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女郎花物語 仮名草子 内閣文庫本(古典文庫)
女郎花物語(をみなへし ものがたり) 下
21段-1(親に孝行の事-その1)
参考1
かう/\=孝行
中なごん家持(やかもち)=中納言・大伴家持
きたのかた=北の方、妻
いまはかうと=今は斯うと、もはやこれまで、もう最後と
きたう=祈祷
いしをしやうじて=医師を招じて
うらかた=占形、占いの結果
ぢやうごう=定業、前世から定まっている善悪の業報
身かはり=身代わり
たいさんぶくをまつらば=泰山府君を祀らば、中国の泰山の神、
人の寿命・福禄をつかさどる神として道家でまつる
やまふをまつりつけしかば=「やまふ」は「病」、病を祀ること
いまをきは=今際の際、死にぎわ
かはらんと・・・=赤染衛門の哥、詞花362、いろんな説話に使われる
身代わりになろうとする命が惜しいのではありません、
それでも死に別れることが悲しいのです。
ぼんでん=梵天、仏法護持の神
たいしやく=帝釈天、仏法守護の主神
しゆら=修羅、帝釈天と戦っている悪神
ゑんまわう=閻魔王、冥界の王、人間の死後に善悪を裁く王
ちうてんわう=治天王・治天皇・中天王??
浄御天皇=浄御原の天皇??天武天皇と持統天皇??
参考2
説話なので、文字通りの大伴家持の話とは限りません。
いくつか「??」が有ります。
出典が判ればもう少し詳しく解説が出来るのでしょうが、これが精一杯です。
話の中身は、身代わりになる孝行娘を、神仏が嘉して恵みを与える話です。
後半も楽しみにして待っててください。(さっぱり分かりませんが(^_^;))
軽鴨の介______
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女郎花物語
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女郎花物語 仮名草子 内閣文庫本(古典文庫)
女郎花物語(をみなへし ものがたり) 下
20段(和泉式部の事)
参考1
小式部のないし=小式部内侍、平安時代中期の女流歌人。橘道貞の女。母は和泉式部。
寛弘六年(1009)ごろ母とともに上東門院(藤原彰子)に出仕
上とうもんゐん=上東門院、一条天皇の中宮藤原彰子(しょうし)の院号、藤原道長の娘、
後一条・後朱雀天皇の母、紫式部・和泉式部ら多くの才媛が仕えた
としごろたまはられけるきぬを=毎年賜る衣(きぬ)を
かきつけられたりけるを見て=亡くなってしまった子供の名「小式部」と書き付けてあるのを見て
もろともに・・・=娘と諸共に苔の下で死なず、生き長らえて、
この世に残っている娘の名前を見るのは悲しいことです
地ごくゑ=地獄絵、地獄変相、亡者が地獄で苦しみにあうようすを絵に表したもの
つるぎのえだ=剣の枝、剣林処、木の葉が剣になっている林の中で、全身を切りさいなまれる。
剣樹地獄
きんえうしう=金葉和歌集
あさましや・・・=なんて忌まわしい、剣の枝がたわむ程に身を貫かれて、
これは一体どんな罪を犯した人がこうなったのであろう。「剣・つる木」と「身・実」
くまの=熊野三山信仰の地
さはり=月の障り、月のもの
ほうへい= 奉幣、神に幣帛(へいはく)をささげること
風雅集=室町前期の勅撰和歌集。20巻。花園院監修、光厳院撰。正平4=貞和5年(1349)ごろ成立。
はれやらぬ・・・=雲が月を覆い隠すように、熊野詣に月事の穢れをはばかって、
奉幣出来ないのは悲しいことです。晴れ、浮き雲、棚引く、月、縁語
くまのゝごんげん=熊野権現、熊野三所権現、本宮の家都御子神、新宮の熊野速玉神、
那智の熊野夫須美神の三神。熊野(ゆや)権現
もとよりも・・・=言うまでもなく塵に等しい人間にかかわる神だから、月の障りも苦るしゅうないぞ
哥人にて侍れば 神のめぐみにかなひ侍る=歌人ゆえに神の恩寵を受けるに適うこと
参考2 能・誓願寺
・・・わらはが住家はあの石塔にて候。
不思議やなあの石塔は。和泉式部の御墓とこそ聞きつるに。御住家とは不審なり。
さのみな不審し給ひそよ。我も昔は此寺に。値遇の有れば澄む水の。春にも秋や通ふらし。
結ぶ泉の自が。名を流さんも恥かしや。よしそれとても上人よ。我が偽は亡き跡に。和泉式部は我ぞとて。石塔の石の火の。光と共に失せにけり/\。・・・
小式部内侍が亡くなり、母の和泉式部、
お仕えしてる上東門院様から、
毎年賜る衣を頂戴いたしました。
下賜品の上書きに小式部とあって、
思わずグッと来るモノがありました。
和泉式部は、いろいろ言われてますが、
やっぱり素敵な女性です。
和泉式部も小式部内侍も、
その名は、
1000年も朽ちていませんよ。
軽鴨の介______
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女郎花物語 仮名草子 内閣文庫本(古典文庫)
女郎花物語(をみなへし ものがたり) 下
19段(みなしごのお布施の事)
参考1
りつし=律師、戒律に通じた僧、僧正・僧都に次ぐ僧官(五位に準じる)
実源=1024-1096年、後拾遺、金葉403
ほとけ=ここでは死者
くやう=供養
こともかなはずげなるけしき=暮らし向きが不如意である様子、貧乏な暮らし
きぬ一ゑと まきゑのてばこ=衣一重と蒔絵の手箱
しゆそう=從僧・じゅうそう・ずそう、高僧や住職などに付き従う僧侶、従者である僧
しろかねのはこ=銀の箱
きんえうしう=金葉和歌集
玉くしけ・・・=この手箱の懸籠(かけご)に塵もつけないように大切に育ててくれた、
両親は亡くなり後見がいないことを知ってください。これだけしかお布施はできません。
玉くしけ=玉櫛笥・たまくしげ、櫛笥(くしげ)の美称
かけご=懸籠・掛子、ほかの箱の縁にかけて、中にはまるように作った箱
ふたおや=二親と箱の蓋、縁語
千きんをせもつに・・・をもく侍る=多額の金銭の施物を贈られるよりも嬉しいお布施である
ふじゆ=諷誦、経文や偈頌(げじゅ)を声をあげてよむこと、ふうじゅ
諷誦文=死者の冥福を祈るため、三宝への布施物や布施の趣旨などを記した文章
哥道のとく=歌道(和歌)の徳、和歌の持つ力
参考2
金葉和歌集 610 讀人志らず
律師實源がもとに、しらぬ女房の佛供養せむとて、よばぜ侍りければ、まかりてみればこともかなはずげなるけしきをみて、かたのごとくいそぎくやうして立ちける程に、すだれの内より、女ばう手づからきぬ一へと、まきゑの手箱をさし出したりければ、從僧してとらせ歸りてみれば、しろがねの箱のうちにかきて入れたりける歌
玉匣 かけごに塵も すゑざりし ふた親ながら なき身とをしれ
袋草子には、実源さんの返歌があるそうです。
けさこそは あけても見つれ 玉くしげ ふたより身より 涙流れて
後見をしてくれるべき両親が亡くなり、貧しき娘。両親のために供養を、大切な思い出の品を僧に施物として贈りました。その事を後で知った僧・実源さん、えらく感動して涙をながし、懇ろに両親の弔いをしました。え〜話や〜〜!
聖書にも、「やもめの献金」という話がありますね。額ではなく気持ちです。(マルコ12:41〜)
和歌には、
「ちからをもいれずして、
あめつちをうごかし」
とあります。
心は動きましたか?
軽鴨の介____
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女郎花物語 仮名草子 内閣文庫本(古典文庫)
女郎花物語(をみなへし ものがたり) 下
18段(うか/\と子を産む女の事)
参考1
うかうか=浮浮、思慮の浅いさま、うわついている、軽薄
をうな=おんな(女)、若い女性。おうな(嫗・媼)、年をとった女
この話では若い女性
たゞならずなりなから もてかくしてありけるに=妊娠してしまって隠していたけれど
うみたるむめ=熟みたる梅
をこせたりければ=よこしてきたので
きんえうしう=金葉和歌集、平安後期の勅撰和歌集、八代集の第五
はかくれに・・・=葉隠れで芽吹いたと見たのも束の間に、悪阻(つわり)もそこそこに、
これは(子は)もう熟み(産み)梅の実になったんですね。
つはる=芽が出る、芽ぐむ、きざす。悪阻(つわり)=妊娠してつわりが起こる。掛詞
うみむめ=熟み(産み)梅、掛詞
さんや=産屋、うぶや、出産にあたって用いられた別棟の家もしくは部屋
ゆどのゝぐそく=湯殿の具足、風呂の道具・調度
しろべりのたゝみ=白縁の畳
しろからかみのびやうぶ=白唐紙(からかみ)の屏風、血の汚れを意識していました。
をしおけ=押し桶、胞衣桶(えなおけ)
昔、胞衣(えな)を納めて土中に埋めるのに用いた薄板の桶。
外側に鶴・亀・松・竹などのめでたい絵を描いた。
胞衣(えな)=胎児を包んでいた膜や胎盤など。後産のほうい。ほうえ
三日七日うぶたち=おしちや・御七夜、子供が生まれて7日目の祝い、赤ん坊に名をつける
ざつしやう=雑掌、もてなしの酒肴
きんき=禁忌
こしつのぎ=故実の儀、昔の儀式・法制・作法などの決まりや習わし
つゐのよすが=終の寄す処(縁・因・便)、最後の身のよりどころ、よるべ
参考2 名筆鑑賞
赤ちゃんポスト
“安易な利用も”などの記事がありました。
「仕事や留学のため」に捨てる??
時代は変わり、結婚の形態は変わっていっても、
ちゃんと子供を安心して産める環境を作りましょう。
うか/\としてる軽鴨の介______
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女郎花物語 仮名草子 内閣文庫本(古典文庫)
女郎花物語(をみなへし ものがたり) 下
17段(嘆きの哥の事)
参考1
としのぶ=不明
ながされける=島流し
てうぶくをきてまかる=重服、重い服喪。父母の喪。また、その時に着る服。
しういしう=拾遺和歌集
人ならし・・・=貴男を(成)人にした、この胸の乳房の燃える炎で、
焼いて黒く染めた墨染めの衣を、貴男は着て行きなさい。
かう/\=孝行
燕(えん)のたいし たんといふ人=中国戦国時代・燕の太子・丹という人
しくわうのとき しんにゆけり=始皇の時、秦に行けり
からすのかしらしろくなりて こまに つのゝおひたらんとき=
烏の頭が白くなり、馬に角が生え出る時。容易に起こり得ないこと、あり得ないこと。
史記列伝・刺客列伝の脚注23(岩波文庫)
山からす・・・=山のカラスの頭が白くなったので、我も帰るときが来ました。
参考2
拾遺和歌集 1294
としのぶが流されける時、流さるる人は重服を着てまかると聞きて、
母がもとより衣に結び付けてはべりける
人なしし 胸の乳房を ほむらにて 焼く墨染の 衣着よ君
後拾遺和歌集 十八雑 1075
くまのにまいりてあすいでなんとしはべりけるに、人々、しばしはさぶらひなむや、神もゆるしたまはじなどいひはべりけるほどに、おとなしのかはのほとりに、かしらしろきからすの、はべりければよめる 増基法師
山がらす かしらもしろく なりにけり わがかへるべき ときやきぬ覧
やはり短くても女郎花物語、手強いです。「としのぶ」と母、いろいろ調べても分からず、朝一で遠くの図書館まで行って、調べてみたら、残念。資料には「未詳」とありました。でも、1000年前の母の気持ち、しっかり届きました。何かの事件に巻き込まれ、大事な息子「としのぶ」は、島流し。母は、胸の張り裂ける気持ちを哥にぶつけます。胸を打ちました。
後半は、秦の始皇帝(政)と燕の太子・丹のお話です。二人とも子供のころは、趙の人質で、友達でした。続いて丹は、秦の始皇帝(政)の人質になり、ひどい扱いを受けます。その時のエピソードが今回の話で、やっと燕に帰れます。さらに後に、燕の亡国の危機の折、太子・丹は、秦の始皇帝に荊軻という刺客を送り込むことになります。因縁の間柄は、凄いモノがあります。詳しくは、「史記列伝・刺客列伝」や「始皇帝暗殺」の映画や本で。
軽鴨の介______
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