伊勢物語と仁勢物語

パロディーと諧謔の、仮名草子。

見ぬ世の友

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見ぬ世の友-女部上-15

見ぬ世の友 仮名草子 明暦版(古典文庫)  

見ぬ世の友 女部上

15段 冠の緒を。きる事 説苑

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楚の荘王もろ/\の。臣下ともに。酒を給ひ
たる時ともし火俄にきゑたり。ある人。そのま
ぎれに。王の御前につめられたる。美人の袖を
ひきたり。美人その人の。冠の緒を ひききり
王につげられけるは。たゝ今わが袖をひきたる
くせ物あり。すなはちわれそのものゝ。冠の緒を
引きりさふらひぬ。いそきともし火をめし。
そのものを見給へと申けるに。荘王きゝいれ給
はず。仰けるは今酒宴なかばの事なれば。これ
を。あらはさんは。興なき事なり。座中の人
/\いそぎ。ともし火の出ざる内に。こと/\く
みづから冠の緒をきるべし。さなからん
ものは。わが命に。そむくなりと仰けれは。おの
/\一度に。冠の緒をきりてそのゝち。ともし
火出たり。さて二年すぎてのち。楚の国に
合戦ありし時。一人荘王の。まつさきかけて
すゝみ出。五たび戦ひ。五たびながらたぐひなき
てがらをしけれ。(ママ)は王あやしみ給ひて。いかな
るものぞと。御たづねありしにこたへ申上け

イメージ 2

るは。われは。かの御酒宴の折ふし。美人に。かふ
りの緒を。きられしものにて侍へるなり
そのときの。かたしけなき。御さばき。きもに
めいじ。つね/\何事がな。御用にたち御恩を
報じ侍らんとねがひ君の御ために。いのちを
露ほども。おしみ侍らぬものなりとぞ。申上
ける

参考1

説苑=ぜいえん、漢代の説話集、前漢の劉向編、君道・臣術など20編からなり、
  それぞれ序説のあとに逸話を収録して儒教思想を説く。
楚の荘王=中国春秋時代の楚の第6代の王、「鳴かず飛ばず」や
  「鼎(かなえ)の軽重を問う」の語源になった王様
袖を引く=袖を引いて人を誘うこと
美人(中国の後宮女性位階)=四夫人(貴妃、淑妃、徳妃、賢妃)、
  九嬪(昭儀、昭容、昭媛、修儀、修容、修媛、充儀、充容、充媛)、
  二十七世婦(婕?康、美人、才人)、八十一御妻(宝林、御女、采女)を指す。

参考2

鳴かず飛ばず=本来の意味は、「将来大いに活躍しようとして、じっとその機会の来るのを待って、
愚かな振りをして周りの人物を評価しているさま」。

(かなえ)の軽重を問う=問鼎(もんてい)、荘王が覇者として不遜にも主君の周王室の鼎の寸法を尋ねた。王孫滿がそれに答えて、「周の王室が保たれているのは、その徳行の故であり、鼎があるからではありません。今、周の王室は、昔より衰えてはいますが、天命によって、まだ代わったわけではありません。鼎の軽重を問うのは不遜というものです」と言われ、荘王は返す言葉がなく兵を引いた。ここから、統治者を軽んじ、滅ぼして天下をとろうとすることを言う。また人の実力を問う事。

イメージ 3

現代では、「鳴かず飛ばず」は本来の意味ではなく、
パットしない、うだつの上がらない人を、
「鳴かず飛ばず」の人と言います。


「鳴かず飛ばず」の軽鴨の介、
ホントは・・・やっぱり、
愚か者のママでした。

______\¤\᡼\¸ 3軽鴨の介


見ぬ世の友-女部上-14

見ぬ世の友 仮名草子 明暦版(古典文庫)  

見ぬ世の友 女部上

14段 妻をたぶらかして酒をのむ事 晋書

イメージ 1

劉伯倫は。かくれなき上戸なり。ある時。妻に酒
をもとめければ。妻いかつてさけをすて。さか
づきをうちわり。なく/\いさめけるは 君さけ
を たのしむ事。度にすぎたり。人事のつと
め かくるのみならず。かつは命のさはりにも。なる
へし。今よりのちは ひらに。これをたち給へ
さなからんにおゐては。われもむねを。さため
申たると いひければ。劉伯倫いひけるは 尤(もつとも)その
ことはりは きゝわけ侍れとも われもとより
うまれつきたる事なれは みつからたしなみ
たる分にては。たつ事かなふべからず。とかく
神明に きせいをかけて やめはんべるべし。
さらば肉などの もり物を。こしらへ酒を。に
わに。そゝぎて神をまつるべし。いそぎ。とゝ
のへまいれと。いひけれは。妻うれしく。をもひ
酒さかなを。いろ/\と。とりそろへ そなへたれば
伯倫 衣紋。ひきつくろい。ひざまづきて。申け
るは。天 劉伯倫をうみ給ひ。しぜんに酒をもつて。
わか命とさためたまへり。これなくては。一刻も
我命あるべからずとて。かの そなへし。さかな

イメージ 2

くひ。一度に一石五斗をぞ。のみける

参考1

劉伯倫=りゅう はくりん、劉伶、竹林の七賢の一人、大酒飲み
上戸=じょうご、酒の好きな人、酒が好きでたくさん飲める人、酒飲み
人事=人のなしうること
これをたち給へ=これ(酒)を断ち給え
神明に きせいをかけて やめはんべるべし=神様に誓願して酒を止めてください!
衣紋=衣服、身なり
一石五斗=一升は1,800ml、その10倍が一斗、さらに一〇斗を一石という

参考2

酒飲みは、意地が汚い。妻を騙しても酒を飲む。
現代だったら即、離婚ですね。
酒は程々に嗜みましょう。


嘘をついて酒席には行っては成りませぬ。
まして、キレイなお姉さんが居るところに行った事は、
絶対に感づかれては成りませぬぞ!

______\¤\᡼\¸ 3軽鴨の介

久しぶりの古典です。
最近は、写真ばかりでした。


見ぬ世の友-女部上-13

見ぬ世の友 仮名草子 明暦版(古典文庫)  

見ぬ世の友 女部上

十三段 女を よる家へ。いれざる事 家語

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魯の国に。ひとりのおとこあり。いまだつまを
もたず。そのとなりに女あり。いまだ。おつとな
し。ある夜 にはかに。雨風。おびただしくて。を
んなの家。くづれ おるべき所なし。女せんかた
なくて。となりのおとこの家をたゝき。此よし
をつげ。一夜をあかさん事をもとむるに。おとこ
戸をつよく。とぢて。女をいれず。人のうたかひ
を。さけんためなりとぞ

参考1

家語=孔子家語(こうしけご)は「論語」に漏れた孔子一門の説話
魯の国=中国の王朝名・地名、現在の中国山東省南部
せんかたなくて=詮方無くて、どうしようもなくて
人のうたかひを。さけんため=結婚が出来なくなる可能性のため

参考2 儒教の男女の区別

「男女七歳にして席を同じゅうせず」礼記(らいき)
「席」は部屋ではなく、「ござ・むしろ」
礼記は「五経」の一つ。すべて孔子以前からの書物であるが、
伝統的な儒教の考えでは孔子の手を経て現在の形になったと考えられている。

イメージ 2

魯の国は、周公旦の伝統を受け継ぎ、古い礼制が残っていた。
この古い礼制をまとめ上げ、儒教として後代に伝えていったのが、
魯の出身である孔子であり、その一門である。
孔子が儒教を創出した背景には、
魯に残る伝統文化というものがあったからともいえる。

男女の仕切り、
どんなに有っても、
乗り越える勇者は、
いるものです。

____\¤\᡼\¸ 3軽鴨の介

見ぬ世の友-女部上-12

見ぬ世の友 仮名草子 明暦版(古典文庫)  

見ぬ世の友 女部上

十二段 鸚鵡(おうむ) (ぬすびと)を つぐる事  開元遺事

イメージ 1

長安の楊崇義(ようそうぎ)が妻。となりの人と。密通して
ひそかに。崇義を。ころさせ。井の中へ。しづめ
おきて妻。奉行所へゆき。こよいわが家へ。ぬ
す人入て。おつとをころせりと。うつたへたり
検使。かの家にきたりて。ようだいを。みられ
けるに折ふしその家に久しくかひをきたる
鸚鵡あり。たちまちなき出ていひけるは。
この家のあるじを。ころしたるものは。となり
の亭主なり。死骸は井の中にありとぞ告
ける。人々きもをけしいそぎ。井を見れは
はたして。しがいそこにしづみてありける
やがて妻とまおとことを。めしとりつみに
をこなはれけるとぞ

イメージ 2
参考

楊崇義(ようそうぎ)=ようすうぎ、たいへんな富豪だったそうです。
妻=妻の劉氏は類まれな美女だった。
となりの人=名は李掩(りえん)

妻の劉氏と李掩は、その後、死罪になった。
玄宗は鸚鵡を宮中で飼うことにして、「緑衣使者」と、名づけた。
緑衣は「監視する者・緑衣の監使宮門を守る」の意味があります。


鸚鵡の仇討ちですね。
悪さには、誰か見てるってことです。
現代は、監視カメラが・・・
悪から遠ざかりましょう!
______\¤\᡼\¸ 3軽鴨の介

見ぬ世の友-女部上-11

見ぬ世の友 仮名草子 明暦版(古典文庫)  

見ぬ世の友 女部上

十一段 両となり貧富の事 新話註

イメージ 1

斉の国に。ひとりのむすめあり。両どなりよ
りこれを。むかへんとあらそひける。折ふし
ふたりのおや。むすめにいひけるは。此上は汝
か。こゝろしだいにつかはすべし。ことばにてあか
らさまにいふ事も。なりかたかるべし。さらば
ひがしの。となりへゆかんとおもはゞ。ひだりのかた
を。ぬぐへし。西のとなりへゆかんとおもはゞ。右の
かたをぬくべしといひければ。むすめ。そのまゝ
両のかたをぞ。ぬぎたりける。おやたちふしん
におもひ。とはれければ。むすめこたへけるは
されはとよわがこゝろに。かたづけがたき事のは
んべれば。かくはぬぎ侍るなり。ひがしとなり
は富貴なる。家なれとも。むこのかたち。みに

イメージ 2

くし。西どなりは貧賤なれども。むこのかた
ちすぐれたりとぞ。こたへける

参考1

語句の註はありません。

参考2

左袒・さたん」と言う言葉があります。「史記(呂后本紀)」にある、前漢の周勃が呂氏の乱を平らげようとしたとき、呂氏につくものは右袒し(右肩を脱ぎ)、朝廷に味方するものは左袒せよ(左肩を脱げ)と言ったところ、皆左袒したという故事から「味方すること」の意味があります。

今回のお話では、
東隣の金持ちの男は「ぶ男」、
西隣の貧乏の男は「美男」。
婿取りをする娘は、
欲張って諸肌を、
脱(両袒)いでしまいました。
アハハハハッ、おっ◎い見えちゃった。

______イメージ 3軽鴨の介


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