|
伊勢物語(第二段)
むかしおとこ有けりならの京は
はなれこの京は人の家また
さたまらさりける時にゝしの京
に女ありけりその女世人にはま
されりけりその人かたちよりは心なん
まさりたりけるひとりのみもあら
さりけらしそれをかのまめをと
こうちものかたらひてかへりきて
いかゝ思ひけん時はやよひのついたち
あめそをふるに
やりける
おきもせすねもせてよるをあかし
ては
春の物とてなかめくらしつ
仁勢物語(第二段)
をかし男有けりならの京ははなれ此京はまた宿
もさたまらさりける時に西の京にて女をもち
けり其女よ人にはをとれりけりその人かたちよりは
心なむこはかりけり人のやうにもあらさりけらし
それをかの男うち物語いかゝ思ひけん時は弥生の
ついたち雨しよほふるによめる
をきもせすねもせてよるも又ひるも
めうなかほとてなかめくらしつ
参考(第二段)
まめをとこ=誠実男
女よ人にはをとれりけり=女は世の人より劣っていた
こはかりけり人=強い人
めうなかほ=妙な顔
|
過去の投稿日別表示
[ リスト | 詳細 ]
2010年10月19日
全1ページ
[1]
|
伊勢物語(第一段)
むかしおとこうゐかうふりして
ならの京かすかのさとにしる
よしゝてかりにいにけりその
さとにいとなまめいたるをんな
はらからすみけりこのおとこ
かいまみてけりおもほえすふる
さとにいとはしたなくてありけ
れはこゝちまとひにけりおとこの
きたりけるかりきぬのすそを
きりてうたをかきてやるそのお
とこしのふすりのかりきぬをな
むきたりける
かすかのゝわかむらさきのすり衣
しのふのみたれかきりしられす
となむをいつきていひやりける
ついておもしろきことゝもや思けん
みちのくの忍もちすりたれゆへに
みたれそめにし我ならなくに
といふうたの心はへなりむかし人
はかくいちはやきみやひをなん
しける
仁勢物語(第一段)
をかし男ほうかふりして奈良の京かすかの里に知
人ありて酒のみにいきけりその里にいとなまくさき
魚はらかといふ有けり此男かふてみにけりおもほえ
すふるききんちやくにいとはした錢もあらさりけれは
心ちまとひにけり男のきたりけるかりきる物を
ぬきて魚のあたひにやるその男しふそめのきる
物をなむきたりける
春日野の肴にぬきしかりきもの
酒のみたれはさむさしられす
となん又つきてのみけり醉ておもしろき事ともや
おもひけん
道すからしとろもちすりあしもとは
みたれそめにしわれなら酒に
と云哥の心はへ也むかし人はかくいらちたるのみやう
をなんしける
参考
うゐこうふり=初冠、成人式
ほうかふり=頬かぶり
しるよしゝて=領地がある縁で
女はらから=姉妹
はらか=腹赤、鱒
ふるさとに=古き巾着
かりきぬ=狩衣
かりきる物=借りた着物
しのふすり=忍草を摺り付けた染模様
しふそめ=柿渋で染めた物。
忍もちすり=しとろもちすりと掛ける
われならなくに=ならさけに=奈良名産の酒
いらちたる=せっかちな
|
|
原本は、
天福本 伊勢物語(影印本・武蔵野書院)と
恩頼堂文庫旧蔵 仁勢物語(写真版・和泉書院)を
使用しました。
原本の字切りを、そのまま踏襲しました。
「参考」を脚注として、
伊勢物語と仁勢物語の
対比の材料としてください。
わたしは、全くの素人、
間違いだらけになると思いますが、
よろしくお願いします。
|
|
00歳で変体仮名を覚え始め、
00代半ばで、伊勢物語を読んだ。面白かった。
00台後半で、仁勢物語を読んだ。可笑しくて吹いた。
「なんと高尚な笑い。恐るべし、仮名草子。
何とか対比しながら読めたら面白いのに。」と、
ブログを始めました。
|
全1ページ
[1]




