伊勢物語と仁勢物語

パロディーと諧謔の、仮名草子。

女郎花物語

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女郎花物語 下-1段

女郎花物語 仮名草子 内閣文庫本(古典文庫)

女郎花物語(をみなへし ものがたり) 下

1段(業平と堪え忍ぶ女の事)

むかし やまとの國なりける人のむすめの
業平の中じやうにすみわたり 此女おや
もなくなりて、いゑもわろくなりゆくほ
とに なりひら 河内のくにゝ人をあひしり
てかよひつゝ かれやうにのみなりゆき
けり さりけれども つらげなるけしきも
見えで 河内へゆくごとに おとこのこゝろ
のごとくにしつゝやりければ あやしと
おもひて 河内へゆくさまにて せんざいの
くさの中にかくれ見侍りければ 夜ふくる
まゝに ことをかきならしつゝ
こきんしう    ありつねむすめ

イメージ 1
  風ふけば おきつしら波 たつ田山
  夜半にや君が ひとりゆくらん

とながめければ これをきゝて いとあはれ
なり と おもひて それより外へもまからず
なりにけり となん いひつたへけり おきつ
しらなみたつ田山とは ぬす人を白波と
いへるは しらなみのたつ田山といひつゞく
るは ぬすびとのたつおそろしき山を 君
がゆくを かなしむこゝろなり かのなりひらと
申は・てんちやう二ねん三月廿一日にたん
じやうして しゆんわ にんみやう もんどく
せいわ やうぜい 此五だいのてうに
つかへて侍る人なり かんれいせうのまめお
とこのなをえて 一しやうかいのうちに ち
ぎりをむすぷ人のかず 三ぜん七百卅三人
なり かくのごとく あまたの をうなにあひ
侍る人なれども ねたきこゝろをたえ
忍び おとこを一大事におもひいりたる
女におもひつきて 外こゝろうせ侍り 女人
をば ほとけも ないしんをば 夜しやのご
とく と とき給ひけれとも いかでか ねたき
こゝろのなくしてもあらん なれども たえ
忍ぶこゝろ まことにいみしく やさしく
こそおぼえ侍れ をうなは かくあらまほ
しきことにこそ かの なりひらの中じやう
のいゑは 三でうの ばうもんよりはみなみ た
かくらおもてにちかくまで侍りき はし
らなども つねのにもにず ちまきはしら
といふものにて侍りけるを いつのころの人
のしわざにか のちにれいのはしらの
やうにつくりなして侍りし なげしも
みな もろにかどもなく ことにふるき代の
所と見え侍りき 中ごろ、せいめいがふう
じたるとて 火にもやけずして 久しく
ありけり 世のすゑには かひなくなりて 一と
せにやけり

参考1

あひしり=互いに親密な関係になる
かれやうに=離れように、男女の間が疎遠になる
せんざい=前栽、庭に植えた草木、庭の植え込み
てんちやう二ねん=天長2年(825年)
しゆんわ にんみやう もんどく せいわ やうぜい
=淳和天皇・仁明天皇・文徳天皇・清和天皇・陽成天皇
三ぜん七百卅三人=知顕集より、女郎花物語 上-30段脚注参照
女人をば ほとけも ないしんをば 夜しやのごとく
  =外面如菩薩内心如夜叉、女性の顔はいかにもやさしく菩薩のように見えるが、
    心の中は悪魔のように恐ろしいところがあるということ。華厳経
三でうの ばうもん=平安京の三条の坊門
ちまきはしら=粽柱、丸柱の上下あるいは上を細くしたもの
なげし=長押、柱と柱の間をつなぐ横材
せいめいがふうじたる=安倍晴明が封じた

参考2

女郎花物語1段の後半部分は、鴨長明「無名抄」からの引用です。(鎌倉時代の歌論書)

イメージ 2

業平家
又、業平中将の家は、三条の坊門より南たか
くらより西に高倉面にちかくまで侍き。はし
らなどもつねにもにず、ちまきはしらといふ物にて
侍けるを、いつころの人のしわざにか、後にれいのは
しらのやうに、けづりなしてなん侍りし。なげしも
みな、まろにかどもなく、つひなりてまことに、こだいの
所とみえ侍き。中比はれあき(晴明)がふ(う)じたりけるとて
火にも、やけずして、そのひさしさありけれど、世の
すゑに、はかふなくてひとゝせの火にやけにき。

現代は、仕事環境が悪くなり、女性も強くなりました。
男は仕事・家庭で、堪え忍ぶ時代です。

http://www.alrincon.com/foro/images/smiles/101.gif 軽鴨の介_________________ φ(.. )   

女郎花物語 上-30段

女郎花物語 仮名草子 内閣文庫本(古典文庫)

女郎花物語(をみなへし ものがたり) 上

30段(貧しき中での妻の心得の事、並に 業平3733人の事)

ちか比のことにや つくしのたんだいもちたる
イメージ 2
人 ほんりやうにもはなれ まどしくなりて 
さいしを過しかねて たんたいもちたるとき 
ちかづきたる人を たのみて つくしへくだり
侍る 京にのこし をきけるつま まどしさ
ことのほかに侍れども かしこき人にて とに
かくに 子供をそだてつゝ いかなるたより
にも おとこの をとづれを きかまほしく
思はれけるに おりふし つくしより ふみを
をこせたりければ よろこびて 此ふみを見侍
ければ ざい京のかんにん おもひやられ侍る
よし申て さいふあまたきぬ いろ/\の物
を おびたゝしく のぼせ侍るよし ふみに
かゝれたり うれしさかぎりなくて よく/\
見侍れば おくに あらばかくこそ やらまほ
しけれ と たはふれごとをかき侍る 女この
ふみを かほにをしあてゝ 涙をながし あら
いたはしや さこそ此 いろ/\のぼせたく侍ら
め 我身だにも 人をたのみてくだり侍れば 
いさゝか 物をのぼせ侍らぬも うらみとはおもは
ぬ とて 文の返しのおくに

  こゝろざし あるかたよりの いつはりは
  よのまことより うれしかりけり

とよみて とにかくに 子供をもそだて侍る 
こゝろやすく おもひ侍るべきよし なだらか
にかきて 返事をつかはしけるになん 
いかに たうせいの人ならば うらみのかず/\
かきつくし けつくのぼせぬ物を のぼせ侍る
よし申をこし侍るとて はらをたつべきに 
かのにようばうのこゝろ ありがたくこそ侍れ 
おとこにもすてられ かくあさましき ざい
京のていにてだにも 子共をすぐすならひ
なれば しよりやう共さういなく なをざりに
よの中もあらん人は いかにも かんにんすべき
ことにこそ たゞし おとこ とうかんなく よの中
にぬほどなれども 子のひとりもなく あるひ
は 子どもあれども 女子ばかりにていゑをつ
ぐべきはらなどもなからん人は さきの世の
むくゐのほどの あさましき身のほどの
うらみもありぬべし をのこゞあまたもち 
ねたきこともなく侍らん人は なにのうら
みかあるべき 一すぢにおとこをたいせつに
ありがたくおもひて おとこの をんをわする
イメージ 1
まじきなり されば 伊せ物がたりに 業平
ちぎりをむすぶ人のかず 三ぜん七百三十
三人侍る中に べつして十二人をかきあ
らはし侍るに 紀のありつねがむすめを 
だい一とかき侍る ありつねのむすめは 中な
ごん なとらの一なん わづかにあふみの権大掾た
りしものなれども 二でう 五でう両きさき 
そめ殿 さいくうなどよりも ききにだい一と
さだめたるゆへは かのありつねむすめ こゝろ
つきくさにして あたをなすときもありし
かと 女そむくれいなければ 廿よねんかれ
はてざりし女なり よつて 此中にもらさじ 
とかけり かく侍れば おとこのをんをしるべき
なり されば かのおとこ つくしよりのぼり 
ほんりやうども なをりて とみ さかへ侍るとなん 
有人のいはく 女哥なりといふ心は 上一人より
下ばんみんにいたるまで をつとのこゝろと ひ
としきがゆへなり そのこゝろ もしそむく
ときは いゑほろびぬといへり しからば ふさ
いの中は あしきことをば ともにいさめ よ
きことをば たがひにすゝめて 此世には 
いゑを おさむる とくを みだらず のちの世に
は 道をすゝむる ぜんちしきとなるべし

女郎花物語上 終

参考1

つくしのたんだい=筑紫の探題、地方長官
ほんりやう=本領、もともと所有した領地
まどしく=貧しく
過しかねて=過ぐしかねて、養っていけなくて
ざい京のかんにん=在京の堪忍、我慢、不利な立場や困難な状況を堪え忍ぶこと
さいふあまたきぬ=財賦数多来ぬ、財貨がたくさん来た
のぼせ侍る=都へ送り届ける
あらばかくこそ やらまほしけれ=あったならそうしただろうに
たはふれごとをかき侍る=冗談を書いて送った
けつく=結句、挙げ句の果て、とどのつまり
おとこ とうかんなく=男、等閑なく、男がいい加減でなければ
をのこゞあまたもち=男の子達を沢山持ち
ねたきこと=憎たらしいこと
伊せ物がたりに 業平ちぎりをむすぶ人のかず 三ぜん七百三十三人侍る=参考2へ
紀のありつねがむすめ=紀有常の娘
なとら=紀名虎
あふみの権大掾=近江の国司、掾の定める正官以外の仮(権)任官
二でう 五でう両きさき=二条の后(藤原高子)、五条の后(藤原順子)
そめ殿 さいくう=染殿・染殿后(藤原明子)、斎宮(惟喬親王の妹)
こゝろつきくさ=心付きくさ、心付きのたぐい
あたをなすとき=仇・徒をなす、害をなす時
ほんりやうども なをりて=本領安堵した
上一人より下ばんみんにいたるまで=帝から庶民まで
いゑほろびぬ=家が立ちゆかなくなり崩壊する
とくを みだらず=徳を紊さず??
ぜんちしき=善知識・善智識、人々を仏の道へ誘い導く人、良き友人

参考2

三条西本 和歌知顕集(知顕集は、鎌倉時代の伊勢物語の注釈書・古注)

、  抑この物がたりをそこばくのたいじしてかきあつめたることは、
なにの所詮かあるおぼつかなし。

この人は極楽世界の謌舞の菩薩馬頭観音と申菩薩なり。今世中の衆生のありさまを御らんずるに、
いざなぎいざなみのみことあまのうきはしのしたにて、女神男神となり始しよりこのかた、いきとしいけるものいづれか男女のなからひをはなれたりける。しかあれば人の心花になりもみぢになりて、いろにふけりにほひにめづといへども、みちのひろくわかれ、とをくへだゝれるほどをしらすることをかなしみて、たはれをとあらはれて、まづ我心をやわらげて、人の心をなぐさむる術をもて、得脱の縁をむすばしめんと、人と世にむまれて平野宮にこもり、ちくまのまつりにあひ、武内の仙宮より三巻をつたへて、人の心をなやましてかへてその心をなぐさむること、凡三千七百三十三人なり。さればかくのごとくのふるまひをかきとゞめて、すゑのよのいろこのみの心をすゝましめんがために、みづからありしことをかきあつめたる物語也。

それにしても、業平は3733人と・・・。毎日でも10年以上かかる。
アハハハッ、まさに馬頭観音。馬並みだ!
」は、「問ふ・答ふ」「Q & A」の雅びな言い方。
「人の心、花になり、もみぢになりて」とても素晴らしい言い方ですね。


追加
イメージ 3
奈良絵本「磯崎」 (奈良漬さんから教えていただきました。)
  「・・・・・・・・・・ありはらのなり
   ひらは三千七百卅四人とかや・・・」
しかも、一人増えてる(笑)。

糟糠の妻、過去の言葉なのか?   
http://www.alrincon.com/foro/images/smiles/0405.gif今は、金の切れ目は、縁の切れ目。 

現代版女郎花物語の登場が待たれる。
__________φ(.. ) 軽鴨の介

山の神に、「何言ってんのよ! この宿六!」と、言われてます。


女郎花物語 上-29段

女郎花物語 仮名草子 内閣文庫本(古典文庫)

女郎花物語(をみなへし ものがたり) 上

29段(男に近づけまじきの事)
イメージ 1

よしたゞのあそん つまのめいなりける女に
すみうつりけるをきゝて つかはしける
ごしういに    赤染のゑもん

  まことにや おばすて山の 月はみる 
  よもさらしなと おもふあたりを

むかしだにも おとこのこゝろは さだめなきも
のにて かく侍れば すゑの世には なをかゝ
ること侍るべし おとゝひ めい おばなどなり
とも こゝろををきて 我おとこにちかづけ
まじきことにこそ おとこ ねたきことを
よそにて しいだしたらんは ちからなきことな
れば たえ忍ぶべきなり こゝろから、めのまへに
わかきものどもあつめをきて ねたきこと
いできては くやしく侍りなん いろには
いださで よきやうにはからふべきことに
こそ侍れ

参考1

よしたゞのあそん=藤原義忠朝臣
おばすて山=姨捨山、信濃国姨捨山の棚田に映る月は有名
さらしな=更科・更級、姨捨山の歌枕
おとゝひ=兄弟・姉妹
ねたきこと=忌々しいこと
しいだしたらんは=為出したらんは、作り出しては
いろにはいださで=顔色・表情に出さないで。

参考2

後拾遺和歌抄 第十八 雑四 
義忠朝臣、ものいひける女のめゐなる女に、又、すみうつり侍けるをききてつかはしける
              赤染衛門 
   まことにや おばすて山の 月はみる よもさらしなと 思わたりを   1091

イメージ 2



どんなコトしても、男は近づいて来ます。    
そんなコトしても、悪い虫は入り込みますよ〜〜。

  軽鴨の介_____________φ(.. )

光源氏の垣間見(のぞき?とも)

女郎花物語 上-28段

女郎花物語 仮名草子 内閣文庫本(古典文庫)

女郎花物語(をみなへし ものがたり) 上

28段(武士の妻の心得の事)
イメージ 1

あるおとこ 心かはりて まうでこずなりて後
をきたりけるゑぶくろを とりにをこせたり
ければ かきつけてつかはしける
きんえうしうに    さくら井のあま

  のきばうつ まじろのたかの ゑふくろに
  をきゑもさゝで かへしつるかな

女の身にて たかのみちをこゝろえて 哥に
よむこと ふしぎなることにて侍る。たゞし(じ)
たかは てんぢくまかだこくより 長水仙人
といふ人 つかひはじめ侍る まい日とりを
とること十五 廿なり かくて ちやうすいせん人
三百ねんをへてうせにけり そのゝち 長
水がつまのゆめに 一人の天女きたりて い
はく たかに おほくのやまひあり なんぢに
にしきのふくろをあたふ これくすりの書
なり めいわうのとき これをそうして ほう
ろくに あづかるべし とて 天女はさりぬ 此よし
こくわうきこしめして ちやうすいがつまをめ
して くすりをならひえ給ひて ろくをたまは
ること かずをしらず 又 我てうには にんとく天
わうの御宇に かうらいこくより たかをもち
て わたりける人 弧竹(こちく)といふ女にちぎりて あ
ひすむこと三がねん のちに 故郷へかへるとき
わかれを おしみて たかのひじゆつを こちくに
つたふる これ ほんてうのたかのはじめなり
いてう ほんてうともに をうなをもて たかの
師匠とす かくあるときは さくら井のあま
たかのみちをこゝろえて よみ侍るもことはり
にや そうじて ものゝふのつまは きうば
ものゝぐ なにごとにつけても こゝろえべき
ことなり しぜん きやく人にひきで物など
の かねて よういのことは やすく侍れども に
はかなる きやくじんに たうざにをひて
なにゝても 女中のはからひとして ひきで物を
とて おとこ きやくじんに たいがうして ざし
きより申ことあり めしつかうものなど 物
に こゝろえたるものを もち侍らで たらはん
かはりの ゐなかさふらひの なにをもわきまへぬ
やうなるものには ひろふたなどに すえやう
をきやう 物/\に かはり侍るをも 女中
より をしへ申つけらるべきことにこそ ま
づ小袖を引こと 一かさね 二かさね 三かさね
まては たゞもちて引なり 五かさねになれば
かならず ひろふたにをくなり 三かさねも あ
つわたならば もちにくきは ひろふたに をき
て きやくじんのひだりのかたに すぢかへて
をくなり とりて引かゝるやうに をくなり
又 小袖を だんしにをきて引こと だんし
一そくがうへに 四におりて よこに打かけ
てをくなり ほそものをすえて むけてをく
なり 四つにおるといふは ふたつにおりたるを
中よりおれば 四つになるなり 中へ
おりこめてをくなり あふぎのうへに こそで
をゝきても 此ぶんなり 又 こがねを引こと うす
えうにつゝむべし うすえうは じせつに
したがひて はるなつあき冬 四きのいろに
よりて つゝむべし たかだんしに つゝむこと
もあり ときによるべし かならず こがねの
うちしきは やないはこに をきてもまいる
なり ぢさんするも かへるも 別のことなし 又 け
かはを 引こと けをうへになして りやうはう
のはしをおりて 三におる しかのかはのとき
は しろけをうへになす くまのかはのとき
は おもかはを うへになして引なり あるひは
しりがい くら などのやうなる物をもをきて
引べきなり 羽ををきても くきをそんしや
のかたへむけて つばさきを外へむけて をく
なり 羽をば くきをそんしやのひだりへ なす
やうにをくなり 又 ねんしのせうふなどの
ひきで物に さふ物のときは ぜんごさゆう
のしだいもいふべからず 又 むかばきを引
こと これ又 いろ/\のやうあり きりてむす
びつけたるは むかばきのひだりのかはを
おもてにあてゝ みぎのかはをば下にして 引
そろへて 中をおりて くつをそへてもつなり
くでんあるべし きらざるあらかはを 引ときは
二まいのかはの りやうのはしをおりて これも
ひだりをうへになして 中をおりて引なり
くつわをそへることもあり 又 そへぬこともあり
ときにしたがふべきなり さゆうの手にもち
て ねりよりて、きやくじんのまへに ひざをつき
てをくも ひだりのかはをうへにして けさき
を 我かたへ むけて きやくじんのまへに ひだり
のひざをつゐて をくなり ひだりのかたへよせ
すこし すぢかへてをくなり これも かへるときの
てい まへにおなし くでんあるべし 又 ゆみを
引こと きやくじんのみぎに ゆみをかたく
《はづしゆみなり》 やをば ひだりに かたくなりといふは
ゆみをすこし下をとりて 上を かたに かたぐなり
やをば ゑびらを かゝへてもてば すなはち
やは かたにあたるなり さて きやくじんのまへ
にて ひざをつきて まづ ゆみをきやく人゛の
ひだりにたて やをば みぎにたつるなり
たゞし ざしきの ていにしたがひて ふるまふ
べし これも こと をはりてのち みぎのてを
つゐて よしをして ひたりへかへるなり 又 きや
くじんに むまをひきで物にすること あるひ
は くらを をいて 二人して引ことあり はだか
むまにて 二人して引こともあり はだか馬
にて二人して引は さらにもちいざることなし
くらををきても 二人して引ときは うはても
下ても たなはにて引なり たづなをばむすび
て かけても引なり よのつねきには かうがい
かけの もとにむすびて これを引なり かまくら
の しやうぐんけの ぐわんにち ぐわんざんの わう
ばんのときの 御むまは たづなをば 打かけ
て うはても 下ても たなはにて 引なり ふつう
のきには 一人して引ときは くらををいて
引ことあり はだかむまのこともおなし いづ
れも ひきでものゝ 御むまは 引てまいり候
御まへにて もろくちををして すこしをしし
さらかして うけとらするなり 一人引も 二人引も
もろくちを すこし をすばかりなり
又 よろひをしんずること よろひひつのふた
にをきて いはゐてかぶとまで やく人 二
人あるべし 此やく人は うはてしだいあること
なるあひだ あるひは おやこ 又きやうだい おぢ
をい あるひは 一ぞくの中にも さりぬべき おや
かたともちたるは うはてをとる その外の一ぞ
くをば したてにさぐるなり よろひもちて
いづるに まへはしたて うしろはうはてなり
かぶとのまへを やくしや二人が中へむけて
きやく人のまへにて にだりへすこしよせて
むかひあふやうにして すこし すぢかへてをく
なり これも又 ことをはりて かへるには よしをし
て ひだりへ かへるなり うしろに立たるうはて
まへにたつ したてがうしろにたちて かへる
なり はらまきを引こと たいりやく おなし
ものなり 一人してのやくなり かくふるき書
に しるしをき侍る たゞし いゑ/\の く
でん たうせいは なにごとも むかしに かはり
侍れども しるすなり かやうのことまで 女の
しるべき事にてはあらねども ぶしのつま
は なにゝても くらからず きうばものゝぐの
かたを こゝろえべきためなり あまりに しんこ
なく侍れば かつ/\ しるし侍るものなり

参考1

きんえうしう=金葉和歌集
えぶくろ=餌袋、 鷹狩りに際して携行する鷹のえさや獲物を収める竹かごなどの容器
をぎたりける=置いたままにしてある餌袋
まじろのたか=白鷹、白い鷹は特別に賞翫された、鷹の眉が白いからか?
をぎ餌もさゝで=置き餌もしないで、招餌に餌も入れないで、鷹を招き寄せる餌
返しつる哉=返すことになってしまいましたよ
女の身にて たかのみちをこゝろえて 哥によむ=女の身でありながら、鷹狩りの道を心得て哥を詠む
てんぢくまかだこく=天竺、摩伽陀国、インドの古名
長水仙人=鷹狩りの始祖の仙人
にんとく天わうの御宇に=日本書紀に仁徳天皇の時代には鷹狩が行われた記録がある
ひきで物=引出物、古くは馬を庭に引き出して贈ったことから招待客に贈る品物をいう、引き物
たいごう=対合、むかいあうこと、対面すること、対客
すえやう をきやう=据えよう、置きよう
引=引出物、引様??
だんし=檀紙、縮緬状のしわを有する高級和紙のこと、陸奥紙
こがね=いくらかのまとまった金銭
うすえう=薄様、薄手の鳥の子紙・雁皮紙
うちしき=打敷
やないはこ=柳筥、柳の細枝を編んだ箱、後世蓋の足を高くして台として用い、冠・経巻などをのせた
けかは=毛皮、鹿や熊の毛など
おもかは=表側
しりがい くら=鞦・鞍、馬具
ねんしのせうふ=年始のせうふ??
イメージ 2
むかばき=行縢、狩りなどの際に足をおおった布また革(写真)
ねりよりて=練り寄りて
はづしゆみ=弦を外した弓
かたく=担ぐ、肩にのせる、になう、かつぐ
くでん=口伝
よしをして=止しをして、やめること
たなは=手縄、 馬を引くためにつける縄、てなわ
よのつねき=世の常記??
もろくち=諸口、馬の口取り縄を左右両方からとること↔片口
よろひひつ=鎧櫃、鎧を入れておくふた付きの箱。具足櫃
はらまき=腹巻、鎧のひとつ、胴丸

参考2

金葉和歌集 卷第九 雜部上565
をとこ心かはりてまうで來ずなりにける後 をぎたりけるゑぶくろをとりにおこせたりければ かきつけて遣はしける     櫻井尼

  のきばうつ ま白の鷹の 餌袋に をぎ餌もさゝで 返しつる哉

軒端を打って高く飛び立った白い鷹の餌袋に、招き餌も入れないで返しました。もう、あなたは私の所には戻って来ないでしょう。


武家の仕来り・作法、大変そうですね。そうした作法は、小笠原流が有名ですね。鎌倉、室町からの礼法・弓術・馬術などを、今に伝えています。小笠原流の流鏑馬や百々手式、草鹿式などを見たことがあります。

http://trinixy.ru/engine/data/emoticons/mr47_04.gif   ・・・・疲れた・・・  軽鴨の介______φ(.. )




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