伊勢物語と仁勢物語

パロディーと諧謔の、仮名草子。

見ぬ世の友

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見ぬ世の友-女部下-14

見ぬ世の友 仮名草子 明暦版(古典文庫)  

見ぬ世の友 女部下

十四段 孟子(もうじ)の母 機(はた)を断(たつ) 列女傳

イメージ 1

孟子学文(がくもん)して古郷へ帰り給ふ時。母 学文の程を
問給ふに。孟子しか/\と こたへ給ふに。母のこゝろ
に いまだ。学文半途(はんと)なると おぼしめし 大きに
いかり給ひ。折ふし をりかけ給ひたる機(はたもの)の有ける
を。そのまゝ たちきり給ひ 仰けるは 汝 がくもん
を成就せずして。はやく古郷へ帰る事。ひとへに
わが機(はたもの)を たちきりたると同し道理なり この
機を一疋にもなさて。なかばより たちきりては 何
の用にもたらず。汝か学文を半途にしてやむも。
これにことならずとぞ。いさめ給ひける。孟子驚き
かなしみ給ひて。又みやこへのぼり 学文つとめ。つ
ゐに。道徳成就し給ひけるぞ ありかたき

イメージ 2
参考1

孟子=仁義王道による政治を説き、孔子の継承者。性善説・易姓革命説を唱えた。
学文(がくもん)=学問。勉強をすること。知識を得るために学ぶこと。
  中世・近世には「学文」とも書かれた。
半途=行く道の途中。行程のなかば。特に、学業・事業などのなかば。中途。
機(はたもの)=機で織った物。織物。

イメージ 3

参考2

孟母断機の教え・もうぼだんきのおしえ」のお話です。
孟子が学業半ばで帰ってきたとき、孟子の母は織っていた機の糸を断ち切って、学問を途中でやめることはこのようなものだと戒めたという故事。「断機の戒め」とも。


途中で止めたら、中途半端で使い物にならない。
たしかにyoshyは、中途半端で使い物にならない。
もっと勉強しておくんだった。

______   
\¤\᡼\¸ 3
軽鴨の介


見ぬ世の友-女部下-13

見ぬ世の友 仮名草子 明暦版(古典文庫)  

見ぬ世の友 女部下

十三段 三度(みたび)隣をうつす事 列女傳

イメージ 1

孟子(もうじ)の母。其家 墓所にちかゝりしゆへ。孟子の
いとけなき時。見るをみまねに 葬礼のまねを
のみ し給ひける 母これを見て わが子を おくべ
き所に あらすとて。そこをさりて 市のほとりに
家を しめられたり。孟子 又あけくれ商人の。うり
かいのまねばかりをし給ひけれは。母 又これをみて
此所も又。わが子を おくへき所ならすとて。其後
学校の近所に 家をもとめられけり。孟子こ
れより。小学 大学のみちに 入給ひて。つゐに大
賢のほまれを。あらはし給ふなり

参考1

列女傳=中国の前漢の劉向によって撰せられた、女性の史伝を集めた歴史書。
   女訓書としての性格が強い。
孟子(もうじ)=普通は、孟子の名前を「もうし」と読む。
   「もうじ」と読むときは書物の名前の時に云う。
墓所・市・学校=孟母三遷の話。学校は学問所
小学大学のみち=儒教の道。
   小学=儒教的な初等教科書
   大学=儒教の基本となる書。

参考2

「孟母三遷・もうぼさんせん」の話です。
少しでも環境の良いところで勉強させたい親心です。
しかしどんな環境でも、一番大切な環境は「家庭」です。
家族が愛と教養に満ちていれば、子に反映できるでしょう。
子供に要求するとき、親も向上心が大切です。
良き手本にならなくては、子供に期待するのは虫が良すぎます。
徳や品性、道徳、礼儀。まず親が備わっているように努力すべきです。
学校を卒業しても、学び続ける姿勢も大事ですね。

“Charity Begins At Home”と言う言葉が有ります。
「チャリティー ビギンズ アット ホーム」
「チャリティーは、家庭から始まる。」
ここでの「Charity・チャリティー」は、慈善ではなく、
博愛とか仁愛が相応しいかも知れません。
「αγάπη・アガペーの愛」です。
「無私の愛は、家庭から始まる。」

どうぞ、親は必死に環境としての家庭を守ってください。
それが子供を守ることです。
______  
\¤\᡼\¸ 3
 
軽鴨の介


見ぬ世の友-女部下-12

見ぬ世の友 仮名草子 明暦版(古典文庫)  

見ぬ世の友 女部下

十二段 梨 じゆくせずして 妻をさる事 事文類聚

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曾子 継母につかへて孝行。をこたり給はす。ある時
曾子の妻。梨をむして いまだ なまむしなるを
母に すゝめたり。曾子 大きに いかり給ひて 其まゝ
妻を さり給ひたり。ある人 曾子に。ふしんを かけ
けるは 妻を さるには 七出とて なゝいろ さるべき法
あり たゝ今 妻を さり給ふは 七出の内にも あら
ず いかにも かるき咎と きこへたり。いかゞと 申け

イメージ 2

れは 曾子 こたへ給ひけるは。なし じゆくせざる事
は かるき咎なれとも。わが よくむして すゝめよと
いひつけたる詞を。大事に をもはぬ こゝろねは
をもし。かゝる かりそめの事さへ もちひぬものは
むつかしき事は。なを/\ ならぬものとて。つゐに
さり給ひける

参考1

曾子=孔子および左丘明の弟子。とても母思いの人だった。
梨をむして=氷糖燉梨子という調理法か?参考2へ
妻を さり給ひたり=妻を離縁して、去られた。
七出=妻を離縁してよいとされた七つの理由。参考2へ

参考2
          イメージ 3 イメージ 4
氷糖燉梨子」という梨を蒸して食べる方法が有ります。
梨の上の部分を横に切り、中の種の所をくり抜きます。
くり抜いたら、梨の皮をむき、種の有った所に氷砂糖を詰めて、
上を切り落とした部分を蓋にして、蒸し器に入れて20〜30分蒸します。
ノドにやさしい「氷糖燉梨子」の出来上がりです。

七出・七去
妻を離縁してよいとされた七つの理由。父母に従順でないこと、淫乱なこと、嫉妬すること、悪病のあること、子のないこと、おしゃべりなこと、盗みをすること。儒教の経典や中国・日本の令で認められていた。七出(しちしゅつ)。

万葉の時代には、「七出」が日本にも知られていていました。
「七出」を犯していない妻を去って、
重婚の史生尾張少咋を諭す大伴家持の哥が残っています。
「古い奥さんを捨てて、新しい浮かれ妻(め)にうつつをぬかす姿は、みっともないよ!」って。

現代は、男が「七出・七去」で追い出される時代でもある。
用心しなければ・・・
それにしても万葉の時代は、夫婦仲が良い時代だったような。
平安時代になると、貴族は次から次へと、
チョウのように、花を追い求めたよ。

_____  
\¤\᡼\¸ 3
 
軽鴨の介

追伸:日本の梨は生食が美味い。
きっとこの話は、堅い物が食べられない、
お母さんの為の食べ物だったからです。



見ぬ世の友-女部下-11

見ぬ世の友 仮名草子 明暦版(古典文庫)  

見ぬ世の友 女部下

十一段 後の妻をめとらぬ事 事文類聚

イメージ 1

曾子。妻をさり給ひて後 としおひ給ふまて。妻を
よび給はす。曾子の子 曾元 しきりに めとり給へと
すゝめられければ。そこにて曾子 の給ひけるは。さ
ればとよ。夫婦は なくてかなはぬものなれども。すでに
前腹の子ありて。のちは妻なきが まさりたり。その
ゆへ いかにとなれは。高宗は後のつまの 讒言(ざんげん)にて
孝行なる子を ころし給ひ。尹吉甫(いんきつほ)は 後の妻
の讒言にて 伯奇(はくき)といふ子を うしなへり。この両
人は皆 われにまさりたる賢人なれとも。後の妻に
まどひて。かくのことき あやまちあり。いはんや 我
に をゐてをや とて。終(つゐ)に一生よび給はすとなん

参考
曾子=曾参、孔子の弟子。「孝経」は曾子の門人が孔子の言動をしるしたとされる。
曾子。妻をさり給ひて=曾子、妻を離縁して。
高宗=殷の高宗は讒言により、息子「孝己」を殺してしまった。
尹吉甫=詩経の作者と言われている。
伯奇・・うしなへり=尹吉甫に子の伯奇は、勘当された。

どうも儒者の堅物は、
七面倒くさいものです。
この後の12段も、
曾子の妻を離縁する話です。
まあ、日本の古典でも、
「継子イジメ」は、
テーマとして有るから、
仕方ないか??
_____ 
\¤\᡼\¸ 3
 
 
 
軽鴨の介


お口直しに、心優しい継母と慕う継子の話。

イメージ 2
 
たのめしを 猶や まつべき 霜
 かれし 梅をも春は わすれざりける

と いひやりたれば あはれなる ことゞ
も かきて

 猶たのめ 梅のたちえは ちぎりをかぬ
 おもひのほかの 人も とふなり

更級日記の一節です。
この本の以前の持ち主は、いっぱい勉強してますね。(笑)
ちなみに、この書は「藤原定家の書写」によるものです。

継母が「梅の木が盛りになったら会いに来ますよ」と、言ったのに、来なかったので、
更級日記の作者は、梅の枝に添えて「たのめしを 猶や まつべき・・・」と哥を贈り、
逢いたいと催促します。継母から、いろいろやさしい(あはれなる事ども)を書いて、
「もう少し待ちなさい。思いのほかの人が来るかも知れませんよ」と・・・。

更級日記、機会が有ったら読んでくださいね。



見ぬ世の友-女部下-10

見ぬ世の友 仮名草子 明暦版(古典文庫)  

見ぬ世の友 女部下

10段 姑 そのよめをとゞむる事 列女傳

イメージ 1

孟子(もうじ)すでにめとり給ひて後。をくへ入給ふに そのつ
ま。はだゑを少し あらはして居たれたり。孟子 是
を見給ひて それよりは後。二たひ をくへ入給はす。
妻 心ならすに おもひ。孟子の母に 此よしを かた
り いとまを こはれたり。母 孟子をよび の給ひける
は。それ礼の法に 堂にのほるとては。こわづくりし
て のほるは。これ人に心得させて。いましめんため
なり。又 戸をあけて はいる時は かならず。しもを見
て はいるものなり。これは人のあやまちを。みあら
はすまじきためなり。いま汝か方より まづ礼に
たかひてかへりて 妻をせむる事 ひか事なりと
いましめ給へは。孟子 理にふくして 妻を さり給
はす

参考1

列女傳=中国の前漢の劉向によって撰せられた、女性の史伝を集めた歴史書。
   女訓書としての性格が強い。
孟子=中国、戦国時代の思想家。仁義王道による政治を説く。
をく=奥、居間や寝室など。
はだゑ=肌・はだえ、少しくつろいだ格好をしていたんだね〜〜。
いとまを こはれたり=暇を求めた。離縁して実家に帰ると言い出した。
堂にのほる=古く接客や礼式などに用いた建物に登る。表御殿。表座敷。
こわづくり=声作り、せきばらい。
しもを見て=下を見て
礼にたかひてかへりて=(孟子が)礼に違えて、返って(妻を詰る)
ひか事=僻事・ひがごと、まちがっていること。

参考2 あらすじ

孟子さん、奥の部屋に入る時、ノックも咳払いもしないで、急に入ったら奥様は、アラレもない格好をしていたので、怒って「はしたない妻」の元へは行かなくなりました。奥様、義母に「実家に帰ります」と・・・。事情を聴いた母は、孟子を叱ります。
部屋に入る時は、咳払いやノックをしない貴男が悪いのに、妻を遠ざけるとは何事ですか!孟子、母の戒めを聞き入れ、元の鞘に戻りました。目出度し目出度し。

アラレもない格好の妻・・・
 新婚だったら怒るよりも、
もっとすることがあるだろうに??
孟子は唐変木(とうへんぼく)です。

_____
\¤\᡼\¸ 3
軽鴨の介



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