伊勢物語と仁勢物語

パロディーと諧謔の、仮名草子。

女郎花物語

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女郎花物語 下-6段

女郎花物語 仮名草子 内閣文庫本(古典文庫)

女郎花物語(をみなへし ものがたり) 下

6段(若き女、伴侶を定むるの事)
イメージ 1

わかき女は つゐのよすがともちぎらん人
を とくさだむべきことなり おとこなければ 
人々けさうして おとこあまた出入 ふみなど
かよはしぬれば をのづから ぬしのこゝろも
うか/\しくなり侍る 有哥に 

  あま雲の よそにも人の なりゆくか
  さすがにめには 見ゆるものから

返し 

  ゆきかへり 空にのみして ふることは
  我ゐるやまの 風はやみなり

本哥に あま雲のとは そらの雲なり さて 
あま雲のよそとは そふるなり まんえう
しうにも あま雲のよそに見しより と
よめり 雨けのくもを あま雲といへども そ
れは別のことなり 返哥に 我ゐる山の
風はやみなりとは 伊せ物がたりのことばに 
おとこあまたもちたりける人になんあり
ける とあり 山に風のはやきに 雲の
しづかにゐるやうに 女のもとに おとこ
のあまたかよへば それを風はやきになし 
我身を雲になして えしづかにもゐず と
よめり 又 げんじの物がたりはゝき木のま
きに うまのかみかたりいはく 我かよふ女の
もとへ 我ともだちのやうなる人 かよひける
をもしらず だいりよりいでけるに 此うへ
人 くるまにのりて ゆかん といふを いづくへぞ 
とおもふに 我ゆく所なれば あさまし と お
もひて 此おとこふえをふきて そゝなはかせば 
内よりわごんを引ければ 

  ことのねも きゝもえならぬ やどながら
  つれなき人を 引やとめける

とよみて それより此女のかたへゆかず され
ば すきたはめらん女には こゝろをかせ給へ と 
申たりしなり かく をうなのこゝろぞ うか
/\しくなるものなれば おとこをも とく
さだめ よきやうに 人のおやは はからふへ
きことにこそ

参考1

つゐ=終・竟、つまるところ、最後、はて
よすが=縁・因・便、たのみとする人、夫や妻また、子など
ちぎらん人=夫婦の約束をする人
けさうして=懸想、異性に思いをかけること、恋い慕うこと
うか/\し=思慮が足りない、軽薄である、心がゆるんでいるさま
あま雲の・・=貴男は天雲のように遠く離れて行ってしまうのですね。
        妻である私の目には見えるというのに。伊勢物語19段、古今集784
ゆきかへり・・=行ったり来たりする天雲が、空にばかりいて、一向に山に留まらないのは、
         風(貴女の態度)が激しすぎるからです。伊勢物語19段、古今集785
あま雲=天の雲、「よそ」の枕詞、おぼつかなく漂っている意味に使われる、
   「あま雲のたゆたふ心」など
そふる=添ふる
まんえうしうにも=万葉集 巻四 相聞
   天雲の 外(よそ)に見しより 吾妹子に 心も身さへ 寄りにしものを
伊せ物がたりのことばに=伊勢物語19段、「おとこある人となんといひける」
げんじの物がたりはゝき木のまきに=源氏物語・帚木、場面は雨夜の品定め
うまのかみ=左馬頭
そゝなはかせば=唆せば、甘言を用いてそそのかす、口説く
わごん=和琴、「やまとごと」「あずまごと」、
     平安時代は貴族の男女の遊びの場で演奏や歌の伴奏に使われた
ことのねも・・=琴の音色も素晴らしいお宅ですが、
         薄情な方を引き止めることができなかったようですね
それより此女のかたへゆかず=女の浮気心を見てしまったので女の方へはもう行かなかった
女の返歌「木枯に吹きあはすめる笛の音をひきとどむべき言の葉ぞなき」(冷たい木枯らしに合うような、あなたの笛の音を引きとどめる術を、わたしは持ち合わせていません と、別の男になびいて行く)・・時々にても、さる所にて忘れぬよすがと思ひたまへむには、頼もしげなくさし過ぐいたりと心おかれて、その夜のことにことつけてこそ、まかり絶えにしか。
すきたはめらん女=好き撓めらん女、好色で人にたやすくなびいてしまう女

参考2

古今集 784
業平朝臣、きのありつねがむすめにすみけるを、 うらむることありて、しばしのあひだひるはきてゆふさりはかへりのみしければ、よ みてつかはしける

あま雲の よそにも人の なりゆくか さすがにめには 見ゆる物から 

古今集 785 なりひらの朝臣 返し

ゆきかへり そらにのみして ふる事は わがゐる山の 風はやみなり 

万葉集 巻四 相聞 546

三香の原旅の宿りに 
玉ほこの道の行き逢ひに 
天雲の外(よそ)のみ見つつ
 言問はむ縁(よし)の無ければ 
心のみ咽(む)せつつあるに 
天地の神事依(よ)せて 
敷細(しきたへ)の衣手交(か)へて
 己妻(おのづま)と
恃める今宵 
秋の夜の百夜の長さありこせぬかも



反歌547

天雲の 外に見しより 吾妹子に 心も身さへ 寄りにしものを


この段は、万葉集、古今集、伊勢物語、源氏物語と、
調べる物がいっぱいあり、
仮名草子の程度の高さを感じる段でした。
「若い女は良い男を得て、身持ちの堅い女性として
幸せな家庭を築きなさい」と言う、女訓ものでした。

¥¤¥᡼¥¸ 27  軽鴨の介______φ(.. )

女郎花物語 下-5段

女郎花物語 仮名草子 内閣文庫本(古典文庫)

女郎花物語(をみなへし ものがたり) 下

5段(貴船神社と恋の事)

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和泉しきぶ おとこの かれ/\になり侍る
比 きぶねにまいりけるに ほたるのとぶを
見て

  物おもへば さはのほたるも 我身より
  あくがれいづる たまかとぞみる

とながめければ 御やしろのうちより忍び
たるこゑにて かくきこえけり 

  おく山に たぎりておつる たきつせの
  たまちるばかり ものなおもひそ

そのしるしありて おとこあはれひて もとのご
とくありけるとなん あらたなる神の御ち
かひも ありがたくこそ侍れ おとこかはる け
しきもあれ 又うか/\しく おほぬさの
ひくてあまたの人にも ちかづき侍らば き
ぶねを しんがう申べきことにこそ さうじて き
ぶねのほん地は こひゆへ かの山にあとを
たれ侍れば 女さるべきえんをも もとめよ か
た/\に しんがう申べきなり かのたまちる
といふことばを 定家卿の哥に
しんこきんしうに

  いくよまて なみにしほれて きぶね川
  袖にたまちる ものおもふらん

又 ちか比のことにや ある哥に
しんそくこきんに

  いのりきて あふせしなくは き舟川
  神もむなしき なをやながさん

いにしへ いまのうたを 見侍るにつけても 
おとこ をうなの中を まもり侍るべき 神
の御ちかひなれば をうなは もともしんがう
申べき事にこそ

参考1

和泉しきぶ=和泉式部、平安中期の女流歌人。大江雅致の娘。和泉守橘道貞と結婚し、
   小式部内侍を産んだ。為尊親王、次いでその弟の敦道親王と恋をし、
   上東門院彰子に仕えてのち藤原保昌に嫁するなどした経歴から、恋の歌が多い。
   「和泉式部日記」は、敦道親王との恋の話。
かれ/\=離れ離れ、男女の交際がとだえがちなさま、疎遠なさま
きぶね=貴船神社、磐長姫命を祭神とし、縁結びの神として信仰される
物おもへば・・=恋しさに悩んでいたら沢に飛ぶ蛍も体から抜け出た魂ではないかと見える
おく山に・・=奥山にたぎり落ちる滝の水玉(魂)が飛び散るように思い悩んではいけない
おほぬさのひくてあまたの人=大幣が多くの人に引かれるように多くの人から誘われる人
ほん地=本地、仏・菩薩の本来の姿、ここでは縁結びの神・磐長姫命
さるべきえん=然るべき縁、しかるべき・それなりの縁
しんがう=信仰、古くは「しんごう」、神仏などを信じ崇めること
しんそくこきん=新続古今和歌集(しんしょくこきんわかしゅう)、1185
あふせ=逢瀬


男女の中は、神頼み。
磐長姫命と木花開耶姫、両方貰っていればね。
瓊瓊杵尊さん。
¥¤¥᡼¥¸ 22 ¥¤¥᡼¥¸ 22             
 ¥¤¥᡼¥¸ 47 軽鴨の介______φ(.. )





女郎花物語 下-4段

女郎花物語 仮名草子 内閣文庫本(古典文庫)

女郎花物語(をみなへし ものがたり) 下

4段(ひとへに思ふの事 並びに 女のいさめの事)
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雨の中のさびしきに おとこ四五人さし
あつまりて 女の物がたりをいろ/\にし
侍りて のちには をのがめのことまで さま
/\゛に申を きゝ侍れば 十ぶんにこゝろ
にたるよしを かたる人はまれになん侍る 
子共まうけて としよりぬれば めづらしき
よしも侍らねども 人めをおもひ 子どもの
ことをおもへば とにかくに そひ侍るよし
をのみ申侍る 世にあらば めづらしきわか
き をうなにこそ そはまほしく侍れ わか
/\しく ねたきことなどいひて うらみく
ねる にくさ すさましさをも こらへ侍るよし
かたりあへり さながら げんじ物がたりのしなさだ
めを たうの中将 とうしきぷ うまのかみ かたり
侍るごとくにこそ きこえけれ おなし物がたり
に わかむらさきのならびに すゑつむ花
と申せしは はなながく さきあかくおはし
けり げんじ 見そめたてまつりけんこと くや
しくおぼしけれども 此御すがたを 我なら
で たれか見たてまつらん と あはれにおぼ
しめして のちには かた/\のかずに入
て 二でうのゐんのひんがしのたいに すま
せきこえ給ふ げんじの御哥に

  なつかしき 色ともなしに なにゝこの
  すゑつむ花を 袖にふれけん

又 花ちるきとの御かたへ さ月ばかりの比 わた
り給ふに さみだれの露ふかく よもぎ
むぐらしげく ふかきいゑあり これなん ひた
ちの宮 と 御ともの人申 まことにおぼし
めしいでゝ わけ入給ふに しきりに露し
げければ 御かさをさしかけて 御ともの人
のむまのむちして はらはせて いらせ給ふ
ときの御哥に

  たづねても 我こそとはめ みちもなく
  ふかきよもぎの もとのこゝろを

かく みめわろく はなながく はなのさきあかく 
べにをつけたるやうに かたはに侍れ
ども げんじあはれひ給ふ そうじて おとこ
は さしておもはねども とにかくに そひ
侍るを おとこ ひとへにおもふとばかり こゝ
ろえて こは/\しくあるまじきことに
こそ 有哥に

  三輪の山 いかにまちみん としふとも
  たづぬる人も あらじとおもへば

こきんしうの哥にいはく

  我いほは 三輪の山もと こひしくは
  とふらひきませ すぎたてるかど

これを本哥にてよめるなり おほよそ みはの
山をたづね 又 しるしのすぎを よむこと
は 此哥よりおこれり そのこんげんは あ
る書にいはく 
むかし 伊せの国あふぎのこほりに 侍りけ
る人 ふかき山にいたりて しゝをまちける
ほどに 風ふき 雨ふり けしきたゞならず
して くるものあり すがたあかくしてたけ
たかし まなこは てれるほしのごとくにて 
いなづまのひかりににたり れつし(れうし?)これを
いあてつ ちのあとをもとめて たづねいたる 
はるかなる山中に すこしはなれて 野
中につかあり その中にいれり そのつ
かのまへに 神女ありて 此れうしをまね
く すなはち ゆみにやをはげて すゝみよる 
神女 をそるゝけしきなくて いふは なんぢ
がいたりつるものは 此つかにすむおになり
此おにゝとられて とし比 此つかにすめり 
なんぢ 此おにをころすべし といへり しば
をかりて そのつかのくちに入て 火をつけ 
やきころしつ そのゝち 此神女をぐして いゑ
にかへりて また あひすむこと 三とせになるに
れうし とみさかへぬ かくて ちごふたりむまし
めたり そのとき 此おに あからさまにありけり 
そのあひだに この女うせぬ かへりきたりて見
るに 女はなくてちごふたりあり なきかな
しみ たづねゆけども ゆくかたをしらず
しばらくありて 此ちご 又うせぬ いよ/\か
なしむに 此女のつねにゐたりける所を
みるに みはの山もと すぎたてるかどゝかき
つけたり これによて やまとの国にたづ
ねいたりて みはの大明神のやしろにまいり
て 此女にあふべきよしを いのり申ほどに 
そのやしろの御戸ををしひらいて 見え
給ふ ちごも おなじく見ゆ 此おとこ 物のせつ
なることを見て それにちかひて 神にな
れりとみえたり これによて その神のま
つりをば 伊せの国あふぎのこほりの人 をこ
なふなり それより しるしのすぎ(と?)はいふな
るべし ことわざにいはく おにゝ神をとら
るゝとはこれなり 有哥にいはく
ごせんしうに

  あけてだに なにゝかはせん 水の江の
  うらしまが子を おもひやりつゝ

これは ゆうりやくてんわう廿三ねんのとき 
たんごの国よさのこほりに みづの江の うら
しまの子といふもの かめをつりてげるが 女
になりにけり それを つまにして ほう
らいにいたりけるに 故郷のことをこひて 
かへらん といひければ ふうしたる はこをいだ
きもたせ ゆめ/\あくな といひて とらせたり
けるを ゆかしさにあけてみれば むらきき
の雲の立て 空にのぼりにけり これ と
しのよはひを こめたりければ おとこ おひ
かゞまりて くやしとおもへども かひなし これ
より あけてくやしきことによめる 
しゆんわてんわうの御とき てんちやう二ねんに
かへりきたれり そのあひだ 三百四十八ねんを
へたりといふなり かのうらしま 女のをしへ
のまゝならば じゆみやう ちやうきうに かくおひ
かゞまり侍りけるこそ あたらしく侍れ 
かゝるためし侍れば おとこは 女のいさめにも 
したがふべきことにこそ

参考1

こゝろにたるよし=心に足る由、心を満たす事情・わけ
人めをおもひ=人目をはばかること
そひ侍るよしをのみ申侍る=添い遂げることのみ語っていた
めづらしきわかき をうな=なかなか逢えない若い女性
まほし=・・したい
くねる=すねる、恨み言を言う、愚痴をこぼす
げんじ物がたりのしなさだめ=源氏物語の雨夜の品定め、帚木の巻で、長雨の一夜に
    光源氏を交えて頭中将などがめぐり会った女性たちの品定めをする
たうの中将 とうしきぷ うまのかみ=頭中将・藤式部丞・左馬頭
すゑつむ花=末摘花、常陸宮の姫君
はなながく さきあかく=鼻が長く鼻先が紅い・末摘花(紅花の古名)が紅い
なつかしき・・=親しみある色でもないのに、どうして末摘花に袖を触れたのだろうか
たづねても・・=みずから訪ねて行って問おう、深い蓬に埋もれていた貴女の深い心を
みめわろく=見目・眉目悪く、容貌が悪い
かたは=片端、釣り合いがとれていないこと、不体裁なこと
かたはに侍れども げんじあはれひ給ふ=欠点はあっても一途さで生涯光源氏と関り続けた女性
こは/\しくあるまじきこと=いかにも強情であるようなことがないように
三輪の山・・=三輪の山でどのようにして待とうか、何年経っても訪ねくる人などないと思うと
我いほは・・=私の庵は三輪の山もとにあります、
    恋しくば尋ねてきてください目印の杉(過ぎ)の傍らの門で待ってます
伊せの国あふぎのこほり・・=以下、伊勢の国あふぎの郡の祭りの縁起
みはの大明神=三輪の大明神・大神神社、三輪山が神体、大物主大神・大己貴神・少彦名神
しるしのすぎ=三輪の大神のあらわれた杉、神の坐す杉とされる
あけてだに・・=後撰和歌集 1104 中務 浦嶋子の伝説
ゆうりやくてんわう・廿三ねん=雄略天皇、479年
しゆんわてんわう・てんちやう二ねん=淳和天皇・天長二年、825年
ちやうきうに=長久に、ながくひさしいこと
あたらしく侍れ=可惜(あたら)しく侍れ、惜しい、もったいないことだ 

参考2

源氏物語、帚木・末摘花・蓬生などの巻参照のこと。
能・三輪、御伽草子・浦島太郎なども参照のこと。

後撰和歌集 1104 詞書
元長親王の住みはべりける時、手まさぐりに、何入れてはべりける箱にかありけん、下帯して結ひて、又来む時に開けむとて、物のかみにさし置きて、出ではべりにける後、常明親王に取り隠されて、月日久しくはべりて、ありし家に帰りて、この箱を元長親王の贈るとて
 
  開けてだに 何にかは見む 水の江の 浦島の子を 思ひやりつつ    中務


末摘花が変わらず待ち続けていたことを知って、
心打たれた源氏は、姫の元を訪れる。
う〜ん、不器用な人の一途さは魅力です。
心ですよ。心♡♥
¥¤¥᡼¥¸ 6軽鴨の介_______________φ(.. )

女郎花物語 下-3段

女郎花物語 仮名草子 内閣文庫本(古典文庫)

女郎花物語(をみなへし ものがたり) 下

3段(薄情な男に捨てられた女の事)

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京よりぐして侍りける女を つくしにくだり    
てのち こと女におもひつきて おもひいでず
なり侍りにけり 女 たよりなくて京に
のぼるべきすゑ(べ)もなく侍りけるほどに わづ
らふことありて しなんとし侍りけるをり 
おとこのもとに つかはしける
ごしういしうに   よみ人しらず

  とへかしな いくよもあか(ら)じ 露の身を
  しばしもことの 葉にやかゝると

ある人いはく このをうな つねひらちくぜん
のかみにてくだりける人の めになんありけ
る かくて 女なくなりにければ つねひら
のちにきゝつけて 物うかりけるものゝ
ふの心かな とて をひうしなひ侍りけ
るとなん

参考1

ぐして=具して、つれて行く、従えて行く
つくし=筑紫、九州の古称、筑前・筑後二国、豊国・肥国を含めた九州の北半分
こと女=異なる女
おもひいでず=思い出でず、京より連れてきた女を思い出さなかった
のぼるべきすべもなく=京へ上るべき術も無く
わづらふことありて しなんとし侍りけるをり=病気になって死にそうになった折
つねひらちくぜんのかみ=経衡筑前守、藤原経衡
めになんありける=女・妻であった
物うかりけるものゝふの心かな=物憂い(見苦しい)物部・武士の心かな、
    朝廷に仕えた文武の官人を物部(ものゝふ)と云う

参考2

この話は、藤原経衡が筑前守として京から九州へ下った時、供をした物部の妻の話です。
後拾遺和歌集 1006 病 に、ほぼ同文が有るのでそこから引用したもの。
馴れない異郷の地で、男に捨てられ寂しく死んでいった女。そのことを聞いた主君・経衡は、冷淡な男を追放しました。


糟糠の妻は、仕方ないから大事にしないとね。  
あー、あれからン十年(綾小路 きみまろ風に)、 
「豊かな教養、溢れる美貌にこぼれる脂肪」の妻。

    http://www.alrincon.com/foro/images/smiles/0516.gif             軽鴨の介__________φ(.. )


女郎花物語 下-2段

女郎花物語 仮名草子 内閣文庫本(古典文庫)

女郎花物語(をみなへし ものがたり) 下

2段(しやうやうじんの事)
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文集にいはく △蕭々暗雨打窓声
といふことをだいにて よめる哥に
ごしういしうに    大弐三位高遠

  こひしくは 夢にも人を みるべきに
  まどうつ雨に めをさましつゝ

これは しやうやうじんのことなり げんそうと申
けるみかどのきさきひめ 上やう人 
やうきひにそばめられて、六十までみかど
に見えたてまつらで 一しやうむなしきと
こにむかひて夜をあかし 日をくらしわび
て はるあきのすぐるをもしらず みかど やう
きひをあひして 世のまつりごとをしたま
はざりければ 天下うれへうごきて やうきひ
をがいしてけり みかどなげきにしづみ
給ひて 月日をくらせたまふ はうじと
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いふ人 ほうらいきうにいたりて やうきひに
たづねあひて みかどの御なげきをかたり
やうきひの申ことを そうしたることあり
しういしうにいはく

  おきつしま 雲ゐのきしを ゆきかへり
  ふみかよはさん まぼろしもがな

此哥は かのことをよめり まぼろしとは はうじ
がことなり かくみかどのきさきをだにも 臣う
れへうごきて がいしたてまつることなれば まつ
せにをゐては なを かやうのこと侍るべし ひ
とへに おとこのこゝろにばかりしたがひて
めしつかうものを おろかにすまじきことなり
君はふね 臣は水といふことの侍れば たかき
も いやしきも、つかうものなくては かなはぬな
り いかに ふねありても 水なくしては はる     
かなるかいしやうなど やす/\とわたる舟  
の とくあるべからず 臣をば たいせつに思ひ                方士、東方朔
たみ百しやうをば あはれむべきなり えんぎ
の御代には よの中あしく、たみうれへ ある
ときは みつき物をゆるし侍りて たみの
さかゆくをよろこばせ給ふときの 御せいに
こきんしうに

  たかきやに のほりてみれば けふりたつ
  たみのかまどは にぎはひにけり

かくあそばし侍る御せいも ありがたくこそ
あるひは たみの夜さむならんことをおぼし
めしやりて さむき夜に 御衣をぬか
せ給ひける となん申つたへ侍る ちか比のこと
にや 此心を御せいに

  我袖に おもひしれとや こほるらん
  たみの夜さむの ありあけの月

かゝるためしの侍れば たかきも いやしきも
ほど/\にしたがひて、しよりやうの ひやく
しやうをば あはれむべきことにこそ侍れ
たうじは いかなるをんごくまでも しよほん
しよさいこくさいしやうして 見いだし きゝい
だし くまなく ねんぐをおさめ侍り ぜん/\
のごとくにだにも ねんく侍らば さのみ
百しやうをば わびしみまじきことにこそ 又
だうじやのきしんをおとし あたりの所領
いげ、ゆめ/\わうりやうすべからず むかし
そわう 国をうばばんとす そのとき そん
せうけう これをいさめていはく そのゝにれ
の木の上に せみ露をのまんとすること
あり うしろに たうらうのをかさんとすること
をしらず いもじり 又うしろに すゞめのをかさん
とすることをしらず すゞめ 又いもじりをのみ
まもりて にれの木の下にゆみを引て
わらはべの をかさんとすることをしらず わら
はべ 又すゞめをまもりて まへにふかきたに
うしろにほりのあるをしらずして 身をあや
まてり これ、みな前利をおもひて のちの
がいをかへりみぬゆへなり と申せり。わう此とき
さとりをひらきて 国をうばばんといふこと
とゞまり給ふ かゝるためし侍れば ほんごく
ほんりやうだにも さういなくは わりなきこゝろ
をば もつまじきことなり かの上やうじん ほん
のきさきにて侍れども やうきひにそばめら
れて 六十までみかどに見えたてまつらで
一しやうむなしきとこに侍り かゝるためし
も侍れば ねたきことありとも たえ忍ぶべ
きなり やうきひ 又 あまりにおもふまゝに
ふるまひ侍れば 臣うれへおこりて がいし
侍り 玄宗 陽(ママ)貴妃にめでゝ 国のまつり
ごとをしたまはざるによて さいあひの
きさきにはなれ侍り よきほどに 身を
もつべきことにこそ ある哥に

  さむしろに 衣かたしき こよひもや
  我をまつらん うぢのはし姫

宇治のはしひめとは 大明神とて うぢの
はしのもとにおはします神なり その神の
御かたへ うぢのはしのきたにおはする離宮
と申神 夜ごとにかよか給ふとてあかつ
き をびたゝしく なみのをとのする となん
かのきしへに侍る どみんら申侍りし
又 はし姫の物がたりにいはく
むかし つま二人もちたりけるおとこの ほんの
つまつはりをして 七いそのめをねがひける
ほどに たづねにうみへゆきて りうわう
にとられてうせにけるを ほんのつまた
づねゆきけるほどに はまべなるいほり
にやどりけり をのづから 此おとにあひ
にけり 此うたをうたひて かいへんよりきたれ
るなり さて ことのやうをいひて あけければ
うせぬ 此つま なく/\かへりにけり いまの
つま 此ことをきゝて はじめのごとくゆきて
此おとこをまつに 又 此哥をうたひて き
たりければ 我をばおもひいたさずして もと
のつまをこふるにこそ と ねたくおもひて
おとこにとりかゝりければ おとこも いゑも
ゆきなどのきゆるごとくに うせにけり
此物がたりにも ほんの女をたいせつにする
と見えたり いまのつま 此世になきおとこ
にあひてだにも ねたき心をもつにこそ
おそろしく侍れ ほんのめも あまりなる
ことを つはりにいひて おとこをうしなひ
侍る よきほどに おとこにも あまへ侍る
べきことにこそ

参考1

文集=白氏文集
蕭々暗雨打窓声=蕭々たる暗雨窓を打つ声、
    玄宗皇帝の寵愛を受けぬまま独り寝の老いてゆく宮女の嘆き
ごしういしう=後拾遺和歌集、1015
大弐三位高遠=藤原高遠、平安時代中期の歌人、正三位・大宰大弐。中古三十六歌仙の一人
しやうやうじん・上やう人=上陽人・じょうようじん、上陽宮にいた宮女。
    楊貴妃が玄宗皇帝の寵愛を一身に集めたため、他の宮女が不遇な一生を送ったところから、
    女性、特に宮女の不遇をたとえる語として用いられる。
げんそう=唐・玄宗皇帝
やうきひ=楊貴妃
そばめられて=側められて、脇にやられて
天下うれへうごきて=安史の乱、安禄山の反乱
やうきひをがいしてけり=楊貴妃を害してけり、馬嵬にて楊貴妃は殺された
はうじ= 方士、方術を行う者、道士、東方朔のこと
ほうらいきう=蓬莱宮、不老不死の仙人が住む蓬莱山・蓬莱島の宮殿
そうしたる=奏したる、天子に申し上げること
君はふね 臣は水=君は船なり臣は水なり、水能く船を浮かべまた能く船を覆す、荀子
かいしやう=海嘯
えんぎの御代=延喜の御代、この時代は醍醐天皇
御せい=御製・ぎょせい、天皇が手ずから書いたり作ったりした文・和歌・絵画などをいう
たかきやに・・=高き屋にのぼりて見れば煙立つ民のかまどはにぎはひにけり 新古707仁徳天皇
しよりやう=所領、領有すること、その土地
しよほんしよさいこくさいしやうして=しよほん・しよさい・こくさい生じて????
わびしみまじきこと=気落ちして切なくさせないこと
だうじやのきしん=堂社の寄進、神仏をまつる堂や社の寄付
いげ=以下・已下、それより下、いか
わうりやう=横領
そわう=楚王
そんせうけう=孫叔敖
たうらう=蟷螂、カマキリ
いもじり=カマキリの別名
まもりて=目を離さないでじっと見る、見守る
わりなきこゝろ=理無き心、道理に合わない心
衣かたしき=共寝は二人の衣を重ねて敷が、片方だけ敷いているのは独り寝
うぢのはし姫=宇治の橋姫、宇治橋を守る神で、住吉大明神が夜ごと通ったという伝説がある
つはり=新しい命のきざしが動き出す、つわり
七いそのめ=七つ磯の海布(め)
りうわう=龍王

参考2

色々話が集まって、話が散漫になっているようですね。
楊貴妃の登場によって、「六宮の粉黛は顔色無きが如也」で六十歳になるまで、玄宗皇帝にまみえることなく、一生虚しく夜を過ごす女性達も哀れです。
亡き楊貴妃と東方朔の話は、能「東方朔」に詳しく有ります。
後半のほんの女の話、貴船の神に祈り鬼に変身した能「鉄輪」の女とは、随分話が違います。


この話の資料に、「片仮名本・十訓鈔」(古典文庫上・下)を買った。
随分と値をふっかけやがった。ネットで値段調べて行ったのに倍の値段。
足元見たようだ。少し頭に来た。
\?\᡼\? 52軽鴨の介______φ(.. )

追加:楊貴妃役は殷桃(イン・タオ)「蒼穹の昴」にも出ていました。たまらん♡♥



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