伊勢物語と仁勢物語

パロディーと諧謔の、仮名草子。

見ぬ世の友

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見ぬ世の友-女部上-10

見ぬ世の友 仮名草子 明暦版(古典文庫)  

見ぬ世の友 女部上

十段 いとをひかせて むこをとる事 事文類聚

イメージ 1

郭元振(くわく げんしん)は。びなんなり。時の宰相 張嘉貞。むこに
とらんと。のぞまれける時。郭元振申されけ
るは。君はむすめ五人もち給ひたるよし。う
けたまはりおよひ侍るなり。しからは。五人の
うち容儀すぐれたるを。われに。ゑさせ給へ
かしと。所望しけれは。宰相殿こたへらるゝは
おやの身なれは。五人ながら。いつれまさり。おと
りと。わきかたし。所詮たゝわが娘五人に。いづ
れも。みすの内にて。いとを。もたせおくべし

イメージ 2

汝外より。そのいとをひかるべし。ひきあてた
まひたる。むすめをまいらせんと。さためけ
るに。そのぎにしたがひ。いとをひきけれは
第三番めの。むすめに引あたりたり のちに
かんがへみれは。五人のうち第三のむすめ。よう
ぎ ことに。すぐれたりとぞ

イメージ 3
参考1

郭元振=(656〜713年)、中国唐の将軍。名は震、字は元振。18歳で進士合格。
張嘉貞=(665〜729年)、中国唐の政治家。人、宰相。
容儀=礼儀にかなった姿・形や身のこなし、ととのった姿
みすの内=すだれの内側



恋愛結婚でも別れることがあります。
見合いで一生添い遂げる事もあります。
まして昔は顔を見ずに、嫁いで行くことがほとんどでした。
まことに男と女の出会いは、不思議ですね。
天が下の萬(よろず)の事に期あり、萬の業に時あり。
出来うれば、男女の仲に平安あれ。
くじ引きでも、良いモノを引き当てれば目っけ物。

 
______\¤\᡼\¸ 2 軽鴨の介 


見ぬ世の友-女部上-9

見ぬ世の友 仮名草子 明暦版(古典文庫)  

見ぬ世の友 女部上

九段 (むこ)をゑらむ事 事文類聚

イメージ 1

唐の高祖のきさきを。竇(とう)皇后と。申たてま
つる。高祖も后も。いまだ凡人にて。おはしまし
ける比。きさきの父母常にの給ひけるは。我娘の
人相。たゞ人にあらず。たとひ。いづかたよりのぞ
む人ありとも。みだりにあたふべからずとて
屏風に孔雀ひとつがい繪(ゑ)にかきてをき。この
孔雀の目に。射あてたる人あらは。むこにと
らんと。さだめおき。のぞむ人あれば。かなら
ず。此くじやくを。射させらるゝに。われも/\
と。弓射る人あれども、つゐに目に。あつる人な
しその後高祖ゆきてこれを射給ふに。一
手にて。さうなく孔雀の両眼を射あて給ひ
けるゆへつゐに。高祖を。むこにとり給へり。後
に高祖天下をとり給ひて。はたして。きさき
となり給ひけるとなん

イメージ 2

参考1

事文類聚=じぶんるいしゅう、中国の類書。170巻。宋の祝穆編。
  古典の事物・詩文などを分類したもの。
  類書=多くの書物から類似の事項を集めて分類し、まとめた百科辞典形式の書物。
唐の高祖=李淵(りえん)、唐朝の初代皇帝、618年5月、隋の煬帝が殺されたと知ると、
  恭帝から禅譲を受けて自ら皇帝となった
竇(とう)皇后=太穆竇皇后(たいぼくとうこうごう)、唐の太宗李世民の母

参考2 Wikipediaより

父・竇毅はいつも「この娘は才能も容貌もこのとおりであり、みだりに人に嫁がせてはいけない。賢い夫を求めるべきだ」と襄陽長公主に言っていた。門の屏の間に2羽の孔雀を描き、求婚する諸公子に2本の矢を射させて、目に当てることができた者に彼女を嫁がせると約束した。射る者は数十を数えたが、みな当てられなかった。祖父の李虎の時代から費也頭と縁の深かった李淵が最後に射たところ、おのおの一目に当てたので、李淵に嫁ぐことになった。


竇(とう)皇后は、
優れた才智で夫に助言し、
内助の功を示しました。
竇皇后の死後さえも、
李淵は皇后の言葉を思い出し、
適用し地位を安泰に導き、
夫を皇帝にしました。
唐の建国後(竇皇后の死後)に
皇后に追尊されました。
_______\¤\᡼\¸ 2 軽鴨の介


3/3全体通し(本文は前回・前々回と同じです)

見ぬ世の友 仮名草子 明暦版(古典文庫)  

見ぬ世の友 女部上

八段 妻 おつとを ころさする事 左傳

イメージ 1

鄭の?莞公(れいこう)のとき。祭仲といふ人。国のまつり事
を。しおきして。いせいつよかりしを。れい公
うれへ給ひて。いかにもして。ころしたく。を
ぼし侍れども。たやすく うつべきやうなし。
そのむこに。雍糾(ようきう)といふものあり。むこの事
なれば。祭仲さだめて。心をゆるし申べし
さらば。この雍糾を打手に。むけられるべしと
て。ひそかに めしよせ。このむねを。仰つけられ
ける。雍糾が妻は。祭仲がむすめなりければ。雍
糾ぜひなきよしを。ほのかに つげしらせ。や
がて うつべしと。用意する内に 雍糾がつま
いそぎ母のもとへゆき。問けるは。父と。をつと

イメージ 2

とは。いづれが したしき物にて。侍ると云ける
に。母 こたへける。父といふものは。天下に只ひと
りのものなり。 おつとは天下の人 いづれにても。
おつとゝなせば。なるものなれば。人は こと/\く
おつとにて。なか/\父のしたしさに。たくらぶ
べき。物にあらず と つげけれは かのむすめ こ
れを げにとおもひ。ありのまゝに。此おもむ
きを、ちゝに しらせ。かへりて父に。おつとを こ
ろさせたり

此事には。いにしへより。あまたの評論ありて
母のつげたる。ことばも妻のおつとを。ころさ
せたるも。おつとの。君より御うけ申たるも
三人ながら ともに。道にそむけり。此故事に
は。君臣父子夫婦の。三つの道。まじはりて。いづ
れも。五倫の内なれば。一つとして。かきぬれば
道にかなはず。雍糾が しうとを。ころさねば君
臣の道にかけ。妻が父につけざれは。父子の道かけ
又おつとを。ころさすれは。夫婦の道かくる事
なれば。さらば いかにして。三つの道 いづれも か
けずして たらんという事 これをよまん人へ 心
に。くふうを。めぐらし。見申さるべし 古人の
ひはんには。かの妻の心得一つにて 三つの道 こ
と/\く。かけざる道理。あきらかに のべたり

参考1

鄭の?莞公=中国春秋時代初期の鄭の第5代および第9代君主
   (紀元前?年-紀元前673年)
祭仲=鄭の政治家、下級役人から荘公に見出され大臣となり
    鄭の繁栄をもたらした。
雍糾=祭仲の娘婿
ころしたく=?莞公は祭仲の政治力を恐れ殺したく思ったが、
    逆に?莞公は主君なのに祭仲に追放されてしまう
三人ながら ともに。道にそむけり。=三人共に人倫に背いている
五倫=人の重んずべき五つの人間関係をいう。
    父子の親,君臣の義,夫婦の別,長幼の序,朋友の信をいう。
    孟子に由来する「父子に親あり,君臣に義あり,夫婦に別あり,
    長幼に序あり,朋友に信あり」

参考2

あなたは、会社と親と夫(妻)。どちらを大切にしますか?

鄭の?莞公は、鄭の実権を握っている祭仲が、うっとうしくてなりません。そこで殺そうとして祭仲の娘婿の雍糾に「祭仲を殺せ!」と命令します。雍糾は堪えきれず妻(祭仲の娘)に話をしてしまいます。祭仲の娘はこまって、母親に相談すると、「父はこの世にたった一人ですが、夫はいくらでも代えが有りますよ」と言われ、納得して父・祭仲に大事を告げてしまいます。結果、祭仲の娘は「夫雍糾を殺させる事」になりました。

この話について、後の評論はこの件に関して君臣・父子・夫婦、共に道に外れてると指摘し、「三綱の道」、君臣・父子・夫婦の関係を大切にするよう勧めます。なんであれ、人倫に悖(もと)る行いは、君命であろうとも、してはいけないと言うことでしょうか。「君、君たり、臣、臣たり。父、父たり、子、子 たり。」(孔子・論語)それぞれの立場で、分を果たせということです。

今から6・70年前、戦前・戦中は、「忠」であれば、結果として「孝」となると考えられて、多くの若者が戦地に赴きました。愛する国土と家族を守るためでした。今は価値観が変わり、何より「家族」が大事とされてますが、商売をしてる家では、まだまだ「家」が大事とされることもありますね。昔の中国の儒教では、今回の話のように、「孝」が何よりも優先されました。価値観は国柄や時代と共に変わりますが、人倫に悖る行いは、してはいけません。

さて話は戻り、?莞公は君主でありながら、鄭を牛耳る大臣の祭仲によって追放されてしまいました。

似たような事例に、平重盛の迷いの言葉があります。(日本外史・巻之一源氏前記)

「忠ならんと欲すれば孝ならず
 孝ならんと欲すれば忠ならず」

能・重盛から
其時重盛。一門将士に申すやう。我が身苟も。左大将に昇りしは。皇恩厚き故なれど父の恵のなかりせば。いかでかかゝる世に遇はん。然れば今の時にして恩義の高きすべらぎに。忠を尽せば孝ならず。慈愛の深きかぞいろに。孝を致せば忠ならず。さて何とせん重盛が・目前なる二道に進まんとして進み得ず。又退かん・方もなく心乱るゝばかりなり。


手強さゆえ、3日がかりになってしまいました。
______________\¤\᡼\¸ 2 軽鴨の介

昨日の続きです。

見ぬ世の友 仮名草子 明暦版(古典文庫)  

見ぬ世の友 女部上

八段-2/3 妻 おつとを ころさする事 左傳
 
イメージ 1

とは。いづれが したしき物にて。侍ると云ける
に。母 こたへける。父といふものは。天下に只ひと
りのものなり。 おつとは天下の人 いづれにても。
おつとゝなせば。なるものなれば。人は こと/\く
おつとにて。なか/\父のしたしさに。たくらぶ
べき。物にあらず と つげけれは かのむすめ こ
れを げにとおもひ。ありのまゝに。此おもむ
きを。ちゝに しらせ。かへりて父に。おつとを こ
ろさせたり

此事には。いにしへより。あまたの評論ありて
母のつげたる。ことばも妻のおつとを。ころさ
せたるも。おつとの。君より御うけ申たるも
三人ながら ともに。道にそむけり。此故事に
は。君臣父子夫婦の。三つの道。まじはりて。いづ
れも。五倫の内なれば。一つとして。かきぬれば
道にかなはず。雍糾が しうとを。ころさねば君
臣の道にかけ。妻が父につけざれは。父子の道かけ
又おつとを。ころさすれは。夫婦の道かくる事
なれば。さらば いかにして。三つの道 いづれも か
けずして たらんという事 これをよまん人へ 心

に。くふうを。めぐらし。見申さるべし 古人の
ひはんには。かの妻の心得一つにて 三つの道 こ
と/\く。かけざる道理。あきらかに のべたり

   \¤\᡼\¸ 19


翻刻は此処まで。
「参考」は次回に。
本当は、さぼってます。



見ぬ世の友-女部上-8-1

見ぬ世の友 仮名草子 明暦版(古典文庫)  

見ぬ世の友 女部上

八段-1/3 妻 おつとを ころさする事 左傳

イメージ 1

鄭の?莞公(れいこう)のとき。祭仲といふ人。国のまつり事
を。しおきして。いせいつよかりしを。れい公
うれへ給ひて。いかにもして。ころしたく。を
ぼし侍れども。たやすく うつべきやうなし。
そのむこに。雍糾(ようきう)といふものあり。むこの事
なれば。祭仲さだめて。心をゆるし申べし
さらば。この雍糾を打手に。むけられるべしと
て。ひそかに めしよせ。このむねを。仰つけられ
ける。雍糾が妻は。祭仲がむすめなりければ。雍
糾ぜひなきよしを。ほのかに つげしらせ。や
がて うつべしと。用意する内に 雍糾がつま
いそぎ母のもとへゆき。問けるは。父と。をつと
・・・

今日は此処まで。「続き」と「参考」も次回以降で。
3回に分けます。
本当は、調べ物の時間が掛かりそうなので。
http://forum.skins.be/images/smilies/Reading.gif
________\¤\᡼\¸ 2 軽鴨の介



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