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【大邱(韓国)田原和宏】当地で27日開幕した第13回世界陸上選手権は、女子マラソンが大会最初の決勝種目として行われ、大邱市内を3周するコースに23カ国の54人が出場。日本勢では赤羽有紀子(ホクレン)が2時間29分35秒で5位に入賞したのが最高だった。中里麗美(ダイハツ)は2時間30分52秒で10位、尾崎好美(第一生命)は2時間32分31秒で18位、野尻あずさ(同)は2時間33分42秒、伊藤舞(大塚製薬)は2時間35分16秒だった。大邱スタジアムでも競技が始まり、同日夜には室伏広治(ミズノ)が出場する男子ハンマー投げ予選、ウサイン・ボルト(ジャマイカ)が登場する男子百メートル予選などが行われる。(記録は非公式)
◇スピードの変化すさまじかった
勝負に徹することだけを考えていた。赤羽は理想の展開をこう描いていた。「今回は記録を狙うレースじゃない」。高湿、曇天の下、最初の5キロは18分34秒という超スローペースで幕を開けた。ゆったりと好位置を保ち、その時を待った。だが、32キロ過ぎの給水をきっかけとするケニア勢のスパートには、一瞬のうちに置き去りにされた。「すさまじかった」という感想が想像を超えるスピードの変化を物語っていた。
2年前の世界選手権。レース開始まで最も注目を集めたのは赤羽だった。初マラソンの大阪国際で代表権を射止めると、仙台ハーフ、日本選手権一万メートルと立て続けに優勝。だが、直前に右足底部を痛め、レース中にも脱水症状に陥るなど経験不足を露呈した。「怖くて走れない時期もあった」と振り返るが、経験を重ねることで克服した。
強風にさらされた1月の大阪国際、高速レースを味わった4月のロンドン、そして大邱。トップ選手としては異例の年間3戦に臨んだ。31歳は「どんな勝負でも対応できる」と自信を見せていたが、結果は違った。終盤に追い上げて5位まで巻き返したが、離された差は埋まらなかった。
「勝負強い選手になりたい」と言い続けてきた赤羽。2年前とはひと味もふた味も違う姿を見せたものの、メダルはつかめなかった。3位との差は21秒だが、遠ざかる背中が世界との距離を思わせた。【田原和宏】
◇期待の尾崎失速
○…日本のエース格だった尾崎は、急激なペースの変化に対処できなかった。「30キロを過ぎて、そろそろ(ペースアップが)来る、来ると予想していた」と尾崎。呼吸は楽だったというが、脚が動かず、持ち味の伸びやかなストライドが見られなかった。前回大会は終盤のスパートの切れの差で銀メダル。今大会はロングスパートに磨きをかけ、金メダルを狙っていた。序盤のスローペースや蒸し暑さも響いた様子で、リズムに乗り切れなかった。「これも一つの経験として分析し、目標を達成できるようにしたい」と気持ちを切り替えていた。
◇ケニア勢がメダル独占
中盤までは各選手がけん制気味で、非常に遅いペースで進んだ。しかし先頭に立つ選手が代わると一時的にペースが上がるなども。11キロ過ぎから集団を引っ張る場面もあった野尻は29キロ付近で後退。30キロ付近で伊藤も先頭集団から離れた。
32キロ過ぎからキプラガト、ジェプトゥー、チェロップのケニア勢とベケレ(エチオピア)の4人が一気にスパート。日本勢はこの仕掛けにつけず、赤羽と中里が8位付近で粘ったが尾崎は遅れた。
先頭争いからは残り5キロを切ってキプラガトが抜け出し優勝。ジェプトゥー、チェロップが続き、ケニアがメダルを独占した。赤羽はしぶとく追い上げ、5位まで順位を上げてフィニッシュした。
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