伊勢物語と仁勢物語

パロディーと諧謔の、仮名草子。

伊曽保物語

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伊曽保物語 中-16

伊曽保物語 仮名草子 古活字本 国立国会図書館蔵本影印(勉誠社)

伊曽保物語 上

十六 つると狼(おほかめ)の事

ある時 狼 のとに 大きなるほねをたてゝ すてに難
儀におよひける折節 鶴此由をみて 御邊はなに事
を かなしみ給ふそ といふ 狼泣く/\申けるは 我
のとに 大きなるほねを たて侍り これをば御邊なら
ては すくひ給ふへき人なし ひたすらに頼奉る と
云けれは つる件(くだん)のくちはしをのへ 狼の口をあけさせ
ほねを くはへて ゑいや とひきいたす そのとき つる
狼に申けるは 今よりのち 此ほうおんによつて した
しく申語へし と云けれは 狼いかつていふやうは なん
てふ 汝か なにほとの をんを見せけるそや 汝か くひ
しやふつと くいきらぬも 今それかしか 心にありし
を たすけをくこそ 汝かためには 報恩なり といひけ
れは つる ちからにおよはす たちさりぬ そのこと
く 悪人にたいして 能事(よきこと)を 教といへとも かへつて
その罪をなせり 然(しかり)といへとも 悪人にたいして よき
事を をしへんときは 天道にたいしたてまつり
て 御はうこうと 思ふへし

参考

のと=喉・のど
なんてふ=なんでふ事を言ふぞ、何を言うか
しやふつと=「しや」は、すばやく。
       ふつと」は、物を断ち切るさま、またその音を表す語
御はうこう=御奉公、一身をささげて尽くすこと 

イメージ 1

親切で教えたり、してあげたりして、
迷惑がられることもあります。
また、頼まれてしてあげたのに、
後で居直られることもあります。
見返りは望まない方が懸命でしょうか?
人の世に熱あれ!

___________\?\᡼\? 12軽鴨の介

伊曽保物語 上-13

伊曽保物語 仮名草子 古活字本 国立国会図書館蔵本影印(勉誠社)

伊曽保物語 上

十三 商人かねをおとす公事(くじ)の事

ある商人 さんにおゐて三くわんめの銀子をおと
すによつて 札を立てゝこれをもとむ そのふたにい
はく 此かねをひろひけるものゝあるにおゐては
我にえさせよ そのほうひとして三分一をあたへん
となり 然に あるもの是をひろふ 我家にかへり さい
しにかたつていはく われひんくの身として 汝等
をやしなふへき たからなし 天道これを せうらん
あつて 給はるや とよろこふ事かきりなし しかり
といへとも このふたの おもてをきゝていふやう そ
の主 すてに分明なり 道理をまけんも さすかなれは
この銀を主へ返し 三分一をえてまし といひ かの
ぬしかもとへ行て そのありやうをかたる所に 主
俄に欲念おこつて ほうひのかねを なんしうせし
めんかため わかかねすてに四くわんめありき もち
きたれるところは三くわんめなり そのまゝおき 汝
は まかりかへれ といふ かのもの うれへていはく 我
正直をあらはすといへとも 御邊は無理を の給ふ也
詮する所 守護識に出て、理非をけつたんせん といふ
さるによつて 二人なから糺明の庭にまかり出る
かれと これと あらそふ所 けつしかたし かの主 せ
いたんをもつて 四くわんめありき と云 かのものは
三くわんめありき と云 奉行も理非を けつしか
ねて いそ保に きみやうしたまへ と云 伊曽保きゝて
いはく 本主の云所 めい白なり しかのみならす せい
たんあり しんしつこれに すくへからす しかれは 此
かねは かのぬしのかねにては あるへからす其故は
おとす所のかねは 三くわんめなり ひろひたる物に
これをたまはりて かへれ と のたまひけれは その時 本
のぬし をどろきさはき いまは なにをか つゝむへ
き 此かね すてに わか かねなり ほうひの所を なん
しう せしめんかため 私曲をかまへ申なり あはれ
三分一をは かれにあたへ のこりをわれに たへかし
と云 その時 いそ保わらつていはく 汝か よくねん み
たれかはし 今より以後は ていしせしめよ さら
は 汝につかはす とて 三分二をは ぬしに返し 三
ふ一を ひろひてに あたう そのとき ふくろをひらい
てみれは 日記すなはち さんくはんめなり 前代みも
むの けんたんなり と人々かんし給ひけり

参考
¥¤¥᡼¥¸ 1

公事(くじ)=訴訟およびその審理・裁判
さん=サモス島、ギリシャの島
くわんめ=貫目、銭貨を数える単位、960文が1貫目
銀子=銀貨、お金
札・ふた=高札、触れ書
ほうひとして三分一をあたへん=褒美として1/3を与えん
然に=しかるに
ひんく=貧苦
せうらん=照覧
分明=明白、あきらか
道理をまけんも=道理を枉げんも
さすかなれは=さすがなれば、いかがなものか
なんしう=難渋、惜しんで渋る
無理=道理に沿わない、非道
守護識=守護職
理非をけつたんせん=理非を決断せん、白黒をはっきりさせよう
紀明=糺明、きゅうめい、真相を明らかにする
せいたん=誓断、誓うこと、誓約すること
きみやうしたまへ=糺明したまへ
すてに=既に・すでに、まったく
私曲=不正な手段で自身だけの利益をはかること
みたれかはし=濫りがわしい・猥りがわしい、思慮・分別がなく乱暴である
ていし=停止・ちょうじ、さしとめること
けんたん=検断、刑事上の事件を審理し判決する手続き、裁判


拾ったお金を、正直に届けた貧乏人
お礼を出し渋った、お金を落とした金持ち
裁判になり、伊曽保の名裁き

___________\?\᡼\? 12 軽鴨の介

大岡裁きの「子争い」は、母親を名乗る2人から引っぱられる子供、
痛がる子の手を放した方が実の母親という話。
元は聖書・列王第一3章の「ソロモンの裁き」が日本に伝わったもの。
3000年前の話です。

伊曽保物語 中-28

伊曽保物語 仮名草子 古活字本 国立国会図書館蔵本影印(勉誠社)

伊曽保物語 中

廿八 はい(蝿)とあり(蟻)との事

ある時 はい ありにむかつて ほこりけるは いかに
ありとの つしんて承はれ われほと くわほう いみし
き物は世に有まし 其ゆへは 天道に奉る あるひは 國
王に そなはる物も まつ われさきに なめこゝろむ
しかのみならす 百官けいしやうの いたゝきをも お
それす ほしゐまゝに とひあかり候 わとのはらか 有
さまは あつはれ つたなきありさま とそ わらひ侍り
き あり 答云 もつとも御邊はさやうにこそ めてたく
わたらせ給へ 但 世に さたし候は 御邊ほと 人に
きらはるゝものなし さらは かそ はちそなとの やう
に かひ/\しく あたをもなさて やゝもすれは 人に
ころさる しかのみならす 春過夏さりて 秋風立ぬる
比は やうやく つはさをたゝき かしらをなてゝ 手を
するさまなり あきふかくなるに したかつて つはさ
より こしぬけて いと見くるしきさまとそ 申つたへ
ける わか身は つたなき者なれとも、はる あきの う
つるをも知らす ゆたかにくらし侍るなり みたり
に 人をあなつり 給ふ物かな と はちしめられて たち
さりぬ そのことく いさゝかわか身に わさあれは
とて みたりに人を あなつるときは かれ 又 をのれを
あなつるものなり

参考

はい=はえ、蝿
くわほう いみしき物=果報いみじき者、幸運な者
百官けいしやうの いたゝき=百官卿相の頂、大臣の頭に止まる
わとのはらか=我殿原(わとのばら)が、あなたたち、貴殿ら
あつはれ=天晴れ
つたなきありさま=運が悪い有様、不幸せなことよ
さたし候は=沙汰、世の評価の善悪を論じ定めると
かそ はちそなとの=蚊ぞ蜂ぞなどの
あたをもなさて=仇もなさで、悪いこともしないのに
あなつり=あなづり、あなどり、侮り
はちしめられて=恥しめられて、辱められて
わさあれは=業あれば、技術・能力があれば
かれ 又 をのれを あなつるものなり=相手を侮れば、自分にも返ってきますよ
イメージ 1
あなづられぱっなしのトホホな軽鴨の介、
人をあなづらないような人になりたい。

____________φ(.. )軽鴨の介
胡麻の蠅(ごまのはえ)は、間違い。
護摩の灰(ごまのはい)が、正しい。
でも、通ればリーチ。OKですね。




注意:少しグロです。
アリのデスサークル
Ant Death Circles Explained

伊曽保物語 下-16

伊曽保物語 仮名草子 古活字本 国立国会図書館蔵本影印(勉誠社)

伊曽保物語 下

十六 鼠と猫の事 

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あるねこ 家のかたはらに かゝみゐて 日々に鼠を
とりけり ねすみ さしつといて申けるは 何とやらん
この程は 我親類一そくも 行かたしらすなり侍る
そ たれか その行衞をしり給ふ といふ こゝに 年
たけたる ねすみすゝみ出て申けるは ことたかし
しつまれとよ それはこの程 れいの ねこといふ いた
つらもの このうちに来て えしきになし侍るそや か
まひて ゆたんすな なとと申けれは をの/\ せん
き評定して しかるにおゐては 今日よりして 各てん
しやうに斗 すむへし といふ はつとをさためり ねこ
このよしをきゝて いかんとも せんかたなさに たは
からはや と おもひて しゝたる躰をあらはして 四つ
足をふみのへ ひさしく はたらかすして居ける所を
ねすみ ひそかに此事をみて 上よりねこに申けるは
いかに猫 そらたまり なしそ なんちか かはをはかれ
ふんかうのふたになるとも 下にさかるましきそ と
いひけれは ねこ是非におよはす おきあかりぬ その
ことく 一と 人をこらす人は いつも惡人そ と 人これ
を うとんす たゝ 人は をろかにして 他人にぬかれ
たるにしくはなし かまへてかゝる末の世に 人
を ぬかんとおもふ事なかれ

参考

何とやらん=何であろうか?
行かたしらす=行く方知らず
行衞=行方
年たけたる ねすみ=年取った鼠
ことたかし=言高し、声が高い
いたつらもの=悪者
えしき=餌食
かまひて ゆたんすな=構えて油断するな
せんき評定=詮議評定
斗=計、ばかり
すむへし といふ はつとをさためり=住むべしと云う法度を定めたり
せんかたなさに=詮方なさに、ほどこすすべがない、どうしようもない、しかたがない
たはからはや=たば(謀)からなくては
しゝたる躰=死んだふり
そらたまり=猫かぶり、空騙し
ふんかうのふた=文匣の蓋、文箱の蓋
ぬかれ・ぬかん=騙すこと
 
イメージ 2

悪の道に入って罪を犯すと、
いつも「悪人だぞ」と、
後ろ指、疎まれます。
人を騙すことは、止めましょう。

________\?\᡼\? 12 軽鴨の介



伊曽保物語 中-36

伊曽保物語 仮名草子 古活字本 国立国会図書館蔵本影印(勉誠社)

伊曽保物語 中

卅六 腹と五たいの事

ある時 五たい 六こんをさきとして はらをそねんて
申けるは われらめん/\は 幼少のときより その
いとなみをなすといへとも 件のはらといふものは
わかうより 終になす事なくて あまつさへ われら
を めしつかふ わさを なんしける 言語たうたん き
つくわいの したいなり いまより以後 かのはらに
したかふへからす とて 五三日は 五たいろつこん 何
事もせす しよくしをも とゝめて おるほとに 初は
はら一人のなんきとそ みえける かくて日數 経に
けるほとに なしかは よかるへき 五躰ろつこん めい
はくして つゐに くたひれきはまる こんきうするに
およひて もとのことく はらにしたかふへし といふ
そのことく 人としても 今まて したしき中を すてゝ
したかふへきものに したかはされは 天道にもそむ
き にんあひにも はつれなんす かるか故に ことわさ
に云 鳩をにくみ まめつくらぬ とかや

参考

五たい=身体の五つの部分、頭・首・胸・手・足、または筋・血脈・肌肉・骨・皮
六こん=六根、感覚や意識を生じ、それによって迷いを起こさせる原因となる六つの器官
そねんて=嫉(そね)んで
言語たうたん=言語道断、とんでもないこと、深遠な真理はことばで説明できないこと
きつくわいの したいなり=奇っ怪の次第なり
五三日=ごさんにち、数日
しよくしをも とゝめて=食事をも止めて
なんき=難儀
なしかは=なじかは、どうして・なぜ、疑問や反語の意を表すのに用いる
天道=天然自然の道理、天の道、天理
にんあひ=人愛、人倫のまじわり、人づきあい
鳩をにくみ まめつくらぬ=鳩が豆をついばむのを嫌って、豆を作らないの意


久しぶりの仮名草子「伊曽保物語」です。
1月20日以来です。
錦絵の「伊蘇普物語」、絵がもう無いので、
仮名草子「伊曽保物語」再開です。
「従うべき者に、従う」という、道理を説いています。
従順という特質は、美徳ですが、
現代は少し軽視されていますね。
反抗の方がカッコイイ??
では、良い事柄に「follow」しましょう!


http://messenger.live.jp/emoji/zukan/images/sm_emo_k.gif山の神に従順__________φ(.. )軽鴨の介



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