弁護士 戸舘圭之のぶろぐ

袴田事件に取り組む弁護士戸舘圭之のぶろぐ

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最高裁に意見書を提出しました!!

平成30()332号 
 
抗告人(再審請求人) 袴田 ひで子
有罪の言渡を受けた者 袴田 巖
 
検察官提出意見書に対する意見書
 
201810
 
最高裁判所第3小法廷 御中
 
主任弁護人  西 嶋 勝 彦
 
 検察官は、さる平成30年8月23日付けで「意見書」を貴裁判所に提出しているが、かかる検察官の意見は、到底容認することができない不当な意見といわざるを得ないことから弁護人らは以下の通り直ちに意見を述べる次第である。
第1 弁護人の特別抗告申立てに対する検察官の意見について
 検察官は、原決定の判断を「適正かつ妥当なもの」とした上で弁護人の特別抗告申立書において展開した抗告理由について「実質的には、これまでの再審請求審又は即時抗告審における弁護人の主張を繰り返したものにすぎず、原決定を覆すに足るものとは認められない。」と特段根拠も述べずに主張している。
 しかしながら、特別抗告申立書を一読すれば明らかなとおり、原決定には、現行再審制度の理念に対する無理解に始まり、刑訴法435条6号に関する最高裁判例、事実認定に関する最高裁判例、ひいては憲法の定める各条項に反する点があることは明らかである上、刑訴法435条6号のいわゆる明白性に関する静岡地裁再審開始決定(原原決定)の判断に対する証拠評価が極めてずさん、かつ、不合理なものであることは明らかである。
 また、検察は、刑訴法435条1・2号並びに同法437条の趣旨を理解できず、再審理由の追加申立を退けた原決定の誤りを無視している。
 そして検察官は、特別抗告申立書において具体的に示した原決定の判断の不合理性については何ら具体的な反論をすることなく、特段根拠を示すことなく、弁護人の主張を否定しており、実質的には、何らの反論となっていない。世論を代表する報道各社の社説もこぞって原決定の不当性を指摘して再審開始を求めており、検察官の意見はこれらに独り無意味に抗っているにすぎない。
第2 拘置の執行停止決定に関する検察官の意見について
 検察官は、原決定が再審開始決定を取り消しながら、静岡地裁の原原決定において判断された死刑の執行停止及び拘置の執行停止決定に関して「本決定に伴い職権を発動して直ちに死刑及び拘置の執行停止の裁判を取り消すことはしないこととする。」とした判断について刑訴法448条2項の解釈を誤ったものであると論難し、袴田巌の「拘置の必要性は高いというべきである」などと主張している。
 しかしながら、原原決定における死刑及び拘置の執行停止の裁判に対しては、検察官は、即日東京高裁に対して抗告を行っており同抗告は棄却されて確定している。刑訴法448条2項の決定に対しては判例上刑訴法419条に基づく一般抗告が可能であるとされており(最決平成24年9月18日刑集66巻9号963頁)、本件において、検察官は抗告を既に行った上で棄却決定が確定していることから、かかる判断を原審において取り消すことは裁判所の職権によっても行い得ないといわざるを得ない(その意味において原決定の判示は法的に誤った判示であり、無意味な記載である。この点につき、水谷規男「袴田事件・確定判決からの50年を問う」法律時報90巻10号4頁参照)
 いずれにせよ、原原決定の静岡地裁再審開始決定において「耐え難いほど正義に反する」と明確に示された上で袴田巖氏が即時に釈放され、その後、4年以上にわたり社会において平穏に生活している事実を無視することは許されない。
 検察官の意見は、法的に誤っているばかりでなく、無実の袴田巖氏を再び死刑囚として収監しようとする意思を公然と表明するものであり、弁護人らは到底看過することができない。
 
添付資料
・袴田事件再審取消決定新聞各社社説・論説集(39社分)

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