まさる君の奇行

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婚約披露会見

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 まさる君がついに婚約致しまして(ずいぶん前のことですが)、いわゆる婚約披露会見をしたわけです。会見と言っても記者会見ではなく、親しい者たちが集まった席で公表した形のものでした。彼女も同席していました。そのときの様子を少し。( )の中は、会見を聞いていた者たちのおおかたの突っ込みです。

まさる「今回、ついに僕は婚約致しました。そのお、僕は、彼女の容姿とかスタイルとか、いわゆる外見で彼女を好きになったのではありません。外見より内面でしょう。(そんなこと、あえて言わなくても)彼女とは感覚がよく似ているのです。その部分で僕は彼女と結婚しようと思ったのです。彼女は、皆さん、女性です。立派な女性です。(そんなこと、あえて言わなくても)僕は、彼女とともに、これからの人生をよりよいものにしていくつもりです。皆さん、今日はお集まりいただきましてありがとうございました。(いやいや君のためにこの会を開いたのではない)」

 会が終わり、彼女と二人きりになったとき、
まさる「今日は、突然、勝手に、婚約を公表してしまって悪かったと思っているけど、いずれ公表しなくてはならなかったから、今日でよかっただろう。あんなに親しい人たちが集まったのだから。ところで、僕は、今日、君を充分にフォローした。だから、君はこれから僕に尽くす義務があると思うよ。よろしく」

 まさる君は実は、この会見を機に婚約を破棄されてしまった。理由はみんなおおよそ分かっていたが、まさる君は、どうして破棄されたか分からず、「おそらく僕の才覚に恐れをいだいたのだろう」と言っていた。

気になるフレーズ

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 まさる君は、先生が講義中に胃が痛くなり黒板の下にうずくまり救急車で運ばれたとき、後に仲間に、○○先生は教壇に倒れたと言っていた。1度だけなら皆も許したであろうに、何度も同じそのフレーズが気に入ったのか、「○○先生は教壇に倒れた」と言っていた。私は彼とは全く関係のない振りをしてその場を切り抜けようとしたが、まさる君は、私の前に顔を寄せて、「つらいことだ。○○先生は教壇に倒れた」と深刻に言い放った。私はちょっといらっとしたので、思わず、じゃあそのことを皆に知らせるために黒板に大きく書いていったら、と言ってしまった。「そうだなあ」とまさる君は私の目を見据えて言った。翌日、大変なことになっていた。私は相変わらず関係のない振りをして講義を受けていたが、まさる君は聞くところによると、高熱を出して帰ったらしかった。私には関係のないことだけれど。

危うい運転

 まさる君は運転が危ういというか、特に大きな事故を起こしたことはないのですが、皆、まさる君の運転する車に乗ることを避けます。わたくし、一度、どうしようもなくまさる君の運転する車に乗らなければならない状況になりまして、自分が運転するからと言うこともできず、意を決して乗ったのです。まさる君は特に運転が下手と言うわけではないのですが、危ういのです、たとえば、交差点で右折するとき、直進車が通り過ぎてから右折するんですが、何というか、ぎりぎりで右折するのです。直進車がスピードを落としていたら確実にぶつかっています。まさる君は、運転に自信があるとか、勘が鋭いということではなく、あぶないと思ってないのです。その状況を。一度、飛び出してくる車とぶつかりそうになりましたが、わたくし、生きている心地はしませんでしたが、まさる君は、「ちょっとあぶなかったな」と言って笑っているのです。本当に、ちょっとしかあぶないと思っていないのですよ。ま、わたくし、真剣に、もうこれで終わりかなどと思ってしましました。そんなある意味、おおらかな性格であるのに、なぜかまさる君は、カーナビには文句付け放題なんですよ。「それは違うだろう」とか、「なぜ、こんな道を教えるんだ」などと喋っていました。(私は黙っていました)で、ちょっと休憩でもしようということになって道を外れたとき、しつこく来た道に戻るようにと指示をしまくるカーナビに、「わかった。すまん」などと今度は謝っているんです。まさか、人が誘導してるとは思ってないでしょうが。(汗)

彼女ができた!

 まさる君が何だか落ち着かなかったので、「どうしたの?」と聞いてみたんです。そしたら、待ちかまえていたように、「ふふ、ついに彼女ができた」と言うわけです。うれしかったですねえ。ひとごとなのに。だって、あのまさる君に、あの彼女が欲しいとさんざん言っていたまさる君に「彼女」ができたんですもの。で、お祝いをしようということで、カラオケボックスにみんなで行ったのです。「ねえ、いきさつを教えてよ」当然、まさる君は嬉しい限りの音調で喋ります。だが、え? と思うような感じがあったのです。彼女とは、仲間と飲みに行って、そのときどうも二人で携帯写真を撮ったらしく、いわゆるそのときまさる君は今世紀最大の勇気を出して、彼女の肩を抱いたらしいのです。それで、彼女はそのとき抵抗しなかった、一緒に携帯の写真に写ってくれた、なんと、それだけで彼女を「彼女」にしてしまっていたらしいのです。告白したわけでもないし、告白されたわけでもなく、その事実ひとつで、まさる君は、彼女は僕を愛していると確信したらしいのです。ま、そこまではいいのですが、まさる君は、その後、彼女に便箋12枚に及ぶラブレターを送ったのでした。彼女から返事が来ました。「私はあなたとそういう関係ではありません。この返信を書くのも嫌でしたが、誤解を解くために書きました」と。その後のまさる君は、「なぜ? なぜ?」の連発でした。私たちとしましても、なぜ、と聞かれると答えようもありません。場を読む感性の問題だからです。早く本当の彼女を見つけてほしいと心底思いました。

一泊旅行記

 一泊旅行をしようかということになって(何の脈絡もなく盛り上がったという感じ)、今回、まさる君も誘おうということになって、その一泊旅行の初日、仲間のひとりが、バッグに穴を開けてしまって、というか、ぼろいカバンだったので底が抜けてしまったというか、どうしようもなくなったのです。うーん、こういうときは応急処置だ、ということになるじゃないですか。で、ガムテープで補強してみては、ということになったのです。でも、しかし、こんな場所にガムテープなどあるはずがない!! コンビニはないし、文具店はないし、とあきらめてかけていたそのとき、「あるよ。ガムテープ。俺、持ってるよ」まさる君です。なぜ? なぜあんたガムテープ、今、この状況で持ってんの? 旅行中ですよ。みんな不思議がるわ。驚くわで、カバンを直すどころではなくなったのでした。宿に着いて、まさる君の持ち物を見せてもらったところ、もうありとあらゆるものが出てくるのでした。そういえば、まさる君、大きなカバン、持っていたなあと、一泊旅行にしては大げさすぎやしないかと、今、思うと、と言った感じですね。で、何が出てきたかと言うと、まず、つめきり、みみかき、せんむき、けぬき、ラジオ、懐中電灯、いわゆる、まさる君の説明によると、旅行中に何が起こるか分からないから用心のためと言うことで。たとえば、懐中電灯は、宿で、大きな地震が来て、電気系統がすべてストップした場合、逃げ道を照らすために必要だと、その他のものも、おおかたそういった非常時に対しての心配りでした。確かに用意周到ですが、それにしてもあまりにもすごくて、そこに居合わせた者は、語る言葉をなくしていました。

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