弁護士 戸舘圭之のぶろぐ

袴田事件に取り組む弁護士戸舘圭之のぶろぐ

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新聞やテレビでは毎日のように

犯罪報道、事件報道がなされており

「容疑者」「逮捕」

の言葉が並んでいます。


そして多くの人々は


「犯人が逮捕された」


と思って


今後の警察からの取調べなどを通じて事件の真相が究明されていくことを期待したりしています。


しかし、報道を注意深くみていただければわかりますが、

マスコミは決して逮捕された人を指して

「犯人」



「犯罪者」


という言葉は使いません。


これは、警察がある人を逮捕したからといって

その人が犯人であるかは未だ分からないからです。

事実の正確な報道を旨とするマスコミは、逮捕された人を

「容疑者」

という呼称で呼びます。


要するに

「容疑者」=警察から犯人かもしれないと疑われて逮捕されてしまった人

なんですが


この「容疑者」という言葉は、マスコミ用語として広く使われている言葉で

法律用語ではないのですが(法律的には正しくは「被疑者」といいます。)

とにもかくにも、マスコミは、「犯人」ではなく、あくまで「容疑者」なんだということを

言葉でそう表現しています。


これは法律の建前としては(刑事訴訟法という法律に規定があるのですが。)、


逮捕とは

警察などの捜査機関が、

一定の証拠に基づいて犯人であると疑った人が逃げたり、証拠を隠滅したりしないように

短期間、その人の自由を奪って拘束する手続で


大事なのは、あくまで、逮捕される時点では


警察が

「この人、犯人かもしれない!!怪しい!!」

と主張しているにすぎないのです。


犯罪が起きて警察が動き出した場合、ざっくりいうと



警察が捜査 → 検察官が起訴 → 裁判所が判決


という流れをたどります。


ある人が犯罪者として罰せられるのは、

裁判所が、「懲役〇年」とか「罰金〇万円」とかの刑罰を言い渡す

判決(有罪判決)

が出されて初めて犯罪者として扱われます。


ですので、法律上は、

逮捕されただけでは、その人が犯人であるかはまだわからないし、

犯人じゃない可能性も十分あるのです。



「そうはいったって警察が犯人だと思って捕まえたんだから犯人なんでしょ!!」


「逮捕された人が犯人じゃなかったケースなんてごくごく例外的な話でしょ!!」


と思われるかもしれませんが、


逮捕されたけど、犯人じゃなかったケースは、一般の人が漠然と考えているより

たくさんあるんじゃないかと

弁護士的には実感しています。


私が担当している袴田事件は、もちろんのこと


「えん罪事件」

といわれる事件は世の中にはたくさんあります。


そういったえん罪事件(冤罪事件)は、後になって

犯人ではなかったと判明するのですが、


冤罪事件と言われている事件の場合も、


警察は、逮捕をして「お前が犯人だ!!」と責め立てています。


そして、マスコミの報道で

「容疑者逮捕!!」

などと報じられると


多くの人は、


犯人が逮捕されたと信じて疑いません。




しかし


くどいようですが、


「逮捕」されたからといって、その人が


「犯人」


であるとはかぎらないのです。



もしかしたら本当はやっていないのかもしれないし、

もしかしたら本当にやっているのかもしれない


それは裁判で初めてわかること


なのです。


これは、逮捕報道などで


「容疑者は、事実関係を認めている。」


「容疑者は、自供をはじめている。」


などと報じられていてもかわりません。


逮捕された人が「自白」をしたって

じつはそれが虚偽だったり

無理矢理言わされたり

することは、よくある話です。


袴田事件でも「自白調書」は存在しています。


ですので、私としては、報道等で


「逮捕」


との言葉をみたり聞いたりした場合でも


すぐに

「あ、犯人が捕まったんだ。」

とは思わずに


「逮捕ということは、警察が一定の疑いをもってその人を捕まえたんだな。


ということは、この人は犯罪をやっているかもしれないけど、

もしかしたら、

やっていないかもしれないんだな。」


くらいに思って頂けるとうれしいなと


ひとりの弁護士として、


いつも思っています。


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