(要約)
最近になり、その日が近づいているためなのか、
「5・13博多に警戒」との情報が乱舞しているようです。
詳しく調べたところ、「木は見る、森も見る、しかし考えが及ばない」式の
ガセネタと判断しました。
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最近になり、その日が近づいているためなのか、「5・13博多に警戒」との情報が乱舞しているようです。
情報元は週刊女性PRIMEのような感じなのですけど、それ以前にも在東京のタブロイド紙のニュースがYahoo!ニュースに転載されていたようですので、どこがオリジナルなのか判別できていません。
しかしながら、エキサイトに転載されていた週刊女性PRIMEの文面から、その概要を拾い上げることはできました。
「5・13博多に警戒」の根拠としているのは、次のような感覚的"経験則"によるものです。
大地震を連続的中させた高橋教授から「5・13博多に警戒」とメールが届いた
週刊女性PRIME 2017年5月11日 11時00分
《大隅半島沖の地震、桜島の噴火再開など、盛んに地震や火山の噴火が目立ち始めています。約50日前、福岡県博多近辺でM(マグニチュード)3〜4の地震が頻発したのをご存じですか? 連休明け、特に5月13日前後に博多・北九州周辺で大規模地震が起きる可能性があります》
高橋教授によると、過去の大地震の事例を詳細に分析した“経験則”から導き出したという。
大地震は突然起きません。
まず、それまで地震がほとんどなかったところでM3〜4クラスの地震が数回以上発生します。
それから約60日間の静穏期を経て、M2〜4クラスの地震が起きます。
するとその半日後から3日後にかけて大規模地震が発生しているんです。
感覚的"経験則"は、それが証明されてこそ実用となるものであり、"経験則"そのままでは推論の域を脱していない事になります。
その上で、次のようなもっともらしい主張が続くのです。
「2005 年3月にM7・0で最大震度6弱の福岡県西方沖地震が起きています。それまで地震がほとんどなかったため、地元の人たちは“九州にも大地震がくるのか”と驚きました。このとき地震を引き起こしたのが総延長約55kmの警固断層の北西部で、同じ断層の南東部はまだ動いていません。この静かな南東部がいよいよ近日中に動いて大地震を招くのではないかとみています」
「地表から断層は見えませんが、博多の街のど真ん中を貫いています。つまり、警固断層の南東部が動くと、博多を内陸直下型地震が襲うことになる。下からドーンと突き上げます。海中で起きる海溝型地震とは異なり、内陸直下型地震は揺れが1秒周期と短く地表の建物は倒壊しやすくなります。そもそも海に近い博多周辺は地盤がゆるいので十分な警戒が必要でしょう」
「博多周辺はもともと、日本三景の『天橋立』のような細長い砂嘴をいくつも並べたような“櫛形”の地形で、櫛の間の海を埋め立てて人が住むようになりました。東京の湾岸部も同じですが、非常に地盤がゆるいところなので地震によって大ダメージを受けやすいんです」
「大地震は突然起きません。まず、それまで地震がほとんどなかったところでM3〜4クラスの地震が数回以上発生します。それから約60日間の静穏期を経て、M2〜4クラスの地震が起きます。するとその半日後から3日後にかけて大規模地震が発生しているんです。'95年の阪神・淡路大震災、'04年の新潟県中越地震、'11年の東日本大震災、昨年4月の熊本地震と同10月の鳥取県中部地震もすべて、このパターンに合致しています」
「13日前後は特に注意してください。まずは大地震直前のサインを見逃さないことです。3月に地震が頻発したエリアとほぼ同じ場所で、大地震発生の半日から3日前までにM2〜4クラスの地震が起きるはずです。移動中の車に乗っていたりすると揺れたことはわかりづらい。しかし、静止した場所に座っていれば揺れを感じます」
「目立つ被害もなく、ひとつひとつの異変は大きく報じられませんでした。しかし、情報をまとめて俯瞰すると九州全体に広がる不穏な動きがわかります。 GW中に起きたこれらの地震・噴火があったのは西日本全体がのるユーラシアプレートで、引き金をひいたのはいずれも潜り込むフィリピン海プレート。つまり、同根なんです」
「耐震性が強化された'00年の建築基準法改正以降に建てられた頑丈な建造物に避難することをおすすめします。低層の建物の1階部分は潰れると思ったほうがいい。支柱がほとんどない体育館には逃げ込まないように」
ここまで読むと、実際に何が起きているのかを知らないと、その通りと思い込んでしまう人も現れるでしょうね。
でも何が起きているのかを知らないでも疑問を持つことができる部分もあるのです。
- '95年の阪神・淡路大震災、'04年の新潟県中越地震、'11年の東日本大震災、昨年4月の熊本地震と同10月の鳥取県中部地震もすべて、このパターンに合致しています
これら以外の地震に関しての検証は行われているのでしょうか?
この理論の主要な部分は、大地震に至るまでのシーケンスが示してあり、警固断層でも同じ流れにあるため、「5・13博多に警戒」となる点です。
- 3月に地震が頻発したエリアとほぼ同じ場所で、大地震発生の半日から3日前までにM2〜4クラスの地震が起きるはずです
- 連休明け、特に5月13日前後に博多・北九州周辺で大規模地震が起きる可能性があります
確かに3月の中旬頃、志賀島の北西にある警固断層の海域部分で地震が多発していたのは事実なのですし、その他のエキサイトが高橋教授への取材や気象庁のデータなどに基づき作成したマップ通りの現象も起きてはいます。
(左)エキサイトが作成、 (右)同期間の全体の動き
しかし全体を見ずに、興味あるところを抓み食いしているだけです。
さらには警固断層が持つ特有の特性も見落としています。
それは2005年3月に起きた福岡県西方沖地震で気象庁さえもが読み間違えを起こして、津波注意報を発令してしまった問題にも通じるのですけど。。。
警固断層の地震で津波は起きなかった
マップには警固断層と熊本地震で動いている部分を示すと同時に、九州東岸にあるフィリピン海プレート潜り込みに伴う震源域を示してあります。
フィリピン海プレート潜り込みはシーショアを形成するのですから、その潜り込みの方角に向って力学的な影響を及ぼします。
熊本地震で動いている部分はフィリピン海プレート潜り込みのラインと並行ですので、目一敗に力を受けるのですけど、警固断層のは向きは潜り込みの方へと向いていますので力学的な作用を受け難く、断層の左右で受ける力がアンバランスになるような状態にならないと動かないような向きなのです。
この点は「5・13博多に警戒」とする高橋教授の明らかな見落としです。
問題はもうひとつあり、観測が抓み食いとなっている点です。
上にも書きました通り、「3月の中旬頃、志賀島の北西にある警固断層の海域部分で地震が多発していた」のは事実なのですけど、それは自説を捻じ込むだけの舞台になっているのです。
本来なら、それ以前の地震活動も含めて検証しなければなりません。
そこで1年分ほどの地震記録を洗い出してみました。
誰が見ても一目瞭然の結果ですね。
地震回数のピークが現れているのは2016年の11月下旬であり、その後はしばらく落ち付き、ピークさえもが減少する方向へと向かっています。
これは3月の中旬頃の地震は全体の中での減少過渡期で起きた地震であることを示しています。
約60日間の静穏期を経てM2〜4地震が起きた後に大規模地震とする仮説が正しいとするなら、2016年の11月下旬からすでに60日以上が経過している現在は、すでに大規模地震が起きた後の祭り状態でなければなりません。
これこそ事実を無視してでも自説を押し通そうとする非科学であり、科学発展のためには除外すべきものなのです。
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