伊勢物語と仁勢物語

パロディーと諧謔の、仮名草子。

古典文学

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あさがほ

あさがほ-紫式部集から

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   世の中の さはがしき比 あさがほを おなじ所に
   たてまつるとて

 きえぬまの 身をもしる/\ あさがほの
 露とあらそふ 世をなげく哉


 世の中の さはがしき比=世の中が騒然としていた頃
 おなじ所=この哥の前にもう一首有り、前の哥を送った同じ所
 きえぬま=消えぬ間の短い時間。
 しる/\=知る知る、重ねることによって「十分に知っている」
 あさがほの露とあらそふ=朝顔も露も日が昇れば、
   争うようにすぐに消えてしまう。
   人の命も同じように儚い命を表している。


    人があっと言う間に死んでいくような騒がしい世の中で、
    前に哥を送った同じ所に、朝顔を奉るとて哥を送る。

  朝顔が萎んで散るのはあっと言う間ですが、
  朝顔が露と争うように消えていく。
  そのような世の中の、人の命の儚さを嘆いています。


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虫愛づる姫君

カメラで昆虫採集に夢中なyoshy、
風変わりなお姫様を思い出しました。

古典紹介
堤中納言物語「虫愛づる姫君」

原文:
てふ めつる姫君の すみ給かたはらに あせち
の 大納言の御むすめ 心にくゝなへて
ならぬさまに をやたち かしつき給事かきり
なし この姫きみのゝ給事 人々の花 てふや
と めつるこそ はかなくあやしけれ 人は ま
ことあり ほんちたつねたるこそ 心はへ お
かしけれ とて よろつの むしの おそろし
けなるを とりあつめて これか ならんさま
を みむ とて さま/\なる こはこともに いれさ
せ給 中にも かはむしの 心ふかきさましたる
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学校で習うような古文テキスト:
蝶めづる姫君のすみ給ふかたはらに、按察使(あぜち)
の大納言の御むすめ、心にくくなべて
ならぬさまに、親たちかしづきたまふことかぎり
なし。この姫君のの給ふこと、「人びとの、花、蝶や
と めづるこそ、はかなくあやしけれ。人は ま
ことあり。本地(ほんぢ)たづねたるこそ、心ばへ お
かしけれ」とて、よろづの虫の おそろし
げなるをとりあつめて、「これが成らむさま
を見む」とて、さまざまなる籠箱(こばこ)どもに入れさ
せ給ふ。「中にも、かは虫の心ふかきさましたる・・・

大体の意味:
蝶を愛する姫君が住んでおられるそばに、按察使
の大納言の姫君のお住まいがあります。奥ゆかしく並々
ならぬ姫君で、親たちはこの上なく大切にお育てに
なりました。この姫君がおっしゃることには、「人々が花や蝶や
と、もてはやすことこそ無内容で良くないのです。人には
誠実な心があります。本来の姿を尋ねるこそ、心ばえが、
素晴らしいと言えます」とて、どれもこれも 恐し
そうな虫を取り集めては、「これが育っていく様子
を見ましょう」と、様々な籠箱へお入れに
なりました。「中でも毛虫の思慮深く見える様をしている・・・

あらすじ(ウイキより)
按察使大納言の姫は美しく気高いが、裳着(元服に相当)を済ませたにもかかわらず、化粧せず、お歯黒を付けず、ゲジゲジ眉毛のまま、引眉せず、平仮名を書かず、可憐なものを愛さず毛虫を愛する風変わりな姫君だった。その様子を屋敷に入り込んだ風流男が覗き、歌を詠みかける。


どうぞ、読んでくださいね。


和歌威徳物語 源三位

和歌威徳物語 源三位

和歌威徳物語 中
 君恩
哥の徳にて官位を進(む)

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源頼政は多田満仲の末にて 武芸 その氏(うぢ)
つげりといへ共 和哥のうら波 人に立をくれざり
けり ひさしく大内の守護にてありながら 昇殿
を いまだゆるされず 雲のかけはし よそにのみ
年をへけることのかなしく 覚けるまゝに ある時
一首の哥をよみけるを 天聴に及びて ゑいかん

淺からず 則(すなはち) 昇殿をゆるされ くらゐ四位になん
なし給ふとそ

  人しれぬ 大うち山の 山もりは
  こかくれてのみ 月を見るかな

同じ人 なを三位を心にかけて ことのつゐでを
もつて奏せさせける

  のほるへき 便なき身は 木のもとに
  しゐをひろひて よをわたるかな

此ゆへに 三位にのほられけるとそ 是まこと
に 和哥の いとくといひつべし


源頼政=平安末期の武将。和歌にも秀でた。平治の乱に一人だけ源氏として平清盛方につき、
  和歌の諷詞により清盛の推輓をうけて三位に進んだ。
  以仁王と平氏追討を企てたが、事前に発覚して宇治平等院で平家方に破れ自害。
多田満仲=ただのまんじゅう・源満仲の異称。多田源氏・摂津源氏の祖。
  「ただのまんじゅう武士のはじまり」
四位=第四等の位階。正四位・従四位の称。
  「貴族」とは五位以上の者を指し、これには昇殿などの特権が与えられた。
人しれぬ・・・=人に知られない大内山の番人は、木隠れにしか月を見ることができないのと
  同じように、私は大内(内裏)を守りながらも、殿上に昇って帝に拝謁することは
  適わないのだなぁ。千載978
のほるへき・・・=登るべき便りがない我が身は、ただ木の根元の椎(しゐ)を拾って
  暮らすしかないのだなあ。昇進する術もない今の私が、
  ただ四位(しゐ)に留まって世を渡って行くしないように・・・
三位=位階の第三位。正三位と従三位。

あらすじ
源頼政は、宮中を警護する武士。しかし昇殿することは久しくできませんでした。ある時、哥を詠みました。「大内山の番人は、木々にさえぎられて月をよく見ることは出来ないように、大内(内裏・だいり)を守る私も、昇殿できないから、帝を見ることも出来ないなぁ」と詠いました。それを帝は聴く機会があり、頼政のことを見出し、四位に取り立てました。さらに素晴らしい哥を詠み、昇進して三位になり、彼のことを「源三位(げんざんみ)」と称します。
まさに、哥の徳にて官位を得た人であります、

さらに、武勇にも優れた文武両道の武将でもあり、こんな伝説もあります。

源三位頼政 鵺(ぬえ)退治の図 
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過去記事:
源三位頼政、小侍従、和歌と母の祈りの事(女郎花物語)




優曇華の花と竹取物語

優曇華の花と竹取物語

昨日は一日中、雨。
また頭(ず)に乗って、花に付いた水滴を撮ろうと、カメラを持って外へ。
バラに良い具合の水滴、パチリッ!パチリッ!

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「ん!?何だこれは??」

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「あれ〜〜!こ・これは・・・優曇華(うどんげ)の花だぁ〜〜」
晴れていれば、絶対に気付かないところです。

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優曇華の花は、法華経に出てくる3千年に一度、
如来が来るとともに咲くといわれる
伝説上の花に由来する。

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実は、植物ではなく、クサカゲロウの卵だ。

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古典の読者は、「竹取物語」の一説を思い出すかも知れないね。
  「・・・くらもちの御子は うとん
   くゑの花 もちて のほり給へりと のゝし・・・」
(↓赤枠の部分↓)
くらもちの御子は、「蓬莱の玉の枝=優曇華の花」の模造品を作ったけど、
職人さんへ工賃を払わなかったため、
模造品とばれて恥をかき、かぐや姫に振られます。

今昔物語(巻31-第33)には、
「優曇華と云ふ花ありけり。
それを取りて持ち来たれ。さらむ時に合はむ。」とあり、
「蓬莱の玉の枝と優曇華の花」が、同じ物と推測できます。

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「今日は、良いこと有るかな?」と、思っていたら、
いつしかカメラとレンズはビショビショ。
マクロレンズのヘリコイド(AF駆動部分)に水が入って、
動かなくなってしまいました。
3千年に一度の良いことは、「優曇華の花」を見られたこと。
3千年に一度の悪いことは、「カメラ」が動かなくなったこと。
只今、自然乾燥中。トホホ

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「竹取物語・かぐや姫」の話、
大人になってから、読みましたか??
日本最古の物語ですよ。




和歌威徳物語 あやめ

和歌威徳物語 下
 人愛
歌にて戀のかなふ事
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鎌倉の右大将家に あやめといふ美女をめしつか
はれけり それを梶原三郎兵衛尉(ひやうへのぜう)聞および
所望しけれとも 御ゆるされなかりしかは いつしか
戀こかれて つとめも物うく 家にのみ こもりゐて
外へは さらに出ず 明くれ思ひわび 戀したひけ
れば 君なをざりならぬ心のうち あはれに
思召て やがて かぢはらをめされ 四間の御でいに をき
あやめのまへの おとらぬ おなじよはひの 美女を
十人一やうに しやうぞくせさせて ならべすへ

て 此うちに あやめを見知たらば給ふべし ゑり
て とれと仰けるに 梶原 上意をうけ給りて
つく/\と見わたすに もとより あやめを音に
のみ聞て 見しらぬ事なれは 目まぎれて いづ
れかそよと 引煩ひて たえかねたる 大息のみぞ
つかれける あまりのせんかたなさにや かくよ
めりける

 まこもぐさ あさかのぬまに 茂りあひて
 いづれあやめと ひきぞわつらふ

とよめりけれは あやめ かほをあかめて 袖を引
つくろひけるをみて 梶原うれしさ かきりなくて
あれこそと申て やがて給りけり

鎌倉の右大将=源頼朝、右大将は右近衛大将。鎌倉の右大将と言えば頼朝。
あやめ=美女の名、沙石集では「京より」とあり、京より来た美女です。
梶原三郎兵衛尉=鎌倉武士、吾妻鏡などに出てくる。
御でい=御出居、寝殿の庇の内部にある応接用の部屋。
   のちに「でい」と呼ばれ、接客用の座敷の意になる。
しやうぞくせさせて=動詞化・装束を着けさせて
音にのみ聞て 見しらぬ事なれは=噂だけを聞いてまだ見たことがないので。
目まぎれ=目紛れ、目がちらついてはっきり見分けられないこと。
せんかたない=為ん方無い・詮方無い、 なすべき方法が見つからない。
まこもぐさ=真菰草。水辺に群生するイネ科の多年草。菖蒲などに似ている。
   編んでむしろなどに利用。マコモダケとして食用される。種はワイルドライス。
あさかのぬま=歌枕、安積の沼・浅香の沼、安積山の麓にあったといわれる沼。
いづれあやめ=何れ菖蒲(あやめ)、菖蒲とあやめ(文目)もつかずの掛け。区別がつきにくい。
   →何れ菖蒲か杜若
まこもぐさ・・・=真菰草が安積の沼にたくさん茂っていて、その中の菖蒲が似ているために、
   どれが菖蒲か区別できずに引き抜くことが出来ません。
引つくろひ=引き繕ひ、身だしなみをきちんとする。気取った態度をとる。 
給りけり=有り難く、美女「あやめ」さんを頂戴いたしました。

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まこもぐさ
あらすじ
「あやめ」という美女がいると聞いた、梶原三郎兵衛尉さん、
会ったこともないのに恋患い。仕事が手に付きません。
主君は、美女10人を並べて「あやめ」さんを見つけたら、
「褒美として、あげるぞ!」と言いました。
でも、噂だけで恋い焦がれた梶原さん、見たことが有りません。
困った心情を和歌で表現しました。
「あやめ」さん、この哥に感じて、
それとなく衣服の乱れを身繕いして合図をしました。
「何れ菖蒲(あやめ)か杜若(かきつばた)」と言う言葉がありますが、
十人の美女の中から、見事に「あやめ」さんを見つけ出しました。
和歌には、人を動かす力が有りますね。

イメージ 3元の話は、沙石集に有あります。(巻五末・小学館版、岩波赤版では無し?)
この話は、10日以上前に99%出来ていたんですが、
たった1文字読み切れなかったんです。

思り」としか読めませんでした。でも意味が通じない。
悩みまくりました。
しかたなく、「没」にするかな?と思いながら
他の部分の読書を楽しんでいたなら、
こんな部分が出て来ました。

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・・千載集をゑらび・・
 に思ひけるにや讀・・
「ゑ」と「思」、似てるでしょう。
ここで先の部分「思り」ではなく、
ゑり・選り」と読む事に気付きました。
思い込みの誤読でした。修行がまだまだ足りません。
読書百遍 意 自(おの)ずから通ず。寺子屋一年生です。
解読できた時のビ〜ルは旨い!


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