親子のお話

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息子「今度、テレビに出演することになった」

母親「何! ちょっと、ちょっと、それだけはやめて! あんたがバンドを組んで音楽に熱中することは、ま、最大に譲歩して許すから、テレビだけはやめて」

息子「なぜ?」

母親「そんな、名前だけでもインターネットとかで流れてて気が気じゃないのに、テレビで顔が知れ渡ったらこの界隈の噂になっちゃうでしょう。それだけはやめて」

息子「別に犯罪者じゃないし」

母親「あのね。やってることの善し悪しじゃないのよ。世間に知れ渡ることが嫌なの。話題になることがいやなの」

息子「でも、そんな内にこもってばかりいたら何もできないよ。多少のリスクは何をするにもつきまとうだろ」

母親「とにかくやめて」

息子「じゃあ、親子の縁を切ればいいの? この家を僕が離れればいいの?」

母親「何言ってんのよ。その顔はどうあっても我が家の顔でしょ。知れ渡ることに変わりがないじゃないの」

冷静で神経質な長男は

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 母親は、気弱な長男をこの上なく愛した。しかしその母も長男に負けず神経質だった。電車は一区で酔い、父親の一言に涙を流していた。そんな母が入院したとき、長男は母親のためになけなしの小遣いをはたいて最新のテレビを買った。母は喜んだが、そのときにはもうテレビを観る気力もなかった。次々と行われる検査に辟易し、子どものように嫌がり、看護師を困らせた。あの、人一倍他人に気を遣う母が。やがて点滴は24時間外せなくなり、皮膚は水が溜まってぶよぶよになった。姉や妹も駆け付けた。呼吸が苦しいと訴えれば、すぐに看護師を呼んで注射を打ってもらった。しかし、母には最期の時が来た。目を閉じ息が絶えるのを見届けると、長男はすぐに携帯を取った。葬具屋、隣近所、親戚に電話をかけまくった。父親と姉と妹は、悲しみにその場を動くことさえできなかった。自宅に戻り、長男は葬具屋、隣近所の人たち、親戚に事細かに今後のお葬式の手順を説明していた。姉と妹は、そんな長男に、「あんたは鬼だね」と言った。

おもちゃのくるま

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 お母さんは、小さな自分の息子をどうしても会合に連れていかなくてはならなくなり、ハンドバックの中に、おもちゃのくるまを入れました。そのくるまと言うのは、特に電動やバネなどで走るわけでもなく、単に柔らかいプラスチックで作られたものなんです。結構の大きさがあり、ハンドバックの容積の8割ほどを占めてしまいますが、なぜ、そうまでしてそのおもちゃのくるまを持っていくかと言うと、子どもがそのおもちゃでいつも楽しそうに遊んでいるのを見ているからです。子どもは、そのおもちゃのくるまを単に押して遊んでいるだけですが、いつまでも飽きることなく遊んでいたようです。子どもが会場で退屈していたらかわいそうだという母親の愛情です。

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 息子は病院に呼ばれた。「お父さんはかなりひどい状態です」息子は、父親を入院させてから、仕事の都合で、数日に一回くらいしか病院に来られないでいた。「どんな状態ですか?」担当医は睨み付けるように長男に言った。「あなたが考えているよりひどいと思います。なんともないように見えますが、それはお父さんが強い方だからです。精神力の弱い方だったら、今頃、意識はないでしょう。命がないかもしれません」息子は、今、父親の苦しみを理解した。「で、今、酸素吸入を24時間していますが、それでも血中酸素は足りていませんので、人工呼吸器を使おうかと思っているんですが。人工呼吸器と言っても本人の呼吸する力を助けるもので、だから患者の負担が相当にあるんです。本人の意志を優先したいんですが、お父さんは、息子さんにすべてを任せると言ってご自分の意見はおっしゃらないんです」「ああ、でしたらぜひ人工呼吸器を使ってください」「あなた、本当にお父さんのことを考えておっしゃってます? 苦しんですよ、これ。今の状態でも苦しいのに・・・・」「でも、親父は、僕に任せると言ったんでしょう」「分かりました。機械の説明のビデオをお父さんと一緒に向かいの部屋で観て下さい」息子と父親は、その淡々と進行していくビデオを観た。息子は、このとき、なぜか、とてつもなく悲しかった。 

夏祭りの風車

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 小さな男の子は、その夜、夏祭りに出掛けた。父親に手を引っ張られながら歩くが、気になるものがいっぱいだ。空に舞い上がる巨大な打ち上げ花火、擦れ違うことができないほどの人混み、きらきらと輝く出店。普段では決して見られない景色に、男の子は興奮していた。ひととおり祭りをながめ終えると、男の子と父親は家に戻った。男の子は、父親に買ってもらった何色もの飾りの付いた風車をぎゅっと抱きしめながら。風車にふっと息を吹きかけ回すと、数時間前の祭りの情景が目の前に表れるようだった。男の子はそれをあちらに置き、こちらに置き、と、とても風車から心を離すことができなかった。そのうちに、その華奢な風車は、男の子の何度もの関心に耐えられなくなり、その鮮やかな飾りをばらばらに崩してしまった。泣き喚く子ども。父親の、夏祭りの、そのすべてを失ったかのように。男の子は、その風車の部分をすべて集めて床に就いた。泣きじゃくりながら。翌日、男の子は、枕元の風車を見てびっくりした。風車がもとのようにきちんと飾りを付けてよみがえっていたからだ。男の子は、それはもう、この上なくうれしく、飛び跳ねて喜んだ。子どもは、気付いていた。昨晩、きっとお父さんは、接着剤を使い、この難しい飾りをもとのように直してくれたんだ、と。

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