆転で復路優勝を果たし、総合2位に入りました。今大会のメンバーを見ても、復路は充実しているように思えます。
そして、国学院大(6位)、城西大(7位)、中大(8位)は、4区まで11位以下だった順位を、5区の山上りでシード圏内にまで押し上げました。そういう学校は、チームに勢いが出てきて、いい流れが選手に伝わってくる傾向があります。もしかしたら、4番手、5番手くらいにくるかもしれません。
復路は往路と異なり、好タイムは期待できないですし、向かい風が強くなってくる可能性があります。さらに、気温がすごく下がるので、山下りの6区で順位が大きく変動するでしょう。先行しているところが、必ずしも首位を守れないという展開になりそうです。とにかく各チーム、確実に走れる選手がいないので、混戦となること必至ですね。
■川嶋伸次/Shinji Kawashima
1966年、東京都出身。日体大時代、箱根駅伝では山下りの6区を担当し区間賞を取るなどチームに貢献。卒業後は旭化成陸上部に入部し、各大会で活躍した。2000年の琵琶湖毎日マラソンで自己ベストとなる2時間9分04秒をマーク(日本人トップの2位)、シドニー五輪マラソン代表に選出された。その翌年に現役を引退、02年からは東洋大陸上競技部の監督に就任するが、08年12月、陸上部員の不祥事により引責辞任する。現在は旭化成に在籍する傍ら、「リスタートランニングクラブ」のアドバイザーや各種講演会、マラソンのゲストランナーとして活躍している。09年8月には自叙伝『監督―挫折と栄光の箱根駅伝』(バジリコ刊)を出版。
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