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女郎花物語 仮名草子 内閣文庫本(古典文庫)
女郎花物語(をみなへし ものがたり) 下
参考1
つゐ=終・竟、つまるところ、最後、はて
よすが=縁・因・便、たのみとする人、夫や妻また、子など
ちぎらん人=夫婦の約束をする人
けさうして=懸想、異性に思いをかけること、恋い慕うこと
うか/\し=思慮が足りない、軽薄である、心がゆるんでいるさま
あま雲の・・=貴男は天雲のように遠く離れて行ってしまうのですね。
妻である私の目には見えるというのに。伊勢物語19段、古今集784
ゆきかへり・・=行ったり来たりする天雲が、空にばかりいて、一向に山に留まらないのは、
風(貴女の態度)が激しすぎるからです。伊勢物語19段、古今集785
あま雲=天の雲、「よそ」の枕詞、おぼつかなく漂っている意味に使われる、
「あま雲のたゆたふ心」など
そふる=添ふる
まんえうしうにも=万葉集 巻四 相聞
天雲の 外(よそ)に見しより 吾妹子に 心も身さへ 寄りにしものを
伊せ物がたりのことばに=伊勢物語19段、「おとこある人となんといひける」
げんじの物がたりはゝき木のまきに=源氏物語・帚木、場面は雨夜の品定め
うまのかみ=左馬頭
そゝなはかせば=唆せば、甘言を用いてそそのかす、口説く
わごん=和琴、「やまとごと」「あずまごと」、
平安時代は貴族の男女の遊びの場で演奏や歌の伴奏に使われた
ことのねも・・=琴の音色も素晴らしいお宅ですが、
薄情な方を引き止めることができなかったようですね
それより此女のかたへゆかず=女の浮気心を見てしまったので女の方へはもう行かなかった
すきたはめらん女=好き撓めらん女、好色で人にたやすくなびいてしまう女
参考2
古今集 784
業平朝臣、きのありつねがむすめにすみけるを、 うらむることありて、しばしのあひだひるはきてゆふさりはかへりのみしければ、よ みてつかはしける
あま雲の よそにも人の なりゆくか さすがにめには 見ゆる物から
古今集 785 なりひらの朝臣 返し
ゆきかへり そらにのみして ふる事は わがゐる山の 風はやみなり
万葉集 巻四 相聞 546
三香の原旅の宿りに
玉ほこの道の行き逢ひに
天雲の外(よそ)のみ見つつ
言問はむ縁(よし)の無ければ
心のみ咽(む)せつつあるに
天地の神事依(よ)せて
敷細(しきたへ)の衣手交(か)へて
己妻(おのづま)と
恃める今宵
秋の夜の百夜の長さありこせぬかも
反歌547
天雲の 外に見しより 吾妹子に 心も身さへ 寄りにしものを
この段は、万葉集、古今集、伊勢物語、源氏物語と、
調べる物がいっぱいあり、
仮名草子の程度の高さを感じる段でした。
「若い女は良い男を得て、身持ちの堅い女性として、
幸せな家庭を築きなさい」と言う、女訓ものでした。
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女郎花物語
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女郎花物語 仮名草子 内閣文庫本(古典文庫)
女郎花物語(をみなへし ものがたり) 下
参考1
和泉しきぶ=和泉式部、平安中期の女流歌人。大江雅致の娘。和泉守橘道貞と結婚し、
小式部内侍を産んだ。為尊親王、次いでその弟の敦道親王と恋をし、
上東門院彰子に仕えてのち藤原保昌に嫁するなどした経歴から、恋の歌が多い。
「和泉式部日記」は、敦道親王との恋の話。
かれ/\=離れ離れ、男女の交際がとだえがちなさま、疎遠なさま
きぶね=貴船神社、磐長姫命を祭神とし、縁結びの神として信仰される
物おもへば・・=恋しさに悩んでいたら沢に飛ぶ蛍も体から抜け出た魂ではないかと見える
おく山に・・=奥山にたぎり落ちる滝の水玉(魂)が飛び散るように思い悩んではいけない
おほぬさのひくてあまたの人=大幣が多くの人に引かれるように多くの人から誘われる人
ほん地=本地、仏・菩薩の本来の姿、ここでは縁結びの神・磐長姫命
さるべきえん=然るべき縁、しかるべき・それなりの縁
しんがう=信仰、古くは「しんごう」、神仏などを信じ崇めること
しんそくこきん=新続古今和歌集(しんしょくこきんわかしゅう)、1185
あふせ=逢瀬
男女の中は、神頼み。
磐長姫命と木花開耶姫、両方貰っていればね。
瓊瓊杵尊さん。
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女郎花物語 仮名草子 内閣文庫本(古典文庫)
女郎花物語(をみなへし ものがたり) 下
4段(ひとへに思ふの事 並びに 女のいさめの事)
参考1
こゝろにたるよし=心に足る由、心を満たす事情・わけ
人めをおもひ=人目をはばかること
そひ侍るよしをのみ申侍る=添い遂げることのみ語っていた
めづらしきわかき をうな=なかなか逢えない若い女性
まほし=・・したい
くねる=すねる、恨み言を言う、愚痴をこぼす
げんじ物がたりのしなさだめ=源氏物語の雨夜の品定め、帚木の巻で、長雨の一夜に
光源氏を交えて頭中将などがめぐり会った女性たちの品定めをする
たうの中将 とうしきぷ うまのかみ=頭中将・藤式部丞・左馬頭
すゑつむ花=末摘花、常陸宮の姫君
はなながく さきあかく=鼻が長く鼻先が紅い・末摘花(紅花の古名)が紅い
なつかしき・・=親しみある色でもないのに、どうして末摘花に袖を触れたのだろうか
たづねても・・=みずから訪ねて行って問おう、深い蓬に埋もれていた貴女の深い心を
みめわろく=見目・眉目悪く、容貌が悪い
かたは=片端、釣り合いがとれていないこと、不体裁なこと
かたはに侍れども げんじあはれひ給ふ=欠点はあっても一途さで生涯光源氏と関り続けた女性
こは/\しくあるまじきこと=いかにも強情であるようなことがないように
三輪の山・・=三輪の山でどのようにして待とうか、何年経っても訪ねくる人などないと思うと
我いほは・・=私の庵は三輪の山もとにあります、
恋しくば尋ねてきてください目印の杉(過ぎ)の傍らの門で待ってます
伊せの国あふぎのこほり・・=以下、伊勢の国あふぎの郡の祭りの縁起
みはの大明神=三輪の大明神・大神神社、三輪山が神体、大物主大神・大己貴神・少彦名神
しるしのすぎ=三輪の大神のあらわれた杉、神の坐す杉とされる
あけてだに・・=後撰和歌集 1104 中務 浦嶋子の伝説
ゆうりやくてんわう・廿三ねん=雄略天皇、479年
しゆんわてんわう・てんちやう二ねん=淳和天皇・天長二年、825年
ちやうきうに=長久に、ながくひさしいこと
あたらしく侍れ=可惜(あたら)しく侍れ、惜しい、もったいないことだ
参考2
源氏物語、帚木・末摘花・蓬生などの巻参照のこと。
能・三輪、御伽草子・浦島太郎なども参照のこと。
後撰和歌集 1104 詞書
元長親王の住みはべりける時、手まさぐりに、何入れてはべりける箱にかありけん、下帯して結ひて、又来む時に開けむとて、物のかみにさし置きて、出ではべりにける後、常明親王に取り隠されて、月日久しくはべりて、ありし家に帰りて、この箱を元長親王の贈るとて
開けてだに 何にかは見む 水の江の 浦島の子を 思ひやりつつ 中務
末摘花が変わらず待ち続けていたことを知って、
心打たれた源氏は、姫の元を訪れる。
う〜ん、不器用な人の一途さは魅力です。
心ですよ。心♡♥
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女郎花物語 仮名草子 内閣文庫本(古典文庫)
女郎花物語(をみなへし ものがたり) 下
3段(薄情な男に捨てられた女の事)
参考1
ぐして=具して、つれて行く、従えて行く
つくし=筑紫、九州の古称、筑前・筑後二国、豊国・肥国を含めた九州の北半分
こと女=異なる女
おもひいでず=思い出でず、京より連れてきた女を思い出さなかった
のぼるべきすべもなく=京へ上るべき術も無く
わづらふことありて しなんとし侍りけるをり=病気になって死にそうになった折
つねひらちくぜんのかみ=経衡筑前守、藤原経衡
めになんありける=女・妻であった
物うかりけるものゝふの心かな=物憂い(見苦しい)物部・武士の心かな、
朝廷に仕えた文武の官人を物部(ものゝふ)と云う
参考2
この話は、藤原経衡が筑前守として京から九州へ下った時、供をした物部の妻の話です。
後拾遺和歌集 1006 病 に、ほぼ同文が有るのでそこから引用したもの。
馴れない異郷の地で、男に捨てられ寂しく死んでいった女。そのことを聞いた主君・経衡は、冷淡な男を追放しました。
糟糠の妻は、仕方ないから大事にしないとね。
あー、あれからン十年(綾小路 きみまろ風に)、
「豊かな教養、溢れる美貌にこぼれる脂肪」の妻。
http://www.alrincon.com/foro/images/smiles/0516.gif 軽鴨の介__________φ(.. )
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女郎花物語 仮名草子 内閣文庫本(古典文庫)
女郎花物語(をみなへし ものがたり) 下
参考1
文集=白氏文集
蕭々暗雨打窓声=蕭々たる暗雨窓を打つ声、
玄宗皇帝の寵愛を受けぬまま独り寝の老いてゆく宮女の嘆き
ごしういしう=後拾遺和歌集、1015
大弐三位高遠=藤原高遠、平安時代中期の歌人、正三位・大宰大弐。中古三十六歌仙の一人
しやうやうじん・上やう人=上陽人・じょうようじん、上陽宮にいた宮女。
楊貴妃が玄宗皇帝の寵愛を一身に集めたため、他の宮女が不遇な一生を送ったところから、
女性、特に宮女の不遇をたとえる語として用いられる。
げんそう=唐・玄宗皇帝
やうきひ=楊貴妃
そばめられて=側められて、脇にやられて
天下うれへうごきて=安史の乱、安禄山の反乱
やうきひをがいしてけり=楊貴妃を害してけり、馬嵬にて楊貴妃は殺された
はうじ= 方士、方術を行う者、道士、東方朔のこと
ほうらいきう=蓬莱宮、不老不死の仙人が住む蓬莱山・蓬莱島の宮殿
そうしたる=奏したる、天子に申し上げること
君はふね 臣は水=君は船なり臣は水なり、水能く船を浮かべまた能く船を覆す、荀子
かいしやう=海嘯
えんぎの御代=延喜の御代、この時代は醍醐天皇
御せい=御製・ぎょせい、天皇が手ずから書いたり作ったりした文・和歌・絵画などをいう
たかきやに・・=高き屋にのぼりて見れば煙立つ民のかまどはにぎはひにけり 新古707仁徳天皇
しよりやう=所領、領有すること、その土地
しよほんしよさいこくさいしやうして=しよほん・しよさい・こくさい生じて????
わびしみまじきこと=気落ちして切なくさせないこと
だうじやのきしん=堂社の寄進、神仏をまつる堂や社の寄付
いげ=以下・已下、それより下、いか
わうりやう=横領
そわう=楚王
そんせうけう=孫叔敖
たうらう=蟷螂、カマキリ
いもじり=カマキリの別名
まもりて=目を離さないでじっと見る、見守る
わりなきこゝろ=理無き心、道理に合わない心
衣かたしき=共寝は二人の衣を重ねて敷が、片方だけ敷いているのは独り寝
うぢのはし姫=宇治の橋姫、宇治橋を守る神で、住吉大明神が夜ごと通ったという伝説がある
つはり=新しい命のきざしが動き出す、つわり
七いそのめ=七つ磯の海布(め)
りうわう=龍王
参考2
色々話が集まって、話が散漫になっているようですね。
楊貴妃の登場によって、「六宮の粉黛は顔色無きが如也」で六十歳になるまで、玄宗皇帝にまみえることなく、一生虚しく夜を過ごす女性達も哀れです。
亡き楊貴妃と東方朔の話は、能「東方朔」に詳しく有ります。
後半のほんの女の話、貴船の神に祈り鬼に変身した能「鉄輪」の女とは、随分話が違います。
この話の資料に、「片仮名本・十訓鈔」(古典文庫上・下)を買った。
随分と値をふっかけやがった。ネットで値段調べて行ったのに倍の値段。
足元見たようだ。少し頭に来た。
追加:楊貴妃役は殷桃(イン・タオ)「蒼穹の昴」にも出ていました。たまらん♡♥
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